窓ガラスよりも重要!?見落としがちな「スペーサー」の種類と選び方を紹介!

窓ガラスで一番重要なのは、「窓サッシ」。これは比較的よく知られていますが、実はその次に重要なのが「スペーサー」なんです。

つい窓サッシの次は窓ガラス…といってしまいそうになりますが、結露対策において窓サッシ同様重要な箇所なのでしっかり要点を押さえておきましょう。

実は、窓ガラスよりも「スペーサー」が重要!

「窓について、抑えておくべき知識を網羅したい!」という場合は、以下記事を参考にしてみて下さい。

関連記事:『【完全攻略】新築の「窓選び」最適解は?窓の種類・性能・設置すべき方角/配置など徹底解説!

スペーサーとは?

窓の断面図を元にスペーサーの位置を解説

(出典:YKK AP)

スペーサーとは、サッシとガラスの間の部分にある上画像の赤〇部分の部材を指します。

少しわかりづらいかもしれませんが、「ガラスとガラスの間に挟まれていて、サッシにくっついている部分」がスペーサーですね。

このように部材としては、窓ガラスよりも小さなものなのですが、結露対策においては窓ガラスよりも重要な部分なんです。

スペーサーの種類と性能について

【結論】”ちょうどいい塩梅”の「スペーサー」は?

窓の「スペーサー」における性能差

まずスペーサーの種類についてですが、「アルミスペーサー」と「樹脂スペーサー」の2種類しかありません。

そしてスペーサーも、窓サッシ同様「樹脂一択」です。

ちょうどいい塩梅の「●●」とは?・・・やりすぎずやらなさすぎず。建材のレベルは、ある一定まで上がるとそれ以降は費用対効果が悪くなるので、その手前(最も費用対効果が高いところ)で止めましょう、という“ちょうどいい塩梅主義”に基づいてセレクトされた推奨レベル。

“ちょうどいい塩梅”のスペーサーは?

  1. アルミスペーサー
  2. 樹脂スペーサー(推奨)

なぜ「樹脂スペーサー」一択なの?

サッシの次に結露しやすいのが「スペーサー」

結露してしまった窓

「スペーサーなんて、アルミでも樹脂でもそんなに変わらないんじゃないの?」なんて言う人もいますが、冒頭からお話ししている通り、窓の中でも結露しやすいのは「サッシ」、その次が「スペーサー」なんです。

実際、窓ガラスが結露するとき、ガラスの真ん中ではなく「外側」が結露するのは経験上分かりますよね。

なので、枠である「サッシ部分」が一番結露しやすいのですが、その次は窓ガラスの一番外側になる「スペーサー付近」が結露しやすいんです。その後で、窓ガラスの真ん中の方も結露する…という順番なんですね。

このように、つい窓サッシの次は窓ガラスに目が行ってしまいがちなんですが、実は窓ガラスよりもスペーサーの質を担保すべきなんです。

樹脂スペーサーとアルミスペーサーの比較結果

「樹脂スペーサー」と「アルミスペーサー」による表面温度の差

(出典:YKK AP)

さらに「樹脂スペーサー」と「アルミスペーサー」でガラスの表面温度を比較したところ、樹脂スペーサーの方が表面温度が3℃くらい高くなりました。

「たかが3℃?」と思う人もいるかもしれませんが、樹脂スペーサーの場合は11.9℃、アルミスペーサーだと8.9℃なので、そしてこの時結露が発生する露点温度は「9.3度」です。

つまり、アルミスペーサーの場合は、ガラスの表面温度が露点温度を下回るため結露してしまうんですね。

「室内温度20℃、室外温度0℃、湿度50%」という一般的な冬の環境下であれば、「アルミスペーサーなら結露し、「樹脂スペーサー」なら結露しない可能性が高いと言えます。

このようにスペーサーが違うだけで結露しないケースもあるため、コストがそこまで上がらない点も踏まえて「樹脂スペーサー一択」なわけです。

樹脂の熱伝導率は、「アルミの1/1000」

「樹脂」と「アルミ」の熱の伝わりやすさの違い

(出典:三協アルミ)

これは窓サッシの記事でも触れていますが、樹脂の熱伝導率は「アルミの約1/1000」。それだけ熱が伝わりづらいというわけです。

まずはここから、「そもそも窓にアルミを使うべきではない」、というのが分かってもらえるかと思います。

また現状日本国内では、「アルミスペーサー」の方が多く採用される傾向にありますが、アルミから樹脂に変更したところで、30坪程度の家であれば数万円しか変わりません。たった数万円で窓ガラスの結露を予防できるなら費用対効果は優秀ですね。仕入れ価格による

なぜ樹脂スペーサーが普及しない?

これは「施主の知識不足」が原因でしょう。

施主へのアピール材料にならないのに、樹脂スペーサーを採用した結果、見積金額が上がって契約に悪影響がでれば、住宅会社側のメリットはありませんよね。

「そこを乗り越えて住宅会社が施主のためにやったれよ・・・」と言いたいところですが、施主が知識をつけて住宅会社に求めていく方が手っ取り早いので、勉強していきましょう。押さえるポイントは至ってシンプルです。

「スペーサーもサッシも樹脂。アルミは使わない」、これだけです。

まとめ

スペーサーを選ぶにあたって抑えておくべきは、以下の5点です。

ちょうどいい塩梅の「スペーサー」の選び方

  • 結露対策において、窓サッシの次に重要なのが「スペーサー」
  • 「アルミスペーサー」と「樹脂スペーサー」の2種類
    「樹脂スペーサー」一択!
  • 樹脂スペーサーにすることで結露リスクを減らせる!
  • アルミ⇒樹脂に変更しても、コスト的には数万円しか変わらない(30坪の家の場合)仕入れ価格による
  • 準防火地域であっても、シャッターを付ければ「樹脂スペーサー」が使用可!
    ⇒工務店が知らない場合もあるので要注意!

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合わせて読みたい記事:『営業マンより「家の性能」に100倍詳しくなる方法|せやま性能基準
解説動画(YouTube):『家づくりの超実践ツール「せやま基準一覧表」の使い方<総集編>

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せやま印工務店とは?

PROFILE

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せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

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