賃貸の本当のデメリット、知らないと失敗する持ち家の鉄則【あなたに最適な選択肢とは】

賃貸と持ち家、どっちが正解?

賃貸がいいのか、持ち家がいいのか。これは家づくりにおける永遠のテーマ。

結論から言うと、人によります。

ずるい答えに聞こえるかもしれませんが、「絶対に賃貸」「絶対に持ち家」と決めつける方が危険です。

賃貸には賃貸のメリットがあります。一方で、あまり表に出てこないデメリットも。持ち家にもメリットがありますが、守るべき鉄則を知らずに建てると、かなり苦労します。

大事なのは、自分たちがどちらに向いているのかを冷静に見極めること。

今回は、賃貸と持ち家のメリット・デメリット、そして持ち家を選ぶ場合に絶対押さえておきたい注意点を整理していきます。

賃貸のメリット

賃貸の最大のメリットは、フットワークの軽さ。

転勤になったら引っ越せますし、収入が下がったら家賃の安いところへ移ることも可能です。

子どもが独立して広い家が必要なくなったら、小さい家へ住み替えることもできます。この可変性は賃貸ならではの強みですね。

また、初期費用・維持費が安い。敷金、礼金、保証金などはありますが、持ち家に比べれば負担は限定的で、設備が壊れたときは大家さんに相談ができます。

賃貸の本当のデメリット

賃貸のデメリットとしてよく言われるのは、「家賃が資産にならない」という話です。

これは確かにその通り。

ただ、賃貸の本当のデメリットは、住環境(家の質)が悪いことです。

部屋が狭い

賃貸住宅は、基本的に狭くなりがち。集合住宅なら、40~60㎡、広くても70㎡で、戸建ての持ち家なら30坪で約100㎡なので、かなり差があります。

子どもが増えたり、荷物が増えたりすると、手狭に感じやすくなります。部屋に物があふれると、ストレスも増えます。

騒音への配慮が必要

子どもが走ったり、飛び跳ねるなど、下の階や隣の部屋への音の配慮が必要になりますし、その度に注意するのは、親も子どももしんどいものです。

また庭もとれません。

駐車場が遠い・使いにくい

駐車場が遠かったり、街中だと、立体駐車場で出し入れに時間がかかるケースも。

買い物帰りや旅行帰りに、子どもが寝てしまったら荷物も子どもも運ぶことになり、大変です。

基本性能が低い

賃貸住宅は、そもそも大家さんが自分で住むためではなくビジネスでやっているので、断熱性能や気密性能、窓のグレードを気にすることはまずないですよ。

そもそもの基本性能や防音性能も低くなっていますし、住宅設備もそんなに豪華にはなっていません

分譲賃貸だとグレードが上がる分、家賃もかなり上がります。

賃貸ならRCマンション一択

賃貸に住むなら、基本的にはRCマンションがおすすめ!RCマンションは、賃貸でも分譲でも、基本性能がそこまで悪くありません。

断熱性能も、UA値で見ると0.6以下くらいになるケースが多いですよ。気密性能も比較的高め。外に面する部分も、ベランダ側と玄関側の2面程度なので、外気の影響を受けにくいです。

一方で、戸建て賃貸はおすすめしません。

戸建て賃貸は、広さ面では有利ですが、周りが全部外なのと、大家さんがお金をかけていない、古い家が多いので、基本性能がかなり低いケースが多いです。

寒い、暑い、カビが生えやすいなどの問題が起きやすくなります。

賃貸を選ぶならRCマンション一択。

持ち家のメリット

住環境の質を高められる

持ち家の最大のメリットは、住環境の質を高められることです。

広さを確保でき、音を気にしなくて良い、駐車場を近くに作れる。そして基本性能などを担保することが可能。

ただ、余談になりますが、日本の家の全体の80%以上の家が窓、断熱、気密、換気といった基本性能を十分に担保できていません。

施主の皆さんが苦労している理由でもあります。

家の質を高めるチャンスを活かせるかどうかは、住宅会社選びと仕様選び次第です。

インフレ対策になる

持ち家には、インフレ対策になるという側面も。インフレとは、物価が上がることです。

たとえば、昔は500円で食べられたラーメンが、今は1,000円。将来2,000円になるかもしれない。この場合、同じ1,000円札でも買えるものが減ります。つまり、現金の価値が目減りしていくということ。

インフレ時代に現金だけで持っていると、資産価値は下がりやすくなります。

そこで出てくるのが、住宅ローンです。

たとえば4,000万円の住宅ローンを組んだとします。将来、物価や給料が上がっても、ローンの元本は変わりません。金利上昇の影響はありますが、長期で見れば住宅ローンはインフレ対策になる面があります。

住宅ローンはうまく使えば良いツールになります。

持ち家のデメリット

場所・サイズを変えられない

持ち家は、一度買うと簡単には住み替えできません。賃貸のように、収入や家族構成に合わせて気軽に引っ越すことは難しいです。

場所も、住居費も、かなり条件が固定されます。

初期費用と維持費が高い

また、初期費用が高くなり、維持費もかかります。

給湯器、窓、屋根、外壁、設備。壊れたら自分で直す必要がありますし、外壁の塗り直しや屋根のメンテナンスも全部自分でやらなければいけない。10年、20年で考えると何百万円単位でかかってきます。

さらに、固定資産税も必要。土地と建物、それぞれに税金がかかります。

持ち家は、買って終わりではありません。住み続けるにもお金がかかります。

持ち家を建てる時の鉄則

持ち家を選ぶなら、必ず押さえてほしい鉄則があります。ここを外すと、持ち家のデメリットが一気に大きくなります。

まず大前提として、土地は資産として残りますが、家は資産になりません。

築25年、30年、40年と経つと、中古住宅市場では建物の価値はほとんど見られません。むしろ、解体費用分を値下げ交渉されることもあります。

もちろん、実際には30年、40年経っても住める家にするべきです。ただ、市場評価としては、古い建物には値段がつきにくい。

だからこそ、家は資産ではなく、使い捨ての経費に近いものだと考えてください。

1. 家にお金をかけない

家は資産になりにくいからこそ、家そのものにお金をかけすぎないことが大事です。

質を担保しながらも、費用対効果が高い80点くらいを目指すのがちょうどいい塩梅。

仕事でも人生でも、80点までは比較的スムーズに到達できます。ただ、80点から100点を目指すと、時間もお金も一気にかかります。家づくりも同じ。

そして、家のサイズは、30坪を目安にしましょう。大きくしても35坪くらいまで。

注文住宅は延床面積38坪前後が平均と言われていますが、かなり大きいですよ。30坪でも約100㎡あります。マンションで100㎡といえば、かなり広い部類です。

特に地方や田舎では、土地が安く広い分、大きな家を建てたくなります。でも、建物を大きくしても資産価値は残りにくいです。

田舎であればあるほど土地の価値が低いので、大きな家を建てすぎない。ここも重要です。

2. 良い土地を選ぶ

土地にはお金をかけてもいいです。

もちろん、相場より高く買っていいという意味ではありません。ぼったくられるのはNGですし、価格交渉も必要です。

資産として残るのは土地だけなので、立地がいい場所、人気の場所、将来売りやすい場所を選ぶことが大事。これはマンションでも戸建てでも同じです。

駅近に戸建てを建てるのは予算的に難しいかもしれません。それでも、バスで15分、20分かかる過疎地や、高低差が大きく売りにくい土地は避けたいところ。

土地選びは、持ち家のリスクを下げるための重要ポイント

3. メンテナンスしやすい建材を選ぶ

持ち家では、メンテナンス費用が重くのしかかります。

外壁材、屋根材、バルコニーなどは、特に大きなお金がかかる部分。最低でも、建てた後20年くらいは大きなメンテナンスが不要な材料を選びましょう。

建材屋さんのメーカー保証が15年程度あるもの、外壁の塗膜保証、シーリング保証、屋根材の耐久性などを確認すること。

バルコニーは、できれば板金防水など、メンテナンス性の高い仕様にしておくと安心です。

4. 最低限の質は担保する

持ち家の最大のメリットは、住環境の質を高められること。その質を担保しないなら、持ち家の唯一のメリットを放棄することになりますよ。

「賃貸マンションの方が快適だった」となれば、何のために建てたのか分かりません。

持ち家を建てるなら、最低限の質は必ず担保しましょう。最高級ではなく、ちょうどいい質。これが大事です。

賃貸が向いている人

賃貸が向いているのは、部屋の広さ、温度、音問題、駐車場など、今の家の質に不満がない人。

また、転勤の可能性がある人、いろいろな場所に住み替えたい人、収入が下がった時に住居費を調整したい人も賃貸向きです。

持ち家が向いている人

持ち家が向いているのは、部屋の狭さ、臭い、騒音問題など、今の賃貸に不満がある人。

また、生活環境がある程度固定されている人も持ち家向きです。

今後もこの地域に住み続ける可能性が高い。転勤や大きな移動が少ない。こういう家庭なら、持ち家のメリットを活かしやすくなります。

ただし、前述の「持ち家を建てる時の鉄則」を絶対に守ってくださいね。

よくある質問

賃貸と持ち家、総コストはどちらが高い?

人生全体で払う総コストは、賃貸と持ち家でそこまで大きく変わらないケースも多いです。

もちろん、家の質、立地、家族構成、何歳まで生きるかによって変わります。

そのため、「絶対に賃貸の方が安い」「絶対に持ち家の方が得」とは言えません。

総コストだけで判断すると、賃貸をすすめたい業者、持ち家をすすめたい業者の都合に流されやすくなりますので、判断材料にはしない方がいいと思いますよ。

ローン完済後は0円で住める?

ローンを完済すれば、毎月の返済はなくなります。

ただし、支払いがゼロになるわけではありません。固定資産税はかかります。土地分はずっとかかりますし、建物分も完全にゼロにはなりません。

さらに、修繕費も必要。古くなるほど、修繕費は増えます。

ローン完済後は楽になる。でも、支払いゼロではない。ここは勘違いしないようにしましょう。

老後のためにも持ち家が良い?

持ち家なら、老後も住み続けられる安心感があります。

ただし、ローンの支払いが苦しくなって売却する人もいます。ローンは完済したけれど、老後資金が足りずに家を売るケースも。

「ハウス・リースバック」のように、自宅を売って、そのまま住み続けるサービスがあるのも、老後資金の問題があるからです。

老後に住み続けられる可能性はある。ただ、それだけで「持ち家が絶対に正解」とは言えません。

資産にならないのに、なぜ持ち家?

確かに色々変えられる点では賃貸の方がいいです。

とはいっても、人生は、損得や動きやすさだけで選ぶものではありません。

お金には代えられない無駄なものもあります。

かけがえのないものは経済的に損なものもあります。

人生の目的は楽しむことですので、人によって楽しみ方は違いますので、資産にならないという理由だけで判断しなくても良いでしょう。

持ち家は収入が下がった時に危険?

これはその通りです。

持ち家は、収入が下がってもローンの支払いを簡単には下げられません。

だからこそ、家を建てる時にお金をかけすぎないこと。そして、売りやすい土地を選ぶこと。

最悪の場合、売ればローン残債以上で売れる状態に近づける必要があります。

理想は、ローン残債をできるだけ早く土地価格くらいまで下げることです。

たとえば、土地2,000万円、建物2,000万円で、合計4,000万円のローンを組んだとします。この場合、残債を2,000万円まで早めに下げることが重要。

できれば10年、遅くとも20年くらいで土地価格程度まで残債を下げられると、リスクはかなり軽くなります。最悪売って賃貸に戻る選択肢も取れるからです。

まとめ

賃貸のメリットは、身軽さ。転勤、収入変化、家族構成の変化に合わせて住み替えられます。

一方で、賃貸の本当のデメリットは狭さ、音、駐車場、住宅性能など住環境の質の低さです。

ここに不満がないなら、賃貸はかなり良い選択肢。

持ち家のメリットは、住環境の質を高められること。さらに、住宅ローンはインフレ対策になる面もあります。

ただし、持ち家はリスクも大きいです。簡単に住み替えられない。維持費がかかる。ローンが重い。

だからこそ、持ち家を選ぶなら鉄則を守る必要があります。

①家にお金をかけない。大きくしすぎない。

②土地は良いところを買う。

③メンテナンスが楽な建材を選ぶ。

④最低限の質を担保する。

賃貸にも持ち家にも、メリットとデメリットがあります。

向き不向きをしっかりと見極めた上で、それぞれのメリットとデメリットを押さえて、自分たちの暮らし方、収入、将来の変化、住環境への不満を見ながら、納得感のある賢い選択をしていただければと思います。

PROFILE

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せやま大学の人

瀬山 彰

筑波大学理工学群数学専攻卒(数理統計学士号取得)。硬式野球部に所属し、首都大学野球リーグの線形回帰分析に取り組む。

卒業後は、日本最大手の経営人事コンサルティング会社に入社。全国の住宅会社(大手ハウスメーカー・地場工務店)を担当。その中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。 中堅ハウスメーカー支店長経験を経て、2019年に起業。2021年にビーイナフ株式会社を設立。

主要事業である「せやま印工務店プロジェクト」は、2025年グッドデザイン賞受賞に加え、全国登録工務店65拠点、参加施主数は累計1723組以上、施主満足度95%以上と高い成長率と満足度を実現。また、施主や工務店のみならず、関わった全ての関係者が得をする(損をしない)、「全方良しのビジネスモデル」を他業界へ広める活動にも力を入れている。

広島県出身。娘4人の父親。2025年からは『カープ熱こじらせ兄さん せやまくん』としてのタレント活動も開始している。