採用してはいけない憧れの設備7選|天窓・屋上バルコニー・全館空調
投稿日 2023.02.13 / 最終更新日 2023.03.07

家を建てる時には色々と憧れの設備もあるでしょう。しかし、夢や憧れだけで家を建てると、意外なデメリットや落とし穴にはまってしまうことも。家を建てるという人は、まず現実を直視しましょう!
ただし、それでもどうしても「やりたいんだ!」と思うなら、憧れの設備を入れるのもアリ。
デメリットを知ったうえで考えてみましょう!
本記事は、YouTubeでも分かりやすく解説しておりますので、動画で見たいという方は以下からご覧ください!
参考動画:採用してはいけない憧れの設備7選|天窓・屋上バルコニー・全館空調
目次
採用すると後悔する憧れの設備7選は?理由と一緒に紹介!
家を作る時は、色々と憧れの設備があるもの。ただし憧れだけで採用すると、後悔してしまうということも少なくはありません。特に採用するとデメリットが大きい7つの設備はこちら。
- 木製のウッドデッキ
- 天窓(トップライト)
- 屋上バルコニー
- 壁一面・大開口の窓
- ダクト給気&特殊エアコンの全館空調
- 見せる収納
- スキップフロア
もちろんデメリットを知っても「俺はやりたい!」、「憧れなんだよ!」という人はいいですが、まずはそれぞれ、どのようなデメリットがあるのか詳しく見ていきましょう!
①木製のウッドデッキ
木製のウッドデッキはやめたほうがいいでしょう。ウッドデッキを作るなら樹脂製がおすすめ。色々なメーカーが出ているので、それを採用しましょう。
木製のウッドデッキを作ると、シロアリにとって最高の環境を作ることになっちゃいます。シロアリは、基本的に水とセルロース(繊維)…つまり腐った木が好きなもの。木製のウッドデッキは、そんなシロアリの撒き餌になってしまうリスクが高いんです。家にとって大敵のシロアリの餌を置くなんて、怖いですよね。
さらに言うと、シロアリが嫌いなものは「光」と「風」ですが、ウッドデッキがシロアリにとっての光・風よけになってしまいます。シロアリにとっての天国のような存在になってしまうので、ウッドデッキを作るなら樹脂製にしましょう。
②天窓(トップライト)
天窓も憧れる人が多いですが、これもやめておきましょう。大きな理由は2つ。
理由の1つ目は、水のリスクが高すぎること。屋根に穴を開けるので、雨漏りするリスクが高くなってしまいます。
そして理由の2つ目は…夏がバリ暑いこと。天窓のある事務所などで打ち合わせをすると、カンカン照りの時に真上から太陽がむちゃくちゃ直で来ます!
ただし天窓の代わりに、高い位置で光をとる「高窓(ハイサイドライト)」は全然OKですので、天井に窓をつけるのは避けましょう。
③屋上バルコニー
3つ目は屋上バルコニー。特に都心部などのバルコニーや庭の広さが取れない人は「屋上にバルコニーを作ったらバーベキューとかみんなでできんじゃね?」や「星空を眺めたい」や「朝、コーヒーを飲んだり本を読んだり…」なんて思うもの。
ですが、しっかりデメリットを理解しましょう。
まずそもそも、バルコニーは雨漏りリスクが高くなります。天窓ほどではありませんが、防水性能が低いため、雨漏りしやすくなってしまいます。そのためバルコニー自体少ない方がいいのに、屋上バルコニーを作るとさらにリスクが高くなるでしょう。
さらに、メンテナンス費用が高いことにも要注意!一般的には、シート防水やウレタン防水、FRP防水を使うため、10年程でメンテナンスが必要になります。その面積が増えれば増えるほど、費用もかかってしまいます。そのためむっちゃでかいバルコニーも同様の理由でおすすめできません。
また、憧れの屋上バルコニーですが、やめた方が良い3つ目の理由は「そんなに使わん!」という点です。屋上でバーベキューをやると、片付けが大変。1階のキッチンまで行くのが面倒になり、1度バーベキューをしたら「来年から公園にしよう…」という気持ちになるでしょう。もちろん「それでもやる!」という人もいますが、お金をかけて作った割には使う頻度が少なくなるのが、屋上バルコニーあるあるです。
④壁一面・大開口の窓
おしゃれな家を紹介する番組などで「リビングのオーシャンビューが…」なんて紹介することもありますが、極力やめた方がいいでしょう。
大開口の窓は寒く、冬なんかはめちゃくちゃ結露します。しかも夏は結構暑いので、あんまり住環境としては良くありません。というのも、あれだけ大きな窓を作ると、断熱性能が低くなります。そのため「寒いし…暑いし…」なんてことになるのです。
また、あれだけ大きな窓を作ることで、窓の質も落ちてしまいます。窓の冊子がアルミ樹脂複合かアルミサッシになり、必然的に非常に結露しやすい窓になってしまうのです。推奨しているオール樹脂サッシは幅で2.5m、高さ2.2mくらいがMAXサイズなので、それ以上のサイズにすると窓の質が下がります。
断熱性能が低く、面積がめちゃくちゃ広く、そこに窓に入ってる窓の性能が低い…なんて、実際に住んでみると、後悔する人が多いと思います。
⑤ダクト給気&特殊エアコンの全館空調
「エアコン一台で部屋中あったか!」みたいなやつ自体は悪くありません。全館を一定の温度で空調していくっていう意味での全館空調はいいのですが、方式に問題があります。
ダクト給気というのは、配管経由で部屋に空気を送る方式のことをいいます。これだと、どうしてもダクトの中がダストで汚れ、埃まみれのダクトの中を通った空気が部屋に供給されてしまいます。
また、特殊エアコンというのは、家の中に業務用エアコンを置き、ダクトを使って各部屋の温度を保ちます。ただしこいつは、修理費用がめちゃくちゃ高い。特殊エアコンなので、一般的な家電量販店では買えないんです。80万円とか90万円とか…100万円以上する場合もあります。しかも修理に時間がかかるんですよ。3週間とかかかるので、真夏や真冬に壊れてしまうと、結局は壁掛けエアコンに切り替える人が多いんです。
それで暑さや寒さは解決しますが、問題はここから。全館空調システムは換気システムも兼ねているので、全館空調システムを止めると家の換気が止まってしまいます。高気密高断熱住宅で換気が止まると、困る点は2つ。
1つ目は二酸化炭素濃度が上昇し、睡眠の質が落ちること。また2つ目はハウスダストが滞留することで、アレルギー疾患のリスクが高くなっちゃうんです。
先ほど「デメリットを知っても乗り越えられるなら憧れの設備もOK」と言いましたが、この設備だけはやめておいた方がいいでしょう。ダクト排気の1種換気か、ダクト排気の3種換気のどちらかであれば、換気もできるしメンテナンスもそんなに大変じゃないですよ。
⑥見せる収納
誰もが1回は憧れる見せる収納。「見せる収納、かっこいいよね!」なんて思うものですが、無理です!生活するんだから、そんな綺麗な状態を維持することはできません。しかも扉がなかったらホコリも溜まってイライラするし、見せるためにはスカスカにすることが大切なので収納量も減ります。まさに良いことなし!
「オシャレにしとこう!」なんて思っても、そんなにお客さんは来ません。そんなわけで、見せる収納はやめた方がいいでしょう。
ただしこれは別として、写真とかを飾るような飾り棚とかはあってもいいでしょう。「飾るところは飾るところ・収納は収納で隠す!」と、見せない収納にした方がいいでしょう。当たり前のことですけどね。
⑦スキップフロア
これも一度は憧れる人が多いですよね。スキップフロアは、ちょっとならいいと思います。たとえば階段の踊り場をあがったところをちょっと広くして勉強スペースにしてみるとか、本棚を置いてみるとか。かっこいいですよね。
とはいえ、家中をスキップフロアにすると「半分あがって部屋、半分あがって部屋…」という感じになります。これはやめた方がいいでしょう。
どこに行くにも階段、段差だらけになっちゃいますので、住み心地としてはよろしくはないのです。平屋に憧れる人が多いのに、わざわざ段差を作る必要はないんじゃね?と思います。
空間を有効活用するとか言うんだけど、あんまり有効活用できないんです。まぁ確かにちょっとスペースは増えますが、その分段差が増えるので、実装する場合はほどほどにしましょう。
まとめ
採用してはいけない設備とその簡単な理由
- 木製のウッドデッキ→シロアリの大好物
- 天窓→水リスク・暑さリスクが高い
- 屋上バルコニー→水リスク・費用が高い
- 壁一面・大開口の窓→暑さ&寒さリスクが高い
- ダクト給気&特殊エアコンの全館空調→空気が汚れてメンテナンスコストがかかる
- 見せる収納→ホコリが溜まる!
- スキップフロア→住みづらい
PROFILE

せやま大学の人
瀬山 彰
大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。
「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。
娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。