2024.11.30
ある程度家づくりの下調べをはじめた方なら、一度は聞いたことがある「付帯工事」。
しかしこの付帯工事について、「そもそも何なのかよく分かっていない…」「大体このぐらいかかるのは教えてもらったけど、何のための費用かわかっていない…」という方も多いはず。
そこで今回は、契約前の見積もり(標準仕様)のチェックとして、「そもそも付帯付帯工事とは何なのか?」から「追加費用を防ぐためには、どこを、どうチェックすべきなのか?」を解説していきます。
「そもそも標準仕様って何?」という方は、より理解を深めるためにも、まずは以下記事から読んでみてくださいね!
関連記事:『住宅会社の「標準仕様」を見極める方法|「せやま標準仕様」19項目を徹底解説』
目次
「付帯工事」に潜む住宅業界の闇…
付帯工事とは?
付帯工事とは、家本体以外の工事のこと。
そのため「付帯工事費」というのは、足場を組んだり、材料を運搬したりするのにかかる費用を指します。
付帯工事で、安く見せようとする住宅会社も…
ここからも分かる通り、付帯工事というのはどんな家でも必ず発生する工事なんですが、付帯工事を契約後に後出しする住宅会社や、うまく使って「家本体」を安く見せようとする住宅会社もあります。
例えば、ネットでも「坪単価〇〇万円!」「月々●万円~!」と安さをPRしている住宅会社は大体以下のどちらかです。
付帯工事を契約後に後出しする住宅会社の場合
<本来の見積もり>
延床面積 | 30坪 |
---|---|
本体工事 | 2,100万円 |
付帯工事 | 300万円 |
合計 |
2,400万円 |
延床面積 | 30坪 |
---|---|
本体工事 | 2,100万円 |
付帯工事 | 提示しない(契約後に300万円請求) |
本来の価格 |
2,100万円 |
このように、見積もりに付帯工事を含めないことで、300万円も安く見せることができてしまうんです。
ただ当然、この300万円は施主の立場が弱くなる契約後に追加費用として請求されることになります…。
付帯工事で「家本体」を安く見せる住宅会社の場合
他にも、施主が「家本体の値段だけ」で比較しがちなのをうまく利用し、本体工事の一部を付帯工事に入れ込むことで、坪単価を格安に見せるようなやり方もあります。
例えば以下のようなイメージ。
<本来の見積もり>
延床面積 | 30坪 |
---|---|
本体工事 |
2,100万円 |
付帯工事 | 300万円 |
合計 |
2,400万円 |
<付帯工事で「本体工事」を安く見せる住宅会社>
延床面積 | 30坪 |
---|---|
本体工事 |
1,800万円(-300万円) |
付帯工事 | 600万円(+300万円) |
本来の価格 |
2,400万円 |
このように、最終的な金額は何も変わっていないんですが、付帯工事をうまく使って、「本体工事」を安く見せて、契約を取ろうとする悪質な住宅会社も多いんです。
【必須】高いor安いは本体工事+付帯工事で判断!
このように住宅会社によっては、「付帯工事」をうまく使ってあの手この手で安く見せて契約を取ろうとしてきます。
そのため施主側では、「本体工事」と「付帯工事」の合計から「高い」or「安い」を判断するようにしましょう。
本体工事と付帯工事の分け方については、各住宅会社ごとに異なるので、「本体工事」だけで比較していたら必ず痛い目を見ますよ。
「せやま標準仕様」で付帯工事の抜け漏れをチェック!
「家の仕様や見積もりをちゃんとチェックしましょう!」と言ったところで、「何を、どう見ればいいのか分からない…」という人も多いと思います。
そこで、「特にこの項目が含まれているか?を確認すべき!」という要素をまとめた「せやま標準仕様」を作成しましたので、まずはこちらをダウンロードしてチェックを進めていきましょう。
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「付帯工事」に関する標準仕様のチェックポイント
①:「建築準備」編
「建築準備工事」とは、家の新築工事を始める前に行う工事のことです。主なチェック項目は以下の3つ。
①-1:敷地内給排水工事(★★★)
契約後に敷地「内」の給排水工事費用を追加費用で請求する会社はさすがにないと思います。
ただ一方で、敷地「外」の給排水工事や、メーター・汚水桝改修などは別途見積が必要になるので、なるべく早めに確認しておきましょう。
①-2:仮設工事(★★★)
仮設工事とは、「足場や仮設トイレの費用」ですね。
ここについては、特別注意しておかなくても大丈夫だと思います。
①-3:土砂処分費(★★★)
実際に契約後に「土砂処分費」を追加費用で請求する会社はありますので、契約前に「見積りに含まれているのか?」を念入りに確認してください。
また道路と建築予定地に高低差がある場合には別途費用が必要なのでこの点も注意しておきましょう。
関連記事:『土地購入前に絶対確認すべき「造成費用(全6項目)」とは?』
②:「現場費用」編
現場費用とは、現場で発生するごみの処理や、材料の運搬にかかる費用ですね。主なチェック項目は以下の3つ。
②-1:産廃処理費(★★★)
産廃処理費とは、「現場で発生したゴミの処理費用」ですね。
こちらについては、恐らくどの会社でも見積りに含まれていると思います。
②-2:現場諸経費(標準的な立地の交通費・駐車場費用等を含む)(★★★)
現場諸経費とは、駐車場費用や現場監督の諸経費になります。
建替えなどで、近くに駐車場を確保できる場合にはコスト削減につながりますから、住宅会社側に教えてあげるといいですね。
②-3:運搬費(★★★)
運搬費とは、その名の通り「材料の運搬にかかる費用」です。
こちらは隣接道路が細い場合などは、別途「特別運搬費」がかかってしまいますので、念のため「それらも見積もりに含まれているか?」確認しておきましょう。
③:「調査/手続き/保険費用」編
③-1:地盤調査費(★★★)
地盤調査については、実質義務になるので、家を建てる際「地盤調査費」は必ず発生します。
にもかかわらず、地盤調査費を見積もりに含めず、別途請求する会社が時々ありますので、必ず契約前に「付帯工事に含まれているか?」を確認しましょう。
③-2:基本測量費(★★★)
<境界確定が必要な場合は、余計に測量費用がかかる>
昔の測量図が存在する場合でも、不正確だったり、高低差の表示がなかったりするため、家を建てる前に再度測量を行うことがほとんどなんですが、この測量費用を、見積もりに含めず、別途追加費用で請求する会社があるので事前に確認しておきましょう。
ただし境界確定が必要な場合などには、別途費用が必要になりますので、こちらも併せて確認しておきましょう。
③-3:設計費/諸官庁手続き費用(★★★)
こちらは、新築住宅の建築確認申請等に必要な費用です。
耐震等級2・3や長期優良住宅の申請をする場合は、別途申請費用が必要になるため、希望がある場合には、早めに伝えて見積もりに含めてもらいましょう。
特に「子育てエコホーム支援事業」などの補助金活用の際には、「長期優良住宅」などの認定取得が必須になりますから、これらの申請費用もマストでかかってきますよ。
③-4:工事中保険等(★★★)
建築現場で万が一があったときのための保険を「工事保険」と言うのですが、工事保険自体は、まず間違いなく加入していますので、後から追加請求してくる会社はまずないと思います。
強いて言うなら、「工事中の火災」や「盗難に対する保険」に入っているかどうか?を確認しておきましょう。
「付帯工事」に関するよくある質問
Q.「本体工事」と「付帯工事」の明確な線引きはあるの?
結論、明確な線引きはありません。
冒頭に触れた通り、新築住宅の本体工事だけを安く見せるために、通常本体工事に入れるべき項目を付帯工事に入れ込む会社があります。
なので必ず、「本体工事」+「付帯工事」の合計で見積りの高いor安いを判断するようにしましょう。
Q.「付帯工事は概算」と言われたけど大丈夫?
大丈夫じゃありません。
概算だと契約後に「追加費用」として請求される可能性がありますから、必ず契約前に概算ではなく正確な金額を確認してから検討するようにしましょう。
まとめ
「付帯工事」に関する標準仕様(見積もり)のチェックポイントは、以下の通りです。