せやま印工務店プロジェクト
初心者がハマる相見積もりの失敗パターン9選|悪徳住宅会社のワナを防ぐ方法 | 予算オーバーを未然に防ぎたい

相見積もりをしても「A工務店とB工務店の見積もり、Aの方が安いからこっちに頼もう!」なんてしていないでしょうか。もちろん単純な商品なら安い方を買えば良いですが、家は非常に複雑なもの。住宅会社としては「いかに見積もりを安く見せるか」「施主をどう騙すか」が大切な面もあります。そのため、誠実な工務店ほど見積もりが高くなる一方で、不誠実な会社ほど見積もりが安くなる現象が起きます。

ただ「それなら高い見積もりの方が良いの?」というとそんなことはありません。過剰スペックになる、利益率が高くなる、性能に見合わない割高な家を施主が買ってしまうのもおすすめできません。そこで、今回は高すぎず安すぎず、まさにちょうどいい塩梅の家づくりができ、契約後に追加費用が出ない誠実な住宅会社と家づくりができるように、住宅会社が見積もりのどこをちょろまかすかといった点や、施主が契約前に注意したい見積もりのチェックポイントを詳しく紹介します。

今回は以下を詳しく解説していきます。

住宅会社が見積もりで騙す手口

①基本性能

断熱性能や気密性能を大事だと思っている施主が増えているので、最近は「とにかくUA値で勝負」する住宅会社が多いです。「UA値が0.46以下です」「0.34以下です!」「うちはG3クラスです!」と言います。それも大事ですが、そればかりを主張するのはダメな住宅会社です。これを言えば中途半端に勉強した施主は簡単に騙されるので、注意してください。

一番熱が逃げやすいのは窓です。特に、窓の中でもサッシから熱が逃げるので、これを樹脂サッシにしてください。「アルミ樹脂複合サッシなどの断熱性能が低いサッシを使いながら、壁の断熱だけガチガチにして家全体のUA値を良くする住宅会社」には注意してください。まずは窓に注目し、次にUA値、さらに断熱性能だけじゃなく気密性能も計測しているのかを最低限確認してください。

「UA値はすごいけど、窓はアルミ樹脂複合サッシで気密測定はしていません」なんて住宅会社とは契約しないでくださいね。

②メンテナンス

メンテナンスといえば、外壁と屋根が重要です。ただし、素材推しで騙す住宅会社が多いので注意してください。「屋根はガルバ鋼板を使っているので大丈夫です」「外壁は窯業系サイディングです」と言うところがあります。ただ、素材よりもメーカーが出している保証年数が大切なので確認してください。

窯業系サイディングは良い素材ですが、その中でも塗膜保証15年のものと10年のものがあります。選ぶ時は15年保証のものを選んでください。ガルバの外壁もかっこいいですが、塗膜保証15年のものを選ぶことが大切です。

住宅会社が出している保証は大体当てになりませんが、建材メーカーが出している塗膜保証は無難に設定されています。外壁や屋根に関しては、素材よりも塗膜保証の年数をチェックしてください。

質問:瓦の屋根はどう?

瓦はめちゃくちゃ良いです。ただし重かったり価格が上がるデメリットがあることを理解して使ってください。外壁に関しても塗り壁はかっこいいですが、メンテナンスの面では周期が短いというデメリットがあります。その予算をしっかり抑えていればOKです。

「外壁は絶対にこの素材!」というものはないので、デメリットと対策を理解した上で見積もりの内容を確認してくださいね。

外壁選びに関して、詳しくはこちらの記事もご確認ください。

関連記事:ツートンはダサい!?かっこいい+機能性の高い”外壁材ランキング”を徹底解説!

太陽光発電パネルを付ける人も、価格だけで選ばないでくださいね。「kWあたり、20万円です!」なんて言う会社がありますが、安さだけではなく長持ちするかどうかが大切です。日本の基準は「10年間もてば良い」というめちゃくちゃ低い基準なので要注意。高温高湿試験のデータを必ず見て、最低でも3,000時間以上の試験をクリアしているものを選べば、目安として25年以上はもちますよ。

BE ENOUGHのおすすめは、マキシオン製のMAX3という太陽光パネルです。7,000~8,000時間の高温高湿試験をクリアしていますよ。これ以外のパネルを選ぶ場合も、価格だけではなく長持ちするかという観点で選んでください。

③安全性能(災害対策)

「うちは耐震等級3なので大丈夫です!」と言う会社があります。もちろん耐震等級3を取るのは大事ですが、それだけでは不十分です。地震対策だけではなく、水災対策や風災対策も確認してください。

浸水することもありますし、都心部であれば「内水氾濫」といって下水道のオーバーフローのリスクがあります。それにも関わらず、エコキュートが基礎を貫通しているのに止水処理をしなかったり、基礎高が低い場合があります。ハザードマップにかかっているところは、基本的に45cmまでの浸水に関しては水が入らないようにしてください。45cm以下の浸水で床下に水が入った時は水災保険を使えません。これを知らない住宅会社もあるので、施主自身がしっかりチェックしてください。

風災対策で有効なのはシャッターです。シャッターが見積もりに入っているかどうかも、しっかりチェックしてください。シャッターではなく、防災安全ガラスという補強されているガラスでも大丈夫です。

地震対策に関しては耐震等級3「相当」などはダメです。4月に法改正があったので「せやま基準」も改訂しました。それにより、構造計算は許容応力度計算を行い、耐震等級2以上取ることにしています。性能表示計算も悪くはありませんが、こちらの場合は耐震等級3を取得するのが基本です。

2025年4月の建築基準法改正について、詳しくはこちらの記事もご確認ください。

関連記事:【2025年4月】施主への影響は?「建築基準法」の改正(4号特例の縮小/壁量計算)を徹底解説!

このように、災害対策は地震対策だけではありません。水災や風災も含めて災害に強い家づくりになっているか、しっかりと見積もりの内容をチェックしてください。せやま基準一覧表を一個一個チェックしてもらえれば問題ないですよ。

④住宅設備・機能・インテリア

キッチンやお風呂は単価が大きいので、住宅会社としてはケチりたいポイントです。こういう場所に良い設備を入れると見積もりが高くなり、契約が取れないというのが住宅会社側の意見です。

せやま基準一覧表の右側を見て、しっかりチェックしてください。せやま基準一覧表を使えば相見積もりができます。この一覧表の内容をなるべく揃えて見積もりを取っていくのがポイントです。

チェックする際の注意点は、内容はもちろんとして扉の色もチェックしてください。色によって価格が違うので、住宅会社は安いホワイトとベージュを標準仕様にしていることがあります。

機能面では、コンセントや収納に注意。コンセント数の設定が非常に少ない会社もありますし、収納の中の棚やハンガーパイプがオプションになる住宅会社もあります。こういったものは全てせやま基準一覧表に載せているのでチェックしてくださいね。

インテリア関係では「カーテンはレールだけ」「アクセントクロスはオプション」というところもあります。床材が無垢床になっていない住宅会社もありますし、選べる色のバリエーションが少ないところもあります。大変かもしれませんが、契約した後に後悔するのは自分なので、しっかりチェックしてください。

騙されないような知識を付けておけば変な会社を見た時にすぐに分かります。逆に、誠実な会社を見た時に安心できます。騙されないようにすることで、結果的に良い会社を選ぶ力が付きますよ。

⑤付帯工事・造成工事

「本体と付帯工事はどう違うの?」と思う人が多いです。簡単に言うと、付帯工事というのは上から見た時の家以外の部分です。敷地内の水道工事や足場、仮設トイレ、トラックの運搬費、職人さんの駐車場などの現場諸経費、地盤調査の費用、確認申請用の図面作成費用が付帯工事に含まれます。

この付帯工事を見積もりの外に出して本体工事だけの見積もり額を見せて「安いですよ!」と言うような会社があるようです。そのような見積もりに騙されないように、付帯工事を含めた金額を確認してください。

造成工事も同様です。土地によっては解体費用、高低差処理費用、土砂処分費用がかかります。土地が決まっている人は、造成費用も含めて正確に出してもらってから金額を比較しないと相見積もりの意味がないですよ。土地が決まっていない場合は、分譲地でも良いので計算してもらってください。その際も付帯工事の金額を入れてもらうように住宅会社側に伝えてくださいね。ちなみに、付帯工事のリストもせやま基準一覧表に載せています。

⑥間取り

同じ延床面積30坪でも、価格が異なります。たとえば15坪+15坪の総2階の間取りや、凹凸がない真四角の間取りは安いです。その他、窓や収納、扉が少ない間取りも安くなる間取りです。このような間取りで見積もりをして「うちなら、30坪で1,800万円くらいで建てられます!」と言う会社があります。「間取りが変わったら金額も変わるのでは?」と聞いても「そんなに変わらないと思います」と言いつつ、最終的には高くなるケースが多いです。

相見積もりをする場合、同じ間取りで頼むようにしてください。収納や扉が一箇所増えるとそれぞれ数万円かかりますし、屋根の形状が変わると十万円単位で金額が変わります。15坪+15坪の二階建てと、20坪+10坪の二階建てだと、100万円くらい変わるかもしれません。

このように同じ延床面積でも、間取りのタイプによって価格は変わります。同じ間取りで相見積もりを取ることを忘れないでくださいね。

⑦諸費用

ローンの諸費用や不動産の仲介手数料の他、外構費用も高額になりがちです。外構費用は建物の請負契約に入らないので、予算が別になります。住宅会社は、その外構費用を安く見せて契約を取り「外構の打ち合わせは関係ありません」とやりがちです。そのため、外構の予算取りがめちゃくちゃ甘かったり、「保証料後払い方式」を使って借入金額の2%くらいかかるローンの保証料をごまかすことがあります。

それによって「総予算が希望の4,000万円以内になりました!」と言いつつ、完成したら5,000万円になっている、なんてことはよくあります。そこでリアル資金計画書を使ってください。せやま基準一覧表で仕様を揃え、リアル資金計画書で諸費用を揃えて比較すれば正しい比較ができますよ。

⑧打ち合わせ内容

契約した後に色々な仕様や色決めをしますが、それを「1日で決めてください」「2回の打ち合わせで全部決めてください!」なんて会社もあります。どのような流れで仕様や色を決めるのかを確認しておいてくださいね。

⑨担当者

営業は契約した後はほとんど出てこないので、営業だけで住宅会社を決めないようにしてください。大切なのはプランナー・設計・現場監督・職人・アフターです。契約前に、せめてプランナーと現場監督は確認し、名前まで聞くのがおすすめです。新人ではなく、エースを付けてくださいとお願いするのもおすすめです。

コーディネーターの質も聞いておいてください。資格だけが全てではないですがインテリアコーディネーターの資格を持っている人の方がレベルが高い傾向があります。また、今まで何件も携わっているベテランの方が良いので、その点も確認してください。確認しないと適当な担当を付けられることがあります。必ず見積もりを取る時にどんな担当者が付くのかを聞いてくださいね。

見積もりちょろまかしを防ぐ方法

見積もりのちょろまかしを防ぐためにはせやま基準一覧表を使ってください。
左側が「せやま性能基準」といって、窓や断熱、気密、屋根、外壁、太陽光、耐震などの基準が書いてあります。✕・△・〇・◎のグレードもあるので参考にしてください。ちょうどいい塩梅にするなら〇、余裕があるなら◎にするのもありですよ。

しかも優先度を★・★★・★★★で付けています。とにかく★★★になっている内容はクリアするようにしてください。それをクリアして自分たちがやりたいラインナップを作った上で「これで見積もりを出してください」と言ってください。

右側にはキッチン、お風呂、インテリア、便利機能などの「せやま標準仕様」を載せています。こちらも★~★★★で優先度を掲載しているので、それを参考にしながら自分たちがほしい機能をチェックしてください。その上で「これらが採用された見積もりを作ってください」と言えば、性能も仕様も整った見積もりを作ってもらえます。

一番下には付帯工事も載せているので、細かいところも住宅会社の担当者に見せて確認してください。せやま基準一覧表は無料でダウンロードできますし、せやま印工務店じゃない住宅会社に見せてもらっても大丈夫です。無料で使えるめちゃくちゃ有効なツールなので活用してください。

そして、リアル資金計画書で諸費用も出してください。家にかかる費用を全て網羅した資料です。こちらも無料でダウンロードできるので活用してくださいね。

まとめ

相見積もりで失敗しない方法

  1. 窓や断熱、気密、耐震、外壁などの性能を揃える
  2. 標準仕様を揃える
  3. 造成工事や付帯工事を揃える
  4. 間取りを揃える
  5. 諸費用を揃える(リアル資金計画書を活用する)
  6. 打ち合わせの内容や回数、担当者のレベルを見積もり前に確認する
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PROFILE

初心者がハマる相見積もりの失敗パターン9選|悪徳住宅会社のワナを防ぐ方法 | 予算オーバーを未然に防ぎたい

せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

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