2024.11.14
最近は、「ランドリールーム」に対する需要も高まってきていますが、実際に作ろうと思うと、
- 服を干すことも考えると、最適な広さはどれくらいか?
- 本当に部屋干しだけでも乾くのか?
- 換気をするためにも窓は必要なのか?
など、結構判断に迷ってしまうことが多いと思います。
そこで今回は、これまでコスパ重視間取り「せやまどり」を何百件と書いてきた私瀬山が、脱衣所・ランドリールームのよくある失敗例を挙げながら、「脱衣所・ランドリールームの間取りはどうすればいいのか?」について解説していきます。
関連記事:『【完全攻略】「間取りづくり」で抑えておくべきポイントを”部屋別”で完全網羅!』
目次
そもそもランドリールームが流行ってる理由は?
「ランドリールーム」という言葉自体、以前まではあまり聞き馴染みのない言葉でしたが、以下のような事情から需要が高まっているようです。
- 春は花粉がひどくて洗濯物を外に干せないから
- 共働きのため、洗濯物を外に干すと取り込む頃には冷たくなってしまうから
- 「洗濯物を外に干す」というのが防犯的にも心配だから
- 「乾太くん」などの乾燥機の普及してきたから
こういった理由から部屋干しメインの方が増加して、「ランドリールームがほしい!」といった需要につながっているのだと思われます。
【大前提】ランドリールームは「脱衣所」と兼用で!
ランドリールーム一部屋で「100~150万円」かかる!
「洗濯物を干したままお風呂に入りたい」「通路の邪魔になる場所に洗濯物を干したくない」という気持ちは分かりますが、「洗濯物を干すためだけの部屋」としてランドリールームを作ってしまうと、必然的に家も大きくなってしまいます。
大体ラインドリールームを設けるとなると、広さ的には3~4畳あたりだと思うのですが、家の延床面積が3~4畳増えたら、それだけで100~150万円の出費です。洗濯物のためだけに100~150万円はだいぶ贅沢ですよね。
なので予算を抑えるためにも、部屋干しがメインだとしても、そのために一部屋設けるのではなく、脱衣室を少し広めにとって、そこに物干し金物・収納を付けて、脱衣室とランドリールームを兼用にしてあげましょう。
脱衣所・ランドリールームの「間取り」の失敗例は?
失敗例①洗濯物を干すスペースの想定不足
洗濯物干しを「1列分」だけ確保したい場合
ランドリールームと脱衣所を兼用すると、「通路部分が塞がれてしまうのでは?」という疑問があるかもしれませんが、基本的に、脱衣室の奥行は「1.6~1.7m」くらいです。
そこに45cmの可動棚を置いて、その手前に幅60cmほどの洗濯物を干すと考えても、大体50cmほど余るんです。
つまり一般的な脱衣所のサイズであれば、収納+洗濯物があったとしても、のれんのように洗濯物が通路を塞いでしまう状況にはなりません。
なので基本的には、上記の間取り図のように配置してもらえれば問題ありませんが、洗面台が近くに来る場合は「洗面所の前」だけはスペースを確保しておきましょう。
洗濯物干しを「2列分」確保したい場合
「洗濯物を2列で干したい」「洗濯機までの動線上に洗濯物を干したくない」という場合は、「洗面台⇒洗濯機⇒ランドリースペース⇒お風呂」という動線にしてもらえれば、お風呂に入らない時間帯は、洗濯機の奥を「ランドリー・洗濯物専用スペース」として活用できますから、2列分のスペース確保も可能です。
また上図のように収納を腰高までの高さにして、収納上に「枕棚・ハンガーパイプ」を設置するのも選択肢だと思います。
そうすれば下は収納、上はハンガーパイプ、そしてもう一本物干し金物を付けてあげれば、「実質2列分」で干すことができます。
その分収納量は半分になってしまうデメリットもありますが、ぜひこういうテクニックも検討してみてください
「和室」を予備スペースとして使うのもアリ!
脱衣室だけじゃスペースが足りない!という場合は、「和室」などを予備スペースとして活用するのがおすすめです。
なので、あえて脱衣所・ランドリールームは「1列分」にしておいて、万が一の時は予備スペースを使って干す…というも選択肢に入れておきましょう。
ただし和室は来客時も使用したり、リビングと併設するケースもあるため、物干し金物があまり目立たないよう「昇降式」の採用がおすすめです。また急な来客時にも隠せるように、浴室に浴室乾燥・物干しバーを設置しておくのもアリですね。
失敗例②脱衣・ランドリー⇒WICの直通動線
WIC直通ではなく、間に「洗面所」を挟もう!
乾いた洗濯物を取り込むことを考えると、脱衣・ランドリールーム⇒ウォークインクローゼットへの直通動線は便利ですよね。
ですが、誰かがお風呂に入っていると、他の家族がウォークインクローゼットに入れない、というデメリットもあります。「そんなの気にしない!」という場合は良いんですが、お年頃の女の子がいると難しいですからね。
ウォークインクローゼットの配置的には、「脱衣・ランドリー⇒洗面所⇒WIC」と間に洗面所を挟む、もしくは洗面所から1歩出たところにウォークインクローゼットを配置するのが無難です。
日中は「洗面所⇔脱衣所」の間のドアも開いてることが多いでしょうし、アクセス的には数歩増える程度なので問題ありません。
WICを回遊動線にするのはどう?
もちろんこれができるのが一番理想です。
ただ、回遊動線にするとその分通路が増えてしまうため家が大きくなりがちです。ですので、「ランドリールームから入れるウォークインクローゼット、かつ回遊動線」というのが最優先でなければ、あまりこだわらない方が良いでしょう。最優先事項なのであれば、ここを中心に間取り作りをしていくのもアリですので、話し合って優先度を決めてくださいね。
脱衣所・ランドリールームの「設備面」の失敗例は?
失敗例①「窓」を付けたが、あまり意味がなかった
「窓」を付けても光が入らないケースが多い
「明るくしたい」「窓を付けた方が乾きやすいのでは?」と思い、脱衣所・ランドリールームに窓を付ける人は多いんですが、脱衣所・ランドリールームについては原則「窓は不要」です。
実際、窓の有無によって乾くスピードがそんなに変わるわけでもありませんし、家の中でも日当たりが良い場所は「LDK」に充てるので、自ずと脱衣所・ランドリールームは「日当たりが悪い場所」になることが多く、窓を付けたとしてもそもそも日が当たりづらいというのがあります。
また脱衣所と兼用することで、お風呂の湿気が脱衣所に流れこみ、窓サッシが結露してしまう可能性も高くなりますから、「脱衣所・ランドリールームは窓をつけない」が推奨です。
「窓」よりも「収納」を優先するのが理想
脱衣所・ランドリールームは、荷物が多くなりがちな場所です。
ハンガーや靴下などの小物を干す用の洗濯物干しに加え、洗濯用洗剤やそれらのストック等など、意外と収納量が必要になるスペースなので、窓を付けるよりも、その分収納スペースを優先してもらうのがいいですね。
日中を明るくしたいなら「洗面所」に窓を付けよう!
脱衣所・ランドリールームに窓を付けないとなると、日中でも暗くなってしまいますから、「昼間は電気を付けずに過ごしたい!」という人は、洗面台側に窓を付けましょう。
そうすれば、電気をつけずとも化粧をしたり髭を剃ったり…ができますし、洗面・脱衣を分けている間取りであっても、ドアを開けておけば洗面所も脱衣室も明るくなります。
「洗面側に窓を付けよう!」と推奨するほどではありませんが、脱衣室に窓を付けるくらいなら洗面所側に窓を付けるのがおすすめですね。
失敗例②換気が不十分になり、洗濯物が生乾きに…
生乾き臭の発生原因は「空気の淀み」
洗濯物の生乾き臭というのは、空気の流れがよどんで雑菌が繁殖することで発生します。つまり脱衣所・ランドリールームにも「空気の流れ」があれば生乾きになりづらいわけです。
この空気の流れを生み出すのに最適なのが「換気システム」ですね。
換気システムは平成15年から導入が義務化されているので、今から家づくりをするのであればマストなのですが、「そもそも適切な換気システムを選択できているか?」という観点に加え、空気のよどみをなくすためにも、脱衣所・ランドリールームにも換気システムの「排気口」を1箇所設置しておきましょう。
関連記事:『第一種換気はマスト?換気システムの種類や選び方、メンテナンスについて徹底解説!』
浴室の換気扇だと換気は不十分!
脱衣所・ランドリールームの換気となると、「お風呂の換気扇を付けておけば、ある程度空気のよどみは回避できるのでは?」という質問もありますが、お風呂の換気扇は「パイプファン」といって、パワーがちょっと弱いんです。
特に、外の風が強いときなんかは、浴室内の空気を外に排出しようとしても、適切に空気が抜けないケースもあります。加えて、高気密住宅の場合なんかは負圧になりやすいためより排気しづらくなるでしょう。
そのためお風呂の換気扇に頼るのではなく、外的要因に左右されずらい換気システムで換気を賄うようにしましょう。これだけで、生乾き臭は防げますよ。
そもそも部屋干しってちゃんと乾くの?
生乾き臭の原因になる「モラクセラ菌」は、おおよそ5時間くらいで繁殖します。つまり5時間程度で乾けば、生乾き臭も防げるわけですが、実際のところ「5時間の室内干しでちゃんと乾くの?」という疑問もありますよね。
これは私自身の経験上ですが、これまで5年間、梅雨の時期に厚手の服で「ちょっと臭うかな…?」ということはありましたが、それ以外で生乾き臭が気になったことはほぼありません。
確かに5時間でバッチリ乾くわけではないですが、そんなにギチギチに干さなければ6~7時間程度で十分乾きますから、生乾き臭についても特に問題ないでしょう。
失敗例③除湿器・サーキュレーター用のコンセントがない
脱衣所・ランドリールームへのコンセント設置は必須ではありませんが、特に梅雨の時期などは、厚手の服を干したり、洗濯物が多く、服をギチギチに干してしまったりすると生乾きになってしまう可能性があります。
そのため生乾き臭や乾かないことが心配な人は、除湿器・サーキュレーターが使用できるように、「二口コンセント」を付けておくとよいでしょう。
失敗例④スペースなどを考えずに「物干し金具」を選んでしまった
物干し金物にも、「脱着式」「アームタイプ(固定式)」「昇降式」と様々ですが、これは設置場所に応じて以下のように使い分けるのが推奨です。
- 脱衣所・ランドリールーム:「脱着式」が推奨
- 予備スペース(和室など):「昇降式」が推奨
「脱着式」というのは上画像のように、天井に取り外し可能な物干し竿を通す用のパーツをぶら下げるタイプですね
最近はInstagramなどでも、固定式のおしゃれなアームタイプを見かけますが、これも悪くはないんですが、耐荷重が軽かったり、スペースが広く取れなかったり、サイズ的にあまり大きいものがなかったりという点もあるので、ランドリールームのスペースや掛けるものの重さなどに応じて選んでもらえればと思います。
「分電盤」との干渉も注意しておこう!
分電盤というのは、ブレーカーが入っているところですね。
もちろん、分電盤は日頃から開ける場所ではないので、それほど問題にはなりませんが、物干し金物を付ける場所を検討する際には分電盤の開閉と干渉しないように注意してくださいね。
失敗例⑤最後まで迷ったけど「乾太くん」を付けなかった
「乾太くん」の導入メリットはデメリットを上回る!
私も、元々は「乾燥機がなくても部屋干しで十分!」と思っていたのですが、いざ「乾太くん」を導入してみたらめちゃくちゃ便利でした。
初期費用もガス代もかかりますし、衣類が少し縮みやすくなるというデメリットもあるんですが、家事の時間が短くなって、家族と過ごす時間が増えたり、洗濯物がフワフワに仕上がったり…などメリットがすごいんです。悩んでいる人は、ぜひ入れてみてください。
関連記事:『話題のガス乾燥機「乾太(かんた)くん」の選び方と意外なデメリットを解説!』
「乾太くん」はシーツなども対応できる!
ちなみに乾太くんのデラックスタイプであれば、「シーツコース」みたいなものがあるので、乾太くんを導入すればこういった結構大きな洗濯物類も室内でササっと完結できますよ。
乾太くんを導入しない場合であれば、リビングなど1階の掃き出し窓の外壁側に「壁付けの物干し金物」を付けておくのがおすすめです。
「見栄えが悪い」「道路から洗濯物が見える」という人もいますが、いつも干すわけではないでしょうし、そこまで気にしなくてもいいと思います。ここは、機能性を重視しましょう。
基本的にバルコニーは不要!
シーツや布団などを干すことを想定して、バルコニーを検討される方もいると思うんですが、バルコニーは意外と使わないのにも関わらず、掃除・メンテナンスが大変だったり、メンテナンスを怠ると雨漏りしてしまったり…と結構デメリットが大きいんです。
もちろんデメリットを理解した上での導入であれば全然OKなんですが、特にバルコニーに対するこだわりがないのであれば、1階掃き出し窓部分に壁付け物干し竿を取り付けて干す、というのが理想だと思います。
まとめ
一生後悔するランドリールーム7選
- ランドリールームが広すぎる
→独立させず脱衣室と兼用に - せっかく付けた窓が意味ない
→脱衣室に窓は不要! - 換気システムを装備していない
→換気システムの排気口設置を! - コンセントがない
→二口コンセントを付けよう - ランドリールーム直のウォークインクローゼット
→洗面所もしくは1歩出たところからの動線が無難 - 物干し金物が分電盤に当たる
→たまにあるので、よくチェックを! - 乾太くんの付け忘れ
→家族との時間が増えるので導入を推奨!