「新築VS中古」マンションは中古!戸建は新築!をおすすめする3つの理由

「新築VS中古」マンションは中古!戸建は新築!をおすすめする3つの理由 | 最重要記事

「新築VS中古」問題について、住環境と資産性の観点から解説していきます。費用的には中古がいいよね?中古だとぼろいんじゃない?やっぱり新築?でも予算たりなくない?こんな悩みを持っている方の参考になればと思います。

「新築VS中古」マンションは中古!戸建は新築!をおすすめする3つの理由

日本は新築至上文化

現代の日本人には、「新築至上文化」とでもいうべき、私も含めた国民の心のどこかに「中古より新築が良い」という固定概念が染みついているように思うのです。

一方海外では、中古住宅を流通させる仕組みが整っていたり、タワーマンション新築を規制する国もでてきています。今回は、新築至上主義を一旦忘れ、新築と中古のどちらが合理的なのかを、数値的に検証していきたいと思います。

<空き家も総住宅数も増加傾向>
空き家が増加しても、家を建て続ける日本
(出典:日本経済新聞

【結論】「新築VS中古」マンションは中古!戸建は新築!をおすすめする3つの理由

住環境と資産性で考えると、マンションは中古!戸建は新築!をおすすめします。理由は、以下の通り。

①マンションは中古!をおすすめする理由
中古マンションでも住環境は悪くない
新築マンションだと含み損を抱えるリスクが高い

②戸建は新築!をおすすめする理由
資産性では中古戸建だが、住環境が悪すぎるからやむなく新築

①マンションは中古!をおすすめする理由

中古マンションをおすすめする理由は、新築マンションと住環境は大差なく、お得に買えるからです。

まず、住環境ですが、マンションはほとんどがRCなので、断熱性能と気密性能はそこそこ高いレベルになっています。これは、新築だろうと中古だろうとあまり変わりません。

以下グラフを見てわかる通り、RC造は、標準的な施工仕様でも、C値(隙間相当面積)が低いことが分かります。木造住宅だと、施工仕様によって大きなばらつきがあります

関連記事:「気密性能」を比較する基準と推奨レベル|C値の解説と適正数値

<住宅構造別の気密性能概要>
住宅構造別の気密性能の概要(RCマンションが平均的に良い)
(出典:「住宅の次世代省エネルギー基準と指針」次世代省エネルギー基準解説書編集委員会編)

次に、資産性ですが、中古がお得というより、新築が割高です。(超人気エリアや物価上昇時を除くと)新築マンションに人が住み始めて数年で、急激に価値が落ちます。

新築時の割高価格を、新築プレミアムなんて言ったりします。資産価値のイメージ曲線は、こんな感じ。

<資産価値のイメージ曲線>
新築マンションの資産価値が下がるイメージ曲線

一方、ローン残債のイメージはこんな感じ。最初の頃は金利負担額が大きいので、残債は緩やかに減り、後半になって、ぐっと残債が減っていきます。

<残債のイメージ曲線>
残債が緩やかに減っていくイメージ曲線(残債は最初は減りにくい)

この2つのグラフを重ねてみます。すると、家に住み始めてからしばらくは、「含み損」を抱えることが分かります。マンションから戸建てへの住み替えを検討しても、「マンションを売っても残債が残る」状態になってしまうのは、この「含み損」が原因です。

<含み損のイメージ>
新築マンションは、購入直後に資産価値が下がるので損が出やすい

では、中古マンションならどうなるか?ですが、以下グラフのイメージです。新築プレミアムがなくなった後の価格で購入できれば、価格の低下が緩やかになるので、「含み益」が出やすい状態になります。

<含み益のイメージ>
中古マンションは資産価値の低下が緩やかなので、損しにくい。

 

中古マンションを買う時の注意点

中古マンションと新築マンションで、基本的な住環境に違いが出るとしたら、窓、防音、防水、耐震性あたりです。

・窓
アルミサッシではなく、アルミ樹脂複合サッシがいいですね。もちろん。オール樹脂サッシが理想ですが、オール樹脂を採用したマンションは、ほぼありません。

アルミサッシの場合は、リフォームでアルミ樹脂複合サッシの内窓を設置してもいいか?を確認するといいですね。また、窓の建てつけも確認しましょう。経年劣化で、隙間が出ている場合があります。

関連記事:「窓」の種類と失敗しない選び方|サッシ・窓ガラス・スペーサーの推奨レベル

<アルミ樹脂複合サッシを採用したマンションの公式HP>
アルミ樹脂複合サッシ(半樹脂)を採用した分譲マンションの仕様情報
(出典:和田興産

・防音
マンションによって大きく異なるので、壁・床の防音仕様を確認するとともに、実際に体感して確かめられればベストですね。

・水漏れ
水漏れ・雨漏りの形跡がないか、絶対に確認しましょう。一度水の被害を受けると、その悪影響はずっと残ります。不動産業者が信頼できない場合は、インスペクターなどの住宅調査の専門家に依頼することも検討してください。

<インスペクターによる調査は有効>
雨漏り・シロアリ被害のチェックは専門家(インスペクター)へ
(出典:日本ホームインスペクターズ協会

・耐震性
新耐震基準が制定された1981年6月以降に、確認申請を受けているマンションを選びましょう。理想は、直近改正の2006年以降ですが、最低限の基準としては1981年6月を目安と考けば良いでしょう。

・階数
これは新築・中古関係ないですが、最上階は避けましょう。最上階は、太陽の影響をもろに受けるので、夏暑くなります。屋上からの空き巣侵入も多いので、防犯上もよろしくないですね。1階も、防犯の観点だと良くないです。

・窓がやたら多い部屋
見晴らしは良いのでしょうが、窓は壁に「穴が開いている部分」ですから、窓が多ければ多いほど、冬は寒く、夏は暑くなります。マンションの高層階は日光を遮るものがないので、特に夏の暑さは地獄です。

<特に西日が要注意>
窓が多いマンションは夏暑く・寒いので避ける。

②戸建は新築!をおすすめする理由

新築戸建をおすすめする理由は、ただ一つ。中古戸建の住環境が悪いからです。

マンション同様に、資産性では中古戸建一択なのですが、中古戸建は住環境が悪いため、おすすめできません。いつも言っていますが、家は、資産性よりも快適性(住環境)を優先すべき。

つまり、理想は「住環境の整った中古戸建」なんだけど、今は存在しないので、やむなく(というのも変ですが)新築…という消去法的な考えで、新築戸建をおすすめするということです。

<日本の家は性能が低く、平均寿命は短い…>
日本の家は寿命が短い
(出典:大和ハウス工業

ただ、将来的には「戸建も中古!」と言えるようにしたいと、グッシンは思っています。そのために今、住環境の整った新築戸建を増やしていかなければならないのですが、今の日本の基準を守っているだけでは、不十分

海外では禁止レベルのアルミサッシも使用OKだし、断熱の最低基準義務化が見送られたり、気密の検査義務がなかったり、義務化になった換気システムのメンテナンスが無視されていたり。もう滅茶苦茶と言っていいレベル。

皆さんの家の住環境を良くするためにも、将来の中古住宅の住環境を良くするためにも、良い住環境のつくり方は、しっかりと勉強しておきましょう。

<日本の窓の性能基準は最低レベル>
日本の窓の性能基準は世界最低レベル
(出典:YKK AP

新築戸建を建てる時の注意点(良い住環境のつくり方)

せっかく新築戸建を建てるのに、住環境の悪い家を建てては意味がありません。新築戸建を建てる時の注意点は、必ず良い住環境の家にするということです。

良い住環境のつくり方は、何回も言っていますが、窓・断熱・気密・換気の基本性能4要素を揃えることです。

①窓 ⇒ オール樹脂サッシ+Low-E複層ガラス(アルゴン)+樹脂スペーサー
②断熱性能 ⇒ UA値0.6以下(地域区分4~7の場合)
③気密性能 ⇒ C値0.7以下
④換気システム ⇒ メンテナンス可能な第1種換気システム

関連記事:第1章 「断熱・気密・換気性能」について|記事まとめ

まずは、これだけでいいです。これだけクリアしてもらえれば、及第点の住環境は整います。そんなにお金はかかりませんが、日本でこの最低限の条件を満たした家は、100棟に1棟あるかないかのレベルです。

この項目をクリアせずに新築を建てるということは、「せっかく新築を建てたのに、住み心地は中古並み」というあまりにも残念な結果につながりますので、絶対に勉強してくださいね。

新築戸建を建てるときに気を付けるポイント
(出典:Twitter

『例外はないの?新築マンションが良い場合とか?』に対して

もちろん、例外はあります。

マンションで新築をおすすめする例外は、確実に地価が上がるであろうエリアの場合です。「確実に」なんてことは世の中ないのですが、もしあったとするならば、という話です。投資目的で新築マンション買う人などは、これを狙っています。

<地価が上昇している夢洲エリアのIRイメージ>
地下が上昇している夢洲のIRイメージ
(出典:関西経済同友会

中古戸建については、古民家のリノベーションなどを楽しむためであれば、良いと思っています。

家自体を人生の目的や趣味の対象とする場合は、機能性や快適性を最優先に考える必要はないからです。遊園地にいったり、旅館に泊まったり、草野球をするのは、“人生を楽しむため”であり、そこに機能性を求める必要はないですからね。

さらに、機能性や快適性も少し考えたいということであれば、窓リフォームは比較的簡単なので、検討してもらえると良いかと思います

<古民家のリノベーション>
古民家のリノベーション

『知らない誰かが住んでいた家に住むのが嫌』に対して

お気持ちは分かります。まっさらの家に住みたい!と言うお気持ちは。ただ、これまで賃貸で、どこの誰がが入ったかわからないお風呂に入っていたわけですし、誰が寝たかわからないリビングに寝転がっていたわけです。

お気持ちは分かります。しかしそれは、一時的な、なんとなく嫌だってやつです。大丈夫です、すぐに慣れます。一時的ななんとなく嫌だのために、数百万円使うことだけは避けていただければと思います。

新築も一日住んだら中古。賃貸も誰かの中古。中古を毛嫌いするのは非効率的。

まとめ

住環境と資産性で考えると、マンションは中古!戸建は新築!をおすすめします。理由は、以下の通り。

①マンションは中古!をおすすめする理由
・中古マンションでも住環境は悪くない
・新築マンションだと含み損を抱えるリスクが高い

②戸建は新築!をおすすめする理由
・資産性では中古戸建だが、住環境が悪すぎるから消去法で新築

関連記事:「賃貸VS持ち家」タイプ別に徹底比較!あなたはどのタイプ?|経済性と住環境で比べると!?


【文責:瀬山彰】

PROFILE

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せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

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