2026.08.11
2026.08.11
【永久保存版】気密性能 完全攻略!C値とは?気密測定の手順や高気密住宅のデメリットなども分かりやすく解説
目次
気密性能とは?高気密住宅で失敗しないための完全攻略

気密性能とは、いわゆる「高気密住宅」に関わる性能のことです。
ただ、少しマニアックな分野でもあります。担保すべきなのか。住んだ後に後悔するようなデメリットがあるのか。“C値”はどこまで目指せばいいのか…など迷う人も多いはずです。
そこで今回は「気密測定の具体的な方法」と「高気密住宅のデメリットとその対策」をお伝えします!
結論から言うと、「気密性能」はめちゃくちゃ大事。
きちんと担保しないと、家が台無しになります。冬は寒く、夏は暑い。隙間風が入る。シロアリ被害に遭いやすくなり、家の寿命が縮む。さらに、大工さんや職人さんの手抜き工事リスクまで上がります。
家にお金をかけすぎる必要はありませんが、気密性能は削ってはいけない部分です。ちょうどいい塩梅の基準を押さえましょう。
気密性能を担保しないと起きるトラブル5選
1. 冬は寒く、夏は暑くなる
気密性能が低い家は、隙間が多い家。ある意味、風通しがいい家とも言えますが、風通しがよいということは、冬は寒く、夏は暑くなります。特に窓まわりから隙間風が入りやすく、室内環境が不安定に。
断熱性能を高めることは大事ですが、断熱だけでは快適な住環境は作れません。隙間があれば、暑い空気も冷たい空気も入ってきますよね。
だからこそ、断熱と気密はセット。「高気密高断熱住宅」と呼ばれる理由です。
2. 手抜き工事されるリスクが上がる
気密性能を担保しないと、手抜き工事されるリスクも上がります。
気密性能は、職人さんの腕によって大きく変わります。同じ材料を使っても、丁寧な職人さんが施工すれば良い数値が出ますし、雑な施工だと気密性能は一気に悪くなります。
気密性能は計算だけでは出せません。実際の現場で気密測定器を使い、数値として測定します。つまり、職人さんの仕事の丁寧さが数字に出るということ。
気密測定をする家と、しない家。職人さんの緊張感は当然変わります。いつも気密測定をしている工務店であれば、腕のいい職人さんが残りやすくなります。逆に、気密測定をしない会社では、緊張感が薄れ、雑な施工が起きやすくなる可能性も。
気密測定をすることは、丁寧な施工につながります。
3. 内部結露のリスクが上がる
気密性能が低いと、内部結露のリスクも上がります。
冬をイメージしてください。隙間が多い家では、冷たい空気が壁の中を流れます。すると、壁の中で結露水が発生。水が発生すると、木が腐り、シロアリが来ます。シロアリが木を食べると、家の寿命が縮みます。
これは日本中の古い家で起きている問題。気密性能を担保しないと、家の寿命を縮める原因になりますよ。
4. 雨漏りのリスクが上がる
隙間が多いということは、そこから水が入るリスクも高くなります。外から穴が開いている状態に近いので、雨漏りのリスクも上がりますよ。
5. 換気がうまくできない
現在の住宅では、24時間換気システムの設置が義務化されています。
ただし、隙間が多い家では、いろいろな場所から空気が入ったり出たりして、家全体を計画どおりに換気できません。
たとえば、子ども部屋だけ空気がよどみ、ハウスダストがたまり、二酸化炭素濃度が上がりやすい部屋になることも…
空気のよどみは目に見えませんが、睡眠の質や健康に影響する可能性があります。
気密性能が低いと、寒い・暑いだけではなく、手抜き工事、内部結露、シロアリ、雨漏り、換気不良までつながります。気密性能は絶対に担保すべき性能です!
国の基準に入っていない理由
こんなに大事な気密性能が、なぜ国の基準に入っていないのか。
断熱等級はあります。省エネ性能もどんどん重視されています。それなのに、気密性能は国の基準として明確に義務化されていません。
理由の一つとして考えられるのが、大手ハウスメーカーの中でも鉄骨住宅が気密性能を苦手としてることです。 鉄骨は硬いため、木造のように材料同士をぴったり合わせたり、釘やビスで細かく調整したりしにくい面があり、そのため気密性能は落ちがち。大手ハウスメーカーが苦手な分野を国の基準にすると、大手メーカーが困ります。国の基準には、さまざまな配慮や忖度が入るもの…
だからこそ、国の基準だけに振り回されず、施主自身が「自分たちの家にとって必要な性能は何か」を判断する必要があります。
気密性能を表すC値とは?

気密性能を表す数値「C値」。C値は、低ければ低いほど良い数値です。なぜなら、家の隙間の量を表すものだからです。
C値が大きいほど、家の隙間が多く、小さいほど、隙間が少ない。つまり高気密住宅です。
高気密住宅の目安はC値1.0以下
一般的に、C値が1.0を下回ると高気密住宅と言われます。もちろん、1.0を少し超えたら急にダメ、少し下回れば劇的に良くなる、というものではありませんが、目安としてはC値1.0以下が高気密住宅のラインです。
C値の計算イメージ

たとえば、床面積100㎡の家があるとします。家中の隙間をすべて集めたら、10cm×10cmの正方形くらいの穴になった。この場合、隙間の面積は100㎠。床面積100㎡に対して、隙間面積100㎠なので、C値は1.0になります。逆に、家中の隙間を集めても5cm×5cmの正方形程度だった場合、隙間面積は25㎠です。この場合、C値は0.25になります。
細かい計算式を覚える必要はありません。C値は、家全体にどれくらい隙間があるかを示す数値。低いほど気密性能が高い、と覚えておけば十分ですよ。
気密性能を担保する方法
1. 自分の家で気密測定を行う
気密性能を担保するために、必ず自分の家で気密測定をしてください。
住宅会社に「気密性能はどれくらいですか?」と聞くと、こんな回答をされることがあります。
「うちの平均はC値0.5くらいです」「モデルハウスではC値0.2くらい出ています」この回答だけで安心してはいけません。
必ず、「すべてのお客さんの家で気密測定をしていますか?」と確認し、希望者だけ測定している会社や、モデルハウスの数値だけを出してくる会社は注意が必要。
モデルハウスは営業用です。気密性能が良く出るように、かなり気を使って施工されています。それと同じ施工が自分の家でされる保証はありませんよ。
カタログ値やモデルハウスの数値は参考にはなりますが、最終的には職人さんの腕で変わります。
2. 断熱施工後に1回測定する
理想を追えば、断熱施工後と完成後の2回測定する方法もあります。ただ、気密測定にも費用がかかります。
完成後に測定しても、手直しできる範囲が限られますが、断熱施工後なら、断熱材が見えている状態なので、隙間を探して埋めることができます。つまり、気密性能を改善できるラストチャンス。
気密測定は、費用面と手直しのしやすさを考えると、断熱施工後に1回測定するのがちょうどいい塩梅です。
3. エアコン工事にも注意する
断熱施工後に気密測定をしても、その後の工事で壁に穴を開ければ気密性能は落ちます。特に注意したいのが、エアコン工事。
下手な業者がエアコンを設置すると、気密性能が台無しに。エアコンは、気密施工に慣れている設置会社に依頼してください。無難なのは、住宅会社から紹介された電気業者です。
もちろん、外部業者でも気密施工をきちんとできる会社はあります。ただし、当たり外れがあります。多少割高でも、住宅会社から紹介された電気業者に、隙間をしっかり埋めたエアコン工事をしてもらう方が安心。ここで失敗すると、それまでの気密施工の努力が水の泡になりますよ。
C値はどこまで目指すべきか

一般的にはC値1.0以下が高気密住宅の目安。ただ、せやま基準としては、C値0.7以下を推奨します。理由は、気密性能も経年劣化するからです。
時間が経つと、少しずつ隙間ができることがあり、特にサッシまわりは、開け閉めを繰り返すため、隙間が生じやすい場所。
だからこそ、最初から少し余裕を見てC値0.7以下を目指すのがおすすめですよ。
できればC値0.5以下を目指す
気密施工に慣れている会社であれば、C値0.7以下はそこまで難しくありません。0.7以下は必達。できれば0.5以下を目指す。このくらいが現実的です。
もちろん、C値0.3、0.2、0.1を目指しても構いませんが、それによって体感が劇的に変わるかというと、そこまでは分かりにくい。一方で、C値2.0の家とC値0.5の家では体感が大きく変わります。窓際の寒さも違いますし、職人さんの施工への緊張感も違います。
目指すべきは、C値0.7以下。できれば0.5以下。ここを基準にしましょう。
気密測定の具体的な手順

気密測定は、専門業者が行うため、施主が細かい手順をすべて覚える必要はありません。ただし、注意すべきポイントはあります。
1. 断熱工事の完了
断熱材が施工された状態で測定することで、隙間が見つかった場合に手直しできます。
2. 玄関ドアや窓をすべて閉める
窓が開いていたら、正確な気密測定はできません。
3. 仮の玄関ドアは目張りする
工事中は、玄関ドアが仮のドアになっていることが多く、隙間だらけなので、養生テープなどで目張りをして測定します。
「目張りをしたら実際の数値が出ないのでは?」と思うかもしれません。確かにその面はありますが、完成後に測定しても手直しができません。そのため、仮ドアの状態で目張りして測定するのが、現実的な落としどころです。目張りをすること自体が悪ではありません。
ただし、あちこち目張りして数値だけ良く見せる業者はダメ。玄関ドアまわりなど、工事の段階上やむを得ない部分の目張りは許容範囲と考えてください。
4. 測定器でC値を確認する
気密測定を行うと、測定器から結果が出ます。そこでC値を確認。C値が0.7以下、できれば0.5以下になっているかを見ます。
5. N値も確認する

測定結果には、N値という数値も出ます。
少しマニアックですが、N値は1から2の間で表示され、1に近いほど良く、2に近いほど注意が必要です。N値が1に近い場合、小さな隙間がいろいろな場所にある状態。非常に良い施工で、手直しできる余地も少ないと考えられます。
一方、N値が1.8や1.9など2に近い場合は、どこかに大きな隙間がある可能性が。その隙間を見つけてふさぐことで、C値が大きく改善することもあります。
6 .隙間を探して手直しする
C値が悪かったり、N値が2に近かったりする場合は、隙間を探して手直しします。
気密測定器を動かしたままにすると、室内の空気が外へ排出され、家の中が負圧になります。すると、外から空気が入りやすい状態になります。この状態で手を当てると、隙間から風が入ってくる場所が分かります。
特に隙間ができやすいのは、窓まわりです。窓の下の角部分は要注意。屋根まわりや、柱と梁、金物の接合部にも隙間ができやすいです。隙間が見つかったら、ウレタンガンなどで補修し、隙間を埋めて、気密性能を高めます。
7. 必要に応じて再測定する
手直しが終わったら、再度測定します。ただし、何度も何度も手直しする必要はありません。
原則は測定1回で十分。ただし、C値が悪い、N値が2に近いなど、手直しで改善できそうな場合は、1回だけ手直しして、再測定するのがおすすめ。
2回も3回も手直しを繰り返しても、大きく変わらないことも。目張りの隙間などによって、数値が正確に出にくくなることもあります。
基本は測定1回。必要に応じて手直し1回、再測定1回。このくらいを目安にしましょう。
高気密住宅のデメリット
気密性能は大切です。ただし、メリットだけのものはありません。高気密住宅にもデメリットはあります。
1. 換気しないと空気がよどむ
高気密住宅で一番大きなデメリットは、きちんと換気しないと家の空気がよどむことです。
昔ながらの隙間だらけの家は、自然に風が通りました。風通しの面では良かったわけです。ただし、冬は寒く、夏は暑い。
現代の家は、隙間をなくして快適性を高めています。その代わり、空気を強制的に入れ替える必要があります。
高気密住宅で換気が止まると、家の中の空気は一気によどみます。ハウスダストが外へ抜けない。二酸化炭素濃度が上がる。ぐっすり眠れない。眠くなる。集中できない。頭がぼーっとする。肩こりにつながる。
空気の質は、健康に直結します。
24時間換気システムがあっても安心しすぎない
「24時間換気システムが付いているから大丈夫」と思う人もいます。確かに、換気システムがきちんと動いていれば空気は入れ替わります。
問題は、メンテナンスしにくい換気システムが多いこと。フィルターが目詰まりしたまま放置される。途中で止まる。家全体をきちんと換気できていない。こういう換気システムもあります。
特に注意すべきは、フィルター掃除。壁の高い位置や天井にある換気システムは、掃除されにくいです。掃除しなければフィルターが詰まり、換気が止まります。換気が止まれば、不健康住宅になります。
高気密住宅では、換気システムを動かし続けること。特にフィルターの目詰まりに注意し、こまめに掃除することが必須です。
床にあるなど、メンテナンスしやすい換気システムを選ぶのも一つの方法です。sumika(24時間全熱交換型換気システム)のように、掃除しやすい換気システムを選ぶと管理しやすくなります。
2. 玄関ドアが重くなる
高気密住宅では、玄関ドアが重くなる現象が起きることがあります。
RCマンションなどで、キッチンのレンジフードを回していると玄関ドアが重くて開けにくい、という経験がある人もいるはずです。
レンジフードを回すと、室内の空気を大量に外へ捨てます。すると室内の気圧が下がり、玄関ドアが家の中へ引っ張られるような状態になります。その結果、子どもや女性では玄関ドアを開けにくくなることがあります。
同時給排型レンジフードか差圧給気口で対策する
対策は、同時給排型レンジフードにするか、差圧給気口を設置します。レンジフードで大量に空気を排出するとき、外から空気を入れて室内の気圧を緩和する仕組みです。
これで完全に負圧がなくなるわけではありませんので、玄関ドアが少し重くなることはあります。ただ、かなりマシになります。
気密性能Q&A
窓選びで気密性能を高める方法はある?

窓選びでも、気密性能は変わります。
一番気密性能が高いのは、FIX窓。開かない、はめ殺しの窓です。開ける必要がない場所には、FIX窓を使いましょう。
次に気密性能が高いのは、縦すべり出し窓や横すべり出し窓。小さめの窓で、開けたい場所には、すべり出し窓を使うと良いです。
逆に、気密性能が低くなりやすいのは引き違い窓や掃き出し窓。ただし、昔ほど気密性能が大きく落ちるわけではありません。使い勝手が良い窓でもあるので、必要以上に避ける必要はありません。
リビングの大きな窓や主寝室の大きな窓など、使いやすさを重視したい場所には引き違い窓や掃き出し窓を使っても問題ナシ。
一方で、それ以外の場所は、できるだけFIX窓やすべり出し窓を使う。これくらいのバランスで十分です。何でも極端にやりすぎると、別のデメリットが出ます。引き違い窓や掃き出し窓をむやみに多用しない、という意識で考えてください。
気密ボックスは使った方がいい?
気密ボックスとは、コンセントの裏側に付けるカバーのようなものです。これを使うと、気密性能や断熱性能を高めやすくなります。
結論として、外壁側のコンセントには気密ボックスを付けた方がいいです。付けないと絶対にダメ、というほどではありませんが、付けるか付けないかで迷うなら、付ける方が良いです。
ただし、部屋と部屋の間にある内壁側のコンセントには不要。内壁側に気密ボックスを付けても、あまり意味はありません。
気密ボックスは、外壁側のコンセントに使用すれば十分です。気密性を確保しやすくなり、コンセントまわりの断熱欠損も抑えられます。
コンセントの裏側は、断熱材をきれいに入れにくい場所です。気密ボックスがあることで、ボックスに当たるところまで断熱材をきっちり入れやすくなります。
まとめ
気密性能は、快適性だけでなく、内部結露やシロアリ、雨漏り、換気、施工品質にも関わる重要な性能です。
目安はC値0.7以下、できれば0.5以下。モデルハウスの数値ではなく、自分の家で、断熱施工後に気密測定を行って確認してください。
ただし、高気密にするだけでは不十分。24時間換気をきちんと動かし、フィルターを定期的に掃除するなど、換気性能とセットで考えることが大切です。
やりすぎず、やらなさすぎず。ちょうどいい塩梅で気密性能を担保しましょう。
PROFILE
せやま大学の人
瀬山 彰
筑波大学理工学群数学専攻卒(数理統計学士号取得)。硬式野球部に所属し、首都大学野球リーグの線形回帰分析に取り組む。
卒業後は、日本最大手の経営人事コンサルティング会社に入社。全国の住宅会社(大手ハウスメーカー・地場工務店)を担当。その中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。 中堅ハウスメーカー支店長経験を経て、2019年に起業。2021年にビーイナフ株式会社を設立。
主要事業である「せやま印工務店プロジェクト」は、2025年グッドデザイン賞受賞に加え、全国登録工務店65拠点、参加施主数は累計1723組以上、施主満足度95%以上と高い成長率と満足度を実現。また、施主や工務店のみならず、関わった全ての関係者が得をする(損をしない)、「全方良しのビジネスモデル」を他業界へ広める活動にも力を入れている。
広島県出身。娘4人の父親。2025年からは『カープ熱こじらせ兄さん せやまくん』としてのタレント活動も開始している。

