2026.06.23
目次
コンパクトなのに機能的!32坪の優等生間取り

今回は、せやまどりルールをかなり忠実に網羅した、まさに優等生の間取りを紹介します。
これまで公開していた「せやまどりルール一覧表」をリニューアルし、内容を一部改変して新しく公開しました。費用対効果を重視した間取りを作るなら、絶対に押さえておきたいチェック表です。
今回は、その新しいせやまどりルール一覧表の順番に沿って、実際の間取りを紹介していきます。今回の間取りは、せやまどりルール55項目のうち53項目をクリアしている、非常に完成度の高い間取りです。
延床面積は32.2坪。コンパクトにまとめながら、LDKは開放的で、収納は充実。さらに家事動線もかなり優秀です。
家を大きくすれば、要望はいくらでも入れられます。でも、40坪を超えるような家にしてしまうと、今回の32坪台の家と比べて数百万円単位で費用が変わります。一方で、コンパクトにすることばかり考えると、リビングが狭くなったり、収納が足りなくなったりして、毎日の暮らしにストレスが出ます。
大事なのは、機能性を重視するところと、コンパクトにするところをうまく分けること。
そのちょうどいい落とし所を見つけた間取りとして、今回のプランはかなり参考になりますよ。
“せやまどり”とは
費用対効果を重視し、コンパクトでありながら、「開放的なリビング」「収納充実」「最高の動線」を実現した間取り
今回のご要望内容

今回の要望は、かなり盛りだくさんです。
玄関は、シューズクロークとシューズボックスの併用型。しかも、玄関ホールからアクセスしたい。
LDKは大きく取りたい。リビングに勾配天井を設けたい。リビング併設の和室もほしい。
キッチンからの見通しを良くし、キッチン背面には幅2700mmのカップボード。さらに大きなパントリー、勉強スペース、本棚も必要。
洗面と脱衣室は分けたい。洗面から行ける大きなウォークインクローゼットもほしい。脱衣室、つまりランドリールームも広めにしたい。
2階はとにかく廊下を短くしたい。主寝室と子ども部屋は寝るだけでいいので、3部屋で十分。ただし、2階に納戸的なウォークインクローゼットもほしい。
こういう要望、かなり多いです。
これだけ盛り込むと「本当に32坪台で入るの?」と思うかもしれませんが、入ります。今回の間取りでは、全部盛り込んで32.2坪に収めています。
基本的な考え方
まずは、せやまどりルール一覧表の最初にある、基本的な考え方から確認していきます。
1. 1階完結型を目指す!
1つ目は、1階完結型です。
1階で生活がほぼ完結できるようにして、2階は寝る時に上がるだけ。年を取ったら1階だけで暮らせるようにしておく、という考え方です。
今回の間取りは、ほぼ平屋に近い構成です。延床面積32坪のうち、1階の面積が20坪あります。20坪あれば、平屋としても十分な広さ。1階完結型として、しっかりクリアしています。
2. 家を大きくしすぎない!
2つ目は、家を大きくしすぎないこと。
今回の延床面積は32坪台です。いつも紹介している30坪前後の間取りに比べると少し大きめですが、世の中の注文住宅の平均は38坪前後。そこから考えると、6坪ほどコンパクトです。
6坪違えば、300万〜400万円ほど費用が変わる可能性があります。だからこそ、家を大きくしすぎないことは重要です。
3. LDKと収納を最優先に!
3つ目は、LDKと収納を最優先にすること。今回のLDKは18.7畳あります。
さらに、1階の水回りまわりには、ウォークインクローゼットなどを含めて約5畳分の収納があります。これはかなりの収納量。キッチンまわりも、幅2700mmのカップボードに加えて、大きなパントリーを確保しています。
コンパクトな家でも、LDKと収納をしっかり確保する。ここが大事です。
4. 無駄なスペースは徹底的に削る!
4つ目は、無駄なスペースを徹底的に削ること。
今回の間取りには、無駄なスペースがほとんどありません。空間が余りそうなところは、すかさず収納にしています。
この4つの基本を押さえたうえで、ここから細かいルールを順番に見ていきましょう。
玄関
5. 玄関を広くしすぎない!

まずは玄関です。玄関で最初に大事なのは、広くしすぎないこと。
今回の玄関は、幅1.5P、奥行き1.5P。玄関ホールは奥行き1Pです。まさにジャストサイズ。玄関の幅を2Pに広げるだけで、20万円ほど費用が上がってしまうので、抑えていきましょう。
6. 玄関収納は多めに!

一方で、玄関収納はしっかり確保します。今回のシューズクロークは、幅1.5P、奥行き1.5P、棚の奥行きは30cm。イソ吉草酸の換気対策も忘れずに。そして、ロールスクリーンによる目隠し付きです。入口も中央に配置しており、使いやすい形になっています。
さらに今回は、シューズクロークだけでなく、シューズボックスもあります。シューズクロークとシューズボックスの併用型。しかも、玄関ホールからアクセスできる位置にあるので、かなり贅沢な構成です。それでも延床32坪台に収まっています。
7. 鍵を置くスペースの確保
玄関まわりでは、鍵を置くスペースの確保も大事です。今回の間取りでは、ニッチを設けています。
ニッチを置くか、シューズボックスを二の字かコの字型にして一部を空けるか。どちらでもいいので、鍵や小物を置ける場所を確保してください。
8. 玄関ホールからキッチンへの動線は避けよう!
次は、玄関ホールからキッチンへの動線ですが、今回は玄関からLDKに入ったとき、キッチンが見える配置になっています。ただし、見せたくない部分はしっかり隠しています。
特に隠したいのは、ゴミ箱スペースや、キッチン足元のごちゃつき。今回の間取りでは、壁で視線をブロックしています。キッチンが近くても、見せたくない部分を隠せていればOKです。
9. 玄関からLDKに入った時の抜け感を!
玄関ホールからLDKへ入った時の景色、抜け感も大事です。今回は、キッチンの目隠し壁があるため、正面に大きく抜ける感じではありません。ただし、その分ニッチを設けて圧迫感を軽減しています。さらに、アクセントクロスでかわいく仕上げているので、玄関から入った時の景色もきれいです。
一般的には、LDKに入った正面に窓があると、抜け感のある入口になります。
リビング
10. リビングは最も日当たりの良い場所に!

リビングは、家の中で最も日当たりの良い場所に持っていきましょう!
今回のリビングは、南側・東南の角に配置されています。日当たりはしっかり確保。
11. ソファーとテレビの距離、スペースは十分に!

今回は、ソファーとテレビの奥行きは4P確保できています。ソファースペースの幅は2.5P、テレビボード側も2.5Pを確保。
12. ソファ⇒テレビ方向の横に大きな窓を付ける!
今回、テレビとソファーの横方向には、しっかり窓があります。
13. 高さで解放感を演出!
今回のリビングは、勾配天井で解放感を演出。
アクセントクロスも使われており、木目調の雰囲気がしっかり出ています。本物の木に見えるような仕上がりで、かなり良い雰囲気です。
吹き抜けにすると、200万円以上コストが上がるケースもあります。一方で、勾配天井ならコストを抑えながら解放感を出せます。さらに、吹き抜けを作りすぎると構造的に水平構面が取りにくくなり、弱くなる可能性も。
これらを総合的に考えると、勾配天井も有力な選択肢の一つです。
14. リビング・ダイニングまわりの小物収納も忘れずに!
リビングやダイニングまわりには、小物収納も必要。今回の間取りでは、パントリー兼小物収納のような大容量収納があります。
これだけ収納があれば、リビングやダイニングで使う細々したものもかなり片付けやすくなります。
15. キッチンとリビングを隣接させない!

キッチンとリビングの距離感も大事です。今回の間取りでは、キッチンとリビングが斜め向かいのような配置になっています。
キッチンでは、皿洗いや食洗機の音が出ます。キッチンのすぐ前にソファーを置くと、音が気になってストレスになることも。そのため、ダイニングを挟む、少し斜め向かいにするなど、音への配慮をしてください。
16. 大きな荷物が搬入できる掃き出し窓を!
今回、リビングには、大きな荷物を搬入できる掃き出し窓があります。駐車場から直結できるため、大型家具の搬入もしやすい配置です。
コンパクトにするための工夫
コストを抑える工夫も入っています。
ソファースペースは壁から見ると3.5Pで、贅沢にするなら4P取りたいところですが、今回は0.5P削っています。これだけで30万〜40万円ほどコストを抑えられる可能性があります。
キッチン・ダイニング
17. キッチンから全体を見渡せる配置に!

キッチンで最初に大事なのは、家全体を見渡せる配置です。
今回のキッチンからは、リビング、ダイニング、和室まで見渡せます。
子どもがリビングでゴロゴロしている様子や食事中の様子も分かる。キッチンに立ちながら家族の様子を見守れる、非常に良い配置です。
18. キッチン収納は多めに!
キッチン収納は、かなり多めに確保されています。
キッチン本体の収納に加えて、背面には幅2700mmの大きなカップボードに加え、幅2Pの大容量のパントリーも設置。小物収納としても兼用できます。
ここまで取れなくてもいいですが、パントリー、セカンド冷凍庫、ウォーターサーバーなどを置く人は、あらかじめ配置を検討しておきましょう。
19. コンロ前は壁を推奨!

コンロ前の壁は、あった方が使いやすいです。今回のようにIHの場合は、ガスコンロほど油や汚れが広がりにくいため、壁なしでも成立します。
ただし、ガスコンロの場合は、上昇気流で汚れが広がらないように壁を設けることが重要です。
また、コンロまわりは調味料やお玉などでごちゃつきやすい場所でもあるので、正面から見えにくくする意味でも、壁があると便利です。
20. キッチンとカップボードの距離は1mが理想!
キッチンとカップボードの距離は、1m程度が理想です。
今回も1mほど確保されています。許容範囲としては、80cm〜110cm程度。広すぎても移動が面倒になり、狭すぎると作業しづらくなります。
21. 冷蔵庫はダイニングから動線の良い場所に!
冷蔵庫は、基本的にダイニングから近い位置に置くのが便利です。
ただ、今回の間取りでは、ダイニング近くに冷蔵庫を置くとシンクとぶつかりやすくなるため、少し奥側に配置しています。
普通に考えると、ダイニングから遠くなり、動線が悪くなりそうですが、今回は回遊動線があるため、ぐるっと回って冷蔵庫へアクセスが可能。
このように、冷蔵庫をダイニングのすぐ近くに置けない場合でも、回遊できる経路を確保すれば使いやすくできます。
22. ダイニングテーブルの適切なサイズを確保!

ダイニングでは、テーブルの適切なサイズを確保することが大事です。
奥行きは80cmが基本。少し広めにしたい場合は、85cm〜90cmを狙ってもOK。幅は、1人あたり最低60cm。できれば70cm〜80cmあると余裕があります。6人掛けなら、60cm×3人分で180cmが最低ラインです。
何人掛けにするのかを考えたうえで、必要なスペースをしっかり確保しましょう。
23. ダイニングまわりの通路幅も重要
ダイニングまわりでは、通路幅も重要です。特に椅子の後ろが狭いと、かなり不便になります。
最低でも60cm。人が後ろを通るなら最低80cm、できれば1mほどほしいところです。
今回の間取りでは、椅子の後ろに約1mの通路幅があります。誰かが座っていても、問題なく通れますし、横側にも余裕があるため、お誕生日席として使うこともできる配置です。
日当たりとレイアウトに関するポイント

西側は西日で暑くなりやすい方角です。
収納を作るには壁が必要となりますので、今回のように、キッチンとダイニングを並列型にする場合は、背面側を西側や東側にして、窓を作らずに、冷蔵庫、カップボード、パントリー、勉強スペースなどの収納ゾーンにすると、非常にすっきり収まります。
キッチンのコスト削減ポイント
回遊動線にしたい場合、オープンキッチンを希望する人も多いですが、オープンキッチンはかなり高額になりやすいです。
今回のように、通常の奥行き650mmのI型キッチンを使い、壁を付けてペニンシュラ風にする。そして、そのまわりを回遊動線にすると、50万〜100万円ほどコストを抑えられる可能性があります。
「回遊動線=オープンキッチン」と決めつけず、コストを削れるところはしっかり削る。これも、費用対効果の高い間取りづくりの大事なポイントです。
和室・勉強スペース

24. 和室はリビング・ダイニング併設!3.1畳ミニ和室でOK!
続いて、和室を見ていきます。今回の和室は、見た目では4.5畳くらいありそうに見えますが、実際は3.1畳です。幅2.5P×2.5Pのミニ和室で、敷布団を2枚ちょうど敷けるサイズ。
将来的には主寝室として使うこともできる、ちょうどいい広さの和室です。
せやまどりルールでは、和室はリビング・ダイニング併設の3.1畳ミニ和室でOKとしています。今回の間取りも、このルールをしっかりクリア。和室に座ってみると、赤ちゃん目線でもリビング・ダイニング全体が見渡せる配置になっています。
4.5畳の和室に比べると、3.1畳にするだけで約50万円のコスト削減につながります。もちろん、4.5畳あれば広くていいですが、和室は「あるか・ないか」の差が大きいスペース。
3.1畳でも、LDKに併設されているだけで体感的な広がりが出ます。LDK18畳にこの和室を足すと、21〜22畳くらいの広さに感じられる。これはかなり大きなメリットです。
25. 勉強スペースを確保しよう!

次は、勉強スペースです。今回の間取りでは、1人分の勉強スペースを確保しています。
子どもが小さいうちは、ここで勉強することもあります。ただ、子どもは成長すると自分の部屋に上がるようになるため、将来的には親が使う作業スペースにしたり、共有のパソコンを置いたりする使い方もおすすめ。
今回のカウンターは、奥行き450mmです。がっつり仕事をするなら、奥行き600mmくらいある方が使いやすいです。ただ、勉強スペースや共有パソコン用であれば、最低450mmを確保しておけば使えます。
洗面・脱衣所
続いて、洗面・脱衣所と収納です。
26. キッチンと洗面所を隣接!

まず大事なのは、キッチンと洗面所を近くに配置することです。
今回の間取りでは、廊下を少し挟んでいますが、キッチンから洗面までの動線はかなり良い配置です。キッチンと洗面が遠いと、家事が大変になります。
理想は隣接。隣接できない場合でも、なるべく近くに持っていくことが大事です。
洗面所の扉はなくてもOK

今回の洗面所には、扉を付けていません。
洗面所は、必ずしも扉が必要な場所ではありません。動線を優先したい場合は、扉をなくす選択もあり。洗面台は幅900mm。その横には、化粧スペースとして使えるカウンターを設けています。
しかも窓があるため、自然光を取り入れながら化粧ができます。
洗面台+カウンター

化粧スペース付きの幅1200mm洗面台を選ぶ方法もありますが、価格が高くなります。
そのため、洗面台は900mmに抑え、その横にカウンターを設ける。これだけでも十分使いやすく、コスパも良い選択になります。
27. 1階にウォークインクローゼットを!

次は、1階のウォークインクローゼットです。
今回の間取りでは、洗面から直接行ける場所に、奥行き2.5P・2.5畳の大容量ウォークインクローゼットがあります。普段使う衣類は、1階にまとめて収納。これを押さえるだけで、日々の暮らしがかなり楽になります。
28. 入口(SIC/WICの)は中央に!目隠しはロールスクリーン!

シューズクロークやウォークインクローゼットは、入口を中央にして、両側に収納スペースを設けると効率的です。今回もそうしています。
目隠しにはロールスクリーンを採用。扉よりも圧迫感が出にくく、必要な時だけ隠せます。
脱衣室・ランドリールーム
続いて、脱衣室兼ランドリールームです。
29. 部屋干しスペースの十分な確保を!
30. 洗面・脱衣室の収納は必須!
今回の脱衣室・ランドリールームは、なんと3畳あります!
乾太くんを設置しつつ、室内干しスペースもしっかり確保。その下には衣装ケースなどを置けるほか、棚や引き出しも設けられているため、収納までしっかり確保されています。
31. 隙あらば収納!掃除用具の収納を忘れずに!
洗面・脱衣所まわりで最後に押さえたいのが、すきあらば収納です。
掃除用具の収納も忘れてはいけません。
今回の間取りでは、玄関から洗面へ向かう動線が非常に良くできています。ただ、通路を広くしすぎてももったいない。そこで、一部を玄関のシューズボックスに使い、空間を無駄なく活用しています。
さらに、ウォークインクローゼットの奥には階段下スペースがありるので、普段あまり使わない大きな荷物、たとえばスーツケースなどを置くには最高のスペースです。
ユニットバス
せやまどりルールには入っていませんが、ユニットバスも確認しておきます。
サイズは1坪でOK。今回のユニットバスは、細かいカウンターなどがなく、すっきりした仕様です。浴室乾燥、断熱浴槽、断熱ふたも採用されています。
扉は開き戸です。開き戸にする場合は、タオル掛けを付けておくと便利です。足拭きマットなどを掛けるのに使いやすいですよ。
ただし、開き戸には注意点もあります。完全に90度まで開かず、80度くらいで止まることがあります。そのため、出入り口まわりのスペースが少し狭くなる可能性があります。ここは把握したうえで選んでください。
折戸や引き戸は、水が脱衣室側に出やすいため、私はあまりおすすめしていません。
トイレ
続いて、トイレです。今回のトイレは、玄関からでも洗面からでもなく、廊下から入る少し変則的な配置になっています。間取り上、廊下を少しとって、そこからトイレに入る形です。
32. リビングからトイレまでに扉を2枚挟む!
トイレで大事なのは、リビングからトイレに入るまでに扉を2枚挟むこと。
今回の間取りでも、リビングからトイレまでに扉が2枚あります。トイレの音は、暮らし始めてから意外と気になるポイント。リビングから近すぎたり、扉1枚だけだったりすると、音が気になってストレスになることも。
33. トイレのドアはアッパーカットトイレドア!

トイレのドアは、アッパーカットトイレドアを採用しています。新幹線のトイレと同じように、上から空気を入れて、下から抜く考え方。これにより、トイレの臭い対策にもつながります。
34. 2階トイレは奥行1.5Pで十分!
せやまどりルールでは、2階トイレは奥行き1.5Pで十分としています。

ただ、今回の2階トイレは少し広めです。理由は、独立した手洗いを付けたいという要望があったから。奥行き1.5Pでは少し足りなかったため、スペースを広げて独立手洗いを設けています。
ここは、ルールどおりではありませんが、広くした理由が明確です。予算をかけるところと抑えるところにメリハリをつける。これが大事。
階段と廊下
続いて、階段周りです。
35. 家族のコミュニケーションが増えるリビング階段に!

せやまどりルールでは、家族のコミュニケーションを増やすため、リビング階段を基本としています。
今回の間取りは、正確にはリビングから廊下を経由する階段ですが、一度LDKを通ってから2階へ上がる動線になっています。普段は扉を開けたまま使うことが多く、リビングのエアコンの暖気も階段を通って2階へ流れやすい配置です。
一方で、リビング階段にはテレビの音や生活音が2階へ伝わりやすいというデメリットも。今回の間取りでは、テレビから階段を少し離し、間に空間を設けることで、そのデメリットも上手に解消しています。
36. 階段下も余すことなく利用!
階段下のスペースも無駄にしていません。ウォークインクローゼットの奥には収納スペースがあり、さらにトイレも階段下を利用。頭をぶつけない程度の高さが確保できれば、階段下をトイレにするのも十分アリです。
仮にトイレを別の場所に配置すると約1畳分のスペースが必要になり、その分家は大きく、建築費も30~40万円上がります。
こうした工夫を積み重ねることで、家全体をコンパクトにしながら、必要な機能はしっかり確保できます。
2階
37. 2階廊下を短くできる階段配置に!
2階へ上がると、まず驚くのが廊下の短さです。今回の廊下は約1畳しかありません。
階段を家の中央に配置し、そこから放射状に部屋を配置することで、無駄な廊下を徹底的に削っています。
38. どこかに本棚を!

2階の廊下には本棚はありませんが、勉強スペースの上に奥行き30cmほどの本棚を設けています。書類やよく読む本を置く程度でも、本棚スペースはあると便利です。
大きな本棚である必要はありません。少しでも収納スペースを確保しておくことが大切です。
39. 主寝室・子ども部屋は「寝るだけ」と割り切る!
2階の部屋は、寝るための部屋と割り切ります。
今回の主寝室は6畳。子ども部屋は通路部分を含めて約5畳、実質4.5畳。必要以上に広くしないことで、家全体をコンパクトにできます。
40. 主寝室と子ども部屋はできるだけ隣接させない!
夫婦と子どもの生活時間は、成長とともに変わります。そのため、主寝室と子ども部屋はできるだけ隣接させないことがおすすめ!
今回の間取りでは、寝室と子ども部屋の間にトイレを挟み、プライバシーにも配慮しています。
41. 居室の入口と収納を近くに!
各部屋は、入口の近くに収納を配置しています。こうすることで、収納までの動線が短くなり、部屋の奥を家具スペースとして有効活用できます。
42. 家具配置のシミュレーションをしよう!
部屋の広さだけでなく、家具の配置まで考えることが重要。
特に4.5畳程度の子ども部屋では、ベッドや机をどこに置くかによって、コンセントの位置も変わります。窓の前に二段ベッドを置くなど、安全面も含めて事前にシミュレーションしておきましょう。
43. 2階どこかに納戸的なウォークインクローゼットを!
2階には約2畳のウォークインクローゼットがあります。入口は中央、両側収納のレイアウトです。
奥には換気口も設け、衣類のカビ対策にも配慮。また、スティック掃除機やロボット掃除機を置く予定なら、この中にコンセントも忘れず設けましょう。
44. バルコニーは基本設置しない!

今回の間取りにはバルコニーはありません。私は基本的にバルコニーは設置しないことをおすすめしています。どうしても必要な場合でも、できるだけコンパクトに計画してください。

せやま式屋根裏エアコンも廊下にちゃんと付いています。
高窓で階段も明るく
階段上部には高窓を設置。高い位置から光を取り込むことで、階段全体が明るい空間になります。

外観・駐車計画
45. 窓の位置は揃える!適度に凹凸を作る!
ここからは外観についてです。今回は場所が特定される可能性があるため、外観画像の紹介は控えます。
せやまどりルールでは、窓の位置をできるだけ揃え、適度な凹凸を作ることを意識しています。
例えば、ダイニングの窓と子ども部屋の窓のラインを揃えたり、主寝室と和室の窓の高さやデザインを統一したりすることで、建物全体が整った印象に。
また、1階完結型の間取りは2階がコンパクトになるため、自然と外観にも適度な凹凸が生まれ、デザイン性も高めやすくなります。
46. 道路側に玄関ドア・バルコニーを配置!
玄関ドアが家のアクセントになりますので、道路に正面を向ける必要はありませんが、道路側に見えるように配置すると、外観全体が引き締まって見えます。
47. 帰り道からの外観をかっこよく!
帰宅時に見える外観を意識すると良いですよ。今回は南方向から帰ってくるため、そちらから見たときにかっこよく見えるよう仕上げています。
住宅会社の完成イメージでは、遠くから引いて見たパースが使われることもありますが、実際によく見る方向や道路からの距離など、「実際に家を見る位置・角度」からかっこよく見える外観を意識してください。
48. ストレスのない駐車場計画を!帰宅方向、出発方向にも注意!
49. 自転車スペースの確保も忘れずに!
駐車場は、帰宅方向や出発方向、電柱などの障害物まで考えて計画することが大切です。
さらに、現在はコンパクトカーでも、将来ファミリーカーへ乗り換える可能性もあります。車種が変わっても困らないよう、余裕を持った駐車計画にしておきましょう。
駐輪スペースについても、重要です。忘れずにしっかり計画しましょう!
50. 玄関ポーチで雨に濡れないように!

玄関ポーチは、雨の日でも傘をたたんだり、レインコートを脱いだりできるスペースを確保しておくことが重要。最低でも900mm、できれば1,200mm程度あると使いやすくなります。
足りない場合はミニ庇をつけて雨に濡れないようにしてくださいね。
構造
51. 壁の直下率50%以上(プラン時)・偏心率0.2以下(設計時)を目指そう!
構造面では、壁の直下率50%以上を目指しましょう。
直下率とは、1階と2階の壁の位置を一致のさせる割合のこと。今回は約60%を確保しており、構造的にも非常に優秀です。2階の外壁ラインを1階の壁で受けるように設計することで、耐震性を高めています。
プランが苦手な営業マンが書くと、直下率を無視したプランになりがちなのでご注意を!
52. 耐震等級2以上を取得できる壁量を!四隅の壁を配置しよう!
最低でも耐震等級2を取得し、構造計算まで行うことが重要。もちろん耐震等級3の方が安心ですが、その分コストや間取りの制約も増えます。費用とのバランスを見ながら選びましょう。
窓・建具・空調計画
53. 東西の窓は少なく、南窓はたくさん!窓は付けすぎない!
東西の窓は日射の影響を受けやすいため、小さめに計画。一方で、南側はしっかり大きな窓を設けて採光を確保します。
今回も西側には窓を設けず、東側も最小限に抑えています。さらに、トイレや浴室には窓を設けず、窓を増やしすぎない計画です。
54. 扉は引き戸優先!
建具は基本的に引き戸がおすすめ。脱衣室や廊下、玄関との境も引き戸を採用しています。
床レールが気になる場合は、上吊りタイプやアウトセットタイプを選ぶ方法もあります。予算とのバランスを見ながら選びましょう。
55. 最適なエアコン配置計画を!
エアコンは基本的には長手方向、空気が家全体に流れる位置へ設置することが重要。
今回の間取りでは、奥まで冷暖房が届きにくい場合を想定し、必要に応じてサーキュレーターで空気を送る計画になっています。
住み始めてから調整することもできますが、最初から空気の流れを意識した配置にしておくと快適です。
まとめ
今回ご紹介した間取りは、せやまどりルール55項目中53項目をクリアした非常に完成度の高いプランです。
延床面積は約32坪。それでいて、広いLDK、大容量収納、家事ラク動線、1階完結型の暮らしを実現しています。
家づくりは、ただ広くすればいいわけでも、ただ小さくすればいいわけでもありません。
必要部分にはしっかりお金をかける。一方で、無駄な廊下や過剰な部屋の広さなど、カットできるところは削る。このメリハリこそが、費用対効果の高い家づくりにつながります。
今回紹介した新せやまどりルールを参考に、自分たちにとって「ちょうどいい塩梅の家」を目指してください。
