2026.06.23
目次
固定金利と変動金利、結局どっち?

家づくりを検討している施主にとって、最も大きな不安要素の一つが住宅ローンの金利ではないでしょうか。
フラット35の金利が過去最高水準に到達するなど、上昇局面にある今、「変動金利で安さを追求すべきか、固定金利で安心を買うべきか」と悩むのは当然のこと。
最新の金利動向を踏まえた選び方のテクニックを詳しく解説します。
将来の金利を正確に予測することは不可能ですが、正しい知識を持っていれば余計な費用を削ることができる。日本は持ち家に対する優遇制度が非常に充実しており、住宅ローンは決して怖い存在ではありません。
むしろ、考え方次第で非常に有効なツールになります。不安を解消し、自信を持って家づくりを進めるための判断材料を整理しましょう。
本記事の内容は動画でも解説しています。
動画(YouTube):『【住宅ローン】固定or変動を徹底比較!金利上昇で破産?!答えのない時代に納得して選ぶための基礎知識』
変動金利と固定金利が決まる仕組みと現状
まず、金利が何に連動しているのかを正しく理解する必要があります。
変動金利

変動金利は日本銀行(日銀)が決める「政策金利(短期金利)」に連動します。厳密には政策金利が短期プライムレートに影響し、そこから皆さんの適用金利が決まる仕組みです。
これまでの日本はマイナス金利という極めて低い状態でしたが、ここ数年で段階的に引き上げられており、次は1%の大台に乗るタイミングがいつになるのか注目されています。
日銀の上田総裁も、急激な利上げによる景気への負荷を避けるため、慎重かつ段階的な対応を示唆しています。今後、変動金利もさらにもう一段階上がる時期に入ると考えて間違いないでしょう。

ただし、政策金利が永遠に上がり続けることはありません。いずれは中立金利付近で落ち着くでしょう。私は1.5%前後までは上がると予想しています。
固定金利

一方で、固定金利は「10年国債の利回り(長期金利)」に連動するため、日銀ではなく、市場の売買によって決まります。
現在、この国債利回りは29年ぶりの高水準となるほど爆上がりしています。
その影響で、フラット35の金利も急上昇。半年前は2%を切っていたものが、今や3%を超える水準となり、わずか半年で1.2%以上も上昇する急激な動きです。
「固定金利」に潜むリスク
固定金利には、多くの人が見落としている大きなリスクがあります。
適用されるのは「申込時」ではなく「決済時」の金利
多くの固定金利商品は、申し込んだ時の金利ではなく、家が完成して融資が実行される「決済時」の金利が適用されます。
例えば半年前、フラット35が1.97%の時に申し込んだ人が、家が完成した今、3.21%の金利を突きつけられるという事態も。
これでは資金計画が根底から崩れてしまいますよね。「固定」という名前から、ずっと金利が変わらない安心感をイメージしがちですが、実は「建てるまでの間」が最も変動リスクが高い期間。
このリスクを説明しない住宅会社の営業担当者が多いのは、業界の大きな問題です!
政治や経済のニュースが金利を動かす
現在のインフレや円安、中東情勢による原油価格の上昇も金利に大きな影響を与えています。また、意外かもしれませんが、「消費減税」の議論も関係。
減税によって日本の財政に対する信用が落ちれば、国債が売られて金利が上がる圧力になります。
本来、将来世代のことを考えるならば、消費税を上げて社会保険料を下げるべきですが、目先の人気取りのための政策が、結果的に皆さんの住宅ローン金利を押し上げる要因にもなり得るのです。
「変動金利」をおすすめする3つの理由
私が自分の家を建てるなら、迷わず選ぶのは変動金利。その理由は大きく分けて3つあります。

1. 固定金利との圧倒的な金利差
かつて変動と固定の金利差は1%程度でしたが、現在は2%ほどまで拡大。変動金利が固定金利を追い抜くためには、政策金利をあと何度も引き上げなければなりません。そこまで急激に上がる可能性は極めて低いと私は考えています。
2. 変動金利は「人」がコントロールしている
市場原理で動く固定金利と違い、変動金利(政策金利)は日銀という「人」が、国民生活への影響を考慮しながら話し合いを重ね、慎重に決定。固定金利のように半年で1%以上も急騰する可能性は低いでしょう。
コントロールが効くという点で、変動金利のほうが予測しやすいというのが私の考えです。
3. 残債が多い初期に低金利であるメリット
ローン金利は、借入残高が多い返済初期ほど支払額に大きく影響します。例えば、5,000万円借りている時の1%は50万円ですが、2,500万円に減った時の1%は25万円。
返済が進んでから金利が上がっても、ダメージは限定的。残債が多い最初の10年間ほどを低金利で返せる変動金利は、非常に理にかなった戦略と言えます。
固定金利を選ぶなら「フラット35」のポイント制度をフル活用

もちろん、固定金利が向いている人もいます。最大のメリットは「精神的な安定」。
金利上昇のニュースに一喜一憂したくない方は、この金利差を払う価値はあるでしょう。
固定金利を選ぶなら、フラット35のポイント制度を徹底的に活用。子どもの人数や住宅性能に応じて、金利の優遇が受けられます。
例えば、子ども1人につき5年間、金利が0.25%引き下げられる仕組みがあり、多子世帯で高性能な家を建てる場合は、当初10年間の金利を1%台前半まで抑えることも可能。
こうした優遇を受けられるのであれば、固定金利も現実的な選択肢です。
よくある疑問
頭金は入れるべきか?
諸費用などの最低限の現金は必要ですが、無理に多くの頭金を入れる必要はありません。金利がこれほど低いのであれば、手元に現金を残しておく方がリスク管理に役立ちます。
現金があれば、無駄な保険を解約して固定費を減らし、投資や自己研鑽にも回すことが可能。ローン利息以上のリターンも期待できます。
インフレに強い住宅ローンの秘密
インフレ局面では、住宅ローンを組むことは非常に有利です。物価が上がってもローンの残債額は変わらないため、実質的な借金の価値は相対的に目減りします。
また、住宅ローンを使って「土地」という現物資産をレバレッジを効かせて購入できることは、インフレに対する強力なリスクヘッジになります。ただし、将来的に価値が落ちない「良い土地」を選ぶことが大前提。
金利はいつ決まる?
前述した通り、金利は基本的に実行時(完成した時)に決まります。申込時ではないので要注意。
住宅ローンは怖いものじゃない!

現在の制度では、家を建てる人は国から非常に優遇されており、住宅ローン控除を活用すれば、借入残高の0.7%が13年間にわたって還付されます。
例えば、5,000万円の住宅ローンを借りた場合、0.7%に相当する年間35万円が戻ってくる計算です。これが13年間も続くのですから、非常に強力な制度と言えます。
厳密には、ローンの残高が常に5,000万円あるわけではありませんし、満額の35万円を受け取るには年収が800万円以上程度必要になるという条件はあります。
そのため、全員が最大額を受け取れるわけではありませんが、13年間で数百万円ほどの金額を受け取れる制度があることは、家を建てる人にとって大きなメリット。
現在の変動金利の水準であれば、金利負担分を還付金が上回る「実質無金利」の状態と言えます。
補助金制度(みらいエコ住宅2026事業)なども活用すれば、GX志向型住宅:110万円、長期優良住宅:75万円といった高額な補助金が交付される可能性も。
これほど手厚い支援があるのですから、活用しない手はありません。これほどまでに優遇されている状況でも「家を建てるのが怖い」と感じるのであれば、今は建てるべき時ではないのでしょう。

また、金利の心配をする以上に、住宅価格そのものの上昇に警戒すべきです。住宅の着工戸数自体は確実に減少していますが、住宅会社は単価を大幅に引き上げています。
金利も上がりますが、住宅価格はそれ以上に「爆上げ」の状態にあり、5年前に比べて坪単価は大幅に上昇。今後もこの傾向は続くと予測しています。
「建てるなら早い方が良い」というのが、今の市場環境における私の見解。迷っている間に建築価格が上がってしまえば、金利差による影響を簡単に上回ってしまいます。
今は家を建てる人にとって非常に良い仕組みが整っている世の中。さっさと決めて、理想の住まいを形にしましょう。
まとめ

金利の正解は誰にもわかりません。2019年には固定金利の方が有利だった時期もありましたが、それは結果論です。未来を不安がって動けなくなるのが人生で最大のリスク。
不安を解消する唯一の方法は、しっかり稼ぐこと。インフレが進み、政府が頼りにならない今の時代、会社にしがみつくだけでなく、スキルを上げ、転職や副業も視野に入れて自分の価値を高めてください。稼ぐ力が、あらゆるリスクをねじ伏せます。
そして、家にお金をかけすぎてはいけません。家はあくまで「ツール(道具)」であり「箱」。
住宅会社は豪華な設備や大きな家を勧めますが、それに応じすぎると皆さんは住宅会社の養分になってしまいます。
大切なのは、不安に振り回されず、制度を上手に活用し、無理のない資金計画を立てること。
家はコンパクトでも高性能であれば十分。浮いたお金で、家族と美味しいものを食べ、旅行に行き、子どもの教育に投資してください。家を建てた後にどれだけ豊かな人生を送れるかが本番ですよ。
