「マンションVS戸建」徹底比較!どっちがお得?|メリットよりデメリットを理解しよう!
投稿日 2019.12.06 / 最終更新日 2023.02.22

「マンションVS戸建」問題は、誰もが一度は通る道ですね。あとで後悔しないためには、メリットよりもデメリットを正確に理解することが大切です。
目次
マンション・戸建の見落としがちなデメリットとは?
マンションの見落としがちなデメリットは、狭さです。マンションから戸建への住み替え理由の多くは、「手狭になった」「収納が足りない」です。
戸建の見落としがちなデメリットは、住環境の悪さです。住宅会社選び・建材選びに失敗すると、住環境はマンションより格段に落ちます。
マンション・戸建選びに失敗しないように、見落としがちなデメリットを中心に解説していきます。
<マンション平均面積は、74.8㎡(≒23坪)なので狭い>
(出典:SUUMO)
【結論】「マンションVS戸建」徹底比較!どっちがお得?
メリットよりも、デメリットの理解が大切。見落としがちなデメリットも正しく理解した上で、「マンションVS戸建」を選んでいきましょう。
①マンション向きな人
駅からの距離重視
車不要(あっても一台)
子どもが少ない
色々決めるのが面倒
②マンションのデメリット
収納が少ない ★
換気システムの性能が低い ★
ローン支払い以外の費用
駐車場までが遠い
非常時の脆弱性
騒音問題
(★…見落としがちなデメリット)
③戸建向きな人
音を気にする生活が嫌
収納たくさんほしい
間取りを自由に決めたい
住まいの住環境にはこだわりたい
④戸建のデメリット
マンションより住環境が格段に落ちるリスク ★
災害への備えが特に必要 ★
庭の手入れが手間
防犯面の不安
ロケーションの悪さ
(★…見落としがちなデメリット)
①マンション向きな人
・駅からの距離重視
マンションのメリットは、何といっても、立地(ロケーション)の良さです。ほとんどのマンションが、駅から徒歩10分以内。徒歩15分以上のマンションは、売れませんからね。
・車不要(あっても一台)
駐車場費用は、ローンとは別に必要なので、マンション暮らしに車は重荷です。車は使わない、使うときはカーシェアリングだよ、という人はマンションに向いていますね。
<カーシェアリング車両台数は増加し、利便性は向上している>
(出典:交通エコロジー・モビリティ財団)
・子どもが少ない
マンション最大のデメリットは狭さなので、子どもが少ない(もしくはいない)のであれば、マンションは快適。広すぎない方が、掃除も楽です。
・色々決めるのが面倒
間取りや仕様もほぼ決まっているため、あまり選ばなくていい!という人には助かります。選びたい!という人にとってはデメリットですが、家のことを考えるのが面倒という人も案外多いのではないでしょうか。
<間取りを選べるのは、和室or洋室くらい>
(出典:あなぶき興産)
②マンションのデメリット
★…見落としがちなデメリット
・狭さ、収納の少なさ ★
マンション最大のデメリット。マンションから戸建に住み替えを検討する方の多くが、「収納が少ない」「手狭になった」と言います。これは、マンション業者が考えた(?)「㎡表示にすると広く感じる魔法」が原因だと思われます。
マンションの広さの感覚は、70㎡台が平均、80㎡台は広め、100㎡超はハイグレード、という感じですが、この㎡表示を坪表示に変えると、思ったより狭いことに気づきます。
70㎡≒21坪、80㎡≒24坪、100㎡≒30坪。戸建を建てるほとんどの人が、「延床面積30坪くらいは最低欲しいかな~」と言いますので、住んでみると、この差を実感するわけです。
(出典:大京)
・換気不足のリスク ★
マンションに使われている換気システムは、最も性能の低い「第3種換気」(外部フィルターや熱交換システム無)なので、換気不足で室内の空気が淀んでしまうリスクが高くなります。
「第3種換気」は、冬なら冷たい空気がそのまま入ってくるので、室内は寒くなります。寒くなると換気を止めたくなりますが、換気を止めると、室内の空気が淀みます。どっちも嫌ですが、どちらかしか選択できないつらさがあります。
換気不足の対策は、寒くても絶対に換気システムを止めないこと。もしくは、後付けできる「第1種換気システム」もあるので検討してみてください。
関連記事:「換気システム」選びに失敗すると室内の空気環境が悪化する理由|高気密高断熱住宅のデメリット
<第3種換気の換気口例>
・ローン支払い以外の費用が高い
マンションの注意点は、半分「賃貸」だという事。実際にマンションに住んでみると、ローン以外の支払いが多いことに気づきます。駐車場/駐輪場費用、管理費、修繕積立金などですね。
管理費+修繕積立金だけで2万円前後ですので、駐車場費用と合わせると、3~4万円くらいになるでしょうか。さらに、修繕積立金は年々上がっていきますので、注意が必要です。
住宅ローン支払い額が安い!と言う理由だけで、分譲マンションを購入せず、駐車場/駐輪場費用、管理費、修繕積立金の金額もシミュレーションするようにしましょう。
<管理費+修繕積立金は1.5~2.5万円が最多>
(出典:SUUMO)
・駐車場までが遠い
駐車場が遠いのは、地味にしんどいです。立体駐車場だと、入出庫に時間がかかるので尚更。維持費のこともあるので、マンションに住むなら、車は持たずに、カーシェアやレンタカーを使うのがベストです。
・非常時の脆弱性
停電で水道ポンプが止まり、断水になることがあります。特に高層タワーマンションは、停電してエレベーターが止まったら地獄です。また、救急車を呼んでも、部屋に到達するまでに時間がかかってしまいます。
・騒音問題
音の問題です。いくら防音性が高いマンションであっても、上下お隣さんへの配慮は必要です。特に、子どもがいる家庭だと、子どもに我慢を強いることになるので、大きな問題となります。
③戸建向きな人
・音を気にする生活が嫌
子ども達に我慢させなくていいのは、ありがたい限り。戸建住宅の特権です。
・車を良く使う
駐車場が近いのも地味にありがたい。荷物をすぐに下せますし、子ども達の乗り降りも、マンションに比べると格段に楽になりますね。
・収納がたくさんほしい
広すぎる家は推奨しませんが、やはりマンションは狭いので、収納が不足します。その面で、戸建はやっぱりいいですね。4LDK30坪(≒100㎡)を目安にしましょう。
関連記事:生活感のない家を作るための「収納」基本ルール5選|収納の失敗パターンとは?
・間取りを自由に決めたい
注文住宅に限りますが、間取りを自由に決められるのは、戸建住宅の特権です。
・住まいの住環境にはこだわりたい
戸建であれば、マンションの弱点であった換気システムを選択できるので、住環境を整えることが可能です。ただし、換気システムを含めた建材選びに失敗すると、逆に、マンションより住環境は格段に落ちるので、注意が必要です。(詳しくは後述)
関連記事:第1章 「断熱・気密・換気性能」について|記事まとめ
<住環境を整えるために必要な4要素+エアコン>
(出典:Twitter)
④戸建のデメリット
★…見落としがちなデメリット
・マンションより住環境が格段に落ちるリスク ★
マンションは、上下お隣さんに囲まれているので音はうるさいけど、上下左右の部屋が断熱材の役割をしてくれるので、そこそこ冬は暖かく、夏は涼しく過ごすことができています。熱が逃げる窓も少ないですしね。
一方戸建は、音の心配をしなくていい代わりに、家の外は四方全面が外なので、外気の影響をもろに受けます。窓も四方全面に設置可能なので、熱が逃げやすくなります。
なので、戸建で建材の選び方を間違えると、住環境は最悪です。住環境ランキングのイメージは、こんな感じ。夏暑く冬寒く結露して空気が悪い家になるリスクがあるのが、戸建住宅です。
【住環境ランキング】
1位 良い戸建
2位 良いマンション
3位 悪いマンション
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断トツ最下位 悪い戸建
関連記事:「窓」の種類と失敗しない選び方|サッシ・窓ガラス・スペーサーの推奨レベル
関連記事:「断熱性能」を比較する基準と推奨レベル|UA値の解説と適正数値
・災害への備えが特に必要 ★
マンションと違い、土地建物すべて自己所有なので、自己責任で災害対策を行う必要があります。地震対策だけなく、風災や水災への備えも必要です。
関連記事:火災・水災・風災から家族を守る3つの「災害対策」|災害に強い新築住宅を建てるには?
・庭の手入れが手間
庭の手入れは、意外と大変です。土の部分には、必ず雑草が生えますからね。対策としては、庭を広くとらないか、費用は掛かりますが、人工芝や土間コンクリートを施工する事などが有効です。
・防犯面の不安
戸建は1階に部屋があるので、防犯面が心配という方も多いと思います。対策としては、1階の大きな窓にシャッター設置、オープン外構で死角を作らない事、外部照明でまわりを明るくする事などが有効です。
・ロケーションの悪さ
マンションに比べたら、間違いなく駅から離れます。車通勤が可能であれば、問題ありませんが、電車通勤の場合は、慎重に検討が必要です。
バス通勤を選択する方法もありますが、ストレスが大きいように感じます。電車に比べて、到着時間が読めず、揺れが大きく、落ち着いて本を読めません。バス通勤のデメリットも把握した上で、判断していきましょう。
関連記事:土地購入前に確認すべき6つの「土地造成費用」|安い土地にはワケがある
『マンションと戸建、資産性が高いのはどっち?』に対して
資産性を考えることも大切ですが、家は「身体の健康」を支える土台ですので、まずは、家族がストレスなく、健康的に暮らせることを優先しましょう。身体の健康は、何より大切な資産です。
その上で、金銭的な資産性を考えるなら、やはり立地が大事。これは、マンション・戸建共通です。どちらが資産性が高いか?という質問の答えは、「どちらかが高いということはなく、ともに立地による」となります。
ただし、繰り返しますが、快適性と資産性は矛盾するので、家と資産は別物で考えた方が賢明。稼いだお金は、家にあまり使わず、資産運用や事業運営に回す事をおすすめします。
『駅近の戸建分譲地はどうですか?』に対して
確かに、駅近の戸建分譲地なら、戸建のデメリットである立地の悪さはありません。ですが、結論、あまりおすすめしません。
ほとんどの駅近分譲地は、不動産系の住宅会社がてがけており、家の基本性能が低いためです。駅近分譲地だと、ユーザーも、家より土地重視で購入するので、家の性能を上げなくても売れてしまいます。
<駅近分譲地の家は性能が低いことが多い>
まとめ
メリットよりも、デメリットの理解が大切。見落としがちなデメリットも正しく理解した上で、「マンションVS戸建」を選んでいきましょう。
①マンション向きな人
駅からの距離重視
車不要(あっても一台)
子どもが少ない
色々決めるのが面倒
②マンションのデメリット
収納が少ない ★
換気システムの性能が低い ★
ローン支払い以外の費用
駐車場までが遠い
非常時の脆弱性
騒音問題
(★…見落としがちなデメリット)
③戸建向きな人
音を気にする生活が嫌
収納たくさんほしい
間取りを自由に決めたい
住まいの住環境にはこだわりたい
④戸建のデメリット
マンションより住環境が格段に落ちるリスク ★
災害への備えが特に必要 ★
庭の手入れが手間
防犯面の不安
ロケーションの悪さ
(★…見落としがちなデメリット)
【文責:瀬山彰】
PROFILE

せやま大学の人
瀬山 彰
大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。
「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。
娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。