2024.10.19
ルームツアーや間取り紹介動画を見ながら、オシャレな流行り間取りを自分の家にも取り入れたいと思っている人も多いでしょう。しかし、やってみると後悔してしまう意外な落とし穴もあるんです。
流行り間取りのデメリットを確認していきましょう!
本記事の内容は、YouTube動画でも分かりやすく解説していますので、こちらもご覧ください!
参考動画:絶対やるな!流行りの間取り7選!デメリットを知って失敗を回避!
目次
絶対やるな!デメリットの大きい流行り間取りとは?
間取り動画を見ながら「動線の良い平屋は最高!」とか「ランドリールームは洗濯動線が楽でいいかも!」なんて思う人も多いのではないでしょうか。ですが、住んでみたら意外と「平屋にしたら夏が暑い」や「ランドリールームってこんなにスペース要らなかったんじゃ……」なんて後悔する人が多いんです。
そういったデメリットを知らずに「流行ってるから」、「素敵だから」、「良さそうだから」という理由でやってしまうと、住んだ後に後悔してしまいます。「流行り間取りは絶対にダメ」というわけではなく、テクニックやデメリットを押さえて、ワンランク上の流行り間取りになるようにしていきましょう。
そんな失敗しがちな流行り間取りは、こちらの7つです。
- 回遊動線
- ランドリールーム
- 最初に繋げておく子ども部屋
- リビング階段
- 平屋
- キッチン下がり天井&間接照明
- スキップフロア
それぞれどのようなデメリットがあるのか、見ていきましょう。
絶対やるな!流行り間取り①回遊動線
好きな人が多い回遊動線は、決してダメなわけではありません。グルグル回れて便利ですよね。ただし、大前提として覚えておきたいのは、回遊動線にすると「通路が増える」ということです。通路が増えると家が大きくなるというデメリットがあります。
特に気を付けなければならない回遊動線は、以下の3つ。
- ウォークスルー型のシューズクローク
- キッチンの回遊動線
- 玄関・洗面・LDKの回遊動線
こちらも、それぞれ詳しく紹介していきます。
気を付けなければならない回遊動線①ウォークスルー型のシューズクローク
家族用の玄関とお客さん用の玄関を分ける回遊動線は、やめた方がいいでしょう。対策とかではなく、やめましょう!
なぜかというと、通路ばかりが増えてしまい、収納量が減ってしまうんです。しかも最初は「家族用」とか「お客さん用」なんて分けていますが、そんなお行儀よく家族用ばかりで脱ぐことはありません。玄関を分けても結局はそこまで機能せず、家族みんな便利な場所を使ってしまうんです。
書道教室などをしていれば玄関を分ける必要があるかもしれませんが、そうじゃない場合は玄関を分ける必要はありません。お客さんが来た時に玄関をきれいにすれば良いだけですよね。なので、「家族とお客さんの動線を分けられる素敵なシューズクローク!」というのはやめましょう。
気を付けなければならない回遊動線②キッチンの回遊動線
キッチン周りをグルグル回れる回遊動線は、「良い!」という人も多いんですが、やっぱりサイズが大きくなってしまう点に注意しなければなりません。洗面とキッチンの動線が近くにとれるのであれば、無理に回遊動線にする必要はないでしょう。
洗面とキッチンの動線が遠くなってしまうのであれば、回遊動線にするメリットもありますが、そうじゃないのに「なんとなくグルグル回りたい」という理由で回遊動線にするのはおすすめできません。「子どもたちとキッチンに立つ時に両側から入れたら便利!」なんて言う人もいますが、そんな風に一斉に両側から入ることはめったにありません。キッチンの回遊動線はかなり贅沢な間取りなことを覚えておきましょう。
ただ、それでもやっぱり「キッチンの周りが混みあうのは嫌だ」と思う人もいますよね。そういう場合は、回遊動線ではなくキッチンとカップボードの幅を1mぐらいとるのがおすすめです。最低でも80cmはとっておくと、人とすれ違う時もストレスはありません。回遊動線じゃなくても、キッチンとカップボードの距離をとることで対策をすると良いでしょう。もしくは、どうしてもキッチンと洗面の動線が遠くなる場合に限っては、キッチンの回遊動線を採用しても良いと思います。
気を付けなければならない回遊動線③玄関・洗面・LDKの回遊動線
これはややこしくなりがちですね。玄関に「洗面に入る扉」と「LDKに入る扉」の2つの扉がある状態です。玄関から洗面に入り、洗面からLDKに入ることができます。また、LDKから直接玄関に行くこともできます。
このようにグルグル回れる間取りを欲しがる人もいますが、これは間取りの制限がかなり出てしまいます。玄関と洗面とLDKを回遊動線にしようと思うと、同じところに固めなければいけませんよね。だけど、洗面は基本的に日当たりの悪い場所にもってきますし、逆にLDKは基本的に日当たりの良い場所に持ってきます。なので、そこをくっつけると、全体の間取りのバランスが崩れてしまうので、そこまでこだわらない方が良いでしょう。
ただ、「玄関から洗面にアクセスしやすいようにしたい」という気持ちは分かります。そういう場合は、玄関から1度LDKに入って、そこからなるべく早く洗面に行ける、という動線にするのがおすすめです。玄関からLDKに入って、リビングやダイニングを突っ切って一番奥に洗面があるのはちょっと遠いので、玄関からLDKに入って数歩で洗面に行けるような動線で妥協するようにしてください。
「外から汚れを持ち込みたくない」という気持ちは分かりますが、スマホやPCを触った後でご飯を食べる方がよっぽど不衛生なので、玄関と洗面の距離はそこまで意識しなくても良いでしょう。
絶対やるな!流行り間取り②ランドリールーム
部屋干しが主流なので、ランドリールームは便利ですよね。ランドリールームで干した後、その近くのWICに持って行けばすぐに片づけることもできます。それは確かにその通りです。
ただし、よく考えてみたら洗濯物を干すためのスペースに3畳も4畳もとったら、それだけで100万円~150万円かかってしまいます。それはちょっと、洗濯物のためだけに贅沢ですよね。そういう場合は、脱衣室はお風呂に入る以外はほとんど使わないスペースなので、脱衣室とランドリールームを兼用にすれば良いんです。脱衣室を少し広めにとって、そこに物干し金物や収納をつければ良いでしょう。「お風呂に入る時は脱衣室」、「お風呂に入っていない時はランドリールーム」というようにすれば兼用できますし、収納も兼用できます。
これを言うと「脱衣室だけだと洗濯物を干すスペースが足りない!」という人もいますが、それを解消する方法は2つあります。1つ目は乾太くんをつけること。干す量が一気に減るので、便利ですよね。また、2つ目は昇降式の物干し金物をもう1つつけておくことです。これはもう絶対におすすめですね。脱衣室やランドリールームだけでは次第に洗濯物が溢れてしまうので、リビングや和室とかに昇降式の物干し金物をつけておいて、洗濯物の量が多い時はそこに干すのがおすすめです。
「お客さんが来たらどうしよう」と思う人もいますが、その場合はグルグルッと上に収納すれば、きれいに収まります。なので、ランドリールームは脱衣室と兼用して、予備としてLDKか和室に昇降式の物干し金物をつけるというようにしましょう。
関連記事:『話題のガス乾燥機「乾太(かんた)くん」の選び方と意外なデメリットを解説!』
絶対やるな!流行り間取り③最初に繋げておく子ども部屋
「最初に子ども部屋の4.5畳・4.5畳を繋げて9畳にして小さい頃は一緒に使って、ちょっと大きくなったら間に壁や本棚を置いたり、会議用のパーテーションで区切ろう!」という話はよくありますよね。
考え方としては、確かに分かります。最初は繋げておいた方が広い遊び場として使えますし、大きくなったらプライバシーを大事にするのは良いですよね。ただし、「あとで壁で仕切る!」と思っていても、結局は後から数十万円かかってしまいますし、手間もかかるので、工事をしない人が多いんです。10万円・20万円どころではないお金がかかり、家具を避けたり、木くずが舞うので養生をする手間もかかります。養生しても埃まみれになりますし、工事だって1日では終わりません。そう考えると、かなり面倒ですよね。
新築する時に最初から仕切っておけば壁代は数千円~数万円ですむのに、住んだ後に何十万円ものお金や手間をかけ、ストレスをかけてまで工事するでしょうか。正直、私は今までやった人をそんなに見たことがありません。なので、子ども部屋は最初から分けておくのがおすすめです。
それに、本棚やパーテーションの仕切りでは、音がだだ漏れになります。プライバシーは視界だけではなく、音漏れがストレスになってしまうので、本棚やらパーテーションやらカーテンやらを扉がわりにするのはおすすめできません。
さらに、最初に部屋同士を繋げておくと、部屋と部屋の間に収納を作れません。そうすると収納が部屋の端に固定されて、家具が置きづらくなってしまいます。こういうデメリットもあるので、最初から仕切っておくのがおすすめです。「絶対に後から工事をする!」という自信がある人だけ、最初は繋げておくというパターンを使っても良いと思いますよ。
絶対やるな!流行り間取り④リビング階段
リビング階段はメリットもあるので、私個人としてはおすすめしています。ただ、致命的なデメリットがあるので、そこは気を付けましょう。
そもそもリビング階段というのは、LDKから直接上がる階段のことです。昔よくあった玄関のホールから上がっていく階段をホール階段といいますが、リビング階段ならLDKを通るため2階に上がる前に家族と顔を合わせますよね。なので家族とのコミュニケーションが増えるというメリットがあります。また、LDKは夏は涼しく、冬は暖かい場所ですが、その空気を効率的に2階にあげることができるので、空調を効率的に使うこともできます。
ただし、リビング階段のデメリットは音漏れです。1階の音が2階に漏れてしまうんです。2階の音はそれほど漏れませんが、1階の音漏れは意外と激しいので、そのデメリットを分かったうえでリビング階段にするようにしてください。
ただ「音漏れが心配だから」とホール階段にしてしまうと、家族とのコミュニケーションが減るだけではなく、2階の空調が効きにくいというデメリットがあります。特に冬はせっかくLDKを暖めているのに、2階が寒い!ということになってしまいます。なので、やっぱりリビング階段にした上で、音漏れというデメリットを軽減するのがおすすめです。
具体的な音漏れ対策としては、音が聞こえてほしくない部屋は2階の奥に配置しましょう。階段の近くになればなるほど1階の音が聞こえるので、聞こえてほしくない部屋は奥の方に配置すると良いでしょう。また、廊下にもう1枚扉をつける方法もあります。
さらに、玄関ホールやLDKに階段を設置するのではなく、LDKと水回りの間に階段ホールを作り、そこの手前に扉をつけるというパターンもアリです。廊下が増えるのでどうしても家が大きくなってしまいますが、扉を開けておけば空調の効率が良くなります。また、音漏れが気になる時は扉を閉めれば対策ができます。「玄関ホールから勝手に2階に上がっていく子どもが見えない!」というホール階段のデメリットもなくなるので、ぜひ参考にしてください。
絶対やるな!流行り間取り⑤平屋
これはやらない方が良い流行り間取りの代表格ですね。とはいえ、平屋はめちゃくちゃ良いんです。マンションの間取りなんか最高ですよ。1階完結型にして2階はちょっとにするのがおすすめです。土地が広ければ、平屋を目指していくのは良いことです。
とはいえ、平屋はめちゃくちゃ落とし穴が多いんです。1階が最上階になるので太陽がじりじりと照りつけ夏はめちゃくちゃ暑くなってしまいます。なので、断熱性能を考えたり、太陽の光をブロックするような日射遮蔽をしっかりしたり、窓の配置を考えたりしないと、マジで夏に暑くなります。また、ワンフロアなので音漏れがすごくなってしまいます。LDKの共有部分と、主寝室や子ども部屋の居室部分の間にあえて廊下を作り、仕切っていく必要があります。他にも外観がダサくなりがちなので、外構を頑張るなどのテクニックが必要になります。
他にも平屋のデメリットとしては、家の値段が割高になってしまいますし、土地も広くなるので意外と金食い虫ですし、足腰が弱くなるとか、災害に弱いとか、色々なデメリットがあります。こういうデメリットがたくさんあるので、平屋を検討している人は、このようなデメリットをしっかり把握しておいてください。
平屋の注意点に関しては、ぜひこちらの記事もご確認ください。
・最悪の平屋7選とその解決策を紹介!知らずに建ててはダメ!
絶対やるな!流行り間取り⑥キッチン下がり天井&間接照明
これは最近人気ですよね。キッチンのところだけちょっと天井を下げて段差を付け、そこに間接照明をつけるとカッコいいんですよね。カッコいいかカッコ悪いかでいったら、間違いなくカッコいいし、オシャレでめちゃくちゃ良いんですよ。
ただしやっぱりデメリットもあって、凹凸を作れば作るほどホコリが溜まって掃除がめんどくさいんです。また、よくよく考えれば日常生活で「間接照明を使ってムーディでオシャレにする」なんてこと、あまりないですよね。「掃除もちゃんとするし、カッコ良くしたい!」というのであれば良いんですが、ほとんどの人は「掃除が面倒なだけで、間接照明は案外使わない」ということになるんです。なので、めんどくさがりな人はやらない方がいいでしょう。
その代わり、天井を少し下げて、そこをアクセントクロスでオシャレにするなどの方法はおすすめです。お金があれば、その部分にちょっと羽目板をしてオシャレにするのも良いでしょう。さらに、1階の天井の高さをよくある2,400mmではなく、200mmあげて2,600mmにして、その上でキッチンの天井だけ2,500mmにしていくと、LDKの開放感は損なわれないなまま、キッチンの凸凹で奥行感が出て、オシャレな感じになります。
1階の天井高を2,600mmにするのであれば、2階は2,400mmではなく2,200mmに下げるなどの対策をすればコスパも高まりますので、こういった方法もぜひ覚えておいてください。
絶対やるな!流行り間取り⑦スキップフロア
最近はそれほど流行っていませんが、まだ人気があります。「空間を有効活用する」や「注文住宅感が出る」、「1階と2階の間の中2階を勉強スペースにして、その下は収納にして……」のように考える人が多いですが、無駄が多いことは理解しておきましょう。
スキップフロアは空間を有効活用できると思われがちですが、天井が低い空間がたくさんできるだけなので、収納くらいにしか使えません。さらに施工費が高いのでコストも上がってしまいますし、どこに行くのも階段の上り下りが必要になるので、動線としては良くないですよね。「ワンフロアの平屋を目指しましょう!」と言われているこの時代に、「階段だらけの家を作ってどうするの?」ということです。こういったデメリットをしっかり分かったうえで、それでも「スキップフロアをやりたい!」という人だけ取り組んでもらえればと思います。
ただし、先ほどの「注文住宅っぽい」というところは、正直そんなスキップフロアのようなややこしいことをしなくても実現できます。たとえば天井を少し上げてアクセントクロスにするとか、逆に先ほど紹介したようにキッチンの天井を少し下げてアクセントクロスにするとか、羽目板をやっていくという方法がありますよね。
また、家というのは家具で決まります。家自体はなるべくシンプルにしておいて、良い家具を入れるのがおすすめです。そうすれば素敵な邸宅になるでしょう。また、元も子もない話ですが、やっぱり散らかさないことが大切です。どんなにオシャレな壁紙にして、スキップフロアにして、吹き抜けにしてシーリングファンをつけて、間接照明にしてオシャレな家具を入れても、物が散らかっていては終わりです。それだと生活感丸出しになってしまうので、やっぱり大切なのは「隙あらば収納」を作ることです。
特に1階の収納を充実させて、1階完結型の「せやまどり」にしていくことで、注文住宅感を出すことができます。また、注文住宅感なんてなくても、やっぱり家族がストレスなく過ごせるような家にすることが一番です。日常生活は誰かに見せるようなものではないですし、どんなにオシャレでリゾート風の家にしたところで、住んでる人は毎日見ているので飽きてしまいます。旅館だってリゾートホテルだって、毎日行くと飽きるのでたまに行くからこそ良いんです。なので、家はそれほど気張らずに落ち着く空間にして、散らからないように収納をつけていき、時間を有効活用できるように動線を楽にしていって、家族が集まるようにLDKを充実させていくということを意識してください。
こういったことを実現するための【せやまどりルール一覧表】も無料で配布しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
まとめ
絶対やるな!流行り間取り7選
- 回遊動線
→ウォークスルー型のシューズクローク・キッチンの回遊動線・玄関/洗面/LDKの回遊動線 - ランドリールーム
→脱衣室・収納と兼用にして、昇降式の物干し金物も活用する - 最初は繋げておく子ども部屋
→結局工事しない人が多いので、最初から仕切るのが無難 - リビング階段
→音漏れのリスクがあるので対策が必要 - 平屋
→意外と落とし穴が多いので注意! - キッチンの下がり天井&間接照明
→埃が溜まりやすく、間接照明は案外使わない - スキップフロア
→階段だらけで動線が悪くなり、コストがかかる