本当に必要な新築住宅の「保証・工事・アフターサービス」一覧|ハウスメーカーの30年保証は役に立たない
投稿日 2020.07.09 / 最終更新日 2023.02.22

保証へのお金の掛け過ぎは禁物。やりすぎず、やらなさすぎず、確率の高いリスクに適度に備えるのが、ちょうどいい塩梅です。
目次
ハウスメーカーの「30年保証」「60年保証」は、あてになる?
ハウスメーカーの「30年保証」「60年保証」は、あてになりません。損する可能性が高い、といった方が正確かもしれません。
この「30年保証」「60年保証」は基本的に、10年ごとの有償メンテナンス工事が必須。その有償メンテナンス工事をしないと、ハウスメーカーからの保証が打ち切られます。さらに、メンテナンス工事はハウスメーカーにお願いするしかないので、その工事が本当に必要なのか?工事費用が妥当なのか?を交渉することは、基本的にはできません。
また、その有償メンテナンス工事費用には、ハウスメーカー側の「30年/60年保証を続けるための経費+企業利益」が含まれていますので、基本的には、保証を続けずにメンテナンスが必要になったら実費で修理する方が安くなります。車の車両保険と同じ感じ。上記理由により、ハウスメーカーによる長期保証は不要と考えます。
じゃあ何を参考にすれば?の答えは、建材メーカーの保証。外壁や屋根など。保証年数に比例して性能が良くなるので、保証年数で品質を見極めることができます。
【結論】本当に必要な新築住宅の「保証・工事・アフター」一覧
新築住宅の「保証・工事・アフター」の標準仕様チェックポイントは、以下の通りです。
①保証
外壁材(塗膜保証) → 15年保証
外壁シーリング(ひび割れ保証) → 15年保証
屋根材(塗膜保証) → 15年保証
バルコニー防水 → 10年保証
地盤保証 → 10年保証
完成保証 → 加入を推奨(工務店は必須)
②工事/アフターサービス
工事中の報告体制 → 毎日、写真や動画で進捗報告
アフター体制 → 複数の関係者と情報共有
アフター・定期点検 → 点検10年/フォローは永遠
<「保証・工事・アフター」の標準仕様チェックポイント一覧>
①本当に必要な新築住宅の「保証」一覧
保証で、見落としがちなのが「完成保証」です。完成保証は、建築中の新築住宅会社の倒産に備える保険。工務店で家を建てる場合は必須ですね。また、建材の保証は、住宅会社ではなく建材メーカーの保証年数に注目していきましょう。
・外壁材(塗膜保証)
グッシンが推奨する窯業系サイディングに限った話ですが、推奨するのは、「塗膜15年保証」の外壁材。新築から20年前後は、塗り替え無しで美観が保てる可能性が高いです。
・外壁シーリング(ひび割れ)
推奨するのは、「ひび割れ15年保証」のシーリング。新築から20年前後は、メンテナンス無しで機能を維持できる可能性が高いです。通常のシーリングだと、10年に1度のメンテナンスが必要です。
関連記事:「外壁・シーリング」のメンテナンス費用を安くするコツ|メーカーの保証年数で品質を見極める方法
<「15年保証の外壁材」と「15年保証のシーリング」をセットで活用しましょう>
(出典:ケイミュー)
・屋根材(穴あき保証)
グッシンが推奨するガルバリウム鋼板に限った話ですが、推奨するのは「塗膜15年保証」の屋根材。これで新築から20~30年程は、大規模なメンテナンス工事は不要になると考えられます。一般的には、塗膜10年保証の屋根材が多いです。
<「塗膜15年保証」のガルバリウム鋼板を推奨>
(出典:JFE鋼板 ※一部加工)
・バルコニー防水保証
グッシンが推奨している板金防水であれば、「10年保証」が付きます。適切なメンテンナンス(排水口の掃除等)を施せば、大規模なメンテナンス工事は不要に。一般的なFRP防水等であれば、新築から10年に1度のメンテナンス工事が必要です。
関連記事:「屋根・ルーフィング・バルコニー防水」のメンテナンス費用を安くするコツ|選んではいけない建材とは?
<板金防水なら10年保証(30年保証はステンレスなので過剰スペック)>
(出典:永住産業)
・地盤保証(10年保証)
地盤が沈んで家が傾く「不同沈下」は、新築住宅の瑕疵(かし)担保責任には含まれないので、「地盤保証10年」は必須です。ただし、地盤改良工事は過剰設計になりやすいので、「10年保証してもらえるならそれで充分」と考えればOKです。
関連記事:「地盤改良工事・基礎工事」の適正な強度とコストを抑える方法|地盤改良費用はコストカットできる!?
・完成保証
建築中の新築住宅会社倒産に備える保証なので、特に小規模工務店で家を建てる場合は必須。建築「後」の倒産より、建築「中」の倒産の方が100倍困ります。
完成保証に入っていないと、お金だけ持っていかれて、工事は途中でストップ…という状態になりますからね。ハウスメーカーなら、加入しなくてもいいのかなは思いますが、何が起こるか分かりませんので、そこは自己責任で判断してください。
<建築中に住宅会社が倒産したとき、頼りになるのが完成保証>
(出典:住宅あんしん保証)
標準仕様には含まれませんが、火災保険にも触れておきます。ローンを組まない人も必ず加入するようにしましょう。(ローンを組む人は必須)
火災だけではなく、風災は必須。水災はハザードマップで浸水エリアの場合は必須。個人賠償責任保険に未加入の人は、火災保険にセットで入るとお得なので、加入しておくようにしましょう。
地震保険(建物)は、保険認定率が低いので、必須ではありません。加入するなら、保険認定率が高い地震保険(家財)を優先するのはありですね。
②本当に必要な新築住宅の「工事・アフター」一覧
丁寧な施工を担保する意味でも、「工事中の報告体制」はとても大切です。
・工事中の報告体制
最低でも、「毎日、写真や動画で進捗報告」をしてもらうようにしましょう。施主は、平日なかなか新築現場に行けませんので、毎日報告があるとうれしいですよね。記録にも残るので、何かトラブルが起きたときにも役に立ちます。
また、写真を撮ると自然に現場が整理整頓されます。丁寧な施工・安全な現場は整理整頓から!なので、写真報告をしてもらうことは、丁寧な施工にもつながるわけです。
報告方法は何でも構いません。LINEグループでもメールでもOK。最近は、便利な「家づくり情報共有アプリ」が増えてきましたので、活用している新築住宅会社も出てきています。
<新築住宅の情報共有アプリ>
(出典:SOUSEI Technology)
・アフター体制
アフター体制は「複数の関係者と情報共有できる連絡ツール」が整備されていると良いですね。アフター担当個人とだけやりとりしてしまうと、初期対応が遅れ、トラブルが起きた時に揉めやすいためです。
ツールは何でもOK。LINEや共有アプリなど。営業・設計・現場監督と情報共有しながらアフタ―対応してもらうと、迅速かつスムーズです。
・アフター定期点検
アフター定期点検は、最低「10年」。不具合の相談などは、新築から10年経過後も変わらず永遠にやってほしいですね。
まとめ
新築住宅の「保証・工事・アフター」の標準仕様チェックポイントは、以下の通りです。
①保証
外壁材(塗膜保証) → 15年保証
外壁シーリング(ひび割れ保証) → 15年保証
屋根材(塗膜保証) → 15年保証
バルコニー防水 → 10年保証
地盤保証 → 10年保証
完成保証 → 加入を推奨(工務店は必須)
②工事/アフターサービス
工事中の報告体制 → 毎日、写真や動画で進捗報告
アフター体制 → 複数の関係者と情報共有
アフター・定期点検 → 点検10年/フォローは永遠
<「保証・工事・アフター」の標準仕様チェックポイント一覧>
【文責:瀬山彰】
PROFILE

せやま大学の人
瀬山 彰
大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。
「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。
娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。