2024.11.14
屋根は外観にも影響する箇所なので、ついデザインで選んでしまいがちですが、年中休むことなく日の光を浴び続ける箇所のため、「耐久性」やそれに伴う「メンテナンス性」が超重要。
特にメンテナンス性能が弱い屋根材を選んでしまうと、万が一の時にもそもそも補修できなかったり…という可能性もありますので、後悔しないためにもしっかり要点を抑えて学んでいきましょう!
屋根選びは「耐久性」が命だよ!
目次
「屋根の建材」の種類について
屋根の建材は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
- 屋根材
- ルーフィング(防水シート)
- バルコニーの防水
「ルーフィング」について、聞き馴染みのない人も多いと思いますが、屋根材はどれだけいいものを使っていようと、多少なりとも隙間ができてしまうので、そこから水が入ってしまいます。
そこで最後の砦として、雨漏りを防いでくれるのが「ルーフィング(防水シート)」です。
3つ目の「バルコニーの防水」も併せてご紹介していきますが、そもそもせやまは「バルコニーは不要であればナシで全然OK」というスタンスですから、バルコニーについてはバルコニーを作る予定の方のみ見ていってもらえればと思います。
それでは、それぞれの詳しい選び方についてみていきましょう。
屋根材選びで考慮すべき”6つのポイント”を紹介
屋根材を選ぶ際に見るべきポイントとしては、大きく分けて以下の6つです。
①耐久性:劣化、変色、破損リスクの度合い
まずは屋根の「耐久性」ですね。
劣化や変色、破損などのリスクがどれほどなのか?、何年ぐらい経ったらメンテナンスしなきゃいけないのか?という部分がこの耐久性に当たるポイントです。
屋根はこの「耐久性」が一番大事です。
②防水性:雨水の入りづらさ
2つ目が屋根の「防水性」ですね。
冒頭でもお話しした通り、どれだけいい屋根材であっても継ぎ目や隙間から水が入ってしまうものですが、単純にこういった隙間が少なければその分雨漏りリスクを下げることにもつながります。
③耐震性:屋根材の重さ
耐震性については、「屋根材の重さ」がそれにあたります。
具体的にどう見ればいいのか?ですが、「屋根材が重ければ重いほど耐震性が低くなる」と覚えておいてもらえればOK。
ただ瓦のように比較的重い屋根材であっても、それなりに対策できる部分もありますので、「重ければダメ」というわけでもないので、後ほど各屋根材の特徴を比較しながら検討してもらえればと思います。
④導入コスト
当たり前ですが、「いいものはいい」んですがその分高いんです。
なので屋根材選びの際には、単純な性能面だけでなく、コスト面も踏まえて“ちょうどいい塩梅”を目指してもらえればと思います。
⑤デザイン
屋根は結構外観デザインにおける肝ですから、こだわる方は結構こだわる部分だと思います。
ただデザインは「好み」にもよりますので、本記事では「かっこいいorかわいい」ではなく、「デザインの豊富さ」という観点からご紹介していこうと思います。
⑥屋根勾配の制限
「勾配」というのは、「屋根の傾きの角度」のことですね。
例えば瓦屋根とかだと、上から1枚1枚重ねていくんですけど、屋根の角度が緩やかすぎると、その分隙間ができてしまって水が入ってしまうんです。なので、「瓦屋根だったら3.5寸~4寸以上」というように屋根勾配に制限があるんですが、これは屋根材によって変わってきます。
そのため屋根材選びの際には、この「屋根勾配の制限」についても併せて見ていくべきでしょう。(ちなみに屋根勾配をキツくすればするほど、外壁面積が増えてコストアップにつながってしまったり、デザイン上の制限が出てきたりします)
屋根勾配の「寸」ってどうやって計算するの?
底辺を「10」とした場合、そこから立ち上がりの長さが「5」であれば、屋根勾配は「5寸」というように計算します。
底辺が「10」、立ち上がりが「3」の場合は、屋根勾配は「3寸」になりますね。
【全5種】「屋根材」の種類とそれぞれの特徴は?
まず結論からお伝えすると、せやまが推奨する屋根材は以下の通り。
【結論】せやま推奨は「ガルバリウム鋼板」
- 「ガルバリウム鋼板」
⇒塗膜保証15年・穴あき保証25年タイプ(縦葺き)
それでは、それぞれについて先にご紹介した6つのポイントを踏まえ、詳しくみていきましょう。
屋根材①:「陶器瓦」の評価は?
耐久性は屋根材の中でもトップクラス
陶器瓦は、陶器ですから粘土を使った焼き物ですね。
陶器なので汚れもつきにくく、耐久性も50年以上と言われており、屋根材としては非常にいいものです。
難点は「コスト」と「防水性」
ただ難点となるのが「コストの高さ」と「防水性」。
コストは避けようがない部分なので仕方ないのですが、先ほどお話しした通り、陶器瓦は1枚ずつ重ねて積んでいくので、どうしても間に「隙間」ができてしまいます。
そのため陶器瓦を採用したい場合には、隙間から入ってきた水を家の中に入れないようにするためにも、「防水性能に優れたルーフィング」を採用した方が良いですね。(ここについては後述します)
耐震性は構造計算していれば問題ない!
そして次に「耐震性」ですが、陶器瓦は「1㎡あたり60kg」と屋根材の中でも最重量級。
ただ、「陶器瓦は重いので地震に弱い。なのでやめた方がいいですか?」と言われると実はそうでもないんです。
いくら瓦が重たかろうと、ちゃんと屋根の重量に応じた構造躯体(柱・梁)や基礎になっていれば、耐震性上は何の問題もありませんから、営業マンのトークに流されないよう覚えておきましょう。
また瓦にすると、台風で瓦が飛んでいってしまうのでは?という心配もあると思いますが、2020年より瓦屋根を使用する場合には釘やネジでしっかり固定しないといけないルールになりましたので、その点についても心配は無用だと思います。
「瓦」と言っても陶器じゃないケースも…
「瓦」を屋根材の標準仕様にしている住宅会社もありますが、中には「陶器」ではなく、実は「スレート瓦」だったり、「セメント瓦」だったりするケースもあります。
そのため「陶器瓦」の採用を検討される場合は、住宅会社に「この瓦は”陶器瓦”ですか?」と確認してみるのがいいですね。
コストさえ許容できればアリ!
屋根材②:「ガルバリウム鋼板」の評価は?
ガルバリウム鋼板は、最近採用率が60%近くまで増えてきている「金属製の屋根」ですね。
耐久性は「塗膜保証15年・穴あき保証25年」を推奨
まずガルバリウム鋼板を採用する場合には、必ず「塗膜保証15年・穴あき保証25年」のタイプを選んでください。これを採用してもらえれば耐久性はまずまず良いです。
50年以上と言われている瓦には劣りますが、この後ご紹介する非推奨の屋根材などに比べればまずまず長いですし、20~25年経ったら取り替えるわけでなく、塗膜のやり直しや表面の補修をしていくというだけで済むという面も踏まえると、耐久性としてはまずまずかなと思います。
外壁と屋根の保証年数は揃えよう!
外壁の記事でもお話ししていますが、外壁も屋根も「塗膜保証:15年」に揃えておけば、20~25年後に塗膜のやり直しをやるとなってもまとめてできます。
このように外壁と屋根の塗り直しがまとめてできると、足場設営などの工事コストも抑えれるので、ガルバリウム鋼板の屋根を採用する際には、「塗膜保証15年のタイプ」を選ぶようにしましょう。
防水性+耐震性+コスト+デザインも優秀!
そしてガルバリウム鋼板の場合、上画像のような「縦葺き」にすれば、表面に継ぎ目が出ないため、雨漏りのリスクもめちゃくちゃ低くなります。雨漏り対策としては、全屋根材の中でも最強クラスでしょう。
加えて重さも1㎡あたり5kgと陶器瓦のわずか10分の1ですから、瓦のように躯体側にお金をかけずともOK。また屋根材としても、シェア率が高く、生産量が多いので、この後ご紹介する非推奨の屋根材よりは高いんですが、陶器瓦よりは安いのでコスト的にもちょうどいい塩梅だと思います。
デザイン面は、「トタン屋根みたい!」と嫌う方もいますが、色のレパートリーも非常に豊富ですし、何より「屋根勾配の制限がない(縦葺きのみ)」ので、希望通りの勾配にできるのも強みでしょう。
せやま的には「推奨」!!!
屋根材③:「化粧スレート」の評価は?
化粧スレートとは、セメントに繊維を混ぜて強度を高めた屋根材で、大体「スレート」と呼ばれたりしますね。ちなみに「スレート瓦」もこの化粧スレートのことです。
結論、化粧スレートについては「非推奨」なんですが、ローコスト系の住宅や建売では未だに結構使われることも多く、意外と大手ハウスメーカーも採用するケースがあるようですので、「なぜ非推奨なのか?」の理由をしっかり押さえておきましょう。
「耐久性」が低く、20~30年でメンテ不能に…
そもそも化粧スレートは、コスト的に安い反面、「割れやすい」「劣化しやすい」「海苔が生えやすい」などのデメリットがあります。
そのためメンテナンスは大体「10年に1度のペース」で必要になるんですが、さらに20~30年ぐらい経つと、スレート自体がバリバリに割れてしまうため、そもそもメンテナンス不能な状態となってしまいます。
こうなると、上からガルバリウム鋼板の屋根をかぶせる「カバー工法」や、一度全部とっぱらって全部やり直しするような大工事が必要になってくるので、導入コスト自体は安いんですが、結局こういうところでお金がかかってきてしまうので非推奨です。
割れて隙間ができるため「防水性」も低い!
また割れやすいということは、同時に「隙間ができやすい」ということですから、防水性能についてもかなり低いです。
となるとルーフィング(防水シート)の性能が重要になるわけですが、ルーフィングは外観から見えないためここに性能が低いものを使ってくるケチな会社も多いので、化粧スレートを採用した場合は総合的に「雨漏りしやすくなる」というのが実際のところでしょう。
「高級or天然スレート」であればアリ?
化粧スレートの中にも、30年保証のいわゆる「高級スレート」もありますが、これについても強く「非推奨」です。結局高級スレートであっても割れてしまえば、雨漏りにつながってしまいますからね…。
また中には「石」でできた「天然スレート」というものもありますが、これ自体はいいものなんですが、天然スレートはお城なんかに使われるような超高級品ですから、これを使うような会社はまずないと思いますよ。
とにかく「スレートとついている屋根は避ける」、これだけしっかり覚えていってください。
せやま的には「強く非推奨」!
屋根材④:「セメント瓦」の評価は?
「セメント瓦」における6つのポイントの評価は以下の通り。
「瓦」とついていますが、先ほどの「陶器瓦」とは全くの別物で、セメント瓦とは「セメント」と「川砂」を混ぜて表面に塗装を行った商品を指します。
パッと見、陶器瓦と全く見分けがつかないようなセメント瓦も結構あるので、そこはしっかり注意した方が良いですね。
耐久性は表面の「塗膜性能」次第
セメント瓦自体はまず悪い材料ではないんですが、耐久性についてはガルバリウム鋼板と同じく「表面の塗膜性能次第」です。
「塗膜性能が高いタイプ」と「低いタイプ」があるんですが、高いタイプであれば15~20年ぐらいはメンテナンス不要でも大丈夫なんじゃないかなというような商品も結構あります。
ただガルバリウム鋼板のように、「15年塗膜保証」というような保証面がちょっと弱いので、もしセメント瓦を採用したい場合は、「塗膜のレベルがどのぐらいなのか?」「何年ぐらい耐久するのか?」という実験データを確認しつつ、20年ぐらいはもつ耐久性に問題がないものを選んでもらえればそこそこかなという風に思います。
その他要素は「陶器瓦」とほとんど同じ
防水性能については、陶器瓦同様、隙間から水が入ってしまうためルーフィングの性能は非常に重要。
耐震性についても1㎡あたり40~50kgぐらいと、陶器瓦に近い重さになるので、ちゃんと構造計算をしてセメント瓦の重量に耐えられるだけの強い躯体にする必要がありますね。
導入コストについては、陶器瓦よりは安いですが、別に最安ということでもないですね。ガルバリウム鋼板と同等かその前後あたりでしょう。
このように、セメント瓦自体は「20年耐久の商品」であれば悪いものじゃないんですが、コスト面も特に安いわけじゃないし、重量も重いから躯体も強くしないといけないし…ということで、あえて選ぶものでもないかなとは思います。
ただ、「瓦のデザインにしたいんだけれど、陶器はちょっと高すぎる…」という方であれば、「塗膜性能」と「ルーフィング」だけしっかり注意した上であればアリでしょう。
瓦がいいけど陶器は高い!という人だけ!
屋根材⑤:「アスファルトシングル」の評価は?
「アスファルトシングル」における6つのポイントの評価は以下の通り。
アスファルトシングルとは「ガラス材にアスファルトを浸透させて、表面に小石の粒をくっつけたような屋根材」ですね。
耐久性は「化粧スレート同等」のレベル
もうこの時点で「やめておいた方がいい」というのが分かると思いますが、アスファルトシングルの場合、大体最初の1年で表面についた「石粒」が飛んでしまうんです。
これがお家の周りに落ちたり、樋に溜まってしまったり…というのがあるので、耐久性・メンテナンス面はあまりよろしくないですね。
剥がれ+変形で雨漏りの原因にも…
また防水性能については、剥がれたり、変形が起きやすい素材なので、ルーフィング(防水シート)次第ではあるんですけれども…という感じですね。
せやま的には「強く非推奨」!
雨漏りを防ぐ!「ルーフィング」の種類と選び方は?
中にはこの記事で初めて「ルーフィング」という単語を聞いた人もいると思いますが、「ルーフィング」は雨漏りを防ぐためにもめちゃくちゃ重要。
そこでまずは、「選んではいけないルーフィング」からご紹介していこうと思います。
①:「アスファルトルーフィング940」【絶対NG!】
工務店・HMに「ルーフィング940」じゃないか?を聞こう!
絶対NGなのは、「ルーフィング940」です。
もし屋根の話で「940」という数字を見かけたら、「これはあかん」と思ってもらってもいいレベルです。
工務店・ハウスメーカー側にも「ルーフィングの種類って、940じゃないですよね?」と聞いてもらうと確実だと思います。
なぜ「ルーフィング940」を選んじゃダメなのか?
実は「アスファルトルーフィング940」については、メーカーが公式に「10年ぐらいで機能が失われる」というアナウンスを出しているんです。
特に陶器瓦やセメント瓦などの瓦系になると、雨漏り対策としてルーフィングは非常に重要な役割となりますから、「ルーフィングが10年しかもたない」となると10年後にはもうほぼ確実に雨漏りします。
こういった理由からも「ルーフィング940は絶対採用しない!」と覚えておきましょう。
②:「改質アスファルトルーフィング」(ちょうどいい塩梅)
改質アスファルトルーフィングの耐久年数は25~30年
「改質アスファルトルーフィング」というのは、改質、つまり「ちょっと強くしたルーフィング」ってことですね。
アスファルトの層にゴムや樹脂などを入れてちょっと強くしたりだとか、合成繊維の不織布を使ったりして強度を高めているのですが、コストもそんなに高くないですし、耐久性も25~30年とそこそこいいので、ルーフィングについては「改質アスファルトルーフィング」がちょうどいい塩梅だと思います。
瓦系の場合は、より耐用年数の長いものを!
改質アスファルトルーフィングの場合、上図の通り耐用年数は25~30年程度なわけですが、30年程度で「屋根材を完全に葺き替える」ということはほとんどありません。
屋根材が変わらなければ、当然その下にあるルーフィングも変えない、となりますから、「30年以上経ってほぼ機能が失われてしまっている状態だと雨漏りしてしまうのでは?」と不安に思う人もいるでしょう。
ここに関するせやまの見解としては、そもそもガルバリウム鋼板の縦葺きなど、中に水が入りにくい屋根材を採用している場合はこの「改質アスファルトルーフィング」でも問題ないと思います。ただ隙間に水が入りやすい瓦系を採用している場合には、この後紹介する「さらに高耐久のルーフィング」を検討してもいいのでは、と思います。
③:「高級改質アスファルトルーフィング」
耐用年数は「40~50年前後」!
「高級改質アスファルトルーフィング」というのは正式名ではありませんが、各屋根材メーカーが持っている「最上位商品」のことですね。
先ほど紹介したアスファルトの層がさらに改善されたり、合成繊維の不織布がさらに強化されていたり、さらに「劣化防止層」というような酸素を入りにくくするための層があったり…というようないたせり尽くせりのものになります。
耐用年数については、メーカーによりますが、40~50年を想定をしている商品もありますので、瓦系の屋根材を採用する場合にはこちらも選択肢に入れてみてもいいと思います。もちろん、ガルバリウム鋼板を採用する場合であっても、「安心できるものを採用したい」という場合は採用してもOKです。
延床30坪/2階建てなら「+25~30万」前後か?
コスト的には、もちろん工務店・HMにもよりますが、改質アスファルトルーフィングと比較して「1㎡あたり4~5,000円ぐらいのコストアップ」になるかと思います。ざっくり延床面積が30坪の2階建てであれば、金額的には+25~30万ですかね。
コストも考えると「ちょうどいい塩梅」とは言えませんが、ルーフィングとしては非常にいいものですし、「十分採用する価値のある商品」と言えるでしょう。
④:「透湿アスファルトルーフィング」
「透湿アスファルトルーフィング」とは?
これはちょっと特殊なタイプですね。
ルーフィングって、その下に「下地材」がくるんですが、この「下地材」と「ルーフィング」の間に湿気がこもってしまうと、下地材が腐ってしまうんです。
この透湿アスファルトルーフィングは、下地材が腐ってしまわないよう、「下地材に溜まった湿気を外(屋根)に出す」という機能をもったルーフィングになります。
物によりますが、中には「耐久年数50年」というような超高性能の商品もあり、モノとしては非常に良いんですが、その分コストも高いです。
予算に余裕がある+瓦系であれば…
透湿アスファルトルーフィングについては、「湿気を屋根から外に逃がす」という性質上、瓦系のような隙間ができやすい屋根材であれば効果にも期待できるので、予算に余裕がある場合は採用してみてもよいと思います。
ただ一方でガルバリウム鋼板のような「屋根材」と「ルーフィング」がペタッとくっついてしまう材料だと、そもそも湿気を逃がすための隙間がありませんから、透湿アスファルトルーフィングを使っても効果はほぼありません。
もちろん、ガルバリウム鋼板でも「屋根材」と「ルーフィング」に隙間をあける工法もあるんですが、正直そこまでコストをかけてやる人はほとんどいないと思いますので、ガルバリウム鋼板であれば、通常の「改質アスファルトルーフィング」or「高級改質アスファルトルーフィング」にしてもらうのが良いのかなと思います。
雨漏りを防ぐ「バルコニー防水」の種類・選び方は?
そもそも「バルコニー」って必要?
どっちでもよければ「バルコニーなし」が推奨
結論、バルコニーはいらないんだったらつけない方がいいです。
バルコニーはやはり雨漏りしやすい箇所でもありますし、つくるにも当然コストがかかりますから、「バルコニーがないと不安だな…」というような曖昧な理由であればつけない方がいいです。
また「どうしてもバルコニーが必要」という場合であっても、無駄に広くしてもコストが嵩む+雨漏りリスクが増えるだけですから、「バルコニーを作るなら必要最低限の広さで」を徹底しましょう。
バルコニー防水は「メンテナンス」が重要
またバルコニーの防水については、これまでの屋根材・ルーフィングと異なり、耐久性などよりも「必要な時期にメンテナンスをするか?」の方がよっぽど重要です。
これはバルコニー防水の場合、屋根材やルーフィングと違い、「足場組まなくてもメンテナンスができるから」ですね。
なのでここからは、各防水方法について、具体的なメンテナンス頻度なども触れつつご紹介していこうと思います。
「バルコニー防水」の種類と選び方
①:「FRP防水」
まず一番多いのが「FRP防水」でしょうね。
FRP防水とは、お風呂とかで使われている「繊維強化プラスチック」を使った防水方法なので、非常に防水性の高い非常に素晴らしい工法なのですが、それでもやはり10~20年ぐらい経つとメンテナンスが必要になります。
このメンテナンスをやらないと、防水層が切れてしまって雨漏りにもつながりかねませんので、「FRP防水は10~20年でメンテナンスが必要」と覚えておきましょう。(メンテナンスさえすれば悪いものでもありません)
②:「板金防水」(ちょうどいい塩梅)
板金防水(金属防水)は、特段「防水層が切れる」ということが想定されていないので、メーカーも「メンテナンス不要」と謡っていますが、その分排水溝や表面の掃除などが必要になります。
実際に過去せやまが担当した家でもこの「板金防水」を採用していますが、これまで「雨漏りした」なんてこともなかったので防水性としても非常に強いと思います。
ただしFRP防水よりもちょっとコストが上がる点と、施工業者が限られるため「対応できるかどうか?」と工務店によって対応できないケースもあるので要注意。
もちろん、FRP防水でもメンテナンスしてもらえればOKなんですが、「メンテナンスが原則不要」という点も踏まえると、「ちょうどいい塩梅」としては「板金防水」に軍配が上がるかなといった感じですかね。
③:「シート防水・ウレタン防水」
その他にも戸建ではあまり使いませんが、ほかにも「シート防水」や「ウレタン防水」といった工法もあります。
シート防水の場合、ゴムのシートだったら10~15年、塩ビシートだったら15~20年ぐらいでメンテナンスが必要になってきます。対するウレタン防水の場合は、使い方にもよりますが、大体10~15年ぐらいが目途でメンテナンスが必要になってきます。
このようにバルコニー防水は、必要なメンテナンスを行えば基本どれでもOKなんですが、メンテナンスのラクさを考えると、「板金防水」が一番ちょうどいい塩梅かなと思います。
まとめ
屋根材・ルーフィング・バルコニー防水の仕様選びで抑えておくべき点は以下の通り。
屋根材・ルーフィング・バルコニー防水について
- 「屋根材」
⇒「ガルバリウム鋼板」の塗膜保証15年・穴あき保証25年タイプ(縦葺き)がおすすめ
⇒予算+好み次第では「陶器瓦」もあり
瓦系の場合は、重量に合わせて強い躯体にする必要アリ⇒化粧スレート+アスファルトシングルは非推奨! - 「ルーフィング(防水シート)」
⇒「ルーフィング940」は絶対にNG!
⇒おすすめは「改質アスファルトルーフィング」!
瓦系+ガルバ(横葺き)の場合は、「最上位商品」も視野に - 「バルコニー防水」
⇒耐久性よりも「メンテナンス性」を重視すべき
⇒推奨は、メンテナンス不要の「板金防水」!
排水溝、表面の簡単な掃除は必要
性能で迷ったら「せやま基準一覧表」
BE ENOUGHでは、住宅会社選びのための補助ツールとして、「せやま性能基準」と「せやま標準仕様」の2つからなる「せやま基準一覧表」を無料配布しています。
「せやま性能基準」を使えば、上記で紹介したように各建材について、「完全に不足→少し不足→ちょうどいい塩梅→余裕が余れば」と家づくりで抑えておくべき性能レベルを検討できます。
詳しい使い方に関しては、下記リンク先の記事をご覧ください。
ダウンロードページ:『せやま基準一覧表|お役立ちツール|BE ENOUGH』
合わせて読みたい記事:『営業マンより「家の性能」に100倍詳しくなる方法|せやま性能基準』
解説動画(YouTube):『家づくりの超実践ツール「せやま基準一覧表」の使い方<総集編>』