2026.06.23
目次
安心して暮らすための災害対策

家づくりにおいて地震対策を意識する人は多いですが、火災・水害・台風対策については住宅会社も施主も無頓着になりがち。
しかし実際には、日本では1日に57件もの火災が発生しています。さらに、水害は全国の市区町村の97%で発生、台風も毎年20個以上発生するなど、非常に身近な災害と言えます。
せっかく建てるマイホームだからこそ、安心して暮らせる対策をしましょう。新築時にしかできない対策も多く、かつお金をあまりかけずにできることもたくさんありますよ。地震以外の災害対策を解説していきます!
災害大国・日本における被害の現状
まずは、日本でどれほどの災害が起きているのかを正しく知りましょう。
火災は建物火災だけで年間2万件にのぼります。
水害については、1時間に50mm以上降るゲリラ豪雨の頻度が40年前と比較して1.4倍。これにより、川の氾濫だけでなく下水道のオーバーフロー(内水氾濫)のリスクも年々高まっています。
台風は年間平均26個発生、約11個が日本付近に接近し、そのうち約3個が上陸。最近は進路が予測しにくくなっており、日本全国どこでも被害に遭う可能性があります。
これらのリスクはニュースの中の出来事ではなく、自分の身に降りかかるものだと認識してください!
火災対策
家を建てる前にできる対策

火災対策として最も効果的なのが、家を「省令準耐火構造」にすること。外部からの延焼を防ぐだけでなく、火災が発生した部屋から他の部屋への燃え広がりも遅らせます。
また、「省令準耐火構造」にすることで火災保険料が半額程度、鉄骨住宅並みに安くなります。30坪の住宅であれば施工費の相場は20万〜25万円程度。保険料の節約分で15年ほど経てば元が取れる投資です。
省令準耐火の仕組み上、100%の対応は現実的ではないので、必須とまでは言いません。ただ、火事に強くなるのは間違いないですし、費用対効果も高いので、工務店が対応可能であれば是非導入を検討してみてくださいね。
準防火地域の準防火仕様でも保険料は安くなる?
安くなりません。
省令準耐火と準防火というのは、全く別の考え方です。省令準耐火は建物の仕様、つまり「実際にどう建てるか」という基準を指します。自主的にやるものです。
対して、準防火地域は地域そのものの指定。その地域が「準防火地域」と定められている場合、火災に強い街づくりをするために、防火性能の高い窓を使う等といったルールが決められています。
あくまで地域としての決まりですので、省令準耐火のような保険料の優遇はないと考えてください。
住んだ後の火災リスクを減らす設備と習慣

住宅火災の原因第1位は「コンロ」。こだわりがなければ、火災リスクを抑えられるIHコンロを選んでください。
第2位は「たばこ」。6割が不適当な場所への放置が原因です。吸わないのが一番ですが、吸う場合はルールを守り、寝たばこなどは絶対に避けましょう!
第3位は「電気機器・配線器具」。コンセントの埃によるトラッキング現象や、差し込み不良、タコ足配線等にも注意が必要です。そして、耐用年数が過ぎた調理家電の使用も非常に危険。
また、太陽光パネルを設置する場合は、パネルと屋根の間に不燃材を挟み込むことは必須。私は「屋根一体型太陽光パネル」には断固反対しています。火災時の延焼リスクだけでなく、雨漏りのメンテナンス面でも大きなデメリットがあるためです。
水害対策
土地選びの4つのハザードマップ
水害対策は土地選びでほぼ決まります。日本のハザードマップは非常に正確ですので、以下の4つを必ず確認しましょう。
- 外水氾濫(大きな河川の氾濫)
- 内水氾濫(下水道のオーバーフロー)
- 土砂災害
- 液状化現象

便利な平地ほど災害リスクは高まり、安全な山手ほど不便になるという矛盾がありますが、自分たちで判断して落とし所を見つけるしかありません。
どうしてもリスクのある地域を選ぶなら、浸水想定が50cm未満の場所を選ぶのが一つの目安。
基礎の高さと換気システム採用時の注意

水害から家を守るには基礎の高さが重要。基礎の高さを45cm以上にすることを意識してください。
水災保険の適用基準は「地盤面から45cm以上の浸水」が目安となり、45cm未満で床下浸水すると保険が下りない可能性があります。道路側の最も見え高の高い場所で45cmあればOK。
また、私が推奨する「sumika(24時間全熱交換型換気システム)」をハザードエリアで採用する場合は、排気口を上に立ち上げる「積雪地域タイプ」の部材を使ってください。エコキュートの配管などの基礎貫通部に、しっかり止水・気密処理を行うことも不可欠。
台風対策
正確な情報収集が重要

台風の強さを示すヘクトパスカルは、数値が低いほど勢力が強い。950hPaを下回る場合は厳重な警戒が必要です。
また、予報の進路円は「その中に台風が入る確率が70%」という意味ですので、3回に1回は円の外を通る可能性があります。
さらに、台風の進路の「東側」は、台風自体の風に移動速度が加わるため、西側よりも被害が大きくなる傾向。自分の家が東側に入る場合は、より入念な対策を講じてくださいね。
飛来物から窓を守る設備

台風被害の多くは飛来物による窓ガラスの破損。リビングやダイニングの大きな窓には、シャッターか防災ガラスを設置してください。全ての窓は難しくても、家族が安全に過ごせる避難スペースとなる部屋だけでも対策すべき。
隣家から瓦が飛んできて窓が割れても、基本的には自分の火災保険で直すことになります。自分の家は自分で守るという意識を持つことが大切。
停電への備え
台風や災害による停電対策として、私は以下のことを実践しています。
- 災害用品、非常食の定期的な見直し、賞味期限の確認
- 車のガソリンは常に半分以上入れておく(冷暖房やスマホ充電に利用可能)
- ポータブル電源(エコフローなど)を備える
太陽光発電がある家なら、日中にポータブル電源へ充電し、夜間に使用できます。生活の全てを賄う必要はありませんが、最低限の調理や情報収集ができる電源を確保しておくのが良いですよ。
そして、災害時には決して外に出ないこと。海や川の様子を見に行って巻き込まれるケースが後を絶ちません。
住宅会社の皆さんへお願い
売ることだけを考えず、施主が引き渡し後に安心して暮らせる提案を是非お願いします!
地震対策ばかり注目されがちですが、火災・水害・台風への備えも同じくらい重要です。家族が長く安心して暮らせる「ちょうどいい塩梅」の防災対策を心がけましょう。
