建売をおすすめしない根本的な理由|住宅会社側の事情から読み解く

建売をおすすめしない根本的な理由|住宅会社側の事情から読み解く | 土地探し

家を作るうえで、土地を探すのって大変ですよね。建築条件なしで探すと駅から遠い土地になり、かといって駅近だと建築条件がついていたり…。家の質をとるか、土地の質をとるかで悩む人も多いのではないでしょうか。

今回は、なぜ駅近の分譲地・建売は質が担保されていないのかという、構造的な理由を住宅会社の立場も含め紹介していきます。

裏事情も含めてお話していきますよ!

本記事の内容は、YouTube動画でも分かりやすく解説していますので、こちらもご覧ください!

参考動画:建売をおすすめしない根本的な理由|住宅会社側の事情から読み解く

家作りの三大要素とは?

そもそも家作りの要素は大きく分けて三つです。建物・土地・お金が家作りの三大要素。この三つの優先度をどうするかによって、家作りは変わってきます。ちなみに私の推奨としては、完全なバランス型。どれも同じくらい大切にしてほしいですね。ただ、その中でも特に大切なのは、建物の質だと思っています。建物の質を担保できないなら、家は建てるべきではありません

とはいえ、質といっても100点満点を目指すと高くなるので、80点くらいのちょうどいい塩梅にしておくっていうのが、私の意見です。窓・断熱・気密・換気・シロアリ対策という「せやま基準」の重要な五大要素をしっかり抑えていただいた家を建てるべきです。

また、土地に関しては資産として唯一残るものです。なのでそんなに変な土地を買うべきではないですが、一等地のバチバチの土地を買っていくと、なかなか大変です。なので、ちょっと妥協して、駅徒歩10分~15分くらいまでは我慢してほしい要素です。「ちょっとは妥協するけど、やばそうな土地は買わない」っていうのが大切です。

一方、お金に関しては、とことん値段を下げましょう!家なんかにお金をかけないものの、建売ではなくせやま基準をクリアした家を建ててほしいと思っています。やっぱりお金も最安値は無理で、それなりにかかりますよ。だけども、大手ハウスメーカーのような「どんだけ高いねん!」という家を建てずに、なるべくコスパを重視して、安くはないけどお金を抑える、ということが大切です。

というわけで、建物(家の質)・土地・お金で全部80点を目指すというのが私の理想形です。

 

建売の家の質は低い!その理由を紹介!

では、建売を買う人はなにを優先していると思いますか?建物・土地・お金の三大要素で考えると、建売を買う人は徹底的に土地とお金を優先しているんです。「良い立地に戸建を持ちたい」という希望を持っていて、かつ「安く建てたい」という気持ちがあるんです。

建売とか駅近の分譲地とかを求めている人はそういうニーズの人が多いんです。また、そういう人が多いということは、住宅会社としてもニーズに合わせた家を用意するんです。つまり、土地とお金を求めている人に対しては「良い立地になるべく安く家を建てる」んです。そうするとバカ売れするんですね。

つまり、住宅会社としては、わざわざお金をかけて建物の質を上げる必要性が全くないんです。誰もそれを求めていないので、建売の建物の質は全く担保しないんです。

 

質が高い建売はあるの?


こういう話をすると「いやいや、建売だって結構いい家を建ててる会社も多いんですよ!」と言われることもあるんです。とはいえ、まぁ中にはありますが、99%くらいはせやま基準を到底クリアしていないんです。

「気密測定…?は?なんですか?あなた、マニアですか?」という会社も多いんです。でも、これは悪いのではなく、そういうのを求めているお客さんが来ないから、やる必要性がないってだけなんです。

それなのに、なぜ皆さんが意外と良いと思うのかというと、たとえば断熱等級のようなめちゃくちゃ甘い基準があるからです。たとえば省エネ基準は2020年に義務化されるはずだった基準です。UA値0.87値という、さほど厳しくない断熱基準にも関わらず、完全義務化は見送られました。そのため、この基準すら満たさない家が建ち続けているんです。でも、カタログに「断熱等級は国の最高等級をクリア!」って書いてあったら、すごそうに見えますよね。

また、長期優良住宅みたいなあまり役に立たない認定もあります。長期優良住宅の認定をクリアしたからって、せやま基準をクリアできるわけでもありません。他にも「耐震等級3相当」という「相当ってなんやねん!」と言いたくなるような表現もあります。

このように建売も良くは見えますが、突き詰めて考えてせやま基準一覧表に当てはめていくと、全然クリアしていないものも多いんです。とはいえ、住宅会社の立場から考えると当然のことですね。

長期優良住宅が役に立たない理由に関しては、ぜひこちらの記事もご確認ください。
長期優良住宅があまり役に立たない理由|性能面と税制面で解説

 

土地も家も、質が妥協できない場合はどうすべき?

とはいえ「土地は駅近で徒歩5分じゃないと家を建てる気にならない!」とか「家の質を担保しないと家を建てるべきじゃないという主張も分かるけど、それと同じくらい土地も自分は重要視してる!」という人もいますよね。もちろん、そういう優先順位を持つことも全然ありです。

では、この場合はどうすればいいのでしょうか。それはもう、建物・土地・お金という家作りの三大要素の残り一つである、お金を妥協するしかありません。お金を妥協するってことはつまり、お金を出すということです。

この場合のパターンとしては二つあります。一つは、駅近の分譲地っていうのは、基本的には建築条件付きなんです。家を建てることを見越して土地が安くなっているんですね。「うちで建ててくれるんだったら、この土地を売るよ」という建築条件がついているので、それを外しましょう。でも、それを外すということは、その不動産会社は家を建てられない分、金額を上乗せしてきます。坪10万円とか15万円値上げしてきて、最低でも300万円~400万円くらいは上がります。

もちろん条件を外してくれない会社もあります。だけど、条件を外してくれる場合、土地の値段は上がるけど、自由に工務店を選ぶことができるというメリットがあります。このようにお金を積んで良い土地をゲットして、良い家もいい塩梅で建てることもできます。

また、もう一つのパターンは、建売している不動産会社・住宅会社にオプション対応をお願いして、せやま基準をクリアしてもらうことです。これはなかなか難しいけど、やっている人もいます。建売会社はあまりせやま基準をクリアしていないことも多いので、施工にも取り扱いにも慣れていませんが、どうしてもそこに住みたいなら、この方法しかありません。もちろんそこにはオプション費用がかかるのでお金は必要になってきます。

でも、このようにお金を積まないと、100点満点の土地にせやま基準をクリアした、いい塩梅の家を建てることはなかなかできません。なのでお金を積む覚悟、稼ぐ覚悟があれば、土地を優先する判断も私的にはありじゃないかと思います。

 

まとめ

家を建てる時の注意事項は?

  • 家作りの三大要素は、建物・土地・お金
  • 建物・土地・お金のどれを優先するかが大切
  • 建売は土地とお金を優先するので、家の質は担保されていないことが多い
  • 土地とお金を優先するなら無理に戸建にせずマンションでもいい
  • 質を担保しない戸建はおすすめしない

PROFILE

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せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

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