2026.06.23
目次
本当に必要な地震対策とは

地震対策といえば「許容応力度計算による耐震等級3」をクリアすれば安心だと思っている人が多いですが、実はそれは大きな間違い!
構造計算や耐震等級はもちろん重要ですが、あくまで計算上の数値に過ぎません。
どれだけ優れた設計でも、正しく施工されなければ意味がない。実際に過去の地震では、耐震等級3であっても施工不良が原因と考えられる倒壊事例がありました。
さらに、耐震等級は新築時の基礎や木材が強度を保っていることが前提で、経年劣化で基礎がもろくなったり、シロアリ被害で木材が腐ったりすれば、計算上の耐震等級は全く機能しません。
設計上の計算だけでなく、施工精度や材料の耐久性まで網羅的に考えるのが、本当の地震対策です。
過去のデータから読み解く地震対策の考え方

1.耐震等級だけで語る住宅会社は危険
地震対策を耐震等級だけでアピールする住宅会社には注意が必要。阪神・淡路大震災のデータでは、シロアリ被害があった家の被害確率は、なかった家の倍以上という結果が出ています。
木材の強度が落ちれば、どんなに設計が良くても耐えられません。
2.最も地震に弱いのは「古い家」
地震で最もリスクが高いのは、耐震等級1の家ではなく1981年以前の「旧耐震基準」の家です。能登半島地震でも、被害の9割近くが旧耐震の家に集中していました。
2025年4月から法改正により「4号特例」が縮小されますが、これによって耐震等級1でも地震に強くなるというわけではありません。建て替えが難しい場合は、耐震補強リフォームの検討を。
3.家だけにお金をかけすぎない
地震対策は重要ですが、家だけに全財産を注ぎ込むのはおすすめしません。人生には交通事故やヒートショック、病気、経済的なストレスなど、他にも多くのリスクが存在します。
地震対策ばかりに過剰なコストをかけ、健康診断を控えたり経済的に苦しくなったりしては本末転倒。命を守ることを大切にしてください。
地震対策9つのポイント完全攻略

1.構造の検討方法

構造計算には、「壁量計算」「性能表示計算」「許容応力度計算」の3種類があります。
この中で最も簡易的なのが壁量計算ですが、壁量計算による耐震等級1での家づくりは今すぐやめてください。
私が推奨するのは、部材ごとの強度まで詳細に検討する「許容応力度計算」。最近は対応できる住宅会社も増えています。
2.耐震等級

「許容応力度計算」であれば、耐震等級2以上、「性能表示計算」で耐震等級を取得する場合は、必ず耐震等級3を確保してください。
構造計算の方法と耐震等級はセットで考えることが大切。単に「耐震等級3だから安心」と考えるのではなく、どの計算方法で取得した等級なのかまで確認してくださいね。
制振装置(ダンパー)はどう?
悪くはないですが、コストがかかるので、まずは耐震を優先してください。その上で余裕があるのであれば、制振ダンパーの導入を検討してみてください。入れるなら油圧式がおすすめです。
3.直下率
直下率とは、1階と2階の壁や柱の位置がどれだけ一致しているかを示す指標で、これが高いほど地震への強度は高まります。
プラン作成の段階で意識しないと後からの修正は不可能です。法的基準がなく、プランナー次第になるので、「壁の直下率50%以上」を目安に設計を進めてもらうよう担当者に伝えましょう。
4.偏心率
偏心率は建物の重心と剛心(強さの中心)のズレのこと。国の基準は0.3以下ですが、これでは甘いため0.2以下を目指しましょう。
南側に大きな窓を設けるとバランスが崩れやすいため、プランが固まった後の詳細設計、構造計算のタイミングでしっかりとチェックすることが重要です。こちらも「偏心率を0.2以下を目安」に設計を進めてもらうよう担当者に伝えてください。
5.基礎の強度と耐久性
基礎はコンクリートのため経年劣化します。設計基準強度は21N/mm²以上を確保し、さらに季節に合わせた「呼び強度」を適切に上乗せして発注しているか確認してください。
また、コンクリートの中性化を防ぐためには、「弾性タイプの基礎保護材」の使用が重要。基礎の表面を化粧するだけの「刷毛引き」では、クラック(ひび割れ)からシロアリが侵入するリスクがあります。頑丈な家づくりの第一歩は、足元をしっかり固めること。
6.シロアリ対策

シロアリ被害を防ぐには、侵入させない仕組み作りが重要。新築時にしか施工できない「ピレスロイド系の防蟻防湿シート」を地面と基礎の間に敷き詰めてください。
その上で、自然由来のホウ酸系薬剤による散布を組み合わせるのが良いと思います。
7.内部結露対策
壁の中で結露が発生すると木材が腐り、耐震性能は一気に低下します。これを防ぐには気密性能を高め、C値0.7以下を実現すること。
また、窓選びも重要なポイントになります。結露リスクの高いアルミ樹脂複合サッシは避け、必ず「オール樹脂サッシ」を選択してください。
8.施工精度
どれだけ立派な設計図でも、現場が雑なら意味がありません。施工精度の高い会社を見極めるポイントは3つです。
- 営業担当が現場職人の名前と顔を知っており、信頼関係があること
- 現場の状況を写真や動画で、週に1回以上報告してくれること
- 施主がいつでも自由に現場を見学できること
これらをクリアできない会社での家づくりはおすすめしません。
9.土地選び
ハザードマップを確認し、液状化や土砂災害のリスクが高いエリアは避けるようにしてください。
よくある質問
引き戸や吹き抜けは地震に弱い?
引き戸は壁(耐力壁)を確保しにくいデメリットがありますが、壁からレールを浮かせる「アウトセット」形式の引き戸を使えば対策可能です。
吹き抜けも床面積が減るため理論上は弱くなります。しかし、許容応力度計算2以上を取得し、梁や火打ち土台で補強すれば、問題ないでしょう。
家の四隅に壁は残すべき?
原則、四隅には耐力壁を残していくことを意識してください。どうしても間取り上難しい場合は、他の耐力壁を増やして対応を。
重い屋根は地震に弱い?
瓦など屋根が重いと地震の負荷は増えますが、その重さを考慮した上で許容応力度計算を行い、柱や梁のグレードを上げるなどの適切な設計を行えば大丈夫。ただ、その分コストは上がります。
私おすすめは、耐久性と軽さを兼ね備えた「ガルバリウム鋼板」です!
災害グッズと電源

家を建てるだけでなく、その後の備えも大切。食料や水、簡易トイレなどの備蓄はもちろん、賞味期限の定期チェックも忘れないようにしましょう。
また、太陽光発電を設置すれば停電時にも電気を使えますが、夜間は発電できません。おすすめなのは、太陽光発電とポータブル電源の組み合わせです。
蓄電池は高額ですが、ポータブル電源ならコストを抑えながら、停電時のスマートフォン充電や照明の確保が可能。日中に太陽光で充電し、夜間に活用できる環境を整えておくと安心です。
まとめ
適切な構造計算による設計、施工精度の確保、シロアリ対策や内部結露対策による耐久性の維持、そして災害リスクを考慮した土地選び。これらすべてが揃って初めて、本当に地震に強い家になります。
部分的な対策ではなく、設計・施工・耐久性・防災対策まで含めて総合的に考えること。それこそが、“ちょうどいい塩梅”の地震対策と言えるでしょう。
耐震等級の数字だけで判断せず、住んだ後まで見据えた地震対策を考えてくださいね。
