2025.01.15
主寝室と子ども部屋の間取りの完全攻略版を紹介します。「子ども部屋は何畳くらいがちょうど良いのか」と悩む人が多いですが、実は畳数はそれほど重要ではありません。広さではなく、収納の配置や扉の種類、窓の配置や高さ、コンセントの位置、家具のシミュレーションを行い、使いやすい子ども部屋にすることが大切です。どんなに広くても機能的な子ども部屋の間取りづくりのポイントを押さえていないと、使いにくくなります。
今回は、間取りを作り始めて10年くらい経ち、ボツも含めて1,000件くらい間取りを描いている私が編み出した【コンパクトだけど機能的な子ども部屋間取りのツボ】を網羅的に紹介します。さらに廊下と主寝室のツボも紹介しますよ。1階を充実させて2階をコンパクトにしつつ、機能的な間取りにする参考にしてくださいね。
今回は以下を詳しく解説していきます。
目次
2階の間取りの考え方
①とにかくコンパクトに
2階の間取りは、とにかくコンパクトにしてください。「せやまどり」で一番大事なのは1階完結型にすることです。平屋を理想として、1階を充実させながらコンパクトな家にするためには、2階をコンパクトにするのがおすすめです。
質問①:総2階の方がコストが落ちるのでは?
「1階と2階のサイズを同じにする方がコストが落ちるのでは?」と聞かれることがあります。確かに単価でいうと総2階の方が安いです。ただ総2階にするために2階を大きくして家のサイズを大きくすると、その分のコストが上がります。多少単価が上がったとしても、2階を小さくして全体の延床面積を小さくする方がコストがかかりません。
②1階と2階の壁の位置を合わせる
特に2階の外壁ラインは極力合わせるように意識してください。いわゆる直下率を無視すると地震に弱い家になります。それを地震に強い家にするために余計な材料が必要になって、コスパが悪くなります。1階より2階を小さくしつつも、壁の位置を合わせることは意識してくださいね。
質問②:構造計算をすれば無視しても良いのでは?
「構造計算して、許容応力度計算で耐震等級3を取れているから問題ない!」と言う人がいますが、構造計算をしたからといって絶対に大丈夫ということはありません。そもそも1階と2階の壁の位置がズレているのは地震対策として良くないです。コスパも悪くなり、気密性能にも多少は影響するのでおすすめしません。
③天井の高さは2,200mmでもOK
2階の天井高は2,200mmでも構いません。基本はH2,400mmですが、1階をH2,600mmにした場合は2階をH2,200mmにしてコストカットしてください。最初は「ちょっと低い」と感じるかもしれませんが、慣れるので安心してください。
2階廊下
④廊下を短く
2階の廊下は短くして、扉が集まるようにしてください。
質問③:廊下が短いとぶつかるのでは?
「廊下が短いと、部屋から一斉に人が出てきた時にぶつかりそう」と言われることがありますが、そんな状況はありません。
⑤階段ホールに窓を付ける
階段ホールは暗くなりがちなので、明かり取りの窓を付けてください。1箇所でも良いですし、南側じゃなくても構いません。
⑥廊下の手すりは腰壁に
廊下の手すりは腰壁にしてください。耐力壁が必要な場合は天井まで上げる必要がありますが、腰壁にしたり、長い場合はオープンデザインの手すりにすると開放感が出ますよ。そうすれば廊下が短くても圧迫感がありません。
子ども部屋
⑦主寝室と区画を分ける
子ども部屋と主寝室は区画を分けるか、何かを挟んでください。今回は階段ホールを挟んでいます。親子とはいえ、部屋と部屋にはプライバシーがあるので、音が響かないようにしてくださいね。
⑧適切なサイズに!
1人部屋なら4.5畳、2人部屋なら6畳あれば十分です。1人部屋で4.3畳でも良いですし、4畳くらいあればなんとかなります。3.5畳だと狭すぎますが、3.8~4畳くらいが一番小さいゾーンです。2人部屋でも5.2畳くらいで問題ありません。子ども部屋を大きくすると、家がどんどん大きくなるので注意してください。形は3P×3P(1P=91cm)の正方形にこだわる必要はありません。幅が2.5Pあればベッドを置けますよ。
質問④:3畳はどうですか?
3畳はちょっと狭いです。ダメということはありませんが、狭いのでおすすめしません。
⑨クローゼットの扉をなくす
クローゼットの扉をなくすとコストカットできます。付けても良いですが開けっ放しになることが多いですよ。扉ではなくロールスクリーンにするのもアリです。
「普段は開けておくけど、いざという時に隠したい」という場所はロールスクリーン、「いつも閉めておきたい」という場所は扉、「いつも見えていても良い」という場所は何もなしにするのがおすすめです。
⑩部屋は最初から区切る
最初は子ども部屋を繋げておいて、大きくなったら壁で仕切って分けるというのはやめた方が良いです。後で面倒になって工事しないことが多いので、最初から壁で分けておいてください。
⑪ドアの種類
ドアは開き扉の方が遮音性能が高いです。プライバシーを重視する居室、子ども部屋に関しては開き扉を優先して選んでください。ただし省スペースを優先する場合は引き戸でも構いません。
ドアの種類による音漏れの差に関して、詳しくはこちらの記事もご確認ください。
関連記事:新築で後悔…家の音問題を徹底検証!6つの音漏れ実験で分かった真実とは?
⑫入口と収納の配置
入口と収納を近くすることで、部屋の奥を全て家具を置くスペースとして使えます。
⑬バルコニー不要
バルコニーを付けてもほとんど使いませんし、コストがかかります。なにより子ども部屋にバルコニーがあると、掃き出し窓の前に家具が置けません。結果的に子ども部屋を広くしなければならなくなるので、バルコニーは不要です。
バルコニーに関して、詳しくは以下の記事もご確認ください。
関連記事:バルコニー付けると後悔する理由5選!でも付けるべき人の特徴とバルコニーを無駄にしない鉄則7選も紹介!
⑭家具配置シミュレーション
子ども部屋をコンパクトにしたい場合、家具の配置シミュレーションは必須です。間取りに家具を当て込んで、家具がちゃんと置けるのか確かめてください。
⑮窓の配置・個数
窓の高さは、最低でも床から1m確保してください。一般的な手すりが1.1mくらいです。窓が低いと子どもが落ちるリスクがあるので注意してください。上端(うわば)が2mの場合には窓の高さが約90cmくらいのものを入れるのがおすすめです。
窓の数は1箇所で十分です。昔は「窓を開けて換気しよう」という話があったので複数箇所必要でしたが、今は換気システムでバッチリ換気ができますし、気密性能が高いので窓を開けて風を通すことはありません。窓を開けて換気しなくても快適になるので、コストカットのためにも1箇所にしてください。
⑯隣家の窓位置への配慮
お隣さんと窓の位置が合わないよう、配慮してください。どうしても窓の位置が近い場合は、透明な窓ではなく型ガラスにしたり、小さめで目線が合わない高い位置に窓を付けるのがおすすめです。お隣さんの窓の位置を意識しながら配置を検討してくださいね。
⑰東西の窓にはアウターシェードを
東西に窓を配置する場合は、アウターシェードを付けてください。特に2階は遮るものが少ないので、日射がきついです。BE ENOUGHが推奨するせやま式屋根裏エアコンでも日射に負けることもあるので、東西の窓にはアウターシェードの設置を検討してください。
せやま式屋根裏エアコンに関して、詳しくはこちらの記事をご確認ください。
関連記事:2階はエアコン1台でOK!夏の暑さ対策に最適な「せやま式屋根裏エアコン」とは?
⑱南窓の場合は軒を出す
南側に窓が来る場合は、600~700mmくらい軒を出して日射遮蔽をしてください。軒ゼロの屋根はおすすめしませんよ。
⑲コンセントの配置
家具の配置を考えた上で、コンセントの配置をしてください。ただし、コンセントは思い通りになりません。延長コードを付ける人が多いので、迷ったら多めに付けておいてください。
エアコンのコンセントも付けておいてください。今回はせやま式屋根裏エアコンを導入していますが、暑がりの人は足りません。予備として100Vのエアコンコンセントを付けておいてくださいね。
質問⑤:ネットやテレビの配管は必要?
ネットはWi-Fiがあれば良いですし、テレビは子ども部屋に置かなくてもリビングで十分です。
⑳照明
照明はダウンライトでもシーリングライトでも良いですが、調光機能は必須です。夜、寝る時には明るすぎるので、必ず調光機能を付けてください。
主寝室
㉑主寝室の適切なサイズ
主寝室は6畳あれば十分です。ただ、5.2畳でもシングルベッド2つにサイドテーブルを置けますし、セミダブルも2つくらい置けますよ。
ただし、ベッドを縦に置く方向を3Pにすると、足元がめちゃくちゃ狭くなります。ベッドで2.5Pくらいのスペースは取るので、長手方向のスペースは3.5Pくらいあった方が良いです。
6畳にする場合は3P×4Pも良いですが、3.5P×3.5Pで正方形(6.1畳)の寝室が最も配置効率が良いです。ベッドの配置シミュレーションを行いながら主寝室の配置を考えてください。
㉒ベッドサイズ
若い夫婦が「ダブルベッド1つだけで良いです」と言うことが多いですが、年齢を重ねるともう少し距離感があった方が良いです。シングルベッドを2つ置けるサイズを確保するのがおすすめですよ。
㉓ウォークインクローゼットの動線
納戸的なウォークインクローゼットを2階に作るのがおすすめです。動線は指定しすぎないようにしてください。「廊下から入りたい」「主寝室から入りたい」と指定すると間取りの制限がきつくなるので、指定しないのがベストです。
主寝室の収納だけではなく子ども部屋の収納も含めたファミリークローゼットにしたい場合は廊下から入る配置にしてください。ただし廊下からの動線を増やすと廊下が長くなり、有効スペースが減る点に注意してくださいね。
質問⑥:2階にウォークインクローゼットがあるなら1階には不要では?
1階にもウォークインクローゼットは絶対に必要です。1階にも2階にもウォークインクローゼットを配置するのが理想です。ただし、ウォークインにこだわる必要はありません。壁付けのクローゼットでも十分ですよ。
㉔ウォークインクローゼット内に押入スペースを配置
ウォークインクローゼットの奥に中段という押入に使う棚を付けて、ウォークインクローゼットの一番奥を押入として使うのがおすすめです。「1階の和室に押入を付けたい」と言う人は多いですが、客用の布団を1階に収納する必要はありません。2階の納戸の一番奥に置けるようにしても十分ですよ。
㉕照明の位置は頭の近くを避ける
照明の位置をベッドの頭の近くに配置すると眩しいので、足元に近い方に設置するのがおすすめです。
まとめ
2階の間取りの考え方
- とにかくコンパクトに
- 1階と2階の壁の位置を合わせる
- 天井の高さは2,200mmでもOK
- 廊下を短く
- 階段ホールに窓を付ける
- 廊下の手すりは腰壁に
- 主寝室と子ども部屋の区画を分ける
- 子ども部屋は適切なサイズに!
- クローゼットの扉をなくす
- 部屋は最初から区切る
- ドアの種類は開き戸がおすすめ
- 入口と収納は近くに配置
- バルコニーは不要
- 家具配置のシミュレーションをする
- 窓の配置・個数に注意
- 隣家の窓位置に配慮する
- 東西の窓にはアウターシェードを
- 南窓の場合は軒を出す
- コンセントの配置
- 照明の種類
- 主寝室の適切なサイズ
- ベッドのサイズ
- ウォークインクローゼットの動線
- ウォークインクローゼット内に押入スペースを配置
- 照明の位置は頭の近くを避ける