2024.11.14
土地探しは大変ですよね。その中で「相場より安い!」「駅も近いし土地も広いし、形も良くてすごく良さそう!」といった土地を見つけることもあるかもしれません。ただし、残念ながら掘り出し物の土地は転がっていません。良い土地があれば不動産屋さんが買っているので、一見すると魅力的な土地は結構落とし穴があります。その落とし穴に気付かずに土地を買うと、「希望の間取りが入らない」「予算がオーバーした」「近隣トラブルがひどくて引越したい!」なんて最悪の事態を招きかねません。
そこで、今回はプロは絶対に選ばないコスパ最悪の土地を7つ紹介します。「土地情報にこういう表記があれば注意しましょう」というポイントを紹介するので、参考にしてください。
また、土地を決める前に絶対チェックしたいポイントを4つと、良い土地をゲットするための鉄則も3つ紹介します。こういった点をしっかり押さえましょう。このようなポイントを押さえないと、人気のある土地はすぐになくなりますよ。
土地は、今後値上がりしていく可能性の高い資産です。つまり、土地の選び方は資産運用にも直結してくるくらい大切なことです。不動産屋さんのカモにならないよう、土地の選び方の知識を身に付けましょう。
今回は以下を詳しく解説していきます。
目次
コスパ最悪の土地①幅3m未満の旗竿地
旗竿地(はたざおち)というのは、通路が細くて奥に開けたスペースがある土地です。一般的には資産価値が低かったり、進入がややこしいので人気がありません。
ただし、進入路の幅に注目。3m未満の場合、駐車が面倒なので注意しましょう。青空駐車場が2.5mくらいなので無理ではありませんが、ストレスになります。さらに資産価値として結構低くなるので、避けた方が良いでしょう。
幅3m以上の通路があればアリ
もし旗竿地を買うのであれば、幅3m以上の通路がある土地にしましょう。3mや3.5mの幅があれば、狭めの道路なので問題ありません。奥まっているため、道路からの視線をあまり感じないプライベートゾーンとして暮らすことができます。旗竿地ということでコストが安くなっている部分もあるので、逆にねらい目です。
目に見えない費用に注意
ただし、旗竿地は目に見えない費用が掛かります。電柱から家までの距離が遠くなるので、中継ポールが必要になるケースがあります。水道の引き込みも道路から配管を転がす必要があるので、プラスで費用がかかります。これらを想定して、価格交渉をした上で買うのが、旗竿地を買う際の鉄則です。
コスパ最悪の土地②私道負担がある土地
私道負担とは、自分が所有する土地の一部を道路として提供しなければならないことです。つまり、その部分の土地に家を建てることはできません。地域によっては私道負担が当たり前の地域もあるので、「私道負担があるからダメ」ということではありません。
ただし、人気のエリアは注意しましょう。珍しく100㎡の土地が出たと思ったら、よく見たら「私道負担40㎡含む」という注意書きが書いてあることがあります。これには注意しましょう。40㎡の私道負担ということは、実質60㎡しかありません。これだと、ちょっと二階建ての家を建てるのは厳しいです。合計の面積だけではなく、私道負担の有無と実質面積を必ずチェックしてください。
コスパ最悪の土地③相場より極端に価格が安い土地
相場より極端に価格が安い土地は、なんらかの理由があります。安い土地には理由がありますし、掘り出し物なんかあるわけありません。仮に掘り出し物があれば、不動産屋さんが自分で買っています。
つまり、安い土地は不動産屋さんが「自分で買う」「仲間が買う」という判断をしなかったから売られているんです。
安い土地を見てみるのはアリ
ただし、安い土地に行ってみるのはアリです。そこで安くなっている理由を確認して「追加でこういう費用がかかるんだな」ということを知りましょう。それを加味した上で買うのは全然アリです。
「安い土地は選択肢から外す」と考える必要はありません。「値段だけで飛びついて買う」ことは避けましょう。
コスパ最悪の土地④画像がない土地情報
不動産情報に画像がなく、手書きの図面しかない土地は十中八九やばい土地です。土地を売りたくて掲載しているのに、画像を載せないことがあり得ません。画像を載せていない理由は「載せられないから」、つまり「載せるとマイナス評価になるから載せていない」と考えられます。
断崖絶壁にあったり、土地の目の前にうるさい工場があったり、道路のすぐ近くにあったりといった事情がある場合がほとんどです。まれに「画像が間に合わなかった」という事情もありますが、基本的には画像がない土地は良い土地ではない可能性が高いです。
コスパ最悪の土地⑤建築条件付きの土地
建築条件とは、「この土地はこの工務店で家を建てる」と決まっている土地です。土地を買った3ヶ月以内に、指定の工務店・ハウスメーカーで家の契約をする必要があります。ほとんどが建売のようにローコスト系の住宅が建つことが多いです。
性能を担保する家や注文住宅を建てたい人は、建築条件が付いていない土地を探しましょう。もしくは、建築条件が付いている土地の条件を外すことが必要です。
駅に近くてピカピカで相場よりも安めの土地は、ほとんど建築条件が付いています。業者としては、土地を少し安く売っても建物で利益が取れるので、このようになるのも仕方ないでしょう。
建築条件は外せる場合も!
ただし、追加でお金はかかりますが、交渉次第で建築条件は外すことができます。
特に大きな分譲地の中でアクセスが悪い場所や売れ残っている土地は、不動産屋さんとしても決算前に売っておきたい土地です。ダメ元で「条件を外せませんか?」と聞いてみるのはアリです。3~4件に1件くらいは外せるので、諦めずにトライしてみましょう。
コスパ最悪の土地⑥高低差が1m以上ある土地
道路と敷地の高さの高低差が1m以上ある土地はおすすめしません。1mの高低差があると、階段が6段くらい増えてしまいます。通常の階段が1~2段なので、玄関に着くまでに8段くらい必要になるでしょう。これは意外と大変です。
高低差があると処理費用もかかる
高低差が1mあると、高低差の処理費用に100万円ほどかかるでしょう。階段を作る必要がありますし、基礎も深基礎を落としていかなければなりません。
こういった手間がかかるので、高低差は1m未満の土地を探しましょう。逆に40~50cmくらいの高低差なら玄関まで5~6段くらいなので、大した問題ではありません。これくらいを目安に土地を探してください。
コスパ最悪の土地⑦駅から超遠い土地
建物は価値が目減りするため、経費のようなものです。日々の快適な生活や健康のためにも建物の質を担保する必要はありますが、資産価値はゼロになっていきます。
一方、土地は値上がりが期待できる資産です。もちろんローンの支払いで家計が破綻しないレベルを見極める必要はありますが、良い土地を買ってください。
都市部の場合は遠くても駅から徒歩15分圏内、できれば10分圏内ぐらいの土地を狙いましょう。電車が少ない田舎の場合は車社会なのでそれほど気にする必要はありませんが、都市部は利便性の良い土地を買うことが重要です。
マンションでは、時々「自転車で5分!」「電車で10分!」といった広告を見かけますが、これには注意しましょう。「徒歩〇分」という表記が重要です。「徒歩〇分」は80mを1分で歩くペースで書かれています。この表記に注目して、購入する土地を決めましょう。
土地を決める前のチェック項目4選
チェック項目①造成費用
造成費用のミスは多いので気をつけてください。「契約した後で、思った以上に水道費用がかかった」「高低差処理の土砂処分費用が追加された」となっても、契約前にしっかりチェックしない施主自身にも責任があります。
BE ENOUGHが配布している【リアル資金計画書】の、土地の造成費用のところを、契約前に住宅会社にしっかり埋めてもらいましょう。水道や造成、境界とか解体といった項目を出してもらってください。さらに、その出してもらった項目が正確なのか確認することが大切です。契約後に予期せぬ事態が起きる可能性もありますが「どんな可能性がありますか?」と聞き、議事録に残して共有しておけばだいぶ防げます。
地盤改良費用は契約前には分からない!
唯一、地盤改良費用だけは契約前の段階では分かりません。近隣の地盤データを調べることで大体の地盤改良工事の費用は分かりますが正確な費用は分からないので、50万円くらいは予算取りしておきましょう。先ほどの【リアル資金計画書】にはその項目が入っているので、チェックしてくださいね。
このような造成費用の確認は、施主の努力でなんとかなる部分です。土地を決めてからではなく、土地を決める前に確認してもらい、土地予算がOKかどうか確認しましょう。
チェック項目②ハザードエリア
ハザードマップを見ずに土地を買うのはやめましょう。
外水氾濫
外水氾濫とは、洪水の危険度を表します。全市町村にあるので、調べましょう。川の近くの土地は「浸水ゼロエリア」なんてなかなかありませんが、できれば50cm未満のエリアを選んでください。50cm未満であれば、基礎を上げることで床下浸水を防ぐことができます。1~2mだときついですが、そういうエリアしかない場合は仕方ないでしょう。
例外は一級河川です。たとえば大阪であれば淀川や大和川のような大きな河川は、一番最後に氾濫するようになっています。こういった河川が氾濫するリスクは、ゼロではないですが低いでしょう。このような一級河川の場合、ハザードが多少きつくても問題ありません。ただし、支流は結構氾濫するので、川の種類や過去の氾濫の実績も含めて判断してください。
内水氾濫
内水氾濫とは、下水道のオーバーフローです。コンクリートジャングルと言われるような都市部は特に注意しましょう。都市部は内水氾濫のハザードマップが整理されているところも多いので、しっかりチェックしてください。
50cm未満の場所は、地面から45cmまでは開口がないようにしましょう。45cmぐらいの浸水であれば、床下浸水しないようにすることが大切です。45cm以下の浸水は水災保険の対象にならないので注意してください。
基礎工事に関しては、ぜひこちらの記事もご確認ください。
関連記事:【完全攻略】ベタ基礎vs布基礎!家の「基礎」の種類・高さ・強度の最適解はコレだ!
地震
地震の揺れや津波の危険度には注意する人が多いでしょう。その上で、さらに液状化リスクも確認してください。2024年の能登半島地震でも、液状化現象が起きました。
このような液状化現象は予想できるので、ハザードマップを確認してください。土地を買う前に、ここまでチェックすることが重要です。
液状化リスクを予測できるサイトも紹介しているので、ぜひこちらの記事もご確認ください。
関連記事:土地探しの前に!「液状化現象」の仕組み/メカニズムと具体的な対策を徹底解説!
チェック項目③法規制
法規制のチェックポイントもしっかり確認しましょう。住宅会社がやるべきことですが、施主自身も知っておいた方が良い部分です。
法規制のチェックポイント
- 建蔽率・容積率
- 斜線規制
- 外壁後退
- 風致地区・緑化規定
建蔽率・容積率
建蔽(けんぺい)率とは、土地の面積に対する建物の建築面積の割合のことです。容積率とは、建物の延床面積が土地の面積に対してどれだけ占めるかを示す割合です。特に建蔽率には気をつけましょう。「一種低層地域」といって閑静な住宅地域の場合、建蔽率が40%のエリアもあります。
BE ENOUGHが建てている一階完結型の間取りの場合、1階は60㎡前後のものが多いです。そのため、建蔽率を40%にするためには、土地の広さが150㎡必要になります。このように建蔽率40%の土地はきついので、しっかりチェックしましょう。
「角地緩和」といって、2方向に道路がある場合は建蔽率が10%緩和される場合もあります。このような角地緩和が効く場合は、土地が狭くても良い間取りになることもあるので、狭小土地も候補に入れてください。
斜線規制
斜線規制は、主に道路斜線と北側斜線の2つです。
道路斜線というのは、「道路側にめいっぱい二階建てを建ててはいけません」という規制。
北側斜線は、北側のお隣さんの南側からの日差しを妨げないように、北側にめいっぱい二階建てを建ててはいけませんという規制です。
こういった斜線規制がある地域は、結構間取り制限があります。特に北側斜線は「5m+0.6/1」というものが一番厳しいです。このような厳しい規制がある地域では、2階を南側にズラすなど、間取りの工夫が必要です。斜線の状況もチェックしましょう。
外壁後退
外壁後退とは、お隣さんから離さなければならない距離です。何もないところでは50cmで良いのですが、「外壁後退を1mまたは1.5mにしてください」「全周してください」「お隣さん側だけで良いです」といった土地もあります。
外壁後退があると土地が広くても通路で使われるため、家が建てられる実質の面積が減るので注意してください。
風致地区・緑化規定
これは街並み条例のようなものです。京都のように街並みを大事にしたいエリアでは、屋根の勾配や向きが決められています。
緑化規定は、「土地の広さに対して何%は木を植えてください」という規定です。緑化規定があると、結構お金がかかったり、間取りの規制がかかったりします。予算取りの時に事前に知っておかないと、予算オーバーしてしまいます。
土地を決める前に、風致地区や緑化規定に関しても確認しましょう。
チェック項目④現地調査
土地を決める前に、現地に行って調査してください。特にゴミ出しの日に行くのがおすすめです。また、平日と休日、昼と夜にそれぞれ行くことも大切です。
チェックポイント①近隣トラブルの有無
まずは近隣トラブルの有無をチェックしましょう。変な人がいないか聞き込んでください。
チェックポイント②騒音や振動
騒音や振動の確認も大切です。工場や道路、電車を確認してください。音に関しては気密性能と断熱性能がしっかりした家を建てればなんとかなります。
ただ、振動の方はどうしようもないです。大きな道路や電車が通る時には振動をチェックしましょう。平日や休日、時間帯によって状況が変わるので、色々なタイミングで通ってチェックしてください。
チェックポイント③自治会・子ども会の活動状況
共働きで子育てしていて忙しいのに「地元の自治会は参加必須!」なんて言われると大変です。お祭りは強制参加だったり、子ども会は絶対参加だったりすると大変なので、事前に聞いておきましょう。住んでから「自治会費でお金がかかる」と判明するのも大変なので、こちらも事前に聞いておいてください。
また、自治会や子ども会の役員がどのように回っているのか、班長の役割分担なども確認しておきましょう。さらに、土地が決まった後は自治会長に挨拶に行くのがおすすめ。自治会の情報をしっかり把握しておきましょう。
良い土地を押さえる鉄則3選
土地を買う前にチェックする項目は多いので、施主一人で全てやりきるのは難しいです。そこで、良い土地をゲットするための鉄則を3つ紹介します。
良い土地を押さえる鉄則①先に住宅会社を決める
良い土地を押さえるためには、先に住宅会社を決めましょう。施主だけで水道工事費用や高低差費用を調べるのは無理です。さらに風致地区や緑化規定を調べて、建蔽率や容積率を調べて、斜線規制を調べて間取りを検討……なんて絶対に無理です。住宅会社を決めて、調査してもらいましょう。
良い土地を押さえる鉄則②スピード
良い土地を決めるためにはスピード感も大切です。平日に出た物件は土日までに決着を付けないと、他の人に取られます。良い土地はすぐになくなってしまうでしょう。ただし、良い土地かどうかの色々な条件を施主自身で調べるのは無理です。
そこで住宅会社を先に決めて一緒に決めることが大切です。施主は住み心地や小学校までの経路、騒音とか自治会について調べましょう。そして、工務店側には造成とか水道といった法規制の方を調べてもらいましょう。それらの情報を合わせて土地の買い付けをしてください。そうしないと、良い土地を押さえることなんてできません。
良い土地を押さえる鉄則③自分で探して土地を見る目を養う
良い土地を押さえるためには、自分の土地を見る目を養うことも重要です。「良い土地があったら買うので送ってください」という姿勢では、なかなか良い土地は見つかりません。
自分で不動産会社の情報を全て確認しましょう。休日になったら近所の不動産会社を4~5件くらい巡って、聞き込みをすることも大切です。
このようにすることで、土地の相場や、自分たちの土地の条件が厳しいかどうかが分かってきます。そうすると、土地が出た時に「この土地はめちゃくちゃ良い!」と判断できるようになるでしょう。こういった活動がスピード判断にも繋がっていきます。自分の目を養い、スピード判断できるようになりましょう。
まとめ
土地探しの方法まとめ
- プロが選ばないコスパ最悪の土地7選
①通路幅3m未満の旗竿地:資産価値が低い
②私道負担がある土地:実質面積を要チェック
③相場より極端に価格が低い土地:理由を加味しての購入はOK
④画像がない土地情報:載せられない理由がある
⑤建築条件付きの土地:建築条件なし or 建築条件を外すのがおすすめ
⑥高低差が1m以上ある土地:玄関までの階段が増え、処理費用が100万円以上かかる
⑦駅から超遠い土地:徒歩15分以内、できれば10分圏内を! - 土地を決める前のチェックポイント4選
①造成費用
②ハザードエリア
③法規制
④現地調査 - 良い土地を押さえる鉄則3選
①住宅会社を先に決める
②スピード感
③自分で探して土地を見る目を養う