2024.11.14
今回はトイレに関して見落としがちなチェックポイントを中心に、失敗しないトイレの作り方を網羅的に紹介していきます。これから家を建てる人はもちろん、トイレのリフォームを考えている人も参考になる内容ですよ。
みなさん「トイレは広い方が良い」「トイレは高価なものが良い」「タンクレストイレが良い」と言いがちですが、間違えていることもあります。また、トイレのとある部分の角度や照明の選び方、ウォシュレットの水の種類は、実はメーカーごとに異なります。そこで、人一倍トイレの選び方にこだわりのある私が、ユーザー目線でコスパを重視した賢いトイレの選び方を紹介します。
今回は以下を詳しく解説していきます。
目次
トイレの間取りのコツ
玄関か洗面か?
トイレの配置を玄関ホールにするか、洗面にするか悩む人は多いです。大切なのは、どちらにしても必ずLDKとトイレの間に扉を2枚挟んで音対策をすること。LDKから直接繋がるトイレは、マジでやめた方が良いですよ。ショールームなどでは見かけますが、音漏れします。家族とはいえ、音の配慮をするために扉を2枚挟んでください。
玄関に設置する場合
玄関にトイレを配置するメリットは、玄関ホールに扉があるので2枚挟みやすいことと、帰宅後にすぐトイレに行けることです。さらに、玄関にシューズクロークを作るとトイレのサイズくらいのスペースが余るので、無駄のない配置もできます。
洗面所に配置する場合
洗面所に配置するメリットは、お風呂に入る前にトイレに行きやすいことと、玄関がごちゃつかないことです。ただし、洗面に付ける場合には洗面と脱衣を必ず分けてください。洗面と脱衣が一緒の場合に洗面にトイレを付けると、トイレに誰かが入っている時にお風呂に入りにくくなります。洗面所に配置する場合は洗面と脱衣を分けることと、洗面とLDKの間に扉を2枚挟んで音対策することを忘れないでください。
玄関と洗面のどちらが良い?
どちらに配置するかは好みで決めて良いです。ただ、家をコンパクトにしたい場合、玄関に配置する方が間取りの効率が良くなる傾向がありますよ。
2階のトイレの配置
「そもそも2階にトイレは必要?」と言われることがありますが、あった方が良いです。トイレが混み合うと大変なので、基本的に1階と2階の2箇所に配置してください。
2階のトイレの配置場所
2階の場合、扉を2枚挟むのはなかなか難しいです。ただ、LDKから距離が離れているので、そこまで配置を気にする必要はありません。可能であれば、リビング階段を上がったところから少しでも奥まった場所に配置ができればベストです。
トイレのサイズ
トイレの幅は1P(1P=91cm)で十分です。壁芯で1P、壁の内側が780mm程度で十分です。横幅が広いトイレも見かけますが、そこを広くする必要はありません。座ってから手の届く位置に全てがある方が楽ですよ。
トイレの奥行きの基本は1畳、つまり2Pにする人が多いですが、それほど要りません。1畳のトイレは広すぎます。1階のトイレで独立手洗いを置く場合であっても、奥行きは1.75Pで十分です。1畳から1/4Pほど縮めても支障はありません。
2階トイレの場合、独立手洗いなども付けずに奥行き1.5Pのジャストサイズで十分です。「狭いかな」と不安になる人もいますが、独立手洗いがなければちょうど良いサイズです。座って扉に膝がぶつかることもありませんよ。
扉は引き戸?開き戸?
トイレの扉は間取りによって決めてください。BE ENOUGHでは、アッパーカットトイレドアを推奨しています。新幹線のトイレと同じ仕組みで、上からトイレを取り込んで下から捨てることで、臭いが気になりません。開き戸にできる場合なら、アッパーカットトイレドアにしてください。BE ENOUGHが推進する「せやま印工務店」以外の工務店でも採用できますよ。
アッパーカットトイレドアにこだわらない場合、動線によっては引き戸の方が良い場合もあります。その場合は引き戸でも構いませんよ。
アッパーカットトイレドアに関しては、こちらの記事をご確認ください。
関連記事:う○ちの臭いが消える!?「アッパーカット トイレドア(特許出願中)」全国販売開始!
「澄家」以外で新幹線の仕組みを実現したい
基本的に、床面排気は「sumika(24時間全熱交換型換気システム)」にしかありません。ただ、たまに「澄家以外でも新幹線と同じ仕組みのトイレにしたい!」と言われることがあります。実は、これも可能です。
一般的に、見栄えの問題で独立の換気扇を壁や天井に付ける場合が多いです。間取り的に無理な場合もありますが、可能であればそれらの換気扇を壁の低い位置に付けてください。そうすれば上から空気を取り込み、壁の低い位置で空気を捨てる仕組みになります。上から下への空気の流れを作れるので「澄家じゃないから無理」だと諦めず、通常の換気扇でも低い位置に付ければ良いことは覚えておいてください。
収納は必要?
トイレの収納は必要です。収納がないと、トイレットペーパーを置く場所もありません。ただし、メーカー純正の扉付きの棚を付けると費用が高くなるので、上部のカウンターを付けるのがおすすめです。その後で収納カゴを付ければ十分ですよ。
ただし、タンクのすぐ上の部分にカウンターを付けるのはやめた方が良いです。トイレが壊れてメンテナンスをする時にタンクを開けることがありますが、カウンターが低いとメンテナンスの邪魔になってしまいます。カウンターを付ける時は修理する場合を考慮して、邪魔にならない高さに設置してくださいね。
窓は必要?
トイレの窓は不要です。特に2階トイレに窓を付けると、日差しで暑くなり熱中症で倒れるリスクが高まります。
トイレの窓を付けないことで、トイレを外壁側に配置しなくても良くなります。これによって間取りの効率性も上がりますよ。もちろん窓のコストも落ちるので、コスパの良い家づくりができます。
照明の選び方
トイレの照明は人感センサー付きの方が良い?
トイレの照明を人感センサーにするのはおすすめしません。自動消灯が気にならないならOKですが、トイレの途中で照明が消えるのが嫌な人は人感センサー付きの照明は付けない方が良いですよ。
スイッチの場所は?
トイレのスイッチをトイレの内側に付けるのか、外側の廊下側に付けるかによって使い勝手が大きく変わります。
スイッチを外に付ける場合、他の人に付けっぱなしだと勘違いされて消されるリスクがあります。ただし、トイレに明るい状態で入れるというメリットがあります。
内側に付けると、他の人に消されるリスクはありませんが、中が真っ暗な状態で入らなければなりません。
大した違いではありませんが、これまで住んでいた家に合わせることも大切です。また、1階と2階のトイレで統一してください。それぞれ異なると間違える可能性があるので、できるかぎり合わせてくださいね。
トイレの選び方
必須機能 せやま基準★★★
洗浄ボタン
住宅会社によっては標準仕様がレバーになっているトイレもあるので注意してください。せっかくの注文住宅なので、洗浄ボタンを付けるのがおすすめです。ボタンで押せるということは大体リモコン洗浄とセットになっているので、自動洗浄機能付きかは最低限確認してください。
暖房便座・ウォシュレット・タオルリング
これらも標準仕様になっているケースが多いですが、時々「タオルリングはオプションです」と言われることもあります。入っているかどうか、しっかり確認してくださいね。
また、タオルリングと手洗い場の位置関係も重要です。適当に場所を決める工務店がありますが、手洗いとタオルリングの場所が遠いと水滴が落ちてしまうので注意してください。意外とミスが多い場所なので、工務店としっかり打ち合わせしてくださいね。
推奨機能 せやま基準★★
二連の紙巻き器
一連のオシャレなタイプも良いですが、すぐなくなるので二連の方が良いですよ。必須に近い推奨機能です。また、左右どちらの壁に付けるかも意識してくださいね。右利き・左利きという問題の他に、慣れもあります。ただし、結構順応しやすいポイントですので、間取りの事情で左右を決めるのもアリですよ。
また、トイレットペーパーを巻く時のカタカタという音を嫌がる人もいます。そういう人は静音タイプも検討してください。数千円~1万円くらい値段が高くなりますが、家全体で見たらそれほど高いわけではありません。
任意機能 せやま基準★
独立手洗い
奥に手洗いタンクがあれば、そこで手を洗っても良いです。子どもが小さいうちはタンクの上に手が届かないため独立手洗いがあると便利ですが、子どもは成長します。また、仮に独立手洗いを付けたとしても水が外にこぼれることもあります。このようにメリット・デメリットがありますが、できればドアの手前に独立手洗いを持ってくると便利ですよ。
さらに、トイレと洗面を近くに配置できる場合には、トイレの中に独立手洗いを作らずにドアを出たところで手を洗うのもおすすめです。独立手洗い分のコストも落ちますし、しっかり石鹸で手を洗えますよ。
「汚れた手でドアを触りたくない」という人もいますが、トイレの中で水だけで手を洗っても菌は落ちません。どうしてもトイレの扉の取っ手は汚れるものなので、外で洗うのもアリですよ。
蓋の自動開閉(リモコン開閉ボタン付き)
蓋の自動開閉機能は贅沢品なので必須ではないです。ただ、男性が立って小便をする場合、いちいち手で上げるのは面倒なので、この機能もおすすめですよ。
細かい機能以外で選ぶ時の注意点
便座の角度
便座を選ぶ時は、実際に座ってから選んでください。座った時の角度が、メーカーや機種によって微妙に異なります。
便器の内側のサイズは大体一緒ですが、この角度はトイレの機種によって異なります。特にお尻周りが大きい元スポーツマンの男性陣は、ショールームで実際の便器で座り心地を確かめてください。
掃除のしやすさ
便器が汚れにくい素材になっている、便座の隙間が掃除しやすいなどの掃除のしやすさもチェックしてください。
(出典:LIXIL)
最近は便器自体がフロートになっていて、下が拭けるものもあります。こういったものは予算に応じて選んでくださいね。
ウォシュレット
ウォシュレットの水量や水圧もメーカーによって異なります。こだわりがある人は確認してください。各ショールームのトイレに行くとそこのメーカーのトイレが入っていますよ。
価格
価格に関しては、工務店が標準仕様に選んでいるものにするのが一番コスパが良いです。カタログに載っていない、新築で工務店・ハウスメーカーで建てる時用の裏商品もコスパが良いですよ。ただし、必須機能や推奨機能が入っているかは細かくチェックしてください。また、少しグレードを上げることで、コスパが良い機種をベースにしつつ、機能を上げることもできます。
工務店の標準仕様を無視して全て一から選ぶと、非常に割高になります。工務店が選んでいるものをベースにしながら、必要な機能をプラスしていくことを意識してくださいね。
よくある質問
質問①:おすすめのメーカーは?
BE ENOUGHとしてはTOTOかLIXILがおすすめです。もちろんPanasonicなどにも良い商品がありますよ。
質問②:タンクレストイレってどう?
タンクレストイレはデザインが格好良いですし、連続で流せるというメリットがあります。ただし、水圧が弱い機種が多いので注意してください。十分に流れなかったり、トイレのところでは流れていても配管のところで流れていなくて、配管詰まりの原因になることがあります。
タンクレスを選ぶ時には、「水圧は大丈夫ですか?」とメーカーの担当者に聞いてください。最近はブースター付きで水圧が強いタンクレストイレも増えているので、それであれば大丈夫です。ブースターが付いていないトイレには付ける対策もできるので、確認してくださいね。特に2階や3階のように距離のある場所に配置する場合、タンクレストイレの水圧に注意が必要です。「高価だから大丈夫」だと思い込まないようにしてください。
質問③:平屋でもトイレは2箇所必要?
平屋でもトイレは2箇所ある方が良いです。もちろん、「老後の余生を過ごす終の住処として夫婦二人で過ごします」のように家族の人数が少ないなら1箇所で良いです。ただし子どものいる4人家族や5人家族の場合、平屋でもトイレは2箇所作るのがおすすめです。
質問④:トイレの床材のおすすめは?
トイレの床材は、クッションフロアがおすすめです。
フロアタイルにするか悩む人もいますが、フロアタイルは少し目地があります。この部分に水が付いた時に染み込みやすいデメリットがあるので、目地のないクッションフロアの方がおすすめですよ。
クッションフロアもデザイン性が豊富ですので、ぜひ採用してください。
質問⑤:水回りは1箇所に集めた方が良い?
トイレに限らず、水回りを集められるなら1箇所に集めた方が良いです。排水の配管を集められるので、工事の原価が少し下がりますよ。
ただし、工事の原価が下がった部分が施主に還元されるのかと言われると、そこまで細かくやっていない工務店やハウスメーカーが多いです。
そのため、どっちでも良いなら水回りを集める方が良いですが、間取りに制限をかけて他のやりたいことを犠牲にしてまで集める必要はありません。
質問⑥:鬼門・裏鬼門は避けるべき?
トイレを鬼門や裏鬼門に置くと縁起が悪いという説がありますが、信じるかどうかは個人の自由です。地鎮祭やお清めをするのかと同様に、個人で決めてください。私個人としては、鬼門や裏鬼門を気にしすぎると間取りに制限がかかってしまうので、あまり気にしません。
昔のトイレは水洗ではなくボットン便所だったので、日当たりと風通しの悪い場所はNGというような話がありましたが、最近は場所によって臭くなったり故障することはありませんよ。鬼門・裏鬼門を気にしないのであれば、トイレの場所は効率と使い勝手が最も良い場所にしてください。
質問⑦:男性は座って小便するべき?
男性が小便をする時に座るかどうかは、家庭ごとの判断でOKです。男性の場合、座って小便をするのが難しい場合もありますし、泡が出て飛び散りにくい機能が付いたトイレもあります。こういったものを検討するのもおすすめですよ。飛び散ってしまった場合には男性陣の責任で拭いてくださいね。
ただし、立ってする場合は前述の通り自動蓋開閉機能付きのトイレにするのがおすすめです。この点も含めて家族で話し合ってください。
まとめ
【完全攻略】失敗しないトイレづくり
- トイレは玄関か洗面か
玄関の方が効率良くなる傾向があるが好みで良い
LDKとの間には必ず扉を2枚挟んで音対策を! - トイレのサイズ
幅は1Pで十分
奥行きは独立手洗いありなら1.75P、なしなら1.5P - トイレの機能
必須→自動洗浄機能、暖房便座、ウォシュレット、タオルリング
推奨→紙巻き器二連 - トイレの収納
必要だが、上部カウンター+収納カゴで十分 - トイレを選ぶ時の注意点
便座の角度→機種によって異なるのでショールームで確認を!
掃除のしやすさ
ウォシュレット→水量・水圧がメーカーごとに異なる
価格→工務店の標準仕様が一番コスパ良い - タンクレストイレ
格好良くて連続で流せるが、水圧が弱い機種も