2025.03.12
どうせ家を建てるなら、土地は安く済ませて、「家」にお金をかけたいですよね。
しかし土地探しは「落とし穴」も多く、表面的な土地価格だけで判断してしまうと、追加費用がどんどん膨らんでいって、最終的に土地の予算をオーバーしてしまうケースも…。
そこで今回は、土地探しの際に、より正確なコストを判断するためにも、「土地の造成費用に対するチェック方法」についてわかりやすく解説していこうと思います!
土地探しで失敗してしまうと、その後の家づくりもうまくいかなくなってしまうので、しっかり要点を抑えておきましょう!
関連記事:『どうやって進めるべき?注文住宅の「土地探し」の流れ・コツ・注意点を完全攻略!』
目次
【大前提】安い土地には、必ず「安い理由」がある
「お値打ちな土地」は不動産屋が買い占めてしまう
そもそもですが、仮に「値段の割に条件が良い土地」があれば、それらは工務店・HMや施主が認知する前に、不動産屋が買い占めてしまいます。
そのため土地探しにおいて、「掘り出し物は見つからない」と思ってもらった方が良いですね。
土地の値段は「土地代+造成費用」で考えよう!
上記のように、お値打ちな土地は不動産屋が買い占めてしまいますから、市場に出回っている「お値打ちに”見える”土地」というのは、購入後に古家の取り壊しが必要だったり、地盤が弱く地盤改良費がかかったり…と造成費用が高額になってしまうことが多いです。
安い土地は安いなりの理由がありますので、割安な土地に飛びきたくなる気持ちをぐっとこらえて、工務店の専門家と「実質の土地価格(土地代+造成費用)」を試算して考えましょう!
そもそも「土地の造成費用」ってなに?
土地にかかる「造成費用」とは?
土地を買ってしまえば、すぐに家を建てれるわけではありません。
家を建てるには、家を建てて住めるようにするための「整備」が必要なのですが、この整備にかかる費用を「造成費用」と言います。
家をしっかりと支えるための地盤改良工事や、水道・電気・ガスなどのインフラ整備など、「ただの土地」から「家を建てるための土台」にするための準備を行うわけですね。
具体的に「どのぐらいかかるのか?」については、購入した土地によって大きく変わってきますから、「具体的にどういったものに、どのぐらいの費用がかかるものなのか?」を知っておき、土地探し・選びに活かしていきましょう。
造成費用は大きく分けて8項目!
確認するべき造成費用は、「インフラに関する費用」と「その他土地形成にかかる費用」の2タイプ(計8項目)。
土地購入の前に確認すべき造成費用
インフラに関する費用 |
①上下水道市納金・負担金・検査手数料 |
---|---|
土地形成に関する費用 |
④高低差処理/造成工事費 |
「リアル資金計画書」でシュミレーション
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今回紹介する「造成費用」だけでなく、建物費用、契約後の追加費用、諸費用…といった家づくりにかかる費用・予算を入力することで、家づくりにかかる費用シュミレーションできるツールです。
基本的に資金計画書は、営業マンが作成してくれますが、営業マンが作る資金計画書だけでは契約後の思わぬ出費による予算オーバーを防ぐことができません。そのため営業マンに任せっきりにするのではなく、この「リアル資金計画書」を使って、実際に自分で資金計画を作ってみましょう!
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以降内容で紹介する8項目は、上記リアル資金計画書内の項目に沿って解説していきますので、手元にリアル資金計画書を用意したうえで確認していきましょう!
土地購入前に確認すべき「造成費用」は?
『インフラ』に関する造成費用
①上下水道市納金・負担金・検査手数料
(出典:吹田市)
市区町村に納める水道を使わせてもらうための権利金のことです。
初めて家を建てる場合は全額負担が必要ですが、すでに土地に家が建っている場合はすでに支払われているので必要ありません。
ただ、メーターの口径を大きくする場合は差額分を支払う必要がありますので要注意。
一般家庭で多い20mmの負担金は、平均10~20万円くらいですが、市町村によっては100万円近くかかるケースもあるので、土地探しの際には注意してください。ちなみに必要なメーター口径は、家の水道数で決まりますよ。
”メーターの口径”って?
メーターの口径とは、「給水管の太さ」のことです。
メーターの口径が小さいと十分に水が供給されず、水圧や水の流れが制限されることがあるので、シャワーやトイレなどの水回りを快適に使うためにはある程度の太さが必要です。
以前は13mmのものが一般的でしたが、新設する場合は20mm以上としている自治体も多く、古家があっても13mmから20mmに変更するケースが増えてきています。
②上下水道工事費
水道を引き込んだり、古くなったメーターを改修する際にかかる費用です。
以前家が建っておらず、初めて水道を引き込む場合は一から工事が必要。費用としては道路の水道本管の位置や、前面道路の状況によって上下しますが、大体60~100万円前後になることが多いでしょう。
以前家が建っていた場合は、メーター口径を大きしたり、排水マスの改修などの改修工事として10~70万円程度かかるケースが多いですね。(もちろん改修規模によります)
ちなみに整備された分譲地等であれば、上下水道工事は完了しているので水道工事費用は不要になります。
ただ、ごく稀に水道工事費用を買主側が負担する場合もあるので、念のため確認しておきましょう。(ちなみに、①上下水道負担金は「買主(施主)負担」になることが多いです)
水道工事だけ別業者に依頼してもいい?
よく「水道工事だけ、業者を直接探して依頼してもいいですか?」という質問をいただきますが、これは基本おすすめしません。
強行すれば可能ではありますが、工務店・HMとの関係も悪くなりますし、その後の工事のことも考えると工務店・HM経由で依頼してもらった方が良いですね。
③ガス引き込み工事費
ガスコンロやガス乾燥機(乾太くん)を使う場合は、もちろんガスの引き込み費用がかかります。
都市ガスの場合、一般的には「道路⇒敷地」に引き込むまでの費用はガス会社側が負担してくれますが、「敷地⇒家の中」に通すまでの費用は自己負担。
また中にはプロパンガスを選ぶ方もいますが都市ガスと比べて割高になるので、ガスを使いたい方は土地探しの段階で「都市ガスがその近くまで来ているのか?」を確認しておくのが良いでしょう。
「オール電化」と「ガス併用」、どっちが良い?
光熱費で比較すると、オール電化が有利ですが、最近はオール電化の料金優遇幅が小さくなってきているので、ガスにする理由がある場合は、オール電化に縛られなくてもOK。
ガスにする理由で一番多いのが、ガスコンロ。鍋を振りたい!という人は、ガスコンロしかないわけですが、ガスコンロはIHに比べてレンジフードが汚れやすくなるのでその覚悟は必要ですね。
次に、ガス乾燥機(乾太くん)。これは家事がかなり楽になりますからおすすめですよ。またガス引き込み費用についても、乾燥機だけガスにすることで、引き込み費用も安く済みますから個人的にはおすすめです。
あとは床暖房ですが、そもそも「床暖房を使わないと寒い家」を作ることが間違いですから、床暖房がなくても寒くない家にすることを優先しましょう。
『土地形成』に関する造成費用
④高低差処理/造成工事費
道路と高低差がある場合は、駐車場部分の土砂を削ったり、土が崩れてこないように擁壁を作ったりする必要があるのですが、これらにかかる費用を指します。
予算感は、現場の状況によるので一概には言えませんが、おおよその目安だけ記載しておきます。
道路との高低差が1mの場合(目安)
- 駐車場1台分+α → 60万円
- 駐車場2台分+α → 100万円
- 駐車場3台分+α → 140万円
このように高低差処理費用は意外と費用がかさむので、なるべく高低差の少ない土地を選ぶことをおすすめします。歳をとると、玄関までの階段もしんどくなってきますしね。
「高低差2m以上」は避けるべき!
<宅地造成工事規制区域の2m規制>
(出典:SUUMO)
高低差は少ないに越したことはないですが、特に高低差が2m以上の土地はおすすめしません。
これは宅地造成工事規制区域のエリア内で高低差2m以上の造成工事を行う場合、がけ崩れや自然災害防止のためにも都道府県等の許可が必要になってしまうんです。
これが生じると、その分時間も費用も余計にかかってしまうため、基本「道路と敷地の高低差が2m超の土地」は避けるのが無難でしょう。
⑤境界関連工事費
敷地と「隣地」「道路」との境界を明確にする際の処理にかかる費用です。
隣地との境界においては、自分たちの土地の方が高ければ、土砂が隣地に流れていかないようにブロックが必要だったり、すでにブロックが積まれているが、7段、8段…と高くまで積まれていると、そのままだと工事ができないケースがあります。
こういった場合、ブロックを1~2段カットしたり、支えをつけたり…というような処理が必要になるわけです。
また道路側との境界については、水を流す側溝が痛んでいたりだとか、グレーチング(側溝のあみあみ部分)を新設しないといけないという場合は当然その分費用が発生しますから、「境界がどんな状況になっていて、それを処理するためにどのぐらいの費用が掛かるのか?」というのは必ずチェックしておきましょう。
⑥市街地/狭小地調整費
これは隣接道路が狭かったり、周辺の駐車場代が高い場合などに追加でかかる費用です。
特に敷地に隣接する道路が狭い場合、大きなトラックが敷地に横付けできないため、職人が手で資材を運び出すための「小運搬費用」が割高になったり、クレーンが入れない場合は職人が資材を手上げするための「手上げ費用」がかかったりします。
加えて周辺の駐車場代が高い場合には、「駐車場割増費用」なども掛かってきてしまいますから、市街地の土地を中心に探している場合は、こういった部分もしっかりチェックしておくべきですね。
⑦解体工事費
古家の解体や外構・植栽の撤去、駐車場のアスファルト撤去などにかかる費用です。
土地探しの際は、必ず解体費用も含めたうえで購入を検討してくださいね。解体費の相場としては、ざっくり以下の通り、
解体工事費の相場目安は?
木造:1坪あたり35,000円+α(植栽撤去費用等)
鉄骨:1坪あたり45,000円+α(植栽撤去費用等)
これを元に計算すると、延床面積30坪の木造住宅であればざっくり105万円+αくらい。ただ地域や家の状況にもよるので、あくまで参考程度に。
また解体費用やそれにかかる廃棄物処分費用は、年々高騰傾向にあるので、施主自身で解体業者を見つけたり、市区町村の解体補助金制度を利用するなど、安く抑えれないか?色々工夫されることをおすすめします。
古家付き土地で、建物の所有権はどうすべき?
これは、結局土地購入後にすぐ取り壊すのに、建物の所有権移転に費用をかけるのは勿体ないので、「建物は契約に含まない」という特約を盛り込んで、売買契約を交わすというテクニックですね。
費用削減につながるので、売主が協力してくれるなら良いと思いますが、ローンを組む銀行側がNGを出す場合もあるので、事前確認は必須です。(ただし、解体後の滅失登記費用は「買主負担」になります)
やや複雑な取り交わしが必要になりますが、不動産屋さんは慣れていると思うので古家付きの土地を検討する場合はぜひ相談してみてください。
ちなみに「古家をいつ取り壊すか?」によって、固定資産税の支払い額も変わってくるので、併せてチェックしておきましょう。
⑧地盤改良工事費
地盤改良費にかかる費用については、購入後地盤調査をしてみないとわかりません。
ただおおよその金額であれば近隣の地盤データを確認すれば、ある程度予想が立ちますから、必ず住宅営業マンに地盤データを見せてもらうように依頼しましょう。(地盤データはプロ専用サイトでの閲覧になります)
<近隣の地盤データが見れるプロ専用サイト>
(出典:ジャパンホームシールド)
実際に地盤改良にかかる費用については、家の大きさや工事内容によって異なりますが、「表層改良であれば20~40万円」、「5m以内の柱状改良であれば40~70万円程」、「5m以上の柱状改良であれば70~120万円」が目安です。
また地盤調査の結果、「地盤改良が不要」と判定された場合は地盤保証料だけでOK。
地盤保証料については、請負工事に含まれている場合と、別途必要な場合に分かれますが、別途必要な場合、相場は10年保証で「3~8万円程」になります。
地盤調査はセカンドオピニオンもあり
地盤改良費用に納得いかない場合は、セカンドオピニオンが有効です。
別途費用は掛かりますが、地盤改良工事会社とつながっていない「独立系の地盤調査(保証)会社」であれば、地盤改良費用が安くなる可能性があります。
ただし工務店・HMによっては、地盤調査会社が指定されている場合もあるので、まずは一度確認してみてくださいね。
まとめ
大前提として、土地探しの際には純粋な「土地価格」だけでなく、「土地価格+造成費用」を合計した費用での検討が必須です。
そして、造成費用を見積もってもらう際に、抑えておくべき項目は以下の8つ。
土地購入の前に確認すべき造成費用は?
インフラに関する費用 |
①上下水道市納金・負担金・検査手数料 |
---|---|
土地形成に関する費用 |
④高低差処理/造成工事費 |
これらを元に「実際に土地探しを進めよう!」という場合は、以下記事も参考にしてみてくださいね!