2024.11.14
最近、バルコニーを付けない人が結構増えています。個人的にもバルコニーを付けるのはおすすめしていません。バルコニーがあると、思ったよりお金がかかったり、メンテナンス費用がすごかったり、実際にはあまり使わなかったり、というケースが多いんです。とはいえ、人によっては様々な理由でバルコニーを付けることもあるでしょう。そういう人は、バルコニーを付ける推奨パターンや、付ける時の注意点を知っておきたいですよね。こういったことを知らないと「なんかバルコニーから雨漏りした!」「掃除の手間がめちゃくちゃかかる!」「蜂の巣を作られて刺された!」なんてことになりかねません。
そこで今回は、コスパ重視のせやまさんが考える、バルコニーに関する気になる話を紹介していきます。
- 実際にバルコニーが採用されている割合
- バルコニーが要らない理由
- コスパの良いバルコニーの作り方
- バルコニーを無駄にしない鉄則
目次
バルコニーの設置率は?
せやまさんは、直近3年ぐらいで約150件のプランを描いていました。その中でバルコニーを採用したのは12件(全体の8%)でした。12人に1人くらいの割合ですね。
「バルコニーは要らない」と考える私がプランを担当しているので、ある程度の偏りはあるでしょう。ただ、それでもバルコニーを設置しない人は増えていると考えられますよ。
バルコニーを付けると後悔する理由5選
バルコニーを付けると後悔する理由は、主に以下の5つです。
- 意外と使わない
- メンテナンスが大変
- 雨漏りする
- 設置費用がかかる
- 掃除が大変
バルコニーを付けると後悔する理由①意外と使わない
ちょっと広めのバルコニーを作って「天気が良い日は優雅にお茶をしたい」「土地が狭いから庭が取れない。でも、屋上バルコニーでBBQができたら最高!」と考える人は多いですよね。でも、実際はほとんどやりません。
張り切って机や椅子を買っても、1~2年経つとカピカピに劣化します。このように、バルコニーは意外と使わないんです。
バルコニーを付けると後悔する理由②メンテナンスが大変
バルコニーは雨に濡れるところですので、ちゃんと防水加工をしなければなりません。防水加工にも色々な方法がありますが、せやまさんが推奨する「板金防水」以外の一般的な防水(例:FRP防水)だと、10~15年で防水をやり直さなければなりません。
そのために何十万もかかります。さらに屋上バルコニーなんかだと、100万円以上かかるでしょう。それくらい莫大なメンテナンス費用がかかるうえに、バルコニーはめったに使いませんよね。「そんなところにお金をかけるのなんて嫌だわぁ」という気持ちになるのも当然でしょう。
バルコニーを付けると後悔する理由③雨漏りする
「バルコニーなんてめったに使わないし、メンテナンス費用がもったいない!」と思ってケチると、雨漏りのリスクがあります。バルコニーは人が降りるようにできている場所ですので、屋根よりも防水能力が低くて雨漏りしやすいんです。それなのに、メンテナンス費用が高いので、バルコニーのメンテナンスを先送りにする人が多いんですよ。
ですが、一度雨漏りすると木が腐りますよね。さらに木が腐ると「腐朽菌(ふきゅうきん)」が発生します。その匂いに引き寄せられてシロアリが寄ってきて食べると、構造体が腐り、家の耐震性および寿命が縮まります。もう最悪ですね。
バルコニーを付けると後悔する理由④設置費用がかかる
バルコニーはメンテナンス費用だけではなく、設置費用も意外とかかります。バルコニーというのは基本的に延床面積に入らない場所です。だからこそ固定資産税の影響はありませんが、工事費用はかかります。
めったに使わないうえに、メンテナンス費用がかかり、雨漏りリスクが高いバルコニーに初期費用をかけるのはもったいないですよね。そんなお金があるなら、リビングや収納場所を広くしたり、旅行に行ったりする方が楽しいですよ。
バルコニーを付けると後悔する理由⑤掃除が大変
バルコニーを付けることで、大掃除の場所が1箇所増えてしまいます。雨や風でチリが飛んでくるので、それはもう掃除が大変になります。
よくある質問
質問①室内干しだけじゃスペースが不足するんですが…。
上記のような理由からバルコニーを付けることに反対すると、洗濯物を干すスペースが足りないと言われることがあります。
ただ、室内干しのスペースは脱衣室・ランドリールームだけで確保しなければならないわけではありません。LDKや和室に昇降式の金物を付けて、そこを部屋干しスペースにしても良いんです。
(出典:川口技研)
また、どうしても外に干したいのであれば、リビングの掃き出しサッシのあたりに外付けの物干し金物を付けて干すことができます。「外から見えるのは嫌だ」「リビングから洗濯物が見えるなんて!」と気にする人もいますが、住みだしたらそんなことは気にならない人が多いでしょう。そういう人は、外付け金物で洗濯物を干すスペースを確保しましょう。
また、ガス衣類乾燥機の乾太くんの導入を検討しても良いでしょう。そうすれば物干しスペースの少なさといった悩みも解決しますよ。
関連記事:『話題のガス乾燥機「乾太(かんた)くん」の選び方と意外なデメリットを解説!』
質問②それでもどうしてもバルコニーを付けたい!
このようなデメリットを説明しても、「それでもバルコニーがほしい!」という人もいますよね。それは、せやまさん的には全然アリだと思います。
何事もデメリットを理解した上であれば、個人の自由です。なんでもかんでも「理屈上」「経済合理性」で考えていたら面白くないですよね。「デメリットもあるけど、それでもやりたい!」という気持ちを大事にするのが、ちょうどいい塩梅の家づくりだと思います。
ただし、最後に紹介する「バルコニーを無駄にしない鉄則7選」は守ってくださいね。
バルコニー採用推奨パターン2選
「どうしてもバルコニーを付けたい!」という人向けに、私が考える「ここに当てはまるなら付けてもOK!」というパターンを2つ紹介します。
バルコニー採用推奨パターン①どうしても外干ししたい
洗濯物をどうしても外干ししたい人っていますよね。特に実家が外干しだった場合や、実家に日当たりの良いバルコニーがあった場合は「うちもそうしたい!」と考えるでしょう。その場合、バルコニーを付けるのも良いと思います。
ただし、洗濯物を2階バルコニーに干す場合は、間取りの作り方に気をつけてくださいね。「洗面脱衣→階段→2階のバルコニー」の動線が遠いと大変になってしまいます。この動線をなるべく近く、スムーズになるようにしてください。
また、日に当てると服がバリバリになるので、陰干しがおすすめです。陰干しができるように、一部だけでもバルコニーに屋根を付けましょう。
このように外干しができるようにしても、花粉の時期や雨の日のように、外干しが難しい日もありますよね。そういったケースに備えて、最低限でも部屋干しスペースは確保してください。
関連動画:絶対やめて!一生後悔するランドリールーム7選【失敗を知れば成功する方法がわかる!】
よくある質問
質問①布団干しバーはどうでしょう?
(出典:サンワカンパニー)
布団干しバーとは、バルコニーがなくても布団を干せるようにするためのバーですね。個人的に、悪くはないですが使いづらい設備だと思うので、あまりおすすめしていません。
布団って重いですよね。その重い布団を窓越しに出して布団干しバーにかけるのは、ちょっと危ないです。それに、窓は半分しか開かないので、布団幅よりも開口が狭いケースが多いんですよ。そのスペースで布団を出し入れするのは大変ですし、危ないですよね。
そもそも、「布団を外に出す」メリットは「ポカポカして気持ち良い」くらいです。ダニは日光くらいでは死にませんし、布団を叩くとダニの死骸が粉々になってハウスダスト化していきます。というわけで、「布団の中の湿気を抜きたい」という場合は、布団も部屋干しで十分です。外に干すと外壁や窓の桟の汚れが布団に付く可能性もありますよ。
質問②サンルームはどう?
サンルームを付けたがる人もいますが、これはおすすめしません。サンルームは、夏にめちゃくちゃ暑いんです。さらに経年劣化でボロボロになることが多いので、基本的にはやめましょう。サンルームを作るくらいなら、部屋の中の日当たりが良い場所に大きな窓をとって、布団を干したり遊んだりできるフリースペースにする方が良いでしょう。
バルコニー採用推奨パターン②2階リビングの場合
せやまさんは、2階リビングは基本的におすすめしません。「1階完結型」の間取りをおすすめしていません。ただ、2階の日当たりや1階の狭さによっては、2階リビングにする人もいるでしょう。
その場合は2階リビングにバルコニーを付けるのは良い選択肢になります。庭のようになりますし、リビングが広く感じられます。このようにバルコニーを付ける効果が高いですよ。ただし、大きくしすぎないように気をつけてくださいね。
ちなみに、先日2階リビングの間取り実例を公開しましたので、こちらも参考にしてください。
関連記事:【せやまどりNo.58】「2階リビングの欠点を解消して、メリットを最大化した家」の間取り図
よくある質問
質問①2階リビングから、何も跨がずフラットに出入りできる方法はある?
これは工務店によっては実現可能です。バルコニーを下げずに作れば良いでしょう。
そもそも2階バルコニーに出る時に跨がなければならない理由は、防水層を確保するためです。サッシの下でも、最低でも120mm以上は確保しなければならない規定があるんですよ。ただし、バルコニーを下げればフラットに出入りができるでしょう。費用はかかると思いますが、工務店やハウスメーカーに相談してみてくださいね。
質問②バルコニーの施工上の注意点は?
これは施主が気にすることではありませんが「サッシ下の防水層を120mmとる」「それ以外は250mmの立上り、防水層を確保する」「水勾配を確保する」といったところですね。あまり施主がチェックするところではありませんが、知識としては覚えておいても良いでしょう。
バルコニーを無駄にしない鉄則7選
バルコニーを無駄にしない鉄則7選①広くしすぎない
バルコニーを作る時は、広くしすぎないようにしましょう。広すぎるとお金もかかりますし、メンテナンス費用もかかります。さらに、意外と使いません。というわけで、必要最低限にしましょう。
バルコニーを無駄にしない鉄則7選②板金防水を選ぶ
防水の種類は板金防水がおすすめです。板金防水のメーカーは基本的にノーメンテナンスで良いと言っています。ずっとというわけにはいかないでしょうけど、30~40年くらいは大丈夫でしょう。FRP防水等に比べると楽ですよ。ただし、工務店ごとにできる・できないの判断もあるので、一度相談してみてくださいね。
バルコニーを無駄にしない鉄則7選③メンテナンスを必ず行う
初期費用のコストを抑えるためにFRP防水にするのも良いでしょう。バルコニーのメンテナンスは足場を組む必要がないので、屋根や外壁のメンテナンスほどお金はかかりません。
だからこそ、防水をFRP防水にするなら、10年ごとにメンテナンスをしましょう。雨漏りしたら後で直すのが大変ですし、構造だけ腐っていたらどうしようもないですよ。
バルコニーを無駄にしない鉄則7選④掃除用の水栓を付けておく
これはちょっと費用がかかりますが、水栓を付けておくと大掃除の時に便利です。バルコニーの掃除はブラシで擦るんです。そのための水をバケツで持ってくると大変ですよね。配置にもよりますが、できれば水栓を付けておくと掃除が楽になりますよ。
バルコニーを無駄にしない鉄則7選⑤一部でも屋根を付けておく
屋根がないとカンカン照りの直射日光で洗濯物を干すことになります。そうすると服がパリパリになって良くないですよね。一部でも屋根を付けてベランダのように使いましょう。
バルコニーを無駄にしない鉄則7選⑥風の通り道を作っておく
これは地味に大事なことですね。バルコニーを作る時はなるべく家の角っこに作って、二面を抜けるようにしましょう。両側を壁にすると風の吹き溜まりになって、虫が寄ってきやすくなります。しかも洗濯物を干しても風が通りづらいので、なかなか乾かないでしょう。
バルコニーの奥行きが浅い場合、体力壁の関係で角っこの壁が抜けないということもあります。その場合は仕方ないですが、できるだけ二面を抜いて風通しの良い状態で設計してくださいね。
バルコニーを無駄にしない鉄則7選⑦蜂の巣が作られていないかチェック
蜂の巣が作られていないか、こまめにチェックしましょう。ベランダは結構蜂の巣が作られる場所です。蜂は室外機の後ろやドレン管の穴の隙間のような、隠れやすい場所に蜂の巣を作る習性があります。
そのためバルコニーは狙われやすい場所ですし、大きくなると蜂の攻撃性も増してしまって専門業者を呼ばないと駆除できなくなります。早めにチェックして、巣を作り始めた段階で対処していきましょう。
まとめ
バルコニーを付けると後悔する理由や、無駄にしない鉄則は?
- バルコニーを付けると後悔する理由5選
意外と使わない
メンテナンスが大変
雨漏りする
設置費用がかかる
掃除が大変 - バルコニーを無駄にしない鉄則7選
広くしすぎない
板金防水を選ぶ
メンテナンスを必ず行う
掃除用の水栓を付けておく
一部でも屋根を付けておく
風の通り道を作っておく
蜂の巣が作られていないかチェック