2024.11.14
「施主」と「住宅会社・職人」との間を取り持ち、時には専門的なアドバイスをしながら理想の家づくりをサポートするのが営業マン。しかし、信頼できない「ダメ営業マン」に当たってしまうと、仕様・性能をクリアした住宅会社だとしても、いい家づくりは叶いません。
これから住宅会社を選ぶという方は「信頼できる営業マンの見極め方」について、しっかり要点を抑えていってもらえればと思います。
本記事内で使用するツール
本記事では、信頼できる営業マンを見極めるために作成した「信頼できる営業マン チェック表」を使用します。
良い家づくりができるかどうかは、営業マンにかかっていますからぜひダウンロードして活用してみてください。(登録なしでダウンロードいただけます)
ダウンロードページ:優秀な営業マン チェック表(無料)
目次
そもそも「信頼できる営業マン」って?
住宅会社の窓口として、ゆくゆくは家づくりのパートナーになる営業マン。契約前に安心して任せられる人柄か見極めたいところです。まずは「信頼できる営業マン」の4つのポイントを解説します。
1.仕事が「早い」&「正確」
家づくりを安心して任せられるのか?まずはその仕事ぶりから判断しましょう。
これはどんな仕事にも言えることですが、仕事ができる人はとにかく「早くて正確」です。信頼できる営業マンを見極めるためにまずは、施主が求めてることをスピーディーかつ正確に対応できるのか?に注目です。
2.知識が豊富
施主の要望を聞くだけでなく、時にはアドバイスをしながら理想の家づくりをサポートするのも大切な仕事です。初めての家づくりで分からないことだらけの中で営業マンが的確にアドバイスしてくれたら頼もしいですよね。
とはいえ、これは最新の情報をアップデートして常に勉強を続けていないとできないことなんです。契約前でも分からないことはどんどん聞いて営業マンの知識を試してみましょう。
3.誠実
営業マンはどうしても「契約を取ること」に前のめりになりがちです。とはいえ、「予算内でこんなにいい家が建てられますよ!」なんて自信たっぷりに言われるよりも、リアルな資金計画で注意点を含めて丁寧に説明してくれた方が安心できますよね。
これは契約前後のギャップを抑えるためにすごく大切なんです。「契約前に言ってたことと違う…」といったトラブルを避けるためにも、営業マンの誠実さは慎重に見極めましょう。
4.面倒見が良い
本来の営業マンの仕事は契約を取ることですが、実際の家づくりは契約後が本番。ずっと頼りにしてきた営業マンが、契約を結んだ途端知らんぷり…なんだか心細くなりますよね。
営業マンに契約後のケアまで求めるのはちょっと欲張りかもしれませんが、建築中に困ったときに間に入ってくれるだけで心強いものです。頼れる存在としてそばにいてくれる、そういう面倒見の良さがある営業マンなら安心して任せられますよね。
「ダメ営業マン」に当たってしまうとどうなる?
「ダメ営業マン」はとにかく契約を取ることが最優先。
施主が詳しい説明を求めても適当な(間違った)回答で流され、漏れだらけの資金計画で契約してしまい、契約後に追加費用がかさんで予算オーバーに苦しむ…なんてことも。
加えて契約後も、契約前に話していた内容が工事に反映されていない・・・工事中のトラブルにも営業は知らんぷり・・・割高な登記費用や火災保険料を払わされた・・・ストレスMAXで引渡しを迎えることになります。
こうなってしまわないように、信頼できる営業マンの見極めポイントを抑えておきましょう。
【結論】信頼できる「営業マン」を見極める方法は?
信頼できる営業マンなのか?は契約前でも本人の言動で判断することができます。「信頼できる営業マンチェック表」の20項目をどれだけ満たしているか?慎重にチェックしましょう。
信頼できる営業マン20の特徴
仕事が早く正確 | ①とにかくまずは聞く ②施主の意見全てに賛同しない ③わからない事はわからないと言う ④レスポンスが速い ⑤タスクの期限を区切る・守る ⑥打ち合わせの記録を残す |
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知識が豊富 | ⑦住環境の知識がある ⑧メンテナンスの知識がある ⑨地震・シロアリ・災害対策の知識がある ⑩ローンの知識がある |
誠実 | ⑪標準仕様を細かく共有する ⑫契約前に追加費用が出そうな項目を確認する ⑬間取りを確定してから契約する ⑭諸費用を漏れなく想定する ⑮ベストなローンを提案する ⑯現金の流れをシミュレーションする |
面倒見が良い | ⑰契約前の打ち合わせ内容を漏れなく共有 ⑱工事中の様子を把握 ⑲職人と顔なじみ ⑳登記費用の相場観があり事前に交渉 |
全部そろっている営業マンなんているの…?
これを全部網羅できる営業マンはなかなかいないのが実際のところ。すべてを兼ね備えた営業マンがいれば、殿堂入りさせたいくらいです。
優先順位は、仕事の速さ&正確さ→知識の豊富さ→誠実さ→面倒見の良さですが、どれも欠けると嫌ですよね。難しい問題ですが、それくらい営業マンの資質を見抜くのは難しいのです。
信頼できる営業マンのチェックポイント20
「仕事が速くて正確」な営業マンの特徴
まず最初に見極めたいのは、仕事ができる営業マンなのか?ということ。仕事が遅くて不正確な営業マンと、一生に一度の家を建てるのは不安ですよね。
では早速、「仕事が速くて正確」な営業マンの特徴を見ていきましょう。
①とにかくまずは聞く
人の話を聞かずに、自分の言いたいことばかり言う営業マンは、即アウト。施主の要望に寄り添う姿勢があるのか?は最低限見ておきたいポイントです。
②施主の意見全てに賛同しない
「いいですね!」となんでも賛同されると逆に不安になりませんか?信頼できる営業マンは、施主の話を聞きつつも専門家の立場から率直なアドバイスをしてくれます。
③わからない事はわからないと言う
「き・・聞いたことはあります」「な・・なんとなく知ってます」こんな発言をする営業マンは、後々大きなトラブルにつながる可能性が高いです。わからない事はわからないと正直に言い、きちんと調べて回答するのが信頼できる営業マンです。
④レスポンスが速い
1日以内にレスポンスがない営業マンはアウト。レスポンスが遅い→仕事がたまる→ミスが起きる…という悪循環になりやすいです。対応できない期間があっても、事前に共有するなどの施主への配慮を忘れないのが信頼できる営業マンです。
⑤タスクの期限を区切る・守る
ダメ営業マンは、期限を区切りません。一方、信頼できる営業マンは期限を区切り、きっちり守ります。期限を守れないときは、期限前に遅れる旨を連絡します。当たり前のことですが、大きな差が出る部分ですよ。
⑥打ち合わせの記録を残す
信頼できる営業マンは、打ち合わせの度にタスクも含めた議事録を必ず残し、施主と共有します。地味なことですが、抜かりなくタスクをこなし、施主との信頼関係を築くには大切なことです。
「知識が豊富」な営業マンの特徴
知識が豊富な営業マンなら、施主の質問に的確に答えてくれますし、もし分からないことがあっても中途半端に答えず、きちんと調べて回答してくれるはず。
「住環境」、「メンテナンス」、「地震・シロアリ・災害対策」、「ローン」の5つの観点に分けて営業マンの知識量を見極めるおすすめの質問と理想の回答をご紹介します。より詳細な内容については関連記事にて詳しく解説していますのでこちらもあわせてご覧ください。
⑦住環境の知識がある
最低でも「窓・断熱性能・気密性能」については抑えておきたいところです。住環境の知識が豊富な営業マンを見極める質問は、以下の通り。
「住環境」に関する質問/理想の回答
- 「窓は大切ですか?」
→冬は50%以上・夏は70%以上の熱が窓から出入りしています。 - 「スペーサーって何ですか?」
→ペア(複層)ガラスのガラス間のスペースを確保する部材です。この質が窓ガラス一番外側の結露に影響します。 - 「断熱性能を測る数値は?基準はありますか?」
→UA値ですね。地域区分によってもUA値の基準は異なります。 - 「気密性能を測る数値は?重要ですか?」
→C値です。内部結露や雨漏りにもつながる大切な部分ですよ。 - 「換気システムって必要?重要ですか?」
→24時間換気システムの設置は平成15年に義務化されています。
「住環境」の基礎知識を身につけよう
営業マンの知識量を計るためにも施主自身もある程度知識をつけておく必要があります。以下記事を参考に、「窓・断熱性能・気密性能」についての理解を深めましょう!
⑧メンテナンスの知識がある
メンテンナスの知識が豊富な営業マンを見極める質問は、以下の通り。
「メンテナンス」に関する質問/理想の回答
- 「ルーフィングって大事ですか?」
→屋根の下に敷く防水シートのことで、水漏れを防ぐ最後の砦(とりで)。低コストな「ルーフィング940」は絶対NG! - 「外壁のシーリングって大事ですか?」
→外壁材の間の隙間を埋める材料で、メンテナンス費用を抑えるためにとても大切な建材です。 - 「パワーコンディショナーって何年くらいで壊れますか?」
→ほとんどが10年程度で壊れますが、15~20年壊れない製品もあります。
「メンテナンス」の基礎知識を身につけよう
営業マンの知識量を計るためにも施主自身もある程度知識をつけておく必要があります。以下記事を参考に、「ルーフィング・シーリング・パワーコンディショナー」についての理解を深めましょう!
⑨地震・シロアリ・災害対策の知識がある
地震・シロアリ・災害対策の知識が豊富な営業マンを見極める質問は、以下の通り。
「地震・シロアリ・災害対策」に関する質問/理想の回答
- 「直近の建築基準法改正はいつですか?」
→2000年です。1981年の改正で新耐震基準が施行され、2000年の改正で基礎形状や接合方法の指定がされました。 - 「2000年の建築基準法改正以降の家は、地震で倒壊していますか?」
→熊本地震では2000年(平成12年)以降の家は、7棟が倒壊し12棟が大破したというデータが出ています。 - 「直下率って何ですか?大切ですか?」
→1階と2階の壁や柱の位置が一致している割合です。建築基準法では、クリアすべき直下率が規定されていないので、住宅会社ごとの意識が現れます。 - 「シロアリの種類は?」
→日本在来種ではヤマトシロアリとイエシロアリがあります。
「地震・シロアリ・災害対策」の基礎知識を身につけよう
営業マンの知識量を計るためにも施主自身もある程度知識をつけておく必要があります。以下記事を参考に、「地震・シロアリ」についての理解を深めましょう!
⑩ローンの知識がある
ローンの知識の豊富さを見極める質問は、以下の通り。
「ローン」についての質問とBE ENOUGHの見解
- 「今最も金利が低い銀行はどこですか?」
→ネットバンクを除けば三井住友信託銀行。次いでりそな銀行が住宅ローンに力を入れています。 - 「変動金利ってどれくらい変動しますか?」
→未来の事は誰にも分かりませんが、過去の金利推移データは参考になると思います。 - 「保証会社によって金利は違いますか?」
→違います。一般的には、銀行独自の保証会社と全国保証の2種類があり、銀行独自の保証会社の方が、金利が良く審査が厳しい傾向にあります。 - 「融資手数料型と保証料型って何ですか?」
→融資手数料型は金利が低いですが、早期に繰り上げ返済しても手数料は返ってこない。保証料型は金利は高いですが、繰り上げ返済するといくらか保証料が戻ってきます。
「ローン」の基礎知識を身につけよう
営業マンの知識量を計るためにも施主自身もある程度知識をつけておく必要があります。以下記事を参考に、「住宅ローン・銀行」についての理解を深めましょう!
「誠実」な営業マンの特徴
誠実な営業マンをどこで見極めるか?答えは資金計画です。
誠実な営業マンなら、契約後に追加費用がかからないよう必要な標準仕様も盛り込んだリアルな資金計画書を作成してくれるはずです。
それでは「誠実な」営業マンの特徴を紹介していきます。
関連記事:新築住宅の「資金計画」を立てる方法<完全保存版>|リアル資金計画書の使い方
⑪標準仕様を細かく共有する
不誠実な営業マンは、標準仕様を説明すると見積金額が上がって契約を取りにくくなる…と考えますが、誠実な営業マンであれば、契約前に標準仕様を細かく説明してくれるはずです。標準仕様のチェックには、標準仕様チェック表を使ってください。
関連記事:住宅会社の「標準仕様」を見極める方法|標準仕様チェック表を使えば超簡単!
⑫契約前に追加費用が出そうな項目を確認する
契約前に「○○のこだわりが強そうなので、○○の追加費用を確認しておきましょう。契約後だと予算オーバーになりますから契約前に金額を知っておくと安心ですよ。」と言ってくれるのが、誠実な営業マンです。
⑬間取りを確定してから契約する
誠実な営業マンは、間取りで予算が変動することを知っているので、間取りを確定させてから契約をします。
⑭諸費用を漏れなく想定する
諸費用とは、登記費用や火災保険費用など、住宅会社以外に支払う費用のことです。営業マンとしてはなるべく資金計画を少なく見せたいので、諸費用は漏れ気味にしたいというのが本音ですが、誠実な営業マンであれば、諸費用もリアルに想定してくれるでしょう。
正確な資金計画には、リアル資金計画書を使ってください。
関連記事:注文住宅で必要な「諸費用」一覧と金額相場まとめ|諸費用は価格交渉できるのか?
<リアル資金計画書>
⑮ベストなローンを提案する
固定の銀行を使うのが楽というのが本音ですが、誠実な営業マンであれば、いくつかの銀行を想定した上でベストな提案をしてくれるはずです。
関連記事:「住宅ローン」の基礎知識と失敗しない銀行の選び方(前半)|5つのパターン別に解説
⑯現金の流れをシミュレーションする
「いつ現金を準備すればいいのか?」施主が聞かなくても教えてくれます。以下のように、いつ・いくらの現金が必要なのか?を提示してくれる営業マンが、誠実な営業マンです。
<現金の流れシミュレーション>
「面倒見が良い」営業マンの特徴
仕事ができて、知識が豊富で、誠実だったけど、契約した瞬間に冷たくなった・・・ではさみしいですよね。契約後は営業マンが主担当ではなくなりますがある程度の面倒見の良さはあってほしいものです。
では、「面倒見が良い」営業マンの特徴を見ていきましょう。
⑰契約前の打ち合わせ内容を漏れなく共有
契約後に多いクレームは、「営業には言ったのに、設計に伝わっていなかった」というものです。面倒見の良い営業マンは、契約前に打ち合わせした内容を、漏れなく設計・コーディネーターに共有します。会社としての仕組みがあるか?も大切ですね。
⑱工事中の様子を把握
これは営業マンというより面倒見の良い住宅会社であれば、施主を含めた関係者全員が、工事中の様子を把握できる仕組みを持っています。工事中の様子を見せない会社は、職人のマナーも悪い傾向にあります。
⑲職人と顔なじみ
営業マンが職人と交流しているか?も要チェック。大切なお客さんの家を建てる人と交流してないって、普通に考えたらあり得ないですよね。「うちの家はどんな大工さんが担当してくれるんですか?」と職人さんについて尋ねてみましょう。
⑳登記費用/火災保険の相場観があり事前に交渉
登記費用は、ぼったくりの温床です。「登記費用の交渉って、事前に司法書士にしてくれるんですか」と聞いてみましょう。火災保険も面倒見の良い営業マンであれば、火災保険の相場観をアドバイスし、施主が損しないようにしてくれるはずです。
営業マンの選び方に関するよくある質問
Q.家の性能と営業マンとの相性はどちらを優先すべき?
ここまで信頼できる営業マンを見つける方法を紹介してきましたが、絶対に家の性能の方が大切です。ダメ営業マンに当たると建築中にストレスがたまりますが、性能の低い家を建てると一生ストレスがたまります。住んだ後の方が長いので、家の性能をなによりも優先しましょう。
まずは、窓・断熱・気密・換気システムの性能をクリア。この4項目は、施主自身でのチェックが可能です。さらにメンテナンスや安全性能も、しっかり勉強すれば、住宅会社に条件をクリアさせることができます。
関連記事
以下記事を参考に、「窓・断熱性能・気密性能・換気システム」の性能を施主自身でチェックしましょう!
住宅会社選びは、「性能で絞ってから、人(営業)で決める」という流れがベストです。住宅会社・HMの選び方については以下記事を参考にしてみてください。
関連記事:【完全版】家づくりで後悔しない!住宅会社・HMの選び方・見極め方は?|チェックリスト付き
Q.ちょこちょこ嘘をつく営業マンがいるんですけど、どうですか?
1秒でお断りです。百歩譲って、必要悪として嘘をつくのであれば絶対ばれないようにするべきです。それにばれてしまうというのも脇が甘いですね。一つ嘘があると、今までのすべてのやり取りに信用できなくなります。
まとめ
信頼できる「営業マン」の見極め方として、抑えておくべきは以下20項目。
信頼できる営業マン20の特徴
仕事が早く正確 | ①とにかくまずは聞く ②施主の意見全てに賛同しない ③わからない事はわからないと言う ④レスポンスが速い ⑤タスクの期限を区切る・守る ⑥打ち合わせの記録を残す |
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知識が豊富 | ⑦住環境の知識がある ⑧メンテナンスの知識がある ⑨地震・シロアリ・災害対策の知識がある ⑩ローンの知識がある |
誠実 | ⑪標準仕様を細かく共有する ⑫契約前に追加費用が出そうな項目を確認する ⑬間取りを確定してから契約する ⑭諸費用を漏れなく想定する ⑮ベストなローンを提案する ⑯現金の流れをシミュレーションする |
面倒見が良い | ⑰契約前の打ち合わせ内容を漏れなく共有 ⑱工事中の様子を把握 ⑲職人と顔なじみ ⑳登記費用の相場観があり事前に交渉 |