住宅会社の「性能」を見極める方法|「せやま性能基準」11項目を徹底解説

新築住宅会社は、まず「性能」で絞りましょう。「性能」で絞った上で、「人」で選ぶのがベストです。くれぐれも「性能はよく分からないから、人で選ぼう!」とならないように。性能の低い新築住宅を建てるのはアウトですよ。

【記事内で使うツール】
せやま基準一覧表(に掲載されている「せやま性能基準」)
無料ダウンロードページはこちら

住宅会社の「性能」を見極める方法|11のチェックポイントを完全網羅

まず「性能」で絞るべき理由

新築中の満足度は「人」で決まり、完成後の満足度は「性能」で決まるためです。新築中と完成後、どちらが長いか?を考え、新築住宅は「性能」をまず重視すべき。

「人」で選びたくなる衝動を何とか抑え、まずは「性能」で絞りましょう。「性能」で絞った数社から、「人」で選ぶのがベストです。では早速、住宅会社の「性能」を比較する方法を解説していきます。

「性能」の中で最も大切なのは、基本性能(窓/断熱/気密/換気)です。基本性能だけは、絶対に絶対に抑えてくださいね!

<新築住宅の性能レベルが一目でわかる「せやま性能基準」>
せやま性能基準

【結論】住宅会社の「性能」を比較する方法

新築住宅の性能は、基本性能(窓/断熱/気密/換気)・メンテナンス・地震・シロアリ・災害対策の3要素から構成ますが、まずは、最も重要な基本性能(窓/断熱/気密/換気)から、各社のレベルを比較していくと良いでしょう。

性能が低い順番に、●●→●●→●●→●●と表記し、黄色マーカーの●●が、ちょうどいい塩梅の推奨グレードです。住宅会社の標準仕様を確認し、どのレベルなのか?を比較していくことができます。

せやま基準一覧表の中の「せやま性能基準」を使って解説しますので、事前にダウンロードしておいてください。無料ダウンロードページはこちら

【基本性能(窓/断熱/気密/換気)】
①窓
・サッシ
アルミ→アルミ樹脂→オール樹脂→ウレタン充填オール樹脂

・ガラス
シングル→ペア→Low-Eペア(空気)→Low-Eペア(アルゴン)→Low-Eトリプル(アルゴン)→Low-Eトリプル(クリプトン)

・スペーサー
アルミ→樹脂

②断熱
・UA値
省エネ基準以下/断熱等級1~3→省エネ基準クリア/断熱等級4(5~8地域:0.87以下)→ZEH基準クリア(5~8地域:0.6以下、3~4地域:0.5以下、1~2地域:0.4以下)→HEAT20 G1基準クリア→HEAT20 G2基準クリア

※4地域のみZEH基準より厳しく設定

・上部断熱
壁の1倍→壁の2倍→壁の3倍

・下部断熱
基礎断熱(外断熱)→床断熱→基礎断熱(内断熱)※適切なシロアリ対策必須

・玄関ドア
D4/K4→D3/K3→D2/K2→D1/K1以上

③気密
・C値
気密測定無/2.0超→2.0以下→0.7以下→0.4以下

④換気システム
・システム種類/ダクト計画
ダクトレスの第三種換気/ダクト給気型の第一種換気/ダクトレスの第一種換気→ダクト排気型の第三種換気→ダクト排気型の第一種換気

・機械メンテ(修理費用)
メンテ不能→修理に数十万円かかる→10万円以下で修理可能

・外部フィルターメンテ(位置)
家の中から掃除→家の外から掃除

・内部フィルターメンテ(位置)
手の届かない位置→手の届く低い位置

・熱交換
熱交換無→顕熱交換のみ→全熱交換80%未満→全熱交換80%以上→全熱交換90%以上

・外部フィルター
フィルター無→花粉対応→PM2.5対応

<せやま性能基準の「ちょうどいい塩梅」グレードを推奨>
せやま性能基準

【メンテナンス性能】
①外壁・シーリング
・外壁材
モルタル/ALC→窯業系サイディング/金属系サイディング→タイル

・セルフクリーニング機能
無→

・外壁材の保証(色・塗膜)
保証無→10年保証→15年保証→30年保証

・シーリング保証(ひび割れ)
保証無→10年保証→15年保証

②屋根・屋根防水シート・バルコニー防水
・屋根材
スレート/カラーベスト/コロニアル→ガルバリウム鋼板→高級ガルバ/瓦(耐震性は落ちる)

・屋根材の保証(塗膜)
保証無→10年保証→15年保証

・下葺き材(ルーフィング)
アスファルトルーフィング940→改質ゴムアスファルトルーフィング→高級アスファルトルーフィング

・バルコニー防水
シート/ウレタン/FRP防水→板金防水→ステンレス板金防水

③太陽光発電システム
・パネル(モジュール)
高温高湿試験データ公開無→高温高湿試験2,000時間未満→高温高湿試験2,000時間以上→第三者機関の全検査クリア

・パワーコンディショナー
MPPT無→ストリング固執>MPPT個数→ストリング個数=MPPT個数

<せやま性能基準の「ちょうどいい塩梅」グレードを推奨>

せやま性能基準

【地震・シロアリ・災害対策】
①地盤保証・基礎工事
・地盤保証
保証無→10年保証→20年保証

・基礎工事(木造)
布基礎→ベタ基礎(シングル配筋/20mmピッチ)→ベタ基礎(ダブル配筋/150mmピッチ)

②シロアリ対策
・シロアリ対策
防蟻剤吹付け→防蟻剤加圧注入/ネオニコチノイド系の防蟻防湿シート→ピレスロイド系の防蟻防湿シート

・シロアリ保証
保証無→防蟻剤による5年保証→防蟻剤による10年保証→防蟻防湿シートによる10年保証

③設計強度
・耐震等級
以下項目を満たさない耐震等級1→以下項目を満たす耐震等級1/耐震等級2→耐震等級3

・直下率(プラン時)
直下率非公開→壁50%未満→壁50%以上→壁60%以上

・床組
根太工法→剛床工法(川の字釘打ち)→剛床工法(四周釘打ち)

・壁量充足率(全箇所)
1倍以上→1.25倍以上→1.5倍以上→1.8倍以上

・壁率比(全箇所)
非公開→0.5未満→0.5以上

・耐力壁線間距離
非公開→m以下→4m以下

・梁の厚み(上部柱無)
3P:180/4P:210→P:210/4P:240→3P:240以上/4P:270以上(1P=910mm)

④災害対策
・火災
非省令準耐火構造→省令準耐火構造

・水災(基礎開口)
地盤から45cmに開口有り→地盤から45cm開口無し(ハザードマップで浸水エリアの場合)

・水災(給湯器配管処理)
シーリング処理無→シーリング処理有

・水災(ハウスシューズ)
ハウスシューズ無→ハウスシューズ有

・風災/空き巣
シャッター無→LDKシャッター有→全階シャッター有

<せやま性能基準の「ちょうどいい塩梅」グレードを推奨>
せやま性能基準

※各項目の詳細については、目次:家の性能 徹底解説(記事まとめ)をご覧ください。

基本性能① 窓

・サッシ
アルミ→アルミ樹脂→オール樹脂→ウレタン充填樹脂

窓の結露、家全体の断熱性能を考えると、オール樹脂サッシ一択。アルミ樹脂だと結露リスク高いです。最も熱の出入りが大きい窓をケチったら、他でどれだけ頑張っても無駄です。

・ガラス
シングル→ペア→Low-Eペア(空気)→Low-Eペア(アルゴン)→Low-Eトリプル(アルゴン)→Low-Eトリプル(クリプトン)

ほとんどの新築住宅会社が、Low-Eペアガラスを採用していますが、中空層はアルゴンガスが高コスパ。トリプルガラスは、さらに断熱性能が高いですが、5~8地域ではオーバースペック。ということで、ちょうどいい塩梅のガラスは、Low-Eペア(アルゴンガス)です。

・スペーサー
アルミ→樹脂

ガラス外周部の結露に影響するスペーサーを、アルミから樹脂に変更する差額は知れています。ちょうどいい塩梅のスペーサーは、樹脂スペーサーです。

関連記事:「窓」の種類と失敗しない選び方|サッシ・窓ガラス・スペーサーの推奨レベル

<高性能な窓の例>
オール樹脂サッシの窓
<出典:YKK AP

基本性能② 断熱

・UA値
省エネ基準以下/断熱等級1~3→省エネ基準クリア/断熱等級4(0.87以下)→ZEH基準クリア(0.6以下)→HEAT20 G1基準クリア(0.56以下)→HEAT20 G2基準クリア(0.46以下) ※()内は6地域の数値

UA値の基準はたくさんありますが、省エネ基準(0.87以下)は、まったく高断熱とは言えないレベルなので、ちょうどいい塩梅のUA値は、ZEH基準(0.6以下)です。※4地域のみ、ZEH基準より厳しく設定しています。

さらに断熱性能が高い、HEAT20 G1/G2/G3基準もありますが、コストがぐっと上がるので、余裕があれば考えてみてください。

・上部断熱
壁の1倍→壁の2倍→壁の3倍

夏は家の上部に熱がこもるので、壁よりも上部(屋根や天井)の断熱が重要。なので、壁より厚めの断熱材を。厚ければ厚いほど良いですが、ちょうどいい塩梅の上部断熱は、壁の2倍です。

・下部断熱
基礎断熱(外断熱)→床断熱→基礎断熱(内断熱)※適切なシロアリ対策必須

底冷えの原因は、床下空間の冷気。基礎断熱にすれば、床下にも暖かい空気が流れ、底冷えは緩和されます。いずれにしても適切なシロアリ対策は必須です。浮造りの無垢床を併用すれば、さらに暖かく感じます。

・玄関ドア
D4/K4→D3/K3→D2/K2→D1/K1以上

窓同様に、玄関ドアの断熱性能にも注意が必要。ちょうどいい塩梅の玄関ドアは、寒冷地仕様のD2/K2です。寒冷地仕様と言われていますが、数値的には、全エリアで採用すべきグレードと言えます。

関連記事:「断熱性能」を比較する基準と推奨レベル|UA値の解説と適正数値

<新築住宅のUA値基準(たくさんあってややこしい)>
新築住宅のUA値基準一覧と推奨グレード

基本性能③ 気密

・C値
気密測定無/2.0超→2.0以下→0.7以下→0.4以下

まず、新築住宅で気密測定をしないのは論外。ちょうどいい塩梅のC値は、0.7以下です。さらに気密性能向上を目指しても良いですが、コストも上がっていきますので、やりすぎには注意が必要しましょう。

関連記事:「気密性能」を比較する基準と推奨レベル|C値の解説と適正数値

<C値を測定する気密測定器>
気密測定器(C値現場実測)

基本性能④ 換気システム

・システム種類/ダクト計画
ダクトレスの第三種換気/ダクト給気型の第一種換気/ダクトレスの第一種換気→ダクト排気型の第三種換気→ダクト排気型の第一種換気

ダクトのメンテナンスが大変な「ダクト給気型」や、冷気がそのまま侵入してしまう「第三種換気」は非推奨。ちょうどいい塩梅のシステム種類/ダクト計画は、ダクト排気型の第一種換気です。

・機械メンテ(修理費用)
メンテ不能→修理に数十万円かかる→10万円以下で修理可能

壊れたら修理できない施工(1階と2階の間に設置等)は論外で、天井や壁埋め込みなどの、修理費用が数十万円以上かかる施工もいけません。10万円以下で修理可能な施工にしましょう。高気密高断熱な新築住宅での換気は、健康の維持のために超超超超重要です。

・給気フィルターのメンテ(位置)
家の中から掃除する位置→家の外から掃除できる位置

家の中から外部フィルターを清掃するタイプは、避けましょう。外部フィルターには、排気ガスや花粉・虫などがこびりつきますので、家の中から清掃するには精神的苦痛が伴います。外部フィルターは必ず、家の外から清掃できる位置に設置する必要があります。

・排気フィルターのメンテ(位置)
手の届かない位置→手の届く位置

内部フィルター(換気扇)を高い位置にすると、フィルター掃除が難しく、結果的にフィルターの目詰まりで換気不足になります。なので、内部フィルターは、手の届く位置への設置を推奨します。

・ダクトメンテ(種類)
給気経路に使用→排気経路のみ使用

ダクトを給気経路に使うのはNG。ダクト内のホコリが部屋に供給されます。ダクト式の全館空調が、その最たる例でオススメできません。推奨できるのは、ダクトを排気経路にのみ使用したダクト式換気システムです。

関連記事:「換気システム」の正しい知識と失敗しない選び方(前半)|換気システムのメンテナンス性能の見極め方

<ダクト内にほこりが滞留するので、給気経路に使うと定期的な掃除が必要>
新築時はきれいでも年々汚れが目立つダクト内
(出典:アスカサービス

・熱交換
熱交換無→顕熱交換のみ→全熱交換60%以上→全熱交換80%以上→全熱交換90%以上

熱交換無(第三種換気等)では、窓を開けているのと同じです。顕熱(温度)のみならず、潜熱(湿度)も熱交換する全熱交換を選択しましょう。ちょうどいい塩梅の熱交換率は、80%以上です。90%以上のタイプもありますが、80%との差を実感できるほどの違いはありません。

・外部フィルター
フィルター無→花粉対応→PM2.5対応

外部フィルター無では、外部の排気ガスや花粉がそのまま室内に入りこみます。せっかく付けるなら、花粉のみならず、PM2.5対応のフィルターを付けたいところ。PM0.3対応のフィルターなどもありますが、余裕があればで良いかと思います。

関連記事:「換気システム」の正しい知識と失敗しない選び方(後半)|熱交換・給気フィルターの推奨レベル

<熱交換の仕組み>
高気密高断熱な新築住宅に必要不可欠な熱交換システムのイメージ
(出典:マーベックス

メンテナンス① 外壁・シーリング

基本性能に続いて、メンテンス性能を解説していきます。

・外壁材
モルタル/ALC→窯業系サイディング/金属系サイディング→タイル

モルタルなどの塗り壁は、完成直後のデザイン性が高く人気ですが、新築後10年もすれば汚れが目立ってきます。耐火性の高いALCもメンテナンス性・防水性は低い。となると、ちょうどいい塩梅の外壁材は、窯業系サイディング。金属系サイディングもありですね。

・セルフクリーニング機能
無→

窯業系サイディングの表面汚れを落とす、セルフクリーニング機能は必須です。

・外壁材の保証(色・塗膜)
保証無→10年保証→15年保証→30年保証

表面コーティングの種類によって、保証年数が変わってきます。ちょうどいい塩梅の外壁材の保証は、色・塗膜保証15年です。

・シーリング保証(ひび割れ)
保証無→10年保証→15年保証

通常品質のシーリング(コーキング)を使うと、新築から10年程度でメンテナンスが必要になりますので、ちょうどいい塩梅のシーリング保証は、ひび割れ15年保証です。各サイディングメーカーが、アップグレード品として用意しています。

関連記事:「外壁・シーリング」のメンテナンス費用を安くするコツ|メーカーの保証年数で品質を見極める方法

<15年保証の高耐久シーリング>
15年保証の高耐久シーリング
(出典:ニチハ

メンテナンス② 屋根・ルーフィング・バルコニー防水

・屋根材
化粧スレート/スレート瓦/アスファルトシングル→ガルバリウム鋼板→高級ガルバ/瓦(耐震性は落ちる)

絶対に避けたいのが、化粧スレート。ちょうどいい塩梅の屋根材は、耐久性と価格のバランスが良いガルバリウム鋼板です。瓦は、表面汚れには強いですが、耐震性が低いなどの理由で、採用率は下がっています。

・屋根材の保証(塗膜)
保証無→10年保証→15年保証

ガルバリウム鋼板を採用した場合の話ですが、表面加工のグレードによって、保証年数が変わってきます。ちょうどいい塩梅の屋根材の保証は、塗膜15年保証です。

・ルーフィング
アスファルトルーフィング940→改質ゴムアスファルトルーフィング→高級アスファルトルーフィング

絶対に避けたいのが、アスファルトルーフィング940。ちょうどいい塩梅のルーフィングは、改質アスファルトルーフィングです。さらにグレードの高い高級ルーフィングもありますが、そこまでやらなくて良いと思います。

・バルコニー防水
シート/FRP防水→板金防水→ステンレス板金防水

FRP防水やシート防水は、新築後10年程でメンテナンスが必要。ちょうどいい塩梅のバルコニー防水は、準防火地域でも対応しやすい板金防水です。耐久性と価格のバランスが良いですね。ステンレス板金防水もありますが、少しやりすぎです。

関連記事:「屋根・ルーフィング・バルコニー防水」のメンテナンス費用を安くするコツ|選んではいけない建材とは?

<改質アスファルトルーフィング>
雨漏りを防ぐ改質アスファルトルーフィング
(出典:常裕パルプ工業

メンテナンス③ 太陽光発電システム

・パネル(モジュール)
高温高湿試験データ公開無→高温高湿試験2,000時間未満→高温高湿試験2,000時間以上→第三者機関の全検査クリア

新築時に性能の低い太陽光パネル(モジュール)を選択してしまうと、発電量がどんどん落ちます。見極めは難しいですが、高温高湿試験2,000時間以上が目安。具体的な長寿命パネル型番は、以下記事で紹介しています。

関連記事:「太陽光発電システム」の失敗しない選び方|太陽光パネル・パワコンのおすすめメーカー紹介

・パワーコンディショナー
MPPT無し→ストリングの個数>MPPTの個数→ストリングの個数=MPPTの個数

ストリングの個数とMPPTと呼ばれる制御装置の個数バランスで、発電効率が異なります。ストリングの個数とMPPTの個数を同数にすると、発電効率が最大化されます。

<ストリングの個数=MPPTの個数のイメージ>

新築時に選択するストリングとMPPTの個数バランスで太陽光の発電効率は変わる
(出典:田淵電機株式会社

地震・シロアリ・災害対策 ①地盤保証・基礎工事

・地盤保証
保証無→10年保証→20年保証

ちょうどいい塩梅の地盤保証は、10年保証。地盤改良のやりすぎは禁物。地盤調査結果には、工事をしたい地盤改良工事会社の思惑が影響するので、保証がでるのであれば、それ以上の過剰工事はしないと考えることを推奨します。

・基礎工事(木造)
布基礎→ベタ基礎(シングル配筋/200mmピッチ)→ベタ基礎(ダブル配筋/150mmピッチ)

ちょうどいい塩梅の基礎工事は、ベタ基礎(シングル配筋/200mm)です。ダブル配筋や配筋ピッチを150mmにすれば、さらに強度は上がりますが、予算に余裕があればで良いかと思います。

関連記事:「地盤改良工事・基礎工事」の適正な強度とコストを抑える方法|地盤改良費用はコストカットできる!?

<ベタ基礎>
家の安全を守るベタ基礎

地震・シロアリ・災害対策 ②シロアリ対策

・シロアリ対策
防蟻剤吹付→防蟻剤加圧注入/ネオニコチノイド系の防蟻防湿シート→ピレスロイドの防蟻防湿シート

薬剤による対策は、経年劣化や他木材への侵食、薬剤が届かない小口からの被害などを防げません。なので、ちょうどいい塩梅のシロアリ対策は、ピレスロイド系の防蟻防湿シートです。ネオニコチノイド系の防蟻防湿シートだと、経年劣化で効果が落ちていきます。

・シロアリ保証
保証無/薬剤による5年保証→薬剤による10年保証→防蟻防湿シートによる10年保証

シロアリ保証は新築後5年とする住宅会社が多いですが、薬剤での保証のため推奨しません。同じく薬剤による新築後10年保証も非推奨。ちょうどいい塩梅のシロアリ保証は、防蟻防湿シートによる10年保証です。

関連記事:新築時の適切な「シロアリ対策」|防蟻剤だけではシロアリ被害を防げない!?

<防蟻剤より長期的にシロアリ対策効果がある、ピレスロイド系の防蟻防湿シート>
新築時から効果が長期間持続する「防蟻防湿シート」
(出典:九州テクノ工販

地震・シロアリ・災害対策 ③設計強度

・耐震等級
以下項目を満たさない耐震等級1→以下項目を満たす耐震等級1/耐震等級2→耐震等級3

以下項目を満たしてくれる設計士であれば、耐震等級1で十分。以下項目を見せて「???」って感じの設計士であれば、耐震等級2取得を推奨します。耐震等級3は、プランの自由度が下がり、壁量が大きくなるだけなので、必須ではないと考えます。

・直下率(プラン時)
直下率非公開→壁50%未満→壁50%以上→壁60%以上

直下率は、耐震性・気密性・コストに大きく影響を及ぼす項目なのに、新築時の建築基準法や耐震等級基準でもクリア数値が設定されていないので、施主の意識が頼り。プランの時から意識しましょう。ちょうどいい塩梅の直下率は、壁50%以上。60%以上だとプランの自由度が下がります。

<直下率のイメージ>
優秀な設計士かどうか見極めるポイント 直下率
(出典:NHK)

・床組
根太工法→剛床工法(川の字釘打ち)→剛床工法(四周釘打ち)

床組は、水平面の強さに影響します。剛床工法が主流になりつつありますが、床倍率が低い剛床工法(川の字釘打ち)を採用する会社もあるで注意。ちょうどいい塩梅の床組は、床倍率の高い剛床工法(四方釘打ち)です。

・壁量充足率(全箇所)
1倍以上→1.25倍以上→1.5倍以上→1.8倍以上

建築基準法クリアぎりぎり(1倍強)だと、壁量不足。ちょうどいい塩梅の壁量充足率は、耐震等級2の基準に近い1.5倍以上。壁量だけ大きく見せて、耐震等級●相当!とする会社もいますが、壁量だけ大きくしても意味がありません。

・壁率比(全箇所)
非公開→0.5未満→0.5以上

壁は量だけではなく、東西・南北のバランスも大切。ちょうどいい塩梅の壁率比は、0.5以上(壁量のバランスを1:2以下に抑える)です。特に、南に窓を多く配置するので、南北のバランスに注意しましょう。

・耐力壁線間距離
非公開→m以下→4m以下

家外周部の耐力壁だけでなく、家の中心部に耐力壁を配置することをチェックする項目。ちょうどいい塩梅の耐力壁線間距離は、8m以下です。理想は4m以下ですが、壁が増えて空間の解放感が失われます。

・梁の厚み(上部柱無)
3P:180/4P:210→P:210/4P:240→3P:240以上/4P:270以上(1P=910mmスパン)

梁の厚みは、床組と同様に水平面の強度を決めます。ちょうどいい塩梅の梁の厚みは、3P:210/4P:240。上部に柱が乗っかる場合は、1本につき30mmアップが基本です。

関連記事:本当に必要な7つの「地震対策」|耐震性能は、耐震等級ではなく設計士の質で決まる!?

<ちょうどいい塩梅の床組:剛床工法(四周釘打ち)>
床組は、剛床工法(四周釘打ち)を推奨
(出典:日本合板工業組合連合会

地震・シロアリ・災害対策 ④災害対策

・火災
非省令準耐火構造→省令準耐火構造

10年で元が取れて、火災に強くなるのが、省令準耐火構造。木造住宅の場合、省令準耐火構造にすると火災保険金額が半額くらいになります。

・水災(基礎開口)
地盤から45cm開口有り→地盤から45cm開口無し(ハザードマップで浸水エリアの場合)

火災保険が適用できない床下浸水(地盤から45cm以下)が増えているため、対策が必要です。ハザードマップで浸水リスクのある地域では、地盤から45cm開口無しにしましょう。住宅会社に事前に言っておけば、追加金額無しで対応できると思います。

・水災(給湯器配管処理)
シーリング処理無→シーリング処理有

エコキュートの配管から床下浸水するリスクがあるので、必ずシーリング処理を行いましょう。

・水災(基礎保護材)
ハウスシューズ無→ハウスシューズ有

基礎のコンクリート部分にハウスシューズを施工すると、防水性が高まります。見た目もきれいになっていいですよ。

・風災/空き巣
シャッター無→LDKシャッター有→全階シャッター有

台風等による飛来物被害を防ぐには、全ての窓にシャッターを付けるのがベストですが、予算の関係もあるので、まずは、LDKシャッターを必須と考えましょう。シャッターを付けることで、外部からの侵入を抑制することができ、空き巣対策にもなります。

関連記事:火災・水災・風災から家族を守る3つの「災害対策」|災害に強い新築住宅を建てるには?

<ハザードマップ>
土地探しで事前にチェックすべきハザードマップ
(出典:大阪市)

まとめ

家の性能は、基本性能(窓/断熱/気密/換気)・メンテナンス・地震・シロアリ・災害対策の3要素から構成ますが、まずは、最も重要な基本性能(窓/断熱/気密/換気)から、各社のレベルを比較していくと良いでしょう。

性能が低い順番に、●●→●●→●●→●●と表記し、黄色マーカーの●●が、ちょうどいい塩梅の推奨グレードです。住宅会社の標準仕様設定を確認し、どのレベルなのか?を比較していくことができます。

【基本性能(窓/断熱/気密/換気)】
①窓
・サッシ
アルミ→アルミ樹脂→オール樹脂→ウレタン充填オール樹脂

・ガラス
シングル→ペア→Low-Eペア(空気)→Low-Eペア(アルゴン)→Low-Eトリプル(アルゴン)→Low-Eトリプル(クリプトン)

・スペーサー
アルミ→樹脂

②断熱
・UA値
省エネ基準以下/断熱等級1~3→省エネ基準クリア/断熱等級4(5~8地域:0.87以下)→ZEH基準クリア(5~8地域:0.6以下、3~4地域:0.5以下、1~2地域:0.4以下)→HEAT20 G1基準クリア→HEAT20 G2基準クリア

※4地域のみZEH基準より厳しく設定

・上部断熱
壁の1倍→壁の2倍→壁の3倍

・下部断熱
基礎断熱(外断熱)→床断熱→基礎断熱(内断熱)※適切なシロアリ対策必須

・玄関ドア
D4/K4→D3/K3→D2/K2→D1/K1以上

③気密
・C値
気密測定無/2.0超→2.0以下→0.7以下→0.4以下

④換気システム
・システム種類/ダクト計画
ダクトレスの第三種換気/ダクト給気型の第一種換気/ダクトレスの第一種換気→ダクト排気型の第三種換気→ダクト排気型の第一種換気

・機械メンテ(修理費用)
メンテ不能→修理に数十万円かかる→10万円以下で修理可能

・外部フィルターメンテ(位置)
家の中から掃除→家の外から掃除

・内部フィルターメンテ(位置)
手の届かない位置→手の届く低い位置

・熱交換
熱交換無→顕熱交換のみ→全熱交換80%未満→全熱交換80%以上→全熱交換90%以上

・外部フィルター
フィルター無→花粉対応→PM2.5対応

<せやま性能基準の「ちょうどいい塩梅」グレードを推奨>
せやま性能基準

【メンテナンス性能】
①外壁・シーリング
・外壁材
モルタル/ALC→窯業系サイディング/金属系サイディング→タイル

・セルフクリーニング機能
無→

・外壁材の保証(色・塗膜)
保証無→10年保証→15年保証→30年保証

・シーリング保証(ひび割れ)
保証無→10年保証→15年保証

②屋根・屋根防水シート・バルコニー防水
・屋根材
スレート/カラーベスト/コロニアル→ガルバリウム鋼板→高級ガルバ/瓦(耐震性は落ちる)

・屋根材の保証(塗膜)
保証無→10年保証→15年保証

・下葺き材(ルーフィング)
アスファルトルーフィング940→改質ゴムアスファルトルーフィング→高級アスファルトルーフィング

・バルコニー防水
シート/ウレタン/FRP防水→板金防水→ステンレス板金防水

③太陽光発電システム
・パネル(モジュール)
高温高湿試験データ公開無→高温高湿試験2,000時間未満→高温高湿試験2,000時間以上→第三者機関の全検査クリア

・パワーコンディショナー
MPPT無→ストリング固執>MPPT個数→ストリング個数=MPPT個数

<せやま性能基準の「ちょうどいい塩梅」グレードを推奨>

せやま性能基準

【地震・シロアリ・災害対策】
①地盤保証・基礎工事
・地盤保証
保証無→10年保証→20年保証

・基礎工事(木造)
布基礎→ベタ基礎(シングル配筋/20mmピッチ)→ベタ基礎(ダブル配筋/150mmピッチ)

②シロアリ対策
・シロアリ対策
防蟻剤吹付け→防蟻剤加圧注入/ネオニコチノイド系の防蟻防湿シート→ピレスロイド系の防蟻防湿シート

・シロアリ保証
保証無→防蟻剤による5年保証→防蟻剤による10年保証→防蟻防湿シートによる10年保証

③設計強度
・耐震等級
以下項目を満たさない耐震等級1→以下項目を満たす耐震等級1/耐震等級2→耐震等級3

・直下率(プラン時)
直下率非公開→壁50%未満→壁50%以上→壁60%以上

・床組
根太工法→剛床工法(川の字釘打ち)→剛床工法(四周釘打ち)

・壁量充足率(全箇所)
1倍以上→1.25倍以上→1.5倍以上→1.8倍以上

・壁率比(全箇所)
非公開→0.5未満→0.5以上

・耐力壁線間距離
非公開→m以下→4m以下

・梁の厚み(上部柱無)
3P:180/4P:210→P:210/4P:240→3P:240以上/4P:270以上(1P=910mm)

④災害対策
・火災
非省令準耐火構造→省令準耐火構造

・水災(基礎開口)
地盤から45cmに開口有り→地盤から45cm開口無し(ハザードマップで浸水エリアの場合)

・水災(給湯器配管処理)
シーリング処理無→シーリング処理有

・水災(ハウスシューズ)
ハウスシューズ無→ハウスシューズ有

・風災/空き巣
シャッター無→LDKシャッター有→全階シャッター有

<せやま性能基準の「ちょうどいい塩梅」グレードを推奨>
せやま性能基準

※各項目の詳細については、目次:家の性能 徹底解説(記事まとめ)をご覧ください。

 


【文責:瀬山彰】

PROFILE

住宅会社の「性能」を見極める方法|「せやま性能基準」11項目を徹底解説 | 「住宅会社の選び方」を学びたい

せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

当社ウェブサイトでは、お客様に提供するサービスの向上・改善、お客様の関心やニーズに応じた情報・機能提供のためにお客様が当サイト使用する際に取得した情報を、当社分析パートナーと共有します。
詳しくは、個人情報保護方針をご確認ください。

OK