2026.06.23
目次
2026年8月に記事の内容を更新しております。動画の内容は撮影当時のものとなりますので、あらかじめご了承ください。
住宅ローンの新常識3選

フラット35の金利が過去最高水準の3.29%(※2026.8月時点)まで上がってきました。一気に上昇している状況です。
金利が上がると、「住宅ローンを組むなら、なるべく頭金を入れた方がいいのでは?」と考える人も多いはず。しかし、この考え方によって、資金計画が破綻する可能性があります。
住宅会社の営業目線で考えると、頭金を入れてもらった方が都合はいいです。住宅ローンと頭金の合算で予算が増え、高い家を売りやすくなるから。契約後に追加費用が出ても、ローンでカバーしやすくなります。そのため、「ぜひ頭金を入れましょう」と言われることもあります。
しかし、施主目線で考えると真逆です。
今回は、住宅ローンの考え方と現金の重要性を踏まえて、戦略的な住宅ローンの組み方を解説します。過去の常識や、住宅会社の営業が言いがちな話も、しっかり整理していきます。
住宅ローンのメリット
経営者視点で見る「住宅ローンが最強ツール」である理由

まず、知識がある人たちが住宅ローンをどう見ているのかをお話します。
住宅ローンは、非常に優れたツールです。会社を経営したり、事業をしたりするとよく分かります。私も法人で融資を受けていますが、借入期間はだいたい10年。金利も2%近い水準です。しかも、借りられる金額もそこまで大きくありません。
それに対して、会社員が使える住宅ローンはかなり優遇されています。年収の7倍から8倍前後まで借りられること自体がすごい。もちろん、7倍から8倍借りろという話ではありませんよ。借りられる選択肢があることが大きい、という意味です。
さらに、35年、40年、最近では50年借りられる商品もあります。借入期間が長いということは、手元資金を残しやすいということ。その手元資金を動かせるチャンスも増えます。
ただし、資金繰りが厳しいから期間を伸ばすというのはNG。一方で、戦略的に期間を長くするのは非常に有効な選択肢です。
住宅ローンはインフレ対策にも

住宅ローンは、インフレ対策としても有効。インフレとは、物価が上がっていくこと。物価が上がる時代には、住宅ローンの価値が相対的に変わります。
たとえば、5年前に2,500万円で家を建て、2,500万円の住宅ローンを組んだ人がいるとします。今、同じ家を建てようとすると3,000万円かかる。この場合、今なら3,000万円する家を、当時は2,500万円で買っていることになります。
では、住宅ローンの残高がインフレによって2,500万円から3,000万円に増えるのか。増えません。住宅ローンは、当時の物価水準のまま残ります。
さらに物価が上がり、当時2,500万円だった家が5,000万円になったとします。物価が倍になったということです。そう考えると、2,500万円の住宅ローンは、今の物価から見ると実質的に半分になったとも言えます。
だから住宅ローンを借りろ、という話ではありませんよ。ただ、家を建てるなら住宅ローンを組む人が多いはず。その意味で、住宅ローンはインフレ対策として非常に有効です。
住宅ローンは土地にも使える
住宅ローンは、土地と建物の両方に使えます。
建物の価値は年数とともに下がっていくため、基本的には負債。一方で、土地は長く住んだからといって必ず価値が下がるものではありません。
もちろん、市場価格の変動はあります。ただ、インフレになると土地の値段が上がる可能性もあります。
つまり、値上がりする可能性がある資産に、非常に条件の良い住宅ローンを使えるということ。これは大きなメリットです。
経営者目線で見ると、住宅ローンは本当にすごい商品。では、この住宅ローンを「重荷」ではなく「ツール」に変えるにはどうすればいいのか。
ここからが本題です。
新常識1. 頭金は入れるな!

住宅ローンの新常識、1つ目は「頭金はなるべく入れない」です。
ただし、誤解してはいけません。現金0円、自己資金0円で家が建つわけではありません。
家づくりには諸費用があります。登記費用、仲介手数料など、住宅ローンに組み込みにくい費用や、組み込むと金利が上がる費用があるためです。諸費用は、だいたい200万円から300万円ほどかかると考えてください。ここは現金で用意するのが前提です。
そのうえで、たとえば住宅ローンを4,500万円借りられるなら、4,500万円借りる選択を検討した方がいい。もちろん、月々の支払いが無理ならダメです。月々の支払いが問題なくできることが前提。
「4,500万円は何となく怖い。月々の支払いは大丈夫だけど、不安だから500万円を頭金として入れておこう」この考え方はやめた方がいいです。
1%の金利負担を減らすために500万円入れるのはもったいない
頭金として500万円を入れれば、ローン残高は減ります。金利負担も少し下がる。
ただ、変動金利なら1%を下回るケースもあります。その1%の金利負担を削るために、手元の500万円を住宅に突っ込むのはかなりもったいない判断ですよ。
それなら、1%の金利は払っておき、手元の500万円を利回り1%以上で動かす方が合理的です。
最も利回りが高い投資先は、自分自身です。自己投資。勉強。スキルアップ。
500万円の種銭があれば、小さな事業を始めることもできます。うまくいけば、利回り1%どころか10%、20%も狙える。
私もこの事業を始めたときに、最初に突っ込んだ現金は4~500万円ほど。それが今では、1億円、2億円規模になってきています。そう考えると、利回り100%、200%どころではありません。
現金には、それほど大きな可能性があります。だからこそ、金利1%、2%を削るために大事な現金を使い切ってはいけません。
事業をしない人でも現金には使い道がある
事業をしない人であっても、金融商品に回す選択肢があります。
S&P500、オルカン、金、銀など、さまざまな商品があります。もちろん値動きはありますし、暴落することもありますが、それでも、金利が上がっている時代に、現金を金融商品へ回す考え方は有効ですよ。
そのため、頭金は戦略的に入れず、フルローンで組むのがおすすめ!
新常識2. 繰上げ返済はするな!

2つ目の新常識は、「繰上げ返済は焦ってしない」です。
繰上げ返済は、焦ってするものではありません。どうしてもお金が余っているなら選択肢にはなりますが、基本的には手元に現金を残し、その現金を動かす方がいい。
どうしても繰上げ返済をしたいなら、住宅ローン控除が終わる13年目以降に検討するのが現実的ですよ。
住宅ローン控除中の繰り上げ返済は要注意
住宅ローン控除では、条件によって借入残高の0.7%が税額控除されます。税額控除なので、対象となる金額が税金から差し引かれる仕組みです。
しかし、繰上げ返済をするとローン残高が減ります。ローン残高が減れば、0.7%の控除額も減ってしまいます。特に、年収が高く、住宅ローン控除をしっかり受けられている人ほど、わざわざ繰上げ返済で控除額を減らす必要はありません。返したいなら、住宅ローン控除が終わった後が基本です。
せっかく自分の与信で借りられているお金です。借りられるなら、そのまま残しておく方がいい。会社を辞めると、住宅ローンはなかなか組めません。会社員は、住宅ローンという非常に強い商品を使える大きなメリットを持っています。
新常識3. なるべく長い期間で借りろ!

3つ目は、「なるべく長い期間で借りる」です。
ただし、月々の支払いが苦しいから40年、50年に伸ばすのはNG。これは勘違いしてはいけません。
35年でも問題なく払えるけれど、戦略的に40年、50年にする。この考え方は正解です。
借入期間を長くすると、月々の支払いが抑えられ、手元に現金が残りやすくなります。キャッシュフローが良くなるということ。
現金があれば無駄な保険を切れる
手元に現金があると、投資に回せるだけでなく、無駄な保険を切れるメリットも。
たとえば、学資保険。基本的には不要です。利回りが低く、保険会社は得に見えるように説明しますが、冷静に見るとそこまで大きなメリットはありませんよ。子どもの教育費を準備するなら、手元に現金として残しておけばいい。
医療保険も同じ。入っていてよかったというケースはありますが、理屈で考えると、日本には高額療養費制度があります。月々に支払う医療費には、所得に応じた上限があります。公的制度がある以上、さらに高い医療保険に入る必要性は低いです。
現金が数百万円から4~500万円ほどあるなら、過度な保険に頼らなくても対応できます。
車両保険も高いです。貯蓄型の生命保険も、よく考えると利回りはかなり低い。
こういった無駄な保険を切ることができれば、月々数万円の支出が減ります。これだけで金利負担は十分に吸収できます。
現金は心の安定剤にも
現金があると、心も安定します。銀行口座の残高を見ると、「頑張ってきたな」「貯まってきたな」と感じられる。これは大事です。
もちろん、残高があるだけで何かが解決するわけではありませんが、心の安定剤になることは間違いない。現金は神。現金は本当に大切。
家に使いすぎている場合ではありません。住宅ローンをうまく活用し、現金を手元に残すことが重要です。
変動金利 vs 固定金利

ここからは、最新の住宅ローン戦略として、変動金利と固定金利の考え方を整理します。
私は変動金利派です。
固定金利
固定金利は、フラット35のように10年国債の利回りによって大きく変動します。また、政治や財政政策の影響で国債の利回りが上がる可能性もあります。固定金利は、組んでしまえば金利が固定されますが、申し込みから実行までの間にどんどん上がるリスクがあります。
住宅ローンは基本的に、申し込み時ではなく、決済時、つまり家が完成した時の金利が適用されます。ここは要注意。
変動金利
一方で、変動金利には、組んだ後に金利が上がるリスクがあります。これは当然、怖い部分です。
ただし、変動金利は日銀が決める政策金利に連動します。政策金利は、ある程度人為的にコントロールされるので、市場で上下する10年国債利回りに連動する固定金利より、先行きは見通しやすいという面があります。
2026年8月時点の政策金利は1.0%。
政策金利は、景気を過熱させることも、冷え込ませることもしないちょうど良い金利とされる「中立金利」まで上がるとされており、中立金利は1.5~2%程度と言われています。
つまり、今の変動金利が1%とすると、そこから0.5~1%上がっても1.5~2%程度という水準。それなら、固定金利ほど高くならない可能性が高い。これも、私が変動金利を推す理由の一つです。
金利負担は、残債が多い初期ほど大きくなります。そのため、最初は変動金利で金利負担を抑え、その間にしっかり稼ぐ。将来、変動金利が大きく上がったら、その時点で繰上げ返済を検討する。そういう戦略です。
ただし、正解は未来にならないと分かりません。私の考えが外れる可能性もあります。最終的には自己責任で選んでください。
Q&A
フラット35はどう?
固定金利は上昇しているが、フラット35のポイント制度で当初10年間の金利が2%を下回る人や、転職して間もない人、団体信用生命保険に入れない人にとっては、選択肢になりえます。
ポイント制度を使うと、たとえば、私の家は子どもが4人いるため、5年間の金利が1%下がります。さらに、家の性能や長期優良住宅など、さまざまな条件を組み合わせると、金利が大きく下がる可能性があります。
残価設定型住宅ローン(残クレ型住宅ローン)はどう?
残価設定型住宅ローン(残クレ型住宅ローン)についても質問がありますが、まだ詳細が十分に出ていません。
亡くなった時に売却して完済するリバースモーゲージのような仕組みと組み合わせて、残価設定型住宅ローンが出てくる予定です。詳細が出たら、改めて詳しく解説します。
現段階では、原則おすすめしません。
残価設定型では、土地と建物の評価額を金融機関が決めることになります。ただ、その評価額はかなり低く出る可能性があります。金融機関も損はできません。国が金融機関の損失を補う保険を作るという話もありますが、予算を見る限り、大きなことはできないのではないかと考えています。
そうなると、金融機関は無難な評価をするはずです。そのため、残価設定型住宅ローンをあてにしない。現段階では、これが王道の考え方です。
まとめ
住宅ローンの新常識をお話しました。
現金は、住宅ローンや家に使いすぎている場合ではありません。
頭金はなるべく入れない。可能であれば、住宅ローンは多めに組む。
繰上げ返済も、なるべくしない。どうしてもするなら、住宅ローン控除が終わってから。
借入期間も、組めるなら長めに組む。ただし、支払いが厳しいから期間を伸ばすのはNG。
大事なのは、現金を手元に残すこと。そして、金利が不安な人ほど、しっかり稼ぐこと。月々2万円、3万円、5万円、10万円と多く稼げるようになれば、金利負担は十分に吸収できますよ。金利上昇時代、住宅価格高騰時代の一番の対策は、しっかり稼ぐことです。
せやま印工務店プロジェクトも、コスト上昇の影響で単価を上げなければならない状況になっています。それでも、全国の心あるせやま印工務店と力を合わせ、コストを抑えながら質を担保できる住宅業界を維持していきます。
皆さんもしっかり働いて、一緒に頑張っていきましょう!
