失敗しない夏のエアコン計画|5つの方法を徹底比較!

失敗しない夏のエアコン計画|5つの方法を徹底比較! | 家の性能

夏はエアコン計画が難しくなりがち。その理由は冷気が下に溜まる上に、太陽の影響で2階が暑くなり、しかも人間も熱を発するからです。そんな時に重要なことは、適切な方向や排気口。そして2階には屋根裏エアコンを設置することで、体感温度がグッと下がりますよ。

夏を快適に過ごしましょう!

本記事の内容は、YouTube動画でも分かりやすく解説していますので、こちらもご覧ください!

参考動画:失敗しない夏のエアコン計画|5つの方法を徹底比較!

夏のエアコン計画が難しい3つの理由とは?

夏のエアコン計画が難しい理由は、3つあります。この3つの理由によっては、夏のエアコン計画は冬に比べて100倍難しくなってしまっているんですね。それを踏まえて全ての部屋をある程度一定に涼しくする方法を知るために、まずはエアコン計画が難しくなる3つの理由をチェックしていきましょう。

 

夏のエアコン計画が難しい理由①冷気は横に広がりにくい

これはコンビニのアイス売り場を想像すると分かりやすいでしょう。あそこに蓋はないのに、しっかり冷えていますよね。それがなぜかというと、冷気は下に溜まる性質があるからです。

なので、家で言うと1階のリビングエアコンで冷やした冷気が、上に上がるということはなかなかないんです。暖房の場合は暖気が上がるので家中が暖かくなりますが、夏はそうはいきません。

さらに冷気は横に広がりづらいので、特に2階なんかは仕切りや扉が多く、なおさら冷えづらくなってしまうんです。「この部屋は涼しいのに、この部屋は暑い!」なんて状態になってしまうんですね。

 

夏のエアコン計画が難しい理由②夏がめちゃくちゃ暑い

最近は特に夏が暑いですよね。外気が36度なんてことになる日もあります。特に2階は太陽が屋根をジリジリと暑くするので、その影響を非常に受けやすいんです。マンションとかであれば最上階じゃなければそれほど気になりませんが、戸建の場合はどうしても太陽の影響を受けてしまいます。その影響を受けるのも2階なので、やっぱり夏は2階のエアコン計画が特に難しくなるんですね。

 

夏のエアコン計画が難しい理由③人間が熱を発する

冬の場合は、人間が熱を発するほど暖かくなるから良いですよね。ただ、夏は話が逆です。冷やしたいのに人間が熱を発するから、バッティングしてしまうんです。人間が活動すればするほど、どんどん部屋の中が不快になってしまうんです。

 

1階の具体的な方法


では、具体的にどうすれば良いのでしょうか。そもそもの前提として、1階はエアコン1台で構いません。大体は14畳200Vのエアコンを推奨しますが、これをつけておけば大体涼しくなります。

 

エアコンの風を長手方向に吹かせる

ただ、注意してほしいのは長手方向に風を吹かせるということです。特にキッチンや洗面室のように、エアコンから遠いところは暑くなりがちなので、そちらに向けて空気をしっかり出すような方向に設置するのが基本です。

 

冷気が届きにくい場所に換気システムの排気口を付ける

あとは、冷気が届きにくいキッチンや洗面所に、換気システムの排気口を作っておくことも大切です。そうすることで、冷気が動き、空気の流れができます。

 

風量が強いエアコンを選ぶ

また、エアコンはできるだけ風量が強いものを選びましょう。「10m以上の風量があります」のような機種にしないと、奥の方が暑くなるので気を付けてください。ただ、こうした「エアコンの設置場所」、「奥に排気口を付ける」、「風量が強いエアコンを選ぶ」という3点を注意しておけば、1階のエアコンは十分だと思います。

エアコンのサイズに関しては、ぜひこちらの記事もご確認ください。
何畳用のエアコンが最適か?一瞬で計算する方法|エアコン容量早見

また、1階に主寝室や居室がある場合もありますよね。そういう時は、まずは1階のリビングエアコン1台でいけるかどうか試してみてください。その上で、暑かったら後でもう1台設置という形にしてもらえば良いと思います。

 

2階の具体的な方法

冒頭で紹介した通り、夏の2階のエアコン計画は非常に難しいんです。やり方としては、大体5つくらいあるので、それらの方法を比較していきましょう。

 

夏の2階のエアコン計画①各部屋に1台ずつ設置する

これは一番オーソドックスな方法ですよね。確実に各部屋を冷やすことができます。ただし、デメリットがあって、それは冷えすぎること。夏に寝る時につけっぱなしだと風邪をひいてしまいますが、かといって消したら暑くなります。この調整がめちゃくちゃ難しいんですね。

というのも、エアコンは大体表示畳数の5倍まで対応可能なんです。つまり一番小さい6畳用のエアコンでも、30畳ぐらいまでいけるわけですね。それを4.5畳の部屋に使ったら、オーバースペックで冷えすぎるのも当然の話ですよね。それで運転効率も悪くなり、室外機も増え、修理費用もかさんでしまいます。また、部屋ごとにエアコンがあると見た目も悪くなるので、各部屋エアコンは無難な選択肢ではあるものの理想的ではないでしょう。

 

夏の2階のエアコン計画②全館空調システム

2つ目の方法は、全館空調システムです。ただ、私はこれは推奨しません。どこかに業務用エアコンをつけて、そこからダクト経由で色々な部屋に冷気を送っていくシステムですね。

確かにエアコン1台で家中を冷やすことはできますが、業務用エアコンが壊れたら修理費用が高くなってしまいます。また、ダクト内の汚れが心配というデメリットもあります。

全館空調を推奨しない理由に関しては、ぜひこちらの記事もご確認ください。
全館空調システムをおすすめしない理由|致命的なデメリット

 

夏の2階のエアコン計画③ホールエアコン

これは少し新しい技術ですね。2階の廊下にあるホールの部分を冷やして、その冷気を各部屋に送っていくという方法があります。これはなかなか良い考えですよね。

メリットとしては、2階のエアコンが1台になること。1階に1台、2階に1台なので各部屋エアコンのようにオーバースペックで運転効率が悪くなることも、冷えすぎるというデメリットもありません。

ただ、デメリットとしては、2階の各部屋はドアが開けっ放しが基本です。ホールで冷やした冷気を各部屋に入れるんですから、当然ですよね。ただし、ドアを開けていたら個室の意味がありません。「それならドアを閉めて壁にファンをつけて冷気を送ればいいじゃないか!」と考える人もいますが、それだと音が漏れてしまいます。しかもリビング階段をつけたら1階から2階へと音も上がりやすいので、家中の音が筒抜けになってしまいます。

さらに、ホールエアコンはホールがむちゃくちゃ冷えすぎるのもデメリットの一つ。ホールが寒くなってしまうんですね。また、冷気は下に落ちていく性質があるので、階段から冷気が落ちていっちゃいます。その防止のために冷気止めを作ると、それはそれでお金がかかってしまいますよね。

また、廊下が狭い家の場合はホールエアコンを設置する場所も難しいんです。特に家の真ん中に階段をあける場合は、真ん中にエアコンをつける場合は、「隠蔽配管」といってエアコンの配管が家の中を貫通することになるので、メンテナンスが面倒になるんです。つまり、間取りの制限ができてしまうんですね。

なのでホールエアコンは確かに考え方としては良いのですが、音や間取りの制限の問題を考えると、あまり皆さんにおすすめできる方法ではないと思います。音のデメリットが許容できる人だけ検討してみてください。

 

夏の2階のエアコン計画④階間エアコン

階間エアコンというのは、1階と2階の隙間の空間を冷やして、そこから1階に冷気を落とし、2階には冷気を上げるという方式です。これは、実はなかなか難しい方式です。上手くできる工務店はめちゃくちゃ少ないと思います。

理屈としては分かるのですが、冷気は下に溜まる性質があるので、1階と2階の隙間の空間を冷やしても2階が冷えないんです。そうするとファンで空気をあげる必要がありますが、かなり強力な動力が必要になります。さらにそうやって冷気を上げても、横に広がりにくいため、なかなか2階が冷えないんですね。そうすると各部屋を冷やすためには各部屋にファンが必要になりますが、各部屋の床に穴があると、ちょっと邪魔ですよね。

また、1階と2階の空間は狭いので、そこを冷やすことで結露するリスクが高いんです。そうすると木材やグチャグチャになったりカビのリスクも出てくるので、階間エアコンは考え方としては面白いですが、現実的には難しいでしょう。失敗リスクが高いので、私はおすすめしていません。

 

夏の2階のエアコン計画⑤屋根裏エアコン

これはやり方を間違えなければ上手くできる方法なので、私としては推奨しています。ただ、やり方によっては失敗するので、採用する人は注意してください。

屋根裏エアコンは、非常に理にかなってるんですね。屋根裏ということは、家の上部分を冷やすことになります。冷気は下に落ちるので、自然と冷えていくんですね。しかも屋根裏は全ての部屋に繋がっているので、壁がないところを冷やして各部屋に冷気が落ちていくことになります。各部屋を効率よく冷やせますよね。

また、足下が冷えると不快になりますが、上が冷えると人間は快適に感じるものなんです。なので、天井が冷えることで、温度がそこまで下がらなくても体感温度を下げることができるというメリットもあるんです。

なので、私としては1階はリビングエアコン1台で冷やし、2階は8畳用くらいの屋根裏エアコン1台で、廊下を含めた全ての部屋を冷やすというのがおすすめです。2台の家庭用エアコンによる、ダクトなどを使わない家中全館空調が可能になります。

屋根裏エアコンの具体的な話に関しては、ぜひこちらの記事もご確認ください。
せやま式屋根裏エアコン 設計マニュアル 概要版|夏の暑さ対策

 

まとめ

夏のエアコン計画について

  • 難しい理由①冷気は横に広がりにくい
  • 難しい理由②夏がめちゃくちゃ暑い
  • 難しい理由③人間が熱を発する
  • 1階の対策→1台のリビングエアコンで対応
  • 2階の対策→屋根裏エアコンがおすすめ

PROFILE

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せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

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