2024.12.27
「夏でも涼しい家」を目指すのであれば、「断熱性能」や「気密性能」、「窓の性能」を上げるのも大切ですが、家の性能を上げると、それだけコストもかかってしまいます。
またどれだけ立派な高気密高断熱住宅を建てたとしても、しっかり要点を抑えておかないと「夏暑い家」になってしまいますから、今回はなるべくお金をかけずにできる「夏に涼しい家の作り方」について、家づくりと家電の使い方の2つの面から、ご紹介していこうと思います!
お金ではなく「知識」で家を涼しくしましょう!
本記事の内容は、YouTube動画でも分かりやすく解説していますので、こちらもご覧ください!
目次
「夏涼しい家」を作るための4つのポイントは?
お金をかけずに「夏でも涼しい家」を作るためには、まず以下の4点を抑えておきましょう。
- ①:窓の配置
- ②:「外壁」と「屋根」の色
- ③:クーラーの活用方法
- ④:扇風機・サーキュレーターの使い方
では、それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう!
家づくりの際に考慮すべきポイントは?
涼しい家のポイント①:窓の配置
窓は、家の中でも「一番熱が出入りする箇所」
窓というのは、家の中でも「一番熱が出入りする場所」なので、単純に窓をつければつけるほど、外の熱が家の中に入ってきてしまい、室内が暑くなってしまいます。
加えて、朝日や夕日(西日)といった直射日光が入ってくるとなると、もはや「窓にストーブをつけているような状態」です。
こんな状態だと、いくら断熱性能をあげたり、クーラーをガンガンにかけたりしても、家の中は暑いままです。
朝日・西日対策で「東西には窓をつけない」が重要!
そのため、まずは東西になるべく窓をつけないことが大切。どうしてもつけたいのであれば、極力小さめの窓にしておきましょう。
こうすることで、夏涼しい家にするだけでなく、窓の数も減って、コストを下げることも可能です。まさしく一石二鳥ですね!
どうしても…という時はアウターシェードをつけよう!
ただどうしても東側・西側に道路があって、東西に大きな窓をつけなければならない時もあるでしょう。
そういった場合は、外付けの「アウトシェード」をつけましょう。「よしず」や「すだれ」などでも構いませんが、取ったり外したりできる点を踏まえると、アウトシェードがおすすめですね。
これをつけておけば、外からの熱を8割ぐらいカットできるので、室内の明るさも担保しつつ、直射日光が入り込むのを防げますよ。
涼しい家のポイント②:「外壁」と「屋根」の色
屋根・外壁には「黒系」を使わないように!
小学校の理科の授業で習った人も多いと思いますが、黒い折り紙に虫メガネで日光を集めると火がつきますよね。
「黒」というのは、それほど熱を集めやすい色なんです。そのため、なるべく「外壁」や「屋根」に黒系は採用しない方がいいでしょう。
これはお金をかけるというよりも、色を選択するだけなので、間取りなどの制限もなく、誰でも手軽にできると思うので是非やってみてください。
外壁・屋根はそれぞれ何色が良い?
もちろん、色については好みもあると思いますが、「夏でも涼しい家を作る」というのを前提に考えるのであれば、外壁は「白系」や「薄い色」を選ぶと良いですね。
屋根はガルバリウム鋼板であれば、白だとデザイン的にも微妙なので「シルバー系」がおすすめです。
屋根や外壁の選び方については、以下の記事で詳しく解説していますのでこちらを参考にしてみてください。
関連記事:『【完全攻略】雨漏り対策を踏まえた新築の「屋根選び」の極意を徹底解説!』
関連記事:『ツートンはダサい!?かっこいい+機能性の高い”外壁材ランキング”を徹底解説!』
家電の使い方で考慮すべきポイントは?
涼しい家のポイント③:クーラーの正しい活用
実は、冷房は暖房よりも安い!
日本人には、「いつまで暑さを我慢できるか…自分との闘い!」なんて考える人も多いですが、これは熱中症リスクが上がるだけなのでエアコンはケチらないようにしましょう。
となると「光熱費が心配…」という人もいると思いますが、実は夏の冷房は暖房に比べて光熱費も安いんです。
というのも、外の気温がどんなに暑くても37~38度くらい。そこから室温を27度に下げるとしたら、冷房は10度下げるだけですよね。一方、暖房は外の気温が0度なのに室温を20度くらいまで上げるわけです。これを考えると、暖房の方が光熱費がかかってしまうのも納得ですよね。
壁・天井を冷やすためにも「つけっぱなし」が推奨
ちなみにエアコンに関して、「付けたり消したりするのと、付けっぱなしのどちらが良いのか」という疑問もあると思いますが、これに関しては「付けっぱなし」が推奨です。
もちろんその分電気代は上がってしまいますが、こまめに付けたり消したりをするよりも、つけっぱなしにしていた方が涼しく感じやすいんです。
なぜつけっぱなしの方が涼しく感じやすい?
人間が暑さor涼しさを感じるときというのは、「温度」、「湿度」、「周壁温度」、「気流感」の4要素から体感温度が決まります。
この3つ目の「習壁温度」というのがつけっぱなしを推奨する理由なのですが、人間は「壁」や「天井」などの周辺環境の温度が高ければ暑く感じますし、低ければ涼しく感じるんです。
そのためこまめに付けたり消したりしてしまうと、エアコンを消している間に「壁」や「天井」が暖まってしまい、空気自体は冷たくても涼しく感じるまで時間がかかってしまうわけです。
もちろん、「最適な畳数表示のエアコンを選ぶ」などのエアコン選びも重要ですから、併せてこちらもチェックしておきましょう。
関連記事:『何畳用のエアコンを買うべき?畳数から最適なエアコン容量を計算する方法!』
涼しい家のポイント④:扇風機・サーキュレーター
サーキュレーターが「気流感」を作ってより涼しく!
先ほど、「体感温度は4つの要素が関係している」と説明が、扇風機・サーキュレータ―を使用することで、4つ目に当たる「気流感」を作ることができ、より涼しく感じやすくなります。
これは、「風が吹いたら涼しく感じる」というのと同じ原理ですね。
「サーキュレーター」と「扇風機」の違いって?
扇風機は、人間の身体に風を当てるためのものですが、サーキュレーターは「空気の流れを作るためのもの」です。
特にエアコンだと、どうしても吹き出す方向や風量に限界があるため、キッチンや和室、洗面所などの冷気が届かない場所は暑くなってしまいがち。そんな時に、サーキュレーターを使って、室内の空気をかき混ぜてあげると、室内温度にムラがない「涼しい家」を作ることができますよ。
もちろん扇風機でも良いのですが、「扇風機」と「サーキュレーター」では空気を送る量が違いますので、できればサーキュレーターを使った方が良いですね。
まとめ
お金をかけずに「夏涼しい家」を作るポイントは?
- ①:窓の配置
⇒「東西」に窓は作らないように!
⇒どうしても必要な場合は、「アウターシェード」も検討しよう - ②:「外壁」と「屋根」の色
⇒外壁:「白or薄い色」がおすすめ
⇒屋根:「シルバー系」がおすすめ(ガルバリウム鋼板の場合) - ③:クーラーの活用方法
⇒冷房は暖房よりも電気代が安い!
⇒周壁温度を考えると「つけっぱなし」がおすすめ
⇒最適なエアコン選び(畳数)なども重要(詳しくはコチラ) - ④:扇風機・サーキュレーターの使い方
⇒「気流感」を出すと涼しく感じやすい
⇒できればサーキュレーターを使った方がいい
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