2024.11.14
エアコンの購入を考える際、「6畳だから、とりあえず6畳以上に対応したエアコンで…」と考えていませんか?
実は、エアコンを「スペック表に記載された畳数」で選んでしまうと、めちゃくちゃコスパが悪くなってしまうんです。
そこで本記事では、これから家づくりを始められる施主の方や、間取りもある程度決まってきて、これからエアコン選びをはじめる方に向けて、「エアコンを選ぶ際のポイント」や、「適切な畳数の計算方法」について、ご紹介していきます!
「何畳用のエアコンがいい?」と悩んでいる人はぜひ参考にしてくださいね!
目次
エアコンを「畳数表示」を基準に選ぶのはNG!
先にもお伝えした通り、エアコンを買う際、カタログ等に記載されている「6畳用」などの畳数表示はあてにしてはいけません。
昨今の家のスペックで言えば、特にせやま基準をクリアしているお家であれば、畳数表示の「4~5倍」の広さまで対応できます。つまり、子ども部屋などに設置される6畳用のエアコンであっても、大体30畳まで対応できるんです。
もちろんそうなると、「20畳のリビングにも十分じゃん!和室も、洗面所も全部6畳で行けるね!」と、6畳用のエアコンを買う人が大幅に増えるでしょう。
6畳用エアコンでも30畳に対応できる理由
なんでこんなことが起きたかというと、実はこの「エアコンの畳数表示」というのは、今から約60年前の1964年に作られた基準になります。
そしてこの頃の家づくりというのは、そもそも「断熱性能」という考え方ありませんでしたし、家の中もめちゃくちゃ寒いのが当たり前のような時代だったわけです。勘のいい方ならお気づきかもしれませんが、昨今でも使用されているこの畳数表示というのは、実はこの1960年代の基準のままなのです。
そりゃ現代の家には合わないですよね。だからこそ、「6畳の部屋に、6畳用のエアコン」となると、めちゃくちゃオーバースペック、つまりコスパが悪いとなってしまうわけです。さらに言えば、エアコンの本体代だけでなく、畳数を上げれば、その分電気代もかさみますから、二重でムダになってしまいます。
(こちらの畳数表示が改定されていない理由はお察しください…)
エアコン購入時に覚えておきたい2つのポイント
さてここからは、具体的に「どうやってエアコンを選ぶべきか?」における2つのポイントをご紹介します。
- 畳数表示はあてにならないので計算がおすすめ
- とにかく決めたい場合は「1階リビングに14畳200V」がおすすめ
それぞれ詳しく解説していきますので、一つずつ見ていきましょう。
①エアコンの畳数表示はあてにならないので計算がおすすめ
こんな話を聞くと、「自分で最適な畳数を計算したい!」という方もいるでしょう。そんな人のために、簡単な計算方法を紹介していきます。
まず、最適なエアコンの畳数を計算するためには「4つの要素」が必要になります。
- UA値(断熱性能)
- C値(気密性能)
- 室内の設定温度(エアコンの設定温度)
- 室外の最低気温(地域ごとの年最低気温)
上記4点さえ分かれば「エアコン容量早見表」を使うことで、具体的に「畳数表示の何倍まで対応できるのか?」が分かります。
室内・室外の温度は、「冬を基準」に!
当たり前ですが、「冬」の方が屋内と屋外の気温差が大きくなります。となるとエアコンのパワーは「冬」の方が必要…。そのため上記手順で畳数計算を行う際には、「冬基準」で計算を進めるようにしましょう!
「エアコン容量早見表」は、以下ページから無料でダウンロードいただけます。(使い方については、ダウンロードページを参照してください)
関連ページ:『エアコン容量早見表のダウンロードページ』
②とにかく決めたい方には、「1階リビングに14畳200V」がおすすめ
早見表を使わずに、「とにかく今から買うエアコンのサイズが知りたい!」という人には、14畳200Vのエアコンがおすすめです。
14畳200Vのエアコンであれば、私、せやまが掲げている「せやま基準」を満たしていればですが、畳数表示に対し5倍の広さ、つまり「70畳(35坪)の広さ」に対応できる計算になります。せやま推奨の坪数(延床面積)は「30坪」ですので、この14畳200Vのエアコンであれば余裕ですよね。
また当たり前ではありますが、迷ってしまった場合には少し大きめのエアコンを選ぶのが無難ですね。
よくあるエアコンに関するお悩み
Q. エアコン1台で家全体を暖かくできる?
また余談ですが、先のように「14畳のエアコンで30坪分対応できる」とお話しすると、「家全体をエアコン1台で暖かくできるのでは?」と気になってしまう方もいるでしょう。
先に結論から言うと、「間取りや断熱・換気性能にもよりますが、冬の間であれば可能」です。
これは、「暖気は寒気よりも軽いため、階段を通じて2階に上がりやすいから」ですが、こういったエアコンの効果だけでなく、室内で人間・家電・照明が熱を発することで暖かくする効果にも期待できます。これらの理由により、冬であればエアコン1台で家全体を賄うことも可能…になるわけです。
しかしながら、夏は無理です。
業務用エアコンとダクト式全館空調などの設備があれば可能ですが、修理費用がめちゃくちゃ高いので基本的におすすめしていません。
となると、一般的な壁掛けエアコンになりますが、夏の場合は仮に1階リビングを冷やしたとしても、冷たい空気は下に落ちるため2階は暑いままです。しかも2階は、太陽によって暑くなりやすくので、夏のことも考えると2階にもエアコンは必要でしょう。
Q. 子供部屋のエアコンはどうすべき?
2階に作られることが多い子ども部屋ですが、ここに「エアコンをつけるかどうか?」は難しい問題です。
例えば子供部屋が4.5畳だった場合、先の話をもとにすると、せやま基準を満たしている家であれば、気密性・断熱性の観点からも「6畳表記のエアコンでも30畳分のスペック」となり、オーバースペックとなってしまうわけです。さらにそれを2~3台つける…となると運転効率も悪くなるため、毎月の電気代も高くなってしまいます。
そんな時におすすめなのが、「屋根裏エアコン」。
これは「2階を1台のエアコンで冷やす」という方式です。実際に私のお家で検証した結果をまとめた記事・動画をご紹介しますので、気になる方は以下から見てみてください。
関連記事:『せやま式屋根裏エアコン 設計マニュアル 概要版|夏の暑さ対策』
まとめ
エアコン購入時に覚えておきたい2つのポイントは、以下の通りです。
エアコン購入時に覚えておきたい2つのポイント
- 畳数表示はあてにならないので計算がおすすめ
「UA値」、「C値」、「室内の設定温度」、「室外の最低気温」の4つから計算可能
⇒「エアコン容量早見表」での計算を推奨! - とにかく決めたい場合は「1階リビングに14畳200V」がおすすめ
⇒迷ったら少し大きめでOK!
性能で迷ったら「せやま基準一覧表」
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詳しい使い方に関しては、下記リンク先の記事をご覧ください。
ダウンロードページ:『せやま基準一覧表|お役立ちツール|BE ENOUGH』
合わせて読みたい記事:『営業マンより「家の性能」に100倍詳しくなる方法|せやま性能基準』
解説動画(YouTube):『家づくりの超実践ツール「せやま基準一覧表」の使い方<総集編>』