【住宅ローン】フラット35のメリットと手数料・金利を下げる方法
投稿日 2023.03.09 / 最終更新日 2023.03.29

CMなどでも目にするフラット35。ですが今からローンを組むため固定金利にするか変動金利にするか迷っているという人の中には、詳しく知らないという人もいるのではないでしょうか。
フラット35にはどのようなメリットがあるのか、手数料や金利を下げる方法があるのか、気になりますよね。ローンの特徴や金利の引き下げ制度など、いまいち分かりづらい疑問を解決していきましょう!
コストカットのポイントをしっかり押さえてください!
本記事は、YouTubeでも分かりやすく解説しておりますので、動画で見たいという方は以下からご覧ください!
参考動画:【住宅ローン】フラット35のメリットと手数料・金利を下げる方法
目次
フラット35とは?
35年間固定金利のフラット35は、独立行政法人/政策金融機関である住宅金融支援機構が運営している住宅ローンの制度です。国が管理をしている金融機関なので、民間の銀行がやっているローン制度とはちょっと違います。国がやっていて、そのローン制度をいろんな銀行が窓口として取り扱っている、という形になっているんです。
そのため他の銀行ローンにはない特徴も持っているので、自分に合う特徴があるのかどうか見ていきましょう。
フラット35のローンの特徴
他の銀行ローンとはない特徴をめちゃくちゃ持っているフラット35。だからこそ、特徴もしっかり見ていく必要があります。特徴をしっかり知れば「これは私向きだな!」と思える人もいるでしょう。そんなフラット35の特徴といえば、こちら!
- 金利
- 借入可能額
- 借入のしやすさ
- 申し込み窓口
- 分割融資・つなぎ融資
それぞれどのような特徴なのか、詳しく見ていきましょう!
フラット35の特徴①金利
フラット35の金利は、全期間固定です。期間は35年が中心ですが、20年固定のフラット20や、50年固定のフラット50もあります。とはいえ、多くの人は35年ですので、フラット35の話をしていきます。
実行金利は毎月変動しますが、実行後は固定となります。たとえば2022年4月の金利は借入金額が資金金額全体の9割以下の場合には1.44%です。フラット35の金利情報を見ると1.44%~2%のように幅で書いてあることが多いですが、ほとんどの銀行は最低の金利でやってくれます。ただし資金計画の9割以上を借りてしまうと、少し金利が上がります(2022年4月の場合は1.7%)なので、フラット35を使う場合は基本的には10%の自己資金を入れて、残りの9割をローンで組んでいく人が多いですよね。
ちなみに、この1.44%には「団信」が入っています。団信とは団体信用生命保険の略で、亡くなったり高度障害になったりしたらローンをチャラにする、という制度です。いわゆる生命保険がついた金利ですね。ちなみに、この団信は病気や手術の状況によっては入れない人もいますが、そういう団信に入れない人でも組めるローンがフラット35です。その場合は少し金利も下がります。
金利は長期金利すなわち10年国債の利回りと連動して決まりますが、毎月変動するということで「私の金利はいつの金利?」と思う人も多いでしょう。それは実行のタイミングです。家が完成するちょっと前のタイミングで決まるので、なかなか読みづらいものなんです。そのため、フラット35を組む人は10年国債の利回りをチェックしておきましょう。
ちなみに、フラット35には買取型と保証型の2つのタイプがありますが、ほとんど買取型です。保証型を取り扱っている窓口はごくわずかです。保証型は少し金利が低いですが審査が厳しいので、あまり使われません。
フラット35の特徴②借入可能額
これもフラット35の大きな特徴の一つ。フラット35では年収の9~10倍までのローンを組むことができます。一般の銀行の場合は大体8倍くらいですが、フラット35は突き抜けるんです。ここまで使う人は「後でお金が入ってくる」など、戦略的に借りる人にはアリですよね。現金は手元に置いておいて、事業や投資にお金を回したい人にはおすすめです。
ただし、先ほど言った通り借入額の上限は90%以下が推奨です。総額というのは、土地・建物・諸費用を含めたものです。これを90%までにして、残りの10%は自己資金にすることで、金利が下がります!
ちなみに、フラット35は借入可能金額に上限額が設定されています。フラット35の上限額は8,000万円ということで、ちょっと低めです。一般の銀行なら1億円とかそれ以上もいけますが、フラット35は上限が決まっているので、注意してくださいね。
フラット35の特徴③借入のしやすさ
フラット35は借入のしやすさも注目ポイント。フラット35は自営業の人でも借入しやすいんです。どんなに儲かってても現金を持っていても自営業は銀行からの評価が低くなりがちですが、フラット35なら問題ありません。
また、転職間もない人でも申込可能です。転職理由を問われる可能性はありますが、転職して数ヶ月でも借りられる可能性があるのは嬉しいですね。一般の銀行だと最低でも1年、基本的には2~3年勤務していないと貸してくれないところも多いので、フラット35の選択肢としてもありですね。
さらに先ほど伝えた通り、団信非加入でも借入可能で、金利を下げてもらうこともできますよ。
フラット35の特徴④申し込み窓口と事務手数料
300以上の金融機関が取り扱っているのがフラット35です。では、どこで申し込みをするのが一番良いのでしょうか。
覚えておきたい大切なポイントですが、フラット35は窓口によって事務手数料が異なります。大体0.77%~2.2%程度と、1%以上の開きがあるのでめちゃくちゃ大きいですよね。4,000万円借りたら40万円の差になるんです。しかも高く払っても特に恩恵はないので、事務手数料が低い窓口を選びましょう。最低でも1.1%以下の窓口を選ぶことが大切です!
さらに、住宅会社経由の方が事務手数料が安くなる可能性があることも覚えておいてください。一般の申し込みだと1.5%だけど、住宅会社からなら0.8%になるなどもあります。そのため、住宅会社に提携状況を確認してから申し込んでくださいね。
フラット35の特徴⑤分割・つなぎ
フラット35は最終の一括払いなので、土地代金・着工金・中間金・最終金への分割融資がありません。そのため、土地決済/着工金/中間金のためのつなぎ融資が必要になってきます。フラット35以外のところで調達する必要がありますが、窓口ごとにどういうつなぎ融資があるのか、金利も違うのでチェックしてくださいね。
フラット35で使える切り引き下げ制度とは?
フラット35では、金利引き下げ制度もあるので、有効に使わなければなりません。さらに2022年4月から維持保全型という新しいキャンペーンも始まっているので、こちらもチェックしてくださいね。
フラット35で使える金利引き下げ制度3つはこちら!
- フラット35S
- 維持保全型
- 地域連携型
これも色々あるので詳しく見ていきましょう。
フラット35の金利引き下げ制度①フラット35S
まずはフラット35Sですが、こちらはAプランとBプランがあります。
金利が10年間の間0.25%引き下げになるのがAプラン。そのAプランを適用するためには、以下の条件を達成する必要があります。
- 長期優良住宅
- 耐震等級3
- 一次エネルギー消費量等級5以上
一方、5年間だけ0.25%引き下げになるのがBプランです。そのBプランを適用するためには、以下の条件を達成しなければなりません。
- 耐震等級2
- 一次エネルギー消費量等級4以上
Aプランの方がお得ですので、長期優良住宅をとってフラット35SのAプランをとるようにしましょう!家の設備としては長期優良住宅をとってもそんなに良くなりませんが、補助制度や税制があるのでお得になります。長期優良住宅をとることで、こどもみらい住宅支援事業でも80万円もらえたりするので、覚えておいてくださいね。
この内容に関して詳しく知りたい人は、こちらの記事 「長期優良住宅があまり役に立たない理由|性能面と税制面で解説」
をご覧ください。
フラット35の金利引き下げ制度②維持保全型
2022年の4月から始まったフラット35の新制度、維持保全型もチェックしておきましょう。維持保全型も長期優良住宅にすることで取ることができる制度です。金利が5年間0.25%下がりますが、フラット35Sと併用可能なんです。
つまり長期優良住宅をとり、フラット35Sと維持保全型を併用することで、最初の5年間は0.25%+0.25%で0.5%金利が引き下げになり、その次の5年間は0.25%引き下げ、つまりローンを借りてから10年経ってから実行時の金利が適用される、ということになるんですね。
このお得な維持保全型を適用するためには、期日の適用条件が重要です。基本的には2022年4月1日以降に適合証明の申請をした人が該当になります。なので、これから家を建てる人は間違いなく該当するので問題ないでしょう!
ただし、維持保全型には予算上限があります。予算がなくなったら終わってしまう制度ですが、申し込んだ時点で予算は確保してくれるらしい上に、予算がなくなりそうなら3週間前に告知がされるようです。そのため申し込み時点で通れば、予算上限はそれほど気にする必要はないでしょう。
フラット35の金利引き下げ制度③地域連携型
フラット35の金利引き下げ制度、最後の1つは地域連携型です。これは以前からあった制度ですが、ちょっとややこしいですね。子育て支援・地域活性化・地域移住支援というポイントがありますが、これはお住いの市区町村によってやってるところと、やってないところがあるんです。
なので、役所の窓口で聞くのが一番確実!担当の方に聞いて、該当するかどうか確認してみてくださいね。ただし、地域連携型をとったとしてもフラット35SのAプランと維持保全型が適用されていれば、それほど変わりません。
まとめ
フラット35とは?
- 国直轄の金融機関
- 金利は全期間固定で10年国債の利回りに連動
- 借入は年収の9~10倍まで可能だが、総予算の90%以下を推奨
- 借入しやすい住宅ローン
- 窓口によって事務手数料が異なる(1.1%以下の窓口がおすすめ)
- 分割融資・つなぎ融資はない点に注意
- 金利引き下げ制度を使うためには、長期優良住宅をとろう!
PROFILE

せやま大学の人
瀬山 彰
大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。
「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。
娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。