「オール樹脂サッシ」が日本で普及しないのはなぜですか?

原因は複雑な 「業界の闇」?

オール樹脂サッシの普及率
(出典:YKK AP)

「アルミ樹脂複合サッシ」が主流の日本ですが、実は世界的には「樹脂窓」が主流なんです。

日本と同じような気候の韓国で見てもその普及率は「約80%」。対して日本はわずか「17%」です。

では、「なぜ日本で樹脂窓(オール樹脂サッシ)が普及しないのか?」ですが、これには工務店・ハウスメーカー側の思惑と窓メーカー側の思惑など、「業界の闇」の部分があると思います。

それぞれの目線からいうとこんな感じでしょうか。

工務店・HM側:「変更のハードルが高い」

大手ハウスメーカーの中でも特に、工場で半分くらい作ってから現地で組み上げる「プレハブ鉄骨住宅のメーカー」の都合ですね。

実は、このように工場で家を作っていると、アルミ樹脂複合サッシをオール樹脂サッシに変えるのって、機械の仕様も変わりますし、設備投資にもお金がかかるのでなかなかハードルが高いんです。

加えて大手ハウスメーカーの場合、窓メーカーから大量に仕入れることで仕入れコストを抑えていますから、これをオール樹脂サッシに変更となると、契約内容の変更なども生じますし、やはり仕入れコストの面からもコストアップは避けられないでしょうね。

もちろん、今まで「アルミ樹脂複合サッシで大丈夫ですよ!」と言ってきた反面、今さらそれを否定してしまうと矛盾が生じる…というのも、オール樹脂サッシを普及させづらくしてしまっている要因でしょう。

窓メーカー側:「大手がアルミ樹脂を使う手前、樹脂を推しづらい」

窓メーカーとしては、大手ハウスメーカーが得意先になるわけですが、ここを切ってしまうと売上への影響が大きすぎるため、大々的に「うちはオール樹脂サッシを推します!」と言えないんですね。

他にも「イノベーションのジレンマ」というのもあります。

これは簡単に言うと、「今までの主力製品(アルミ樹脂複合サッシ)を否定するような商品を出してしまうと、その分既存事業の売上が落ちてしまう」ということです。

こうなると一時的に経営が悪化してしまうため、オール樹脂サッシが如何に良いものだったとしても、切替による「主力製品(アルミ樹脂複合サッシ)の売上減」を考えるとなかなか乗り出せないわけです。

メディア側:「スポンサーがハウスメーカーだから」

家づくりの番組でも、窓のデザインには触れても、窓の素材や性能、「樹脂サッシにしないと結露する」ことに言及することはほとんどありません。

これは単純に、「スポンサーが大手ハウスメーカーだから」です。そのハウスメーカーが、アルミ樹脂複合サッシを採用しているのなら、それを否定するようなことなんて言えるわけがないですよね。

 

繰り返しますが、「窓に熱伝導率の高い(=断熱性能の低い)アルミを使う」というのは、世界的に見ると「完全に時代遅れ」です。

何もかも世界標準に合わせる必要はありませんが、住宅業界は「日本のアルミ文化が、日本の住環境を悪化させている」という事実に対し、もっと目を向けるべきだと思います。

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