無駄を削ってリビングに!「広く感じる間取り」に共通する3つの条件とは?

この記事では、「コンパクトなのに広く感じる間取り」の作り方を紹介します。大切なのは、間取りにメリハリをつけることです。

「コンパクトなのに広く感じる」間取りに共通する3つの条件|間取りにメリハリをつける方法

「コンパクトなのに広く感じる」間取りを作るために

「コンパクトなのに広く感じる間取り」を作るためのポイントは、大きく2つです。

・無駄なスペースはとことん削る
意図のないスペースや無駄に長い廊下は、たとえ1畳であっても認めません。半畳は約1/2坪ですから、坪単価が60万円とすれば、1畳は30万円かかっているということです。(単純計算ですが)

意図のない買い物に30万円かけませんよね?家は総額がでかく、だんだん金銭感覚が麻痺してきますのでご注意を。無駄なスペースはとことん削りましょう

・優先度の高い部分は贅沢に
家族が集まるリビングや収納をケチってはいけません。間取りは、メリハリです。全部豪華にしてもだめだし、全部けちってもだめです。無駄を削るところと、贅沢にお金を掛ける部分を間違わないようにしましょう。

<無駄なスペースはとことん削る!>
無駄なスペースを"削る"イメージ

【結論】「コンパクトなのに広く感じる」間取りに共通する3つの条件

「コンパクトなのに広く感じる」間取りに共通する3つの条件は、以下の通りです。

①廊下・通路を徹底的に削減
②玄関・客間・2階居室を適正サイズに
③リビング・収納スペースを贅沢に

①廊下・通路を徹底的に削減

まず、廊下や通路を徹底的に減らしましょう。意識すべき場所は、4か所です。

・階段の位置を中央部に
まず重要なのが、階段の位置/階段の上がりきる場所です。階段の上がりきる場所が、2階の中央に近ければ近いほど、2階の廊下を短くすることができます。

逆に、階段の上がりきる場所を2階の外側に配置してしまうと、廊下だらけになってしまいます。1階との兼ね合いもあるので、階段の位置は非常に難しいのですが、中央付近に上げるように意識することは頭にいれておいてください。

<良い間取り実例:階段が中央にあり、2階廊下が短い>
階段を中央部に配置する良い間取り実例

・玄関ホールから直接リビングへ
次に、玄関ホールからリビング(orダイニング)に直接入る動線にすることです。こうすることで、玄関→リビングの見えない廊下(家具を置けないスペース)を短くすることができます。

逆に例えば、玄関→キッチン→ダイニング→リビングと言う動線にしてしまうと、動線が多くなり、自由に使えるスペースが減ってしまいます。

<良い間取り実例:玄関ホールから直接リビングへ>

玄関ホールから直接リビングに入る良い間取り実例

・居室の入口と収納の距離を近くする
居室の入口と収納をなるべく近くに配置します。すると、居室内の通路が減り、家具を置けるスペースを増やすことができます。

逆に、居室の入り口と収納を遠い場所に配置してしまうと、居室内が通路だらけになってしまい、部屋の広さの割に家具を置けるスペースが少なくなってしまいます。

<良い間取り実例:入口と収納が近い(赤い部分以外には家具を置ける)>

入口と収納が近い良い間取り実例

・子供部屋にベランダを配置しない
子ども部屋にベランダを配置してしまうと、部屋入口からベランダまでの通路と、ベランダへのテラス窓の近くに家具を置けませんので、家具を置くスペースが少ない、とても狭く感じる部屋になってしまいます。

ベランダの入口は、廊下がベスト。それが無理なら、比較的広さに余裕のある主寝室に配置。子ども部屋には極力配置しないように、気をつけましょう。子ども部屋に限らず、家具配置のシミュレーションはお忘れなく。

関連記事:間取りの「思っていたイメージと違う…」を回避する4つの対策|3Dシミュレーションソフトの活用

<悪い間取り実例:子供部屋にバルコニーを配置(赤い部分に家具置けない)>

子ども部屋にバルコニーを配置した悪い間取り実例

②玄関・客間・2階居室を適正サイズに

無駄なスペース・廊下を削ったら、次は優先順位が低い部分を、適正サイズに抑えましょう。以下、3か所です。

・玄関を適正サイズに
昔は、玄関は家の顔でしたが、時代は変わりました。過度に見栄を張らなくても大丈夫です。人にどう見られるか?より、家族が快適に暮らせるか?を優先しましょう。

玄関の土間部分とホールの面積は、シューズボックスのスペースを除いて、それぞれ「4.5尺×4.5尺(壁芯1,365mm×1,365mm)」程度で十分です。土間部分とホールを広くとれるならば、その分収納を増やしましょう。

<良い間取り実例:適正サイズの玄関ホール(1,365mm×1,365mm)>
玄関の適正サイズ

・客間はリビング一体で
よく、1階に客間を作りたいという方がおられますが、よくよく考えてみてください。365日のうちの何日間、我が家に客が宿泊するでしょうか?わずか数日ではありませんか?

もちろん1階に客間を作ること自体は、将来の主寝室を兼ねるので良いと思いますが、完全に独立させてしまうことには反対です。年間数日しか来ない客のために、スペースを確保するのはもったいないです。

なので、客間はリビング併設で配置し、普段は家族のためのリビングスペースとして使う。客がきたらそこを客間にする、という考えが効率的。

扉で仕切れればベストですが、扉のせいでLDKの解放感を損なうくらいなら、扉無し(もしくはロールスクリーン)でも十分だと思いますよ。

<良い間取り実例:リビング一体型の客間(和室)>
リビング一体型の客間(和室)

・2階居室は寝るだけと割り切ろう
2階は寝るだけです。無駄に大きくする必要はありません。2階を大きくできる予算があるなら、できるだけ1階に使いましょう。間取りは平屋がベスト。この基本を忘れずに、2階はコスト削減対象と考えていきましょう。

関連記事:「子どもとのコミュニケーションが増える」間取り4つのポイント|子供部屋の適正なサイズとは?

『ちょうどいい新築戸建住宅の広さ(延床面積)は?』に対して

ちょうどいい大きさに個人差はありますが、マンションの大きさが一つ指標になると思います。マンションの大きさは、こんな感じ。

60㎡台(18坪~)・・・少し狭め
70㎡台(21坪~)・・・最も多い
80㎡台(24坪~)・・・少し広め
90㎡台(27坪~)・・・贅沢
100㎡以上(30坪~)・・・かなり贅沢
120㎡(36坪)・・・芸能人(!?)

最も多いのが70㎡台で、100㎡を超えるプランはわずか。120㎡は、プレミアムプランとなっていますね。

<マンションは、100㎡超えたらVIPクラス>

マンションの大きさの目安
(出典:大京

一方、新築戸建住宅になると、「希望は35坪くらいかな~」「最低でも30坪くらいかな~」と言う方が多い印象ですが、35坪(約116㎡)は大きすぎです。マンションでいうと、プレミアムプランであり、芸能人級のサイズ。

30坪もマンションでいえば、贅沢の部類に入りますが、戸建住宅は階段スペースがあることや、マンションは収納が不足しがちなことを考えると、適度サイズと言えます。

もちろん、予算に余裕があれば、家を大きくしても構いませんが、ちょうどいい大きさは「マンション+α」と考え、4LDK30坪前後を目安に考えましょう。

③リビング・収納スペースは贅沢に

ここまでがんばって無駄なスペースを削減しましたので、最後は、贅沢にスペースを確保すべき場所の紹介です。優先するべき部分は、以下2か所です。

・最優先はリビング
家の広さの印象は、リビングで決まります。何が何でもリビングはケチるな!これをしっかり頭に叩き込んでおきましょう。

とは言いつつ、広さには限界がありますので、そんな時は高さを使いましょう。吹き抜けまでしなくても、リビング部分の天井を梁見せにしたり、高天井にするだけで、ガラッとイメージは変わりますよ。

<梁見せで解放感を演出したリビング>
梁見せで解放感を演出したリビング
(出典:イエタテ

・収納も贅沢に
モノが散らかれば、家は狭く見えます。リビングの次に優先すべきは、収納です。マンションの間取りが素晴らしいと以前話しましたが、マンション間取りの弱点は収納の少なさです。

その点、戸建は2階建てで、スペースを確保できるので、収納を確保しやすくなります。特に、1階の収納を十分に確保するように心がけましょう。

関連記事:生活感のない家を作るための「収納」基本ルール5選|収納の失敗パターンとは?

<パントリーには非常食完備も忘れずに>
非常食の保管も忘れずに。余裕があればパントリーを配置したい。
(出典:ニューユニークス

『ちょうどいいリビングの広さは?』に対して

リビングの広さの基本は、12尺×12尺(壁芯3,640mm×3,640mm)です。このサイズがあれば、50インチ超のテレビを置いても、狭く感じません。どうしても厳しければ、リビングの奥行10.5尺(壁芯3,185mm)までなら、あり。9尺(2,730mm)になるとかなり狭いです。

逆に、スペースと予算に余裕があれば、12尺以上にしてもらっても構いませんが、柱と柱の距離が遠くなるので、耐震構造に注意しながら設計を進めましょう。

また、ソファーをどの向きに置くのか?ソファとテレビの距離は適切か?ソファとダイニングの距離は確保できるいるか?なども確認してください。繰り返しますが、リビングの広さは最優先です。

<リビングの広さの基本→12尺×12尺(壁芯3,640mm×3,640mm)>

リビングの基本サイズ


まとめ

「コンパクトなのに広く感じる」間取りに共通する3つの条件は、以下の通りです。

①廊下・通路を徹底的に削減
②玄関・客間・2階居室を適正サイズに
③リビング・収納スペースを贅沢に

関連記事:優秀な「プランナー」を見極める方法|優秀なプランナー20の特徴


【文責:瀬山彰】

せやまが

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せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

間取り実例(せやまどり)

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