2026.06.23
目次
想定外の予算オーバーを防ぐリアル資金計画
家づくりで一番怖いのが、想定外の予算オーバーです。
資金計画は住宅会社の営業担当がきちんと作ってくれる。そう期待したいところですが、現実はそう甘くありません。リアルな資金計画を出すと高く見えて契約が取りにくくなるため、できるだけ安く見せようとする傾向があります。
しかし、後から出てきた追加費用を払うのは施主です。
特に注意したいのが、住宅会社に直接払う建物費用ではなく、諸費用の部分。ここは抜け漏れが多く、追加費用が非常に出やすい。
今回は、無料のツール「リアル資金計画」を使いながら、住宅会社の営業担当があまり教えたがらない費用の全体像を整理しながら、自力で注文住宅のリアルな資金計画を作る方法を解説します。
建物費用で確認しておきたいポイント
本体工事・付帯工事に何が含まれているか

まず確認すべきは、建物費用。本体工事・付帯工事の金額に、何が含まれているのかを必ずチェックしてください。
住宅会社の標準仕様は、かなりスカスカなことがあります。たとえば、屋根の下葺き材であるルーフィングが粗悪なものだったり、構造計算の費用が含まれていなかったり、キッチン設備が最低グレードだったり。食洗機が浅型、照明が入っていない、カップボードがない、カーテンはレールだけ、というケースもあります。
安く見せるための見積り。ここが危険です。
そのため、必ず「せやま基準一覧表」で確認してください。全部を見るのが大変なら、三つ星の必須項目だけでもチェック。必要なものが見積りに入っていない、ということは本当によくあります。
間取りは契約前に確定する
次に大切なのが、間取りを契約前に確定することです。
窓の数、扉の数、建物の凹凸、吹き抜けの有無。これだけで金額は大きく変わります。それにもかかわらず、「仮の間取りで契約しましょう」という営業担当は多いです。
仮の間取りで安く見せて契約し、契約後に設計士と打ち合わせを進めながら金額を上げていく。これがよくある流れです。契約後は後戻りしにくいので、施主が不利になります。
契約前に間取りを確定する。これは絶対です。
オプション費用も契約前に把握する
標準仕様に加えて、オプション費用も契約前にできるだけ確認してください。
断熱性能を上げたい、キッチンのグレードを上げたい、電動シャッターを付けたい。こうした希望は、契約後にどんどん出てきます。
契約後の見積りは、契約前より高くなりやすいもの。すでに契約しているお客さんなので、住宅会社側もシビアな金額を出さなくても通りやすいと考えがちです。
そのため、オプション仕様チェック表を使い、自分たちが希望しそうな項目を契約前に洗い出すこと。金額を入れてもらい、その金額で契約することが重要です。
土地関連費用はここに注意
造成・解体・水道工事の費用を確認する

土地関連費用では、土地価格だけでなく、造成や解体、水道工事などの費用も確認が必要です。
きれいな更地で、水道も20mmで引き込まれていて、高低差もなく、境界も整っている土地なら大きな費用はかかりません。ただ、そんな土地ばかりではありません。
古家の解体、高低差の処理、残土処分、水道管の引き直しなど、土地によって追加費用が発生します。
悪質な会社だと、契約後に現地調査をして、後から造成費用を出してくることもあります。契約前に現地調査をしてもらい、「こちらから追加要望を出さない限り、この予算で家が建つのか」を必ず確認してください。記録に残すことも忘れずに。
地盤改良費だけは概算で予算を取る
地盤改良費だけは、契約前に正確な金額を確定しにくい項目です。家の配置が決まり、その場所を調査しないと正確には分かりません。
ただし、概算予算は必ず入れておきましょう。50万円で済むこともあれば、地盤が弱い地域では100万円、150万円ほど見ておいた方がよい場合もあります。
住宅会社によっては、地盤改良で200万円、300万円という見積りを出すところもあります。地盤は安全に関わる大事な部分ですが、やりすぎにも注意が必要です。
土地は価格だけで判断しないこと。安い土地でも、造成費用や地盤改良費が高ければ意味がありません。必ず合計金額で確認してください。
外構工事費用は安く見積もられやすい

外構とは、庭、駐車場のコンクリート、門柱、植栽、ブロックなどの工事です。ここも非常に注意が必要。
外構工事は、住宅会社が直接施工しないケースも多く、自分で外構業者を探すか、住宅会社紹介の外構業者に依頼することになります。
営業担当は資金計画を安く見せたいので、実際より低い金額を入れがち。「駐車場2台分で100万円くらいですかね」と言われることもありますが、今はコンクリート価格も上がっています。2台分の土間コンクリートや門柱まで含めて100万円で収めるのはかなり厳しいです。
最低でも150万円ほど。外構業者によっては200万円、300万円、こだわれば1,000万円ということもあります。外構は青天井になりやすい費用です。

駐車場、カーポート、サイクルポート、植栽、ブロックなど、ある程度の希望があるなら、契約前に外構業者から概算見積りを取ってください。ここで100万円、200万円ずれることはよくあります。
契約前が勝負です。
諸費用で見落としやすい項目
印紙代と電子契約

土地や建物の契約では、印紙代がかかります。令和9年3月31日までは軽減措置があり、土地や建物の金額が1,000万円から5,000万円の場合、印紙代はそれぞれ1万円。

建物契約を電子契約にすれば、印紙代を節約できます。
ただし、電子契約に対応していない銀行もあるので、住宅ローンを組む予定の銀行が対応しているかは確認が必要です。
住宅ローンの事務手数料・保証料

住宅ローンでは、事務手数料や保証料、金銭消費貸借契約書の印紙代、つなぎ融資や分割融資の費用がかかります。
特に注意したいのが、保証料や融資手数料。借入額の2%+税金がかかるケースが多く、4,000万円借りると88万円ほどになります。
この費用を前払い一括にする方法もあれば、金利に0.2%上乗せする方法もあります。営業担当は資金計画を安く見せたいので、金利上乗せ型で計算しがちです。
ただ、金利上乗せ型にすると、見た目の初期費用は0円でも、35年間で見ると一括払いより倍近く払うこともあります。基本的には、前払い一括型の方がよいと考えています。
つなぎ融資・分割融資の費用
つなぎ融資や分割融資の費用は、銀行によって異なります。10万円、20万円かかることもあるため、軽く見てはいけません。
つなぎ融資の費用がもったいないという場合は、着工時や中間時に分割で融資してくれる銀行を選ぶ。資金に余裕があるなら、一時的に自己資金で立て替え、最後の融資で戻すという方法もあります。
無駄な費用はできるだけ削減する。そのためにも、銀行の仕組みによってどんな費用がかかるのか、営業担当に確認して資金計画へ入れてください。
登記費用は相見積りが重要

登記費用では、司法書士の手数料に注意が必要です。登記費用は、税金部分と司法書士の手数料部分に分かれます。税金はルールで決まっていますが、司法書士の手数料はかなり自由です。
銀行指定の司法書士、不動産会社指定の司法書士など、指定がある場合は高くなることがあるので、特に注意。
基本的には相見積もりを取ること。住宅会社提携の司法書士が適正価格で対応してくれるなら、その見積りを出してもらうのも無難です。
解体した場合は滅失登記、建物が完成したら表題登記が必要です。滅失登記は自分でやることも可能で、数万円削減できます。ただし、表題登記は住宅ローンの決済に向けたスケジュールがタイトなので、施主が自分でやるのはおすすめしません。
地鎮祭の費用

地鎮祭を行う場合は、テントや準備費用、神社へ渡す玉串料などが必要です。
地鎮祭をやるべきかどうかは、信じるかどうかの問題です。私自身は、あまり神様を信じているタイプではないので、費用をかけるならロボット掃除機などに使いたい派。
ただ、完全にやらないのは気持ち悪いという場合は、神社で鎮め物やお札だけもらい、施工時に家の中へ設置してもらう方法もあります。私の家でも最低限その形は取りました。
親の土地に建てる場合、井戸がある土地、過去に事故があった土地などでは、しっかり地鎮祭を行うケースが多いです。何もないきれいな更地なら、最近はやらない人も増えています。
申請費用・保険料
建築確認申請、中間検査、完了検査などの費用も必要。長期優良住宅やBELSを取得する場合は、認定費用もかかります。
火災保険料も、5年分である程度予算が分かります。あとから少しずつ出てくることがありますが、最初から見込める費用です。
火災保険は、工務店から紹介される保険会社で入るのがおすすめ。ネット保険の方が安い場合もありますが、台風などの事故が起きたとき、見積り、現地調査、施工まで自分で対応するのは大変です。
工務店と連携している保険会社なら、屋根業者などとの連携もスムーズなので、多少高くても安心ですよ。
入居準備費も忘れない
入居準備費も軽視できません。
まずアンテナ。地デジアンテナを付けるのか、ケーブルテレビやネットテレビで見るのか。着工前の電気打ち合わせまでに、テレビやインターネットの計画を考えておきましょう。
エアコン費用も高額です。私がすすめているのは、1階に14畳用200Vのリビングエアコン、2階は屋根裏エアコン1台で回す2台体制です。ただし、せやま印工務店でなければ、屋根裏エアコンの導入支援が難しい場合もあります。
家具、家電、引っ越し費用も必要です。これらの予算も、事前にしっかり取っておきましょう。
住宅ローン計画で注意すべきこと
諸費用は基本的に自己資金で考える

建築費や諸費用を合計したら、自己資金と住宅ローンでどう賄うかを考えます。
基本的に、諸費用は自己資金で賄う必要があります。諸費用まで住宅ローンに含められる場合もありますが、金利は高くなりがちです。
完全に現金を出さずに家を建てることもできますが、現金は数百万円レベルで必要だと考えておく方が無難。本当にカツカツで現金が出せない状態なら、家を建てるタイミングではありません。
一方で、現金が1,000万円、2,000万円ある人が、戦略的に現金を手元に残してフルローンに近い形を選ぶのはありです。現金は投資にも使えますし、心の安定剤にもなります。不要な保険を削れる効果もあります。
ボーナス払いは基本ゼロで計画する
住宅ローンの支払い計画では、ボーナス払いは基本的に0で考えてください。
ボーナスは会社の業績によって出ないことがあります。出ない可能性があるものを当てにするのは危険です。
40年ローンは理由が大事
40年ローンも、戦略的に選ぶならありです。ただし、月々の支払いが苦しいから40年にする、という理由ならおすすめしません。
住宅ローンは、無理なく返せる計画にすることが大前提です。
まとめ

今回は、諸費用を中心に、リアルな資金計画を作る方法を解説しました。
住宅会社がこれくらい言わなくてもやってくれるはず。そう考える人もいますが、現実にはやらない会社が多いです。リアルな資金計画を出すと契約が取りにくくなるからです。
せやま印工務店ではリアル資金計画の利用を義務づけていますが、それでも100%安心ではありません。人がやることなので、ミスはあります。
信頼できるパートナーを見つけて、工務店やハウスメーカーに任せることは大切。ただし、信用しすぎないこと。自分でしっかり学び、資金計画の中身を確認できる知識を身につけておきましょう。
家づくりの主人公は施主です。プロジェクトリーダーも自分。最後に責任を取るのも自分。




