アルミor樹脂?断熱性能から考える「窓サッシ」の種類と選び方を紹介!

窓選びの中でも最も重要なのが、「窓サッシ」。

サッシ選びを間違えてしまうととんでもないことになってしまいますので、失敗しないためにも窓サッシの選び方について、しっかり押さえておきましょう。

快適な家づくりのためにも必ず押さえておこう!

窓サッシだけでなく、「窓について、抑えておくべき知識を網羅したい!」という場合は、以下記事を参考にしてみて下さい。

関連記事:『【完全攻略】新築の「窓選び」最適解は?窓の種類・性能・設置すべき方角/配置など徹底解説!

「窓サッシ」とは?

窓サッシって具体的にどこのこと?

窓サッシの解説図

(出典:YKK AP ※一部加工)

窓サッシとは、窓ガラスを囲う枠・フレーム部分にあたります。

その他にも窓は、「窓ガラス」や複層ガラスの中間層である「中空層」、中空層の間に挟む「スペーサー」と大きく分けると4つの部材から成り立っています。

窓選びの中で、一番重要なのは「窓サッシ」

窓選びで抑えるべきは「結露対策」

窓サッシに限った話ではありませんが、窓選びを考える際は意匠性や断熱性能だけでなく、「結露対策」をしっかり考えたうえで選ぶべきです。

「冬になったら窓は結露する」、これを当たり前だと思っている方も多いと思いますが、窓の結露は家の寿命を縮めることにもつながってしまうのです。

なぜ結露が家の寿命を縮める?

結露・シロアリによって腐食してしまった木材

これは特に窓サッシがそうなのですが、先にもお話しした通り窓サッシは「窓の枠・フレーム」、つまり「壁面に接する部材」になります。

そのためこのサッシ部分が結露してしまうと、同様に壁内も結露してしまう可能性があるわけです。(「内部結露」といいます)

ガラスやサッシについた水滴は、拭いてあげればOKですが、壁内の結露は拭くこともできませんし、屋内のように風通しもよくありません。

このように窓サッシが結露すると内部結露に、内部結露してしまうと木材が腐食してシロアリ被害につながり、家の寿命を縮めてしまうことにもつながりうるのです。

そのため窓サッシ選びにおいては、とにかく「結露しにくいものを選ぶ」というのが最適解でしょう。

窓サッシの種類と性能について

【結論】”ちょうどいい塩梅”の「窓サッシ」は?

窓サッシは「サッシ部分の素材」によって、以下3つのグレードに分類されます。

BE ENOUGHが推奨しているサッシは、3つ目の「オール樹脂サッシ」ですが、それぞれについて詳しく解説していきます。

ちょうどいい塩梅の「●●」とは?・・・やりすぎずやらなさすぎず。建材のレベルは、ある一定まで上がるとそれ以降は費用対効果が悪くなるので、その手前(最も費用対効果が高いところ)で止めましょう、という“ちょうどいい塩梅主義”に基づいてセレクトされた推奨レベル。

窓サッシの種類と”ちょうどいい塩梅”は?

  1. アルミサッシ
  2. アルミ樹脂複合サッシ
  3. オール樹脂サッシ(推奨)

①アルミサッシとは?

アルミサッシとは?(解説図)

アルミサッシとはは、サッシ部分がそれぞれ「窓の外側:アルミ 窓の内側:アルミ」と、家の外も中も「アルミ」でできているオールアルミサッシになります。窓サッシで言うと一番低いグレードですね。

当然ですがアルミは金属のため、アルミサッシにしてしまうと冬はサッシ部分がキンキンに冷えてしまい、窓周りがびちょびちょに結露してしまいます。

めちゃくちゃ古い時代のもので、携帯電話で例えると「大きな携帯を担いでいたような時代」のものですね。

なので現代からするとありえないレベルなんですが、めちゃくちゃ安い建売などは未だにアルミサッシが使われてたりします。アルミサッシだけは絶対に採用しないようにしましょう。

②アルミ樹脂複合サッシ(通称:ハイブリッド)とは?

アルミ樹脂複合サッシとは?(解説図)

アルミ樹脂複合サッシは、その名の通り「窓の外側:アルミ 窓の内側:樹脂」という2つの素材から成るサッシですね。(「半樹脂」とか「アルプラ」、「ハイブリッド」などと呼ばれることもあります)

このアルミ樹脂複合サッシは、アルミサッシの次のグレードにあたるわけですが、日本の注文住宅ではこのアルミ樹脂複合サッシがメインになっています。

よく営業マンなどからは、「外は耐久性があるアルミにして、中は断熱性能を高めるためも樹脂にしましょう!」と言われるケースが多いですが、あまりおすすめできません

以下記事で、営業マンがアルミ複合サッシを勧める際の営業トークについてまとめていますので、こちらも併せて参考にしてみてください。

③オール樹脂サッシとは?

オール樹脂サッシとは?(解説図)

そして最後が窓サッシの中でも一番上のグレードにあたる「オール樹脂サッシ」です。(「樹脂窓」と呼ばれることもあります)

このオール樹脂サッシは、名前のまま全部が樹脂なので「窓の外側:樹脂 窓の内側:樹脂」になります。

 

一応、このほかにも「木製サッシ」という選択肢もありますが、日本で使われる窓サッシで言うと、上記の「アルミサッシ」・「アルミ樹脂複合サッシ」・「オール樹脂サッシ」の3つと思ってもらってOKです。

窓サッシが「オール樹脂サッシ」一択な理由

窓のサッシを選ぶ際には、オール樹脂サッシ一択です。

これを言うと、「BE ENOUGHが掲げる”ちょうどいい塩梅”は、最高級を目指さないことなんじゃないの?」と言われるかもしれませんが、なるべくコストを抑えたい!と考える私でも、サッシは絶対に「オール樹脂サッシ」なんです。

では次は、私が「オール樹脂サッシ一択」と考える理由について、お話ししていきましょう。

理由1:アルミよりも冷えづらく、結露防止に優れている

先にもお話ししたように、窓の結露は「木材を腐らせる原因」であり、木材の腐敗は「家の寿命の短縮」を招きます。そのため何としても防がなくてはなりません。

では、「どうすれば結露が起こるのか?」ですが、ざっくりいうと絶対湿度が高くなっている状態に、「窓が冷える」ことで結露が発生します。(詳しくは以下動画で解説しています。)

先ほども「アルミは金属だから冷えやすい」という話がありましたが、オール樹脂サッシの場合、アルミ・アルミ樹脂複合よりもサッシ部分が冷えづらいため、結露防止として優れているというわけです。

結露のメカニズムと対策は?(動画)

関連動画(YouTube):『窓の結露が起きる仕組みと効果的な2つの対策|絶対湿度と窓サッシ

「樹脂」と「アルミ」の熱伝導率の差はどのぐらい?

樹脂とアルミの熱の伝わりやすさの違い

(出典:三協アルミ)

熱の伝わりやすさを表す指標として「熱伝導率」がありますが、樹脂の熱伝導率はなんと「アルミの約1/1000」。それだけ熱が伝わりづらいというわけです。

さらに上画像を参考にする限りでは、アルミの熱伝導率は「鉄の2倍以上」ですから、ここからもアルミが如何に熱くなりやすく、冷えやすいか、が分かりますね。

理由2:オール樹脂サッシの低コスト化

以前は高価だった「オール樹脂サッシ」ですが、今では比較的コストも下がってきました。

ただコストが下がってきたとはいえ、アルミ樹脂複合サッシよりは高価ですし、日本ではアルミ樹脂複合サッシが主流なため躊躇してしまう方もいると思いますが、高価といっても家の寿命には変えられないので、しっかりオール樹脂サッシを選ぶようにしましょう。

窓サッシは、「オール樹脂サッシ」一択で!

「オール樹脂サッシ」に関するよくある質問

Q. 樹脂サッシにすれば、本当に結露しない?

「樹脂サッシでも結露した、っていう情報見たけど…」と言われることもありますが、これは正しいです。樹脂サッシでも結露することはあります。

そもそも結露というのは、窓の性能だけではなく、室内の湿度など「周りの環境」にも左右されます。そのため、いくら窓サッシが高性能だったとしても、室内の湿度が高すぎると結露してしまうんです。

もちろん今回のお話しのように、「結露させないためにも、窓サッシを冷やさない」というのも大切ですが、併せて「部屋の湿度をあげすぎない」ということも大切ですね。(絶対湿度「9~10g/㎥」が目安です)

結露のメカニズムについては、以下動画を参考にしてみてください。

関連動画:『窓の結露が起きる仕組みと効果的な2つの対策|絶対湿度と窓サッシ

Q. 樹脂サッシにデメリットはある?

樹脂サッシのデメリットとしては、以下の3つが挙げられます。

  • 窓が重くなる
  • コストが高くなる可能性がある
  • デザイン性に制限がある

「重い」というのはそのままなので説明を省きますが、普段アルミ樹脂複合サッシを採用しているハウスメーカーで、樹脂サッシに変えようとすると少しコストがかかってしまいます。ただし樹脂サッシをメインで使っているハウスメーカーの場合、それほど変わらないor安くなることすらあるので、樹脂サッシが標準仕様になっている住宅会社を選ぶのがいいでしょう。

また先ほども軽く触れましたが、樹脂サッシはアルミ樹脂複合サッシと比べて、デザインに制限があります。

アルミ樹脂複合サッシの場合は、天井まで届く窓やサッシが細い窓、あるいは大開口の窓も可能ですが、樹脂サッシの場合、「高さ2.2m程度、幅2.5m程度」が最大サイズになります。

そのためデザイン重視の人はアルミ樹脂複合サッシに惹かれることもあると思いますが、窓は「壁に穴をあけてる」わけですから、個人的には窓をそんなに大きくする必要はないと思います。デザインを気にして「毎朝結露を拭く」とか「冬に寒い思いをする」と考えると、ちょっと順番が違いますよね。

なのでデザインの制限は、そんな大きなデメリットにならないと思います。

 

まとめ

窓サッシを選ぶにあたって抑えておくべきは、以下の6点です。

ちょうどいい塩梅の「窓サッシ」の選び方

  • 窓サッシは「内部結露」にも影響する超重要箇所!
  • 結露を防ぐためには、「サッシの冷えを防ぐ」こと
  • 窓サッシは、「樹脂サッシ」一択!
    ⇒樹脂サッシを標準仕様に採用している工務店・HMを推奨!
  • 日本はアルミ樹脂複合が主流だが、世界的には「樹脂窓」が主流
  • 樹脂サッシは洗濯ばさみなどの樹脂とは異なり「PVC(塩化ビニル)」
    水道管などで使用されており耐久性にも長けている
  • 樹脂サッシのデメリットは「デザイン面」
    ⇒「高さ2.2m、幅2.5m」程度が最大サイズになる

性能で迷ったら「せやま基準一覧表」

BE ENOUGHでは、住宅会社選びのための補助ツールとして、「せやま性能基準」「せやま標準仕様」の2つからなる「せやま基準一覧表」を無料配布しています。

「せやま性能基準」を使えば、上記で紹介したように各建材について、「完全に不足→少し不足→ちょうどいい塩梅→余裕があれば」と家づくりで抑えておくべき性能レベルを検討できます。

詳しい使い方に関しては、下記リンク先の記事をご覧ください

ダウンロードページ:『せやま基準一覧表|お役立ちツール|BE ENOUGH

合わせて読みたい記事:『営業マンより「家の性能」に100倍詳しくなる方法|せやま性能基準
解説動画(YouTube):『家づくりの超実践ツール「せやま基準一覧表」の使い方<総集編>

せやまが

厳選した工務店のみを紹介

性能 × 価格 × × 会社を厳しくチェックし、
"ちょうどいい塩梅の家づくり”が実現できる工務店のみを紹介します!

せやま印工務店とは?

PROFILE

アルミor樹脂?断熱性能から考える「窓サッシ」の種類と選び方を紹介! | 家の性能

せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

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