優秀な「プランナー」を見極める方法|優秀なプランナー20の特徴
投稿日 2019.12.15 / 最終更新日 2023.02.22

注文住宅を建てたい施主の数に対して、優秀なプランナーが圧倒的に不足しています。
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目次
優秀なプランナーとは?
施主の希望をもれなくヒアリングし、施主が言わなくても良い間取りのツボを抑え、施主の希望・機能性・構造・デザイン・予算のバランスを調整できるプランナーが、グッシンの考える「優秀なプランナー」です。
ですが、これを全部網羅できるプランナーは、なかなかいません。
ダメプランナーとは?
「ダメプランナー」はヒアリングが下手なので、施主の希望を理解してくれません。希望を伝えても「それはできません」の回答ばかり。良い間取りのツボを抑えられないので、細かく施主が指摘する必要あり。
予算への意識が低いので、気づいたら予算オーバー。構造への意識も低いので、強度の低い間取りに。デザインへの意識も低いので、ダサイ家に。最悪ですが、施主は間取りづくりの経験がないので、「こんなものなのかな?」と消化するしかないのが、悲しい現実です。
こんな最悪な事にならないように、優秀なプランナーを見つける方法を勉強していきましょう。
【結論】優秀な「プランナー」を見極める方法
まず、誰が間取りをつくるのか?を確認し、そのプランナーとの面談を希望。
その上で、担当プランナー過去に作成した間取りを見せてもらい、「優秀なプランナー20の特徴」をどれだけ満たしているか?をチェックすることで、そのプランナーの優秀さを見極めることができます。もちろん、契約前に行ってください。
■優秀なプランナー20の特徴
「顧客の要望ヒアリング力」
①ヒアリングが細かい
「1階完結型プラン力」
②収納を1階に充実させる
③1階だけで1LDKを作る
「収納プラン力」
④洗面所に衣類収納を充実させる
⑤玄関収納を充実させる
⑥キッチン収納を充実させる
「家事動線プラン力」
⑦洗濯動線を個人の好みに合わせる
⑧部屋干しスペースを確保する
⑨キッチンと洗面所を隣接させる
「子育てプラン力」
⑩リビング階段を採用する
⑪キッチンから全体を見渡せる配置にする
⑫1階に勉強スペースを設ける
「コスパを高めるプラン力」
⑬廊下・通路を減らす
⑭玄関・客間・2階居室を大きくし過ぎない
⑮リビング・収納をケチらない
「シミュレーション力」
⑯隣家を配置して採光シミュレーションを行う
⑰家具配置シミュレーションを行う
⑱内観・外観デザインを3Dパースで確認する
「バランス調整力」
⑲常に構造の強度を意識している
⑳常に予算を意識している
誰が間取りをつくるのか?を確認し、面談を希望する
間取りのことはプランナーに直接聞いた方がいいので、誰が間取りをつくるのか?を確認し、プランナーとの面談を希望しましょう。
誰が間取りを作るか?については、住宅会社によって担当が異なり、営業プランナー・設計プランナー・専属プランナーの大きく3パターンがあります。「え?間取りは設計がつくるんじゃないの?」
・営業プランナー(営業が間取りを作成)
コミュニーションが円滑なので、
・設計プランナー(設計が間取りを作成)
営業よりコミュニケーション能力が低く、
・専任プランナー(専任プランナーが間取りを作成)
間取り作成を専門でやっているので、
担当プランナーが作成した過去のプランを見せてもらおう
担当プランナーの過去のプランを、参考に見せてもらいましょう。見せてもらう間取りは、モデルハウスとかではなく、自分の家に近い大きさや家族構成の間取りが良いと思います。
これで、プランナーを見極める準備は整いました。見せてもらったプランが、以下20の特徴をどれだけ満たしているか?を確認しつつ、プランナーの能力を見極めるための質問をぶつけていきましょう。おすすめの質問も合わせて紹介します。
優秀なプランナーの特徴①「間取りヒアリング力」
ヒアリングの精度で、間取りの8割が決まると言っても過言ではありません。良い間取りを作るために、ヒアリングはとても重要です。
優秀なプランナーは…
①ヒアリングが細かい
優秀なプランナーはヒアリングを徹底的に細かく行います。ヒアリングに漏れがあると、何回も何回も間取りを作りなおすことになり、施主も疲れていきますからね。
■プランナーへのおすすめ質問
「このプランのお施主さんの要望はどんな内容だったのですか?」
「必ずヒアリングする項目は何ですか?どれぐらい細かくヒアリングするんですか?」
瀬山が使っている「プラン希望共有シート」を公開していますので、良かったら使ってください。
関連記事:【無料】家づくりツールを完全公開します|ダウンロードまとめ
<プラン希望共有シート>
優秀なプランナーの特徴②~③「1階完結型プラン力」
理想の間取りは平屋という認識をプランナーが持っていると、打ち合わせはスムーズに進みます。
優秀なプランナーは…
②収納を1階に充実させる
ダメプランナーは、安易に収納を2階にまとめたがります。スペース的に余裕があるので。でも動線を考えると、当然1階に収納を充実させるべきです。優秀なプランナーはリビングの解放感を損なうことなく、1階に収納を充実させます。
③1階だけで1LDKを作る
老後のことを考えると、2階に上がらなくても暮らせる家がベストです。そのために、1階だけで1LDKを作るという考え方は持っておいてほしいところ。安易に、2階リビングや3階建てを提案してくるプランナーは要注意です。
■おすすめ質問
「平屋ってどう思われますか?」
「老後の生活への対策はどう考えていますか?」
関連記事:良い間取りの超基本ルール「1階完結型の間取り」|理想は平屋!
優秀なプランナーの特徴④~⑥「収納プラン力」
収納は量だけではなく、配置する場所が大切です。必要な場所に必要な収納を配置させることが、生活感のない間取りへの第一歩。
優秀なプランナーは…
④洗面所に衣類収納を充実させる
最優先に収納を充実させるべき場所は、洗面所です。服を脱いだり、洗ったりする場所ですから。洗面所に衣類収納が充実していない間取りを描くプランナーは心配です。
⑤玄関収納を充実させる
玄関周りはごちゃつきます。できれば、シューズクロークを配置したいところ。無理なら、大きめのシューズボックスを設置。すっきりとした見た目のために、収納量を減らすのは絶対だめです。
⑥キッチン収納を充実させる
これは言わなくても良いかと思いますが、食材ストックはかなり場所をとります。災害用備蓄食材のスペースも確保しておく必要がありますね。
■おすすめ質問
「最優先に収納を充実させるべき場所はどこですか?」
「玄関収納ってどれくらい必要ですか?」
「収納関係で、他に注意すべきポイントとかありますか?」
関連記事:生活感のない家を作るための「収納」基本ルール5選|収納の失敗パターンとは?
優秀なプランナーの特徴⑦~⑨「家事動線プラン力」
料理と洗濯を楽にする間取りを作れるかどうか?は、家事の負担を軽減するために、とてもとても大切です。プランナーの腕の見せ所と言っても良いでしょう。
優秀なプランナーは…
⑦洗濯動線を個人の好みに合わせる
洗濯物をどこで干したいか?は、個人によって考えが異なるので、好みに合わせた動線にする必要があります。2階バルコニーに干したい施主なのに、1階洗面→階段→2階バルコニーの動線が、とてつもなく長い家を見たことがあります。
⑧部屋干しスペースを確保する
365日のうち100日以上は部屋干しせざるをえない日だと言われています。雨はもちろん、花粉時期もありますからね。部屋干しスペースの確保をしておかないと、建具の枠にハンガーをひっかけて、がっしゃーん!みたいな悲惨なことになります。
⑨キッチンと洗面所を隣接させる
家事は、料理と洗濯がメインなので、キッチンと洗面所の往復はとても多いです。にもかかわらず、キッチンと洗面所が離れている間取りをよく見かけます。できるだけ、キッチンと洗面所は隣接させましょう。
■おすすめ質問
「家事を楽にするポイントは何ですか?」
「洗濯物干しの動線はどう考えますか?」
関連記事:「家事が楽になる」間取り5つのポイント|最も効率的な洗濯物干し動線とは!?
優秀なプランナーの特徴⑩~⑫「子育てプラン力」
家を建てるきっかけは、子どもの誕生という家庭も多いでしょう。優秀なプランナーは、子育てしやすい間取りの共通点を理解しています。
優秀なプランナーは…
⑩リビング階段を採用する
子どもとのコミュニケーションを増やすために、リビング階段は必須。リビング階段を採用しても寒くならない家の性能を担保するところがまず大切ですが、プランしやすい玄関ホール階段を安易に選択するプランアーもいるので、要注意です。
⑪キッチンから全体を見渡せる配置にする
お母さんが長い時間を過ごすキッチンから、全体が見渡せる配置にすることは大切。子どもも、見守ってくれている安心感を感じます。
⑫1階に勉強スペースを設ける
小学生低学年くらいまでは、一人きりで勉強することが難しいので、親の目の届く場所で勉強する習慣をつける必要があります。
■おすすめ質問
「リビング階段のデメリットは何ですか?」
「子育てしやすい間取りってどんな間取りですか?」
「子ども部屋の適正サイズってどれくらいですか?」
関連記事:「子どもとのコミュニケーションが増える」間取り4つのポイント|子供部屋の適正なサイズとは?
優秀なプランナーの特徴⑬~⑮「コスパを高めるプラン力」
家づくりは予算ありきですから、コストを意識できないプランナーはダメプランナーです。優秀なプランナーは、コスパを高めるポイントを知っています。
優秀なプランナーは…
⑬廊下・通路を減らす
コスパを高める基本中の基本。とにかく廊下・通路を減らすこと、意味のないスペースを減らすことです。コスト意識の高い優秀なプランナーは、異様なまでにここにこだわります。
2階廊下を減らすには階段を家の中心付近に、居室内の通路を減らすには居室入口と収納を近くすることが大切です。
⑭玄関・客間・2階居室を大きくし過ぎない
昔の家は、玄関や客間を大きくすることが、家の格でもあったわけですが、現代ではそんなことはありません。限られた予算やスペースは、家に住む家族のために使いましょう!という考えのプランナーだと良いですね。2階居室は寝るだけと割り切りましょう。
⑮リビング・収納をケチらない
ケチってばかりでは、良い家は建ちません。リビングは、毎日家族が集まる場所ですから、ケチらずにいきましょう。リビングの次に、収納もケチらずに広めに確保しましょう。
■おすすめ質問
「間取りでコストカットする方法は?」
「階段の位置はどうやって決めますか?」
「一番贅沢にいくべきスペースは?」
関連記事:「コンパクトなのに広く感じる」間取りに共通する3つの条件|間取りにメリハリをつける方法
優秀なプランナーの特徴⑯~⑱「シミュレーション力」
住んだ後の「こんなはずじゃなかった…」という後悔の原因は、シミュレーション不足にあります。3Dソフトが普及していますので、優秀なプランナーはあらゆる角度から、3Dシミュレーションを行い、施主のイメージとのすり合わせを行います。
優秀なプランナーは…
⑯隣家を配置して採光シミュレーションを行う
日当たりは隣家に影響を受けますので、隣家を配置しての採光シミュレーションは必須。最近の3Dソフトは優秀なので、日影シミュレーションが簡単です。太陽光発電システムを設置する場合は、屋根への日当たりシミュレーションも慎重に行う必要があります。
⑰家具配置シミュレーションを行う
家具を配置していない状態で間取りをつくってしまうと、思ったより家具を置くスペースがない、家具が邪魔で動線が悪い…などの失敗につながります。家具配置と間取り作成はセットなので、家具を配置した状態で間取り作成を進めるのが基本です。
⑱内観・外観デザインを3Dパースで確認する
家じゅうを3Dパースで確認しましょう。外観は、家への帰り道から見て、カッコいいデザインになっているか?が大切です。
■おすすめ質問
「3Dソフトは何を使っていますか?」
「隣家の影響とかシミュレーションしてもらえるんですか?」
関連記事:間取りの「想定外」を防ぐ4つの方法|思っていたイメージと違う…の原因はシミュレーション不足
<内観デザインの3Dパース>
(出典:安心計画)
優秀なプランナーの特徴⑲~⑳「バランス調整力」
素敵な間取りでも、構造的に弱く、予算オーバーになったらだめですよね。優秀なプランナーは、素敵な間取りと構造と予算を絶妙なバランス調整力で、解決するはずです。
優秀なプランナーは…
⑲常に構造の強度を意識している
自由に間取りを作ると構造が弱くなりがちなので、自由に間取りを作りつつも、常に構造の強度を意識しておく必要があります。壁の直下率50%以上を維持、壁や柱のない空間を広げ過ぎない、やたら引き戸を多用しない、四隅はなるべく壁にする、あたりがポイントです。
⑳常に予算を意識している
要望を詰め込んでいくと予算オーバーになりがちなので、要望を詰め込みつつも、常に予算を意識しておく必要があります。そのために大切なのは、プラン作成と予算確認を常にセットで行うことです。プランだけ完成させてから、最後に予算確認!みたいな流れは最悪です。
■おすすめ質問
「間取りを作る過程で、構造の強度を高める方法はありますか?」
「予算オーバーさせない間取りづくりのコツってありますか?」
『できれば、一級建築士のプランナーにお願いしたい!』に対して
結論、それ、あまり意味ないです。
一級建築士とは、「設計・工事監理に複雑・高度な技術を要する建築物を含むすべての施設の設計および工事監理を行うことができる」資格。つまり、でかい建物の設計や工事監理をできる資格であり、良い間取りをつくれる資格ではありません。
もちろん良い間取りをつくれる一級建築士も存在しますが、ここで理解しておいてほしいのは、良い間取りをつくれる事と一級建築士の資格を持っている事の相関性は低いですよ、ということです。
なので「一級建築士がつくる間取り!」とPRする会社は、ちょっと嘘つきだな~と思ってしまいます。
(出典:公益社団法人日本建築士会連合会)
『間取りは、何回くらいの打ち合わせで決めるの!?』に対して
いろんな意見はあるでしょうが、3~4回がベスト。多くても5~6回。それ以上かかる場合は、初期ヒアリング不足orダメプランナーなので、そのまま継続しても迷宮入りかと思います。(設計事務所は除く)
たくさん打ち合わせすればするだけ、良い間取りができると思っている人がいますが、長く打ち合わせしすぎると、頭が混乱してきて、何が希望なのか分からなくなります。で、1周回って、結局最初のプランに戻るなんてことも多いものです。
初回のヒアリング(情報共有)が成功していて、優秀なプランナーであれば、初回提案で80点以上の間取りを作ってきます。そこから残りの20点を、数回の打ち合わせで詰めていくのが理想です。
『注文住宅は予算的に無理!“自由設計”の分譲住宅は、本当に自由設計ですか?』
間取りにかなりの制限がかかる場合が多いと思われます。仮に自由設計できたとしても、優秀なプランナーが在籍しておらず、営業が片手間で間取りを作成する、なんてことが多いです。
とはいえ、分譲住宅が割安であることは間違いないので、全ては無理でも、できる限りの希望をぶつけてみてください。特に、「洗面所の収納を充実させる」ことは、間取りを大きく変えなくて良い割に、費用対効果が高いです。
まとめ
まず、誰が間取りをつくるのか?を確認し、そのプランナーとの面談を希望。
その上で、担当プランナー過去に作成した間取りを見せてもらい、「優秀なプランナー20の特徴」をどれだけ満たしているか?をチェックすることで、そのプランナーの優秀さを見極めることができます。もちろん、契約前に行ってください。
■優秀なプランナー20の特徴
「顧客の要望ヒアリング力」
①ヒアリングが細かい
「1階完結型プラン力」
②収納を1階に充実させる
③1階だけで1LDKを作る
「収納プラン力」
④洗面所に衣類収納を充実させる
⑤玄関収納を充実させる
⑥キッチン収納を充実させる
「家事動線プラン力」
⑦洗濯動線を個人の好みに合わせる
⑧部屋干しスペースを確保する
⑨キッチンと洗面所を隣接させる
「子育てプラン力」
⑩リビング階段を採用する
⑪キッチンから全体を見渡せる配置にする
⑫1階に勉強スペースを設ける
「コスパを高めるプラン力」
⑬廊下・通路を減らす
⑭玄関・客間・2階居室を大きくし過ぎない
⑮リビング・収納をケチらない
「シミュレーション力」
⑯隣家を配置して採光シミュレーションを行う
⑰家具配置シミュレーションを行う
⑱内観・外観デザインを3Dパースで確認する
「バランス調整力」
⑲常に構造の強度を意識している
⑳常に予算を意識している
【文責:瀬山彰】
PROFILE

せやま大学の人
瀬山 彰
大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。
「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。
娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。