土地購入前に絶対確認すべき「造成費用(全6項目)」とは? | 予算オーバーを未然に防ぎたい

家の資金計画の内訳は、「建物+追加費用+土地+造成費用+諸費用」で成り立っていますが、今回は「造成費用」について解説していきます。 土地価格+造成費用=実質の土地価格なので、造成費用を確認せずに土地を購入してはいけません

土地購入前に確認すべき6つの土地造成費用|安い土地にはワケがある

安い土地にはワケがある

一見相場より安く見える土地は、必ずと言っていいほど余分な費用がかかります。安い土地にはワケがあるということです。

土地の売買を担当する不動産屋さんは、造成に関する知識が乏しいことが多く、造成費用を細かくシミュレーションしてくれませんので、頼るべきは住宅営業マン。施主自身ですべて計算するのは、まず無理です。

造成費用のシミュレーション、不動産屋はあてにならない

すべて細かく理解しなくても大丈夫なので、住宅営業マンに「●●の費用は見ておかなくて大丈夫ですか?」と質問できるレベルにはなっていきましょう。

金額相場も記載しておきますが、地域や状況によって費用は変わりますので、参考程度に考えておいてください。また、①上下水道負担金以外は価格交渉可能ですが、あまり交渉しすぎると住宅会社も嫌気がさしてくるので、ほどほどに。

関連記事:新築住宅の「資金計画」を立てる方法<完全保存版>|リアル資金計画書の使い方

【結論】土地購入前に確認すべき6つの土地造成費用|安い土地にはワケがある

土地購入前に費用を確認すべき6つの土地造成費用は以下の通りです。

①上下水道負担金(加入金・市納金)
②上下水道工事費
③電気/ガス工事費
④高低差処理費
⑤解体費
⑥地盤改良費/地盤保証料

①上下水道負担金(加入金・市納金)

水道を使う権利金で、市町村ごとに決まっており、交渉はできません。金額は、口径ごとに違います。

その土地に初めて家を建てるのであれば、全額負担。以前家が建っていて、口径を大きくする場合(13mm→20mm等)は、差額を払えばOK

一般家庭で多い20mmの負担金は、平均10~20万円くらいですが、100万円くらいかかる市町村もあるので、土地探しの際には注意してください。必要なメーター口径は、家の水道数で決まります。

<上下水道負担金>
水道負担金(加入金・市納金)の例
(出典:吹田市

②上下水道工事費

水道を引き込んだり、古くなったメーターを改修したりする費用です。

以前家が建っておらず、初めて水道を引き込む場合は、いちから工事が必要です。道路の水道本管の位置や、前面道路の状況によって費用は変わりますが、60~100万円程度になることが多いでしょう。

<駐車場に家を建てる場合、いちから水道引き込み工事が必要>
駐車場に家を建てるなら、いちから水道引き込み工事が必要

以前家が建っていた場合は、メーター口径を大きしたり、排水マスを改修するなどの改修工事が必要。金額は改修程度によりますが、10~70万円程度が多いでしょう

整備された分譲地等であれば、上下水道工事は完了しているので、水道工事費用は不要。ごく稀に、水道工事費用を買主が負担する場合があるので、念のため確認を。ちなに、①上下水道負担金は、買主(施主)負担になることが多いです。

<分譲地は上下水道工事費用がかからない>
分譲地は水道工事費用が不要

『水道工事だけ、業者を直接探して依頼してもいいですか?』に対して

強行すれば可能ではありますが、その後の工事のことを考えると、住宅会社経由で依頼してもらう方が良いです住宅会社も嫌がると思います。強行すると、住宅会社との関係性も悪くなるので、グッシンとしてはおすすめしません。

③電気/ガス工事費

電柱が邪魔で移設したい場合、自分の土地の前への移設であれば、移設できることが多いです。その場合の移設費用は、30~50万円程。

専用通路がある土地(旗竿地)は、電柱から直接電線を引けないため、中継ポール(小さい電柱)が必要になる事があります。中継ポールの費用相場は、サイズにもよりますが15~30万円程です。

また、都市ガスを利用する場合は、敷地内から建物への引き込み費用がかかります。相場は20~25万円程。道路から敷地内への引き込みは、ガス会社が無料でやってくれますので、自己負担はありません。

<邪魔な電柱は移設できることが多い>
邪魔な電柱は移設できることが多い

『オール電化?ガス併用?どっちが良い?』に対して

光熱費で比較すると、オール電化が有利。ただ、オール電化の料金優遇幅が小さくなってきているので、ガスにする理由がある場合は、オール電化に縛られることはありません。

ガスにする理由で一番多いのが、ガスコンロ。鍋を振りたい!という人は、ガスコンロしかありません。ただ、ガスコンロはIHコンロに比べて、不燃物でレンジフードが汚れやすくなるので、それは覚悟しましょう。

<レンジフードの掃除はみんな苦手>
掃除が苦手な場所ランキング一位はレンジフード
(出典:サニクリーンアカデミー

次に、ガス乾燥機。これはいいですね。家事がかなり楽になります。乾燥機だけガスにすれば、ガス引き込み費用も安くすむので、個人的にはおすすめです。

あとは、床暖房。床暖房自体をあまりおすすめしないので、まずは床暖房がなくても寒くない家にすることを優先しましょう。

<1時間以内で洗濯物が乾くガス乾燥機(1回あたり約50円)>
ガス乾燥機の乾燥時間は短い!
(出典:リンナイ

④高低差処理工事費

道路と高低差がある場合は、駐車場部分の土砂を削ったり、土が崩れてこないように擁壁を作ったりする必要があります。

高低差処理費用には、土砂処分、擁壁工事、深基礎、アプローチ階段、手すりなどの費用が含まれます。予算感は、現場の状況によるので一概には言えませんが、おおよその目安だけ記載しておきます。

道路との高低差が1mの場合、

駐車場1台分+α → 60万円
駐車場2台分+α → 100万円
駐車場3台分+α → 140万円 

くらいを目安にしてください。

意外と費用がかさむので、なるべく高低差の少ない土地を選ぶことをおすすめします。また、歳をとると、玄関までの階段もしんどくなってきますしね。

<道路との高低差のある土地>
道路と高低差のある土地は基本的におすすめしない

『道路と2m以上の高低差がある土地は避けた方が良い?』に対して

がけ崩れなどの自然災害を防ぐための「宅地造成工事規制法(通称、宅造-たくぞう)」に関する話ですね。

宅地造成工事規制区域に定められているエリア内での「2m超の高低差がある土地の造成工事」には、都道府県等の許可が必要になり、時間も費用も余計にかかるため、2m超の高低差がある土地は避ける方が多いです。

<宅地造成工事規制区域の2m規制>

2m以上高低差がある土地は、宅地造成規制法にひっかることがあるので要注意!
(出典:SUUMO

⑤解体費

古家の解体や外構・植栽の撤去、駐車場のアスファルト撤去などにかかる費用です。土地探しの際は、解体費用も計算に入れた上で、購入するかどうか決定するようにしてください。

解体費の相場は、

木造:坪35,000円+α(植栽撤去費用等)
鉄骨:坪45,000円+α(植栽撤去費用等)

くらいです。

延床面積30坪の木造住宅なら、ざっくり105万円+αくらい。ただ、地域や家の状況にもよるので、あくまで参考程度に。解体費(特に廃棄物処分費用)は、年々上がってきているように感じます。

<費用が上昇しつつある解体工事>
植栽や石段などの処分費用が高い解体工事費

『古家付き土地の売買で、建物は所有権移転しない方が良い?』に対して

建物所有権移転登記費用の節約テクニックに関する話ですね。結論、売主が協力してくれるなら良いと思いますが、ローンを組む銀行への事前確認は必要です。NGを出す銀行もあります。

建物は、購入後にすぐ取り壊すのに、所有権移転するのは費用がもったいないので、建物は契約に含まないという特約事項を盛り込んで、売買契約を交わすというテクニック。

ただし、解体後の滅失登記費用は買主負担。建物の所有権は売主のままなので、「売主が滅失登記の書類作成に協力する」という約束を契約書に盛り込むことで、このテクニックを使うことができます。

不動産屋さんは慣れていると思うので、相談してみてください。

⑥地盤改良費/地盤保証料

地盤改良費の金額は、土地購入前に正確に把握することはできませんが、近隣の地盤データを確認すれば、おおよその金額予想は立つので、必ず住宅営業マンに地盤データを見せてもらうように依頼しましょう。(地盤データ閲覧はプロ専用サイト)

<近隣の地盤データが見れるプロ専用サイト>
購入検討している土地の近隣地盤データを確認することができる
(出典:ジャパンホームシールド

地盤改良費の予算は、家の大きさや工事内容によって異なります。ザックリの相場は、表層改良であれば20~40万円程、5m以内の柱状改良であれば40~70万円程、5m以上の柱状改良であれば70~120万円程です。

地盤改良が必要無いと判定された場合は、地盤保証料だけでOK。地盤保証料は、請負工事に含まれている場合と、別途必要な場合に分かれます。別途必要な場合の相場は、10年保証で3~8万円程です。

<地盤改良工事の様子>
地盤改良は過剰設計になりがちなので要注意

『地盤改良費用が高い。安くする方法はないですか?』に対して

地盤改良費用が高すぎる場合は、セカンドオピニオンが有効。別途費用はかかりますが、地盤改良工事会社とつながっていない「独立系の地盤調査(保証)会社」であれば、地盤改良費用が安くなる可能性があります。

ただ、住宅会社によっては、地盤調査会社が指定されていて、セカンドオピニオンに依頼できない場合もありますので、住宅会社に確認してみてください。

関連記事:「地盤改良工事・基礎工事」の適正な強度とコストを抑える方法|地盤改良費用はコストカットできる!?

<独立系の地盤調査(保証)会社が行うセカンドピニオン>
セカンドオピニオンを依頼するなら、独立系の地盤調査(保証)会社へ
(出典:地盤ネット

まとめ

土地購入前に費用を把握しておくべき6つの土地造成費は以下の通りです。

①上下水道負担金(加入金・市納金)
②上下水道工事費
③電気/ガス工事費
④高低差処理費
⑤解体費
⑥地盤改良費/地盤保証料


【文責:瀬山彰】

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PROFILE

土地購入前に絶対確認すべき「造成費用(全6項目)」とは? | 予算オーバーを未然に防ぎたい

せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

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