2026.06.23
目次
必要な補償・不要な補償を徹底解説

火災保険について「入るべき保険」と「入らなくていい保険」を正しく理解していますか。はっきり言って、多くの人が保険をかけすぎです。
知識がない状態で検討してしまうと、本当に必要な補償が抜けていたり、逆にリスクが低いのに無駄な保険料を払っていたりすることも。
今回は、火災・風災・水災などのメイン補償から、地震保険、さらには「子供がテレビを壊した」「配管が傷んで床下浸水した」といった特約まで、網羅的に解説します。この記事を読んで、火災保険の賢い入り方を学んでください。
そもそも火災保険とは
「火災保険=火事の補償」だけではない!
名前こそ「火災」ですが、実際には火事だけをカバーするものではなく、たとえば風災や水災、雪災などで生じる自宅損害に対して広く適用される「損害保険」。
ベースとしては火災に対する保険ですが、オプションで幅広い損害に対応できるようになる。これらをまとめて「火災保険」と呼ぶイメージです。
ですので、耐火性を高くしたから火災保険はいいや…と考えてしまうのはNG。
火災保険っていつ入るべき?
火災保険を検討するタイミングは、家の工事が終わったタイミング、つまり「入居前」。
また当然ですが、保険会社との契約にも数日かかりますので、住み始めるタイミングから保険適用されるよう、目安としては「引き渡しの1ヶ月前、遅くとも2週間前」から契約の手続きを行うようにしてください。
保険料の値上がりと業界の動向
2024年10月に過去最大となる約13%の値上がり、2025年には2015年に10年契約を結んだ人が一斉に満期・更新を迎える年となり、同じ補償内容で更新すると保険料が大幅に上がるケースが相次ぎました。
今後も値上がりは避けられないでしょう。直近で家が完成する方は、値上がり前の加入をおすすめします。
また、損害保険業界全体で人手不足が深刻化しており、対応に遅れが出始めています。代理店と保険会社のやり取りが滞ると、施主へのレスポンスも遅くなります。今後は保険料の安さだけでなく、対応スピードや工務店との連携のスムーズさも重要なチェックポイント。
そもそも保険というのは万一のためのリスクヘッジが目的なので、必要なものだけ・必要な額だけ加入するのがベスト。
火災保険も「どのオプションを付けるべきか」は地域や家の構造などを踏まえて取捨選択すべきです。
ここからは代表的な以下5つの保険(補償オプション)について「絶対に入るべき or 任意でOK」を詳しく解説していきます!
| 保険名 | 加入の有無 | 注意事項 |
|---|---|---|
| ① 風災保険 | ◎ 加入必須 |
– |
| ② 水災保険 | ◯ 推奨 |
ハザードエリアは必須! |
| ③ 地震保険 | △ 任意 |
– |
| ④ 家財保険 | △ 任意 |
– |
| ⑤ 自賠責保険 | ◎ 加入必須 |
既に加入済みなら不要! |
1. 風災保険(必須)

早速結論からですが、まず風災保険は必ず加入してください。
風災保険は、台風をはじめとする風災(窓ガラスが割れた・雨樋が外れたなど)で適用される保険ですが、平成30年の保険適用事例は全国で「100万件以上」。
これは同年の火災保険適用(3万件)の30倍以上で、他の災害と比べても、いかに被害世帯が多いかが分かりますね。
特に最近は温暖化などの影響もあって、台風の進行ルートの予測も難しくなってきているため、事前に備えることも簡単ではありません。私の自宅が被害に遭った際も保険に助けられましたので、絶対に入っておくべきですよ。
最近は雹(ひょう)の被害も増えていますが、これらも補償対象になっていることが一般的。
2. 水災保険(推奨) ※ハザードエリアは必須!

水災保険は、豪雨や河川の氾濫、下水道のオーバーフローなどによるお家の浸水被害時に適用されます。
水災の起こりやすさ(リスク)は、お住まいの地域・土地によっても異なりますので、まずは損保険料率算出機構のハザードマップを見て、お住まいの地域が「水災ハザードエリア」に入っていれば加入するようにしてください。
チェックすべきは以下の4つのハザードマップ。
- 外水氾濫(河川の氾濫)
- 内水氾濫(下水道のオーバーフロー)
- 液状化現象
- 土砂災害(雨によるもの)
一方で水災保険は、他の保険よりも料金が高いので、ハザードエリアに入っていない地域であれば水災保険は不要。水災補償は保険料が高いため、不要な場合は外して家計のリスクを下げてください。
ハザードマップも年々更新されていますので、できるだけ直近のデータを参考にしつつ、お住まいの地域にあわせて判断するのが良いでしょう。
もちろん理想は、土地選びの段階でハザードエリアを避けること。
関連記事:『どうやって進めるべき?注文住宅の「土地探し」の流れ・コツ・注意点を完全攻略!』
床下「45cm以下」の浸水は、保険適用されない!
ここで注意しなければいけないのが、「地盤面から45cm以下の床下浸水」の場合は、保険が適用されないということ。
たとえハザードエリアで浸水したとしても地盤面から45cm以下の浸水では適用されません。(床上浸水の場合には地盤面から45cm以下でも適用されます。)
またエコキュートや換気システム(澄家など)の換気口は、基礎に穴が空いていることが多いので、特にハザードエリアでは立ち上げタイプの配管にするなど、とにかく地面から45cmの高さまでは穴がないようにしてください。
3. 地震保険(任意) ※エリアによっては推奨
地震保険の加入は基本「任意」でOK
実は地震保険というのは火災保険の「最大50%」までしか保証されないため、もし地震で家が全壊しても「保険金で再建」というのはまず無理なんです。
認定基準も厳しく、「一部損」では保険金は火災保険金額の5%(建物価格の約2.5%)のみ。数百万円程度の貯蓄で備えるという考え方もあります。
津波リスクが高い地域などは個別に判断すべきですが、「なんとなく不安だから」という理由だけで加入するものではありません。
加入するなら、建物だけでなく家財も補償対象に。家財のほうが損害評価が出やすい傾向にあるからです。

なお、民間による「50%上乗せ補償」も、基本的には不要だと考えています。30年間で100万円近くの追加保険料を払うくらいなら、その分を貯蓄や運用に回すほうがよっぽど賢明です。
200万〜300万円程度の余裕がある資金を持っておけば大抵のリスクには備えられます。大切なのは、保険のかけ過ぎを避けること。
南海トラフの被害or液状化リスクがある場合は加入推奨!
ただし、南海トラフなどで「震度6強以上」が予想されるエリアでは「加入推奨」、その他にも液状化現象などのリスクがある土地の場合は「加入必須」。
また地震保険に加入する場合は、併せて「家財保険(次の4.で紹介)」にも加入しておくと良いでしょう。
地震で被害を被るということは、家だけでなく、家財(家具など)も壊れてしまいますから、そういったときに家財保険に入っておくと、保証範囲も広くなるのでおすすめです。
関連記事:『土地探しの前に!「液状化現象」の仕組み/メカニズムと具体的な対策を徹底解説!』
地震保険加入時の注意点は?
詳しい保証内容は、実際の保険によって異なるので、詳細は契約時にしっかり確認する必要がありますが、前提知識として以下2点は覚えておきましょう!
- 地震に起因する火災の場合、「地震保険」しか適用されない
- 火山噴火の被害は、地震保険でないと適用されない
そもそも「地震に強い家」を作るのが先!
保険で悩む前に、まずは“地震に強い家づくり”を徹底してください。具体的には「許容応力度計算による耐震等級2以上+シロアリ対策」。
もしものための保険も大切ですが、そもそも家が壊れなかったら何の問題もないわけです。なので地震に強い構造(耐震等級2以上)と、そもそも家の土台や柱を腐らせない(シロアリ対策)は必ず行うようにしましょう!
関連記事:『耐震等級だけじゃダメ!新築戸建ての「地震対策」に必須な”4項目”を徹底解説!』
関連記事:『【完全攻略】5人に1人が被害!新築戸建の「シロアリ対策(防蟻処理)」のイロハを徹底解説!』
4. 家財保険(任意)

家財保険は主に、家に固定されていない「家電・家具の故障」が対象で、たとえば子どもが誤って壊してしまった際にも適用されます。
家財保険は適用されやすい分、保険料も高いので、おすすめは家財保険に100万〜200万円ほどかけ、その分建物の保険金額を少し調整する方法。家財に300万も500万もかけると保険料が高くなるため、100万〜200万円程度がちょうどいい塩梅。
ただ、家財保険料は割高ですので、「そんなに物を壊すような環境じゃないよ」という人は無理に入る必要はありません。
また、配管の破裂などによる「水漏れ・漏水補償」は年間数千円程度なので、加入をおすすめします。盗難補償も数百円程度でセットになっていることが多く、入っておいて損はないでしょう。
5. 個人賠償責任保険(必須)
家そのものとは関係ありませんが、「自転車で事故を起こした」「デパートで高い壺を割った」「子どもが他人の車を傷つけた」といった日常のトラブルを補償してくれるのが「個人賠償責任特約・個人賠償責任保険(自賠責保険)」。
自賠責保険は、自動車保険の特約としてもつけることがあるので、既に加入している方は重複加入になってしまうため入る必要はなし。
どこでも加入していない方は、火災保険を検討するタイミングで必ず付けておくようにしましょう。 本当に大した保険料ではありませんし、もし何かが起きた時には非常に助かる保険なので、必ずこのタイミングで加入するようにしてくださいね。
不要な特約
自分たちの火が他人の家に燃え移った場合の「類焼損害」は不要。基本的には、被害を受けた側が自分の保険で賄うのがルールだからです。
また、保険金に上乗せされる「臨時費用」もいりません。これらは貯蓄で賄える範囲。弁護士費用特約も、不要と考えています。住宅関連でそこまで発展することは稀ですよ。
賢く選ぶ!火災保険のよくある質問
どこで加入するのがおすすめ?
値段だけで選ぶならネット保険が圧倒的安いですが、私の推奨は「工務店お抱えの保険代理店」。理由は災害時の「対応力」です。
平日の日中に保険会社と面倒なやり取りをする必要がなく、工務店と代理店が連携して見積もりから工事の手配までスムーズに進めてくれます。特に台風被害の後は業者が捕まりにくいですが、工務店経由なら優先的に対応してもらえるのがメリット。
支払い方法は?
現在の火災保険は最長5年契約です。支払い方法は「5年一括払い」を強くおすすめします。毎年保険料を見直す手間もありませんし、何より保険料は年々値上がり傾向にありますので、今のうちに5年分をまとめて支払うのがおすすめです。
保険料をコストカットするには?

災保険料をコストカットする上で最も効果的なのが、建物を「省令準耐火構造」にすること。
木造住宅であっても、この認定を受ければ鉄骨造並みの「T構造」として扱われ、保険料が概ね半額程度まで安くなります。ここで注意してほしいのが、準防火地域の基準と火災保険の割引は別物だということ。
「準防火地域だから窓を防火窓にした。だから保険料も安くなるはずだ」と勘違いしている人が多いですが、それでは安くなりません。必ず「省令準耐火構造」の認定を受けるようにしてください。
次に「耐震等級」。等級3なら地震保険が50%、等級2なら30%、等級1なら10%割引になります。保険料のためだけではありませんが、許容応力度計算による耐震等級2以上を取得していれば、自然と保険料も安くなりますので、しっかりと構造を強化して、安心と安さの両方を手に入れましょう。
あとは保険のかけ過ぎにも要注意。地震保険や水災保険は全てのエリアで必須ではないということ、家財保険は金額かけすぎないことも意識してください。
とにかくコストを最優先したいのであれば、ネット保険も一つの選択肢です。ただし、先ほど説明した通り、災害時の手配スピードや保険会社との交渉をすべて自分でこなさなければなりません。
5年間で数万円程度の差であれば、その手間を自分で行うよりも、プロである代理店に任せてしまった方が効率的、その浮いた時間でしっかりと仕事をして稼ぐ方が、トータルの満足度は高くなる。これが私の考えです。
火災保険以外にもある「不要な保険」
皆さん、本当に保険をかけすぎです。特に学資保険や医療保険、運用型生命保険は不要だと考えています。
学資保険は自分で貯蓄や運用をしたほうが利回りも良く、自由度も高め。医療保険も高額療養費制度があるため、自己負担額には上限があります。
私は、生命保険は、自分が亡くなった後の家族の生活を支える「収入保障型」だけで十分と考えます。
車の車両保険も、一度使うと次の年に保険料が上がります。住宅ローンの団体信用生命保険のオプションも、保険会社が儲かる仕組みになっていますので、基本的には「不要」というスタンスです。
まとめ
火災保険で大切なのは「保険をかけること」ではなく、「保険をかけすぎないこと」です。風災保険や個人賠償責任保険など本当に必要な補償はしっかり押さえつつ、不要な補償や特約は省いてください。
そして何より、保険で備える前に、災害に強い“ちょうどいい塩梅”の家づくりを徹底することが重要です。
営業マンのセールストークに惑わされず、自分で「こういう理由で加入する or 加入しない」と判断していくようにしましょう。
