2024.11.30
先日11月29日に、「子育てエコホーム支援事業」の後継補助金として、最大160万円の「子育てグリーン住宅支援事業」が発表されました。
そこで今回は、発表された内容を整理して、
- 具体的にもらえる金額は?
- 対象となる家は?具体的な条件は?
- これから家を建てる人がやっておくべきことは?
についてご紹介します。
補助金関連については、予め把握しておかないと、いざ来年の補助金が発表になった時に「自分は対象じゃない。補助金がもらえない」ということになりかねませんから、補助金の開始に備えて、必要な準備を整えておきましょう!
今回は2024年12月1日時点の情報に基づき、以下を詳しく解説していきます。
目次
後継補助金は「子育てグリーン住宅支援事業」!
「子育てグリーン住宅支援事業」でどう変わった?
最大160万円の「GX志向型住宅」が追加!
(出典:国土交通省)
まず現在の「子育てエコホーム支援事業」については、『長期優良住宅:最大100万円 ZEH住宅:最大80万円』と2分類による補助金制度。
それに対して、新補助金「子育てグリーン住宅支援事業」では、先ほどの2つに加えて「GX志向型住宅:最大160万円」という分類が追加されました。
既存の2分類の補助金額はダウン…
新分類追加によって、MAXの補助金額が100万円⇒160万円にグレードアップされたわけですが、その分子育てグリーン住宅支援事業では、『長期優良住宅:80万円 ZEH住宅:40万円(新築時)』と、既存の2分類については補助金額が大幅に下がっています。(リフォーム時の補助金額は異なります)
そのため子育てグリーン住宅支援事業を活用する際は、実質「長期優良住宅にするか?GX志向型住宅にするか?」の二択になるでしょう。
GX志向型住宅は「全ての世帯」が対象!
子育てエコホーム支援事業と同様、「長期優良住宅」や「ZEH住宅」の場合は『18歳未満の子どもがいる子育て世帯、もしくは夫婦いずれかが39歳以下の世帯』のみ対象となります。
一方で、新分類「GX志向型住宅」では『全ての世帯』が対象となりますから、子どもが既に大きくなった世帯でも補助金を受けられるのは大きな変更点ですね。
新分類「GX志向型住宅」について
「GX志向型住宅」の条件は?
今回新設された「GX志向型住宅」の条件については、以下の通り。
「GX志向型住宅」の条件は?
①:断熱等性能等級6以上
②:再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率35%以上
③:再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率100%以上
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①:断熱等性能等級6以上
「断熱等性能等級6以上」というのは、「HEAT20(G2)」をクリアしている状態のことですね。
GX志向型住宅の推進実行委員会が検討会議の中で、カリフォルニア州の基準を参考にしたことにより、それに近い「UA値0.46以下のG2基準」が条件になったようです。
せやま印工務店でも対応できる?
ちなみにせやまが推奨する性能基準をまとめた「せやま基準」は、「UA値0.6以下(ZEH基準必須)」をクリア条件に、UA値0.5前後を目指してもらっています。そのため、GX志向型住宅の条件自体は「せやま基準よりも少し上」という感じでしょうか。
ただせやま印工務店の半分くらいが「HEAT20(G2)の基準」で提案しているので、せやま印工務店の中にもGX志向型住宅対応できる会社は多いです。
関連ページ:『せやま印工務店とは?』
②:再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率「35%以上」
これは、「高効率給湯器」や「節水機器」を使って、「省エネ基準(※)で定められている一次エネルギー消費量から、さらに35%以上削減した状態にする」という基準になります。
ちなみに、現在の一次エネルギー消費量における最高等級は「等級6(省エネ基準よりも20%以上削減された状態)」ですが、今回はそれを上回る数字ですから、今後「等級7」や「等級8」が新設される可能性もありそうですね。
省エネ基準は2025年4月から義務化
そもそも「一次エネルギー消費量」って何?
一次エネルギー消費量とは、建築物で使われている「設備機器の消費エネルギー」を熱量に換算した値を指します。
具体的には、冷暖房や換気、給湯、照明などによる消費エネルギーの合計値を「一次エネルギー消費量」と呼びます。
③:再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率100%以上
③は早い話、「計算上自給自足できるように、太陽光パネルを設置してくださいね」という条件ですね。
ただここで一つ懸念点。
②でもお話しした通り、GX志向型住宅では「一次エネルギー消費量が20%⇒35%」と消費エネルギーをさらに削減しないといけないわけです。
つまり、そもそも家の消費エネルギ―自体が減るため、載せないといけない太陽光パネルの量はこれまでのZEHなどよりも減るはずなんですが、「この認定を取るために5~6kWh」というような容量を乗せないといけなくなるようなことになるようであれば、少し制度としては使いづらくなるかなと思います。
太陽光パネルの推奨容量は?
太陽光パネルの搭載kW数は、「家族の人数×1kW」が目安です。
このぐらいを目安にしてもらえれば、おおよそ「つくる電気=使う電気」となり、数字上の自給自足が実現するのですが、「GX志向型住宅の認定のために、5~6kWh載せないと…」となる場合は、長期優良住宅での活用も検討した方がコスパ的には良いかもしれませんね。
また蓄電池の有無については、条件から外れていますが推奨はされていますね。
蓄電池導入時には、今回の子育てグリーン住宅支援事業とまた別の補助金を併用することができますので、併せて検討していってください。
寒冷地であれば「削減率75%」でもOK!
ちなみに③の「削減率100%以上」については、寒冷地等に限り『削減率75%以上(Nearly ZEH)』も認められています。
その他、都市部狭小地等の場合に限っては「再生可能エネルギー未導入(ZEH Oriented)」も認められます。細かい条件は今後発表されると思われるので、そういった点は工務店側とすり合わせてくださいね。
「長期優良住宅」or「GX志向型住宅」のどちらが良い?
これは、現時点で建てようとしている工務店やハウスメーカーの仕様によります。
現時点でG2クラスや断熱等級6をクリアして太陽光を載せて、一次エネルギー消費量の削減率も35%以上になりそう・・・という状況であれば、そのまま「GX志向型住宅」を狙ってください。
一方で、子育てエコホーム支援事業を狙って長期優良住宅を検討していた人が、「アップグレードしてGX志向型住宅の水準まで引き上げる」…というのはやりすぎです。
考え方としては「長期優良住宅」と「GX志向型住宅」の金額差は80万円なので、現在検討している家の仕様から「80万円以内の増額でGX志向型住宅の水準に対応できるならOK」という感じですね。
今から家を建てる人がやるべきことは?
必ず「太陽光パネルの選び方」を知っておこう!
以降、安くて低品質なパネルが蔓延する可能性が…
まず今回のGX志向型住宅では、断熱性能に対する要求レベルは高いものの、太陽光は「自給自足できる分を”載せれば良い”」となっています。
このように、補助金条件に「太陽光パネルの導入」が組み込まれたことによって、安くて低品質な太陽光パネルが蔓延してしまう恐れがあるわけです。
日本の太陽光パネル試験はめちゃめちゃ緩い
太陽光パネルの販売のためには、「高温高湿試験」という耐久試験を通過しないといけないのですが、日本で販売するには「1,000時間以上の耐久」が条件。
ただこのレベルだと10年間は問題ないかもしれませんが、15~20年くらいで発電しなくなってしまいます。そうなると、撤去や交換費用も掛かるため、一次エネルギーも脱炭素も台無しになってしまうわけです。
高温高湿試験3000時間以上のパネルを選ぼう!
高温高湿試験の目安としては、「3,000時間以上」の太陽光パネルを選択してください。そうすれば25年以上使えます。
ちなみにBE ENOUGHが推奨しているマキシオン製の太陽光パネルは、高温高湿試験が7,000~8,000時間を超えているので大体40~50年くらい使えます。
太陽光パネルの選び方などについては、以下記事で詳しく紹介してるのでこちらも併せて読んでみてくださいね。
関連記事:『【マキシオン一択】太陽光パネル・パワコンの選び方・おすすめメーカーを徹底解説!(2024年版)』
子育てエコホームor子育てグリーン、どっちの適用…?
(出典:国土交通省)
今回の「子育てグリーン住宅支援事業」については、今年の子育てエコホーム支援事業に間に合わなかった人も対象になります。
また子育てグリーン住宅支援事業については、「2024年11月22日以降に、基礎工事より後の工程の工事着手」が条件となります。これは「棟上げ(上棟)」のことですね。
そのため、11月22日より前に棟上げが終わっている人は対象にならないわけですが、それらの人は子育てエコホーム支援事業に申請できますからそちらで申請を行いましょう。(申請期限は2024年12月31日まで)
ただし、基礎工事がまだ終わっていない人、つまり年明け以降に棟上げを行う場合は、子育てエコホーム支援事業ではなく「子育てグリーン住宅支援事業」に申請するよう覚えておいてください。
関連記事:『【あと〇日!!】施主向けに「子育てエコホーム支援事業」の条件・申請タイミングを徹底解説!』
まとめ
後継補助金となる「子育てグリーン住宅支援事業」に関する概要・条件のまとめは以下の通り。
子育てグリーン住宅支援事業の概要・条件は?
- 子育てグリーン住宅支援事業の補助金額は?
・ 「GX志向型住宅」:最大160万円
・ 「長期優良住宅」;最大100万円
・ 「ZEH住宅」:最大60万円
上記金額は「新築」の場合です(リフォームは上記と異なります)
- 「GX志向型住宅」の認定条件は?
①:断熱等性能等級6以上
⇒HEAT20(G2レベル)が要求される
②:再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率35%以上
⇒省エネ基準から「35%以上」削減した状態
③:再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率100%以上
⇒太陽光パネルを設置して、計算上、電気が自給自足できる状態に
蓄電池の導入は推奨だが必須ではない- 「長期優良」or「GX志向型」どっちがいい?
⇒アップグレードしてGX志向型の水準まで引き上げるのはやりすぎ
⇒「80万円以内の増額」で対応できるならGX志向型でもOK
- これから家を建てる人は?
⇒「2024年11月22日以降に、基礎工事より後の工程の工事着手」が条件
⇒11月22日前に棟上げ:子育てエコホーム支援事業で!
11月22日以降に棟上げ:子育てグリーン住宅支援事業で!
- 「長期優良」or「GX志向型」どっちがいい?