2025.01.15
住宅業界には未だに信じられないような風習が残っていることをご存知でしょうか。たとえば、同じものでも契約前後で提示される金額が異なっていたり、契約後に「契約前に調べたら分かることじゃないの?」ということが追加費用として計上されることがあります。これらは事故やトラブルではなく、住宅会社が意図的にやっている場合があります。これらの風習の被害者になると後悔するので、契約前にしっかり把握してください。このような風習は契約前に対策できることがほとんどなので、施主側で対処してくださいね。
今回は以下を詳しく解説していきます。
目次
住宅会社のグロい風習9選
①値引きで契約を狙う「値引き商法」
特に大手ハウスメーカーで行われている風習です。注文住宅は形がないものなので、相見積もりができません。そのような形がないものに対して値引きを行うということは、非常に不誠実だと理解してください。
住宅会社のやり方としては、最初に高い価格を提示して施主に「良い家だ」と思わせます。その後、契約間近になって色々な競合他社が出てきた時に「あなただけに特別サービス」と言って「〇月〇日までに契約すれば安くします」と提案します。これに捕まる施主が多いので注意してください。
その時は「お得に買えて良かった」と思う人もいますが、そんなことはありません。値引きができるということは、最初に値引き分の余分な金額を上乗せして提示しているだけです。会社の中で利益率は決まっているので、それを下回ることはありません。余裕のある価格を提示して施主に良い家だと思わせ、値引きをしてちゃんとした利益率で契約をしているだけです。値引き後が通常価格ですよ。値引きをする会社は不誠実だと思ってください。値引きをしなかったらぼったくり価格で購入することになるので注意が必要です。
もちろん「その金額を出す価値がある」と考えて契約をするので「施主が納得していれば問題ない」と言う人もいますが、内情を知っている側からすると「未だに値引き商法をやってるの?」「ロクでもないから、後から何があるか分からない」「値引き交渉されなかったから高めの利益率になってラッキーって話しているかもしれない」と感じます。
②付帯工事が別見積もり
これは車で例えると「車の本体価格は入っているけれど、タイヤやサイドミラー、ワイパーやライトなどの外側に付いているものは付帯部分として本体料金とは別にしています」という話です。外側に付いている部分を見積もりから外しているので安く見えますが、車に乗る際にはタイヤやサイドミラーなどは必要なものですよね。そのため結局は支払うお金なのに「外側に付いているから」という理由で見積もりから外して、残りの本体価格を安く見せるという卑怯な手段です。
住宅会社でも「本体工事」と「付帯工事」を分けて、家の部分である本体工事と、工事で使う家の外側部分を付帯工事としています。足場を組む、水道の工事をする、土砂をならす、道路のところにゲートを作るといった工事を付帯工事にして、家を建てるために必要な工事なのに別見積もりにするところがあります。
このようにして「30坪で坪単価60万円ですので、安いですよ」「付帯工事はどこでもかかるので、うちは本体工事だけの見積もりで計算するんです」なんて言う住宅会社があるので注意してください。
住宅会社ごとに価格を比較するのなら、絶対に本体工事だけではなく付帯工事も含めて比較してください。さらに標準仕様は住宅会社ごとに異なるので【せやま基準一覧表】に基づき、どの仕様が入っているのか、できるだけ仕様を揃えて付帯工事も入っている状態で価格を比較しないと意味がありません。
③諸費用・外構工事費の見積もりが甘い
諸費用や外構工事費は別の業者が行うので、住宅会社がもらわない場合もあるお金です。そのため住宅会社が見積もりを出す必要がないというのは正しい話です。とはいえ、施主からすると「家を建てるために必要な費用」が分からないものなので、住宅会社が提示するべき見積もりです。
車を買う場合には車庫証明をとるなどの手続き費用がかかりますが、その費用も車の会社が提示してくれます。一方、住宅会社は適当に算出して安く見せようとするところが多いです。
特に外構工事費用はめちゃくちゃ安く出してきます。車2台分の土間コンクリートをやってポストやアプローチを作るのに「100万円くらいで!」という見積もりを出してきます。営業マンは、外構工事費が高額だと契約が遠のくため「外構工事なんて後から予算を追加すれば良い」と安い費用を提示してくる可能性があり、注意が必要です。
他にも、住宅ローンでは借入金額の2%くらいの保証料がかかりますが、一括型で払うのか金利上乗せで後から分割するか選べます。金利上乗せにすると4,000万円借入れする場合80万円かかりますが、これをゼロにして見積もりを出す住宅会社があります。ゼロにすると総合の資金計画が安くなりますが、分割払いにすると当然銀行側への手数料が発生するので総額としては高くなります。こういうことを施主に言わず、安く見せて契約を取るためにごまかす住宅会社がまだまだ多いです。
【リアル資金計画書】を使って、金額面をしっかり確かめてから契約してくださいね。
④仮間取りで契約しようとする
これは本当にダメです。請負契約は間取りが確定してからにしてください。営業マンからすると間取りを確定してから契約にすると、契約が遅くなり自分の数字が読めずに上司から怒られます。そのため「仮の間取りで契約しましょう」「サイズはそんなに変わらず、35坪くらいでしょ?」と言って、仮間取りで契約しようとします。
ただし、そうすると契約後にプランナーが出てきて間取りが変わり、金額が上がる恐れがあります。予算オーバーのリスクが高くなるので、絶対に請負契約までに間取りを確定させてください。
営業マンは「土地を購入するので、ローン特約があります。早く本審査を通さなければならないので、ゆっくりと間取りを決めたいですよね。請負契約は仮の間取りでやって、その後にゆっくり間取りを決めましょう!請負契約をしていれば本審査を通すことができますよ」などと言ってきますが、これに乗ってはいけません。土地を購入する場合でも、請負契約前に3~4回くらいプランの打ち合わせをすれば間取りを確定できます。
土地の有無に限らず、必ず請負契約までに間取りを確定させてください。どうしても無理な場合でも8~9割くらいはちゃんと詰め、大きく変わらない状態にしてから請負契約をしてください。
⑤契約後に土地造成費用を提示
造成費用とは、古い水道管を変えたり高低差をならしたり、解体する時にかかる費用です。こういった費用は、契約前に調べて出すのが当たり前です。しかし、こうした点を正確に出そうとすると時間がかかりますし、総予算が高くなって契約しにくくなるため、契約後に土地造成費用を出してくる会社があります。
「契約前は大雑把な現地調査しかしていないので正確な金額は契約後じゃないと出せない」なんて言いますが、あり得ません。【リアル資金計画書】の項目にもありますが、必ず契約前に「これ以上の土地造成費用はかかりませんよね?」と住宅会社に確認してください。特に土地を決める前にやらないと土地造成費用が50~100万円かかり「もっと価格交渉しておかないと予算に収まらなかった」なんて後悔することがあります。正確な金額を出さずに決めさせる住宅会社も悪いですが、しっかり確認せずに決める施主も悪いですよ。施主の自己責任で確認してくださいね。
ただし、地盤改良工事は別です。これは間取りや配置を決めて実際の地盤調査をしないと分からない部分です。地域によって異なりますが、50万円前後は予算を取っておいてください。これ以外は調べれば分かるので、絶対に調べてから契約してくださいね。
⑥契約前後でオプション費用が違う
契約前に施主が「このオプションを入れたい」と希望する場合、住宅会社は高い価格を提示すると契約を逃すリスクが高まります。そのため、契約前はギリギリの利益率で、安い価格を提示することがあります。一方、契約後は請負契約をしているので、よほどのことがなければ施主はそのまま家を建てます。そのため住宅会社は利益率を少し上乗せして、金額を高めに提示することがあります。このように契約前は利益率を低く取って、契約後のオプションで利益率を回復させる住宅会社があるので注意してください。
金額がすごく上がりそうな高額なオプションに関しては、契約前にある程度予算は決めておいてください。「どんなオプションを検討したら良いのか分からない」という人は【オプション仕様チェック表】を使ってみてください。これを見て自分たちがやりたいオプションがあれば、契約前に金額を調べてリアル資金計画表に入力し、その金額で契約してください。
細かい仕様まで決まらない場合は契約後に仕様を決めることもありますが、ある程度の予算組みをしていかないと契約後にぼったくり価格を提示される可能性があります。こういった工務店・住宅会社・ハウスメーカーはまだまだあるので注意してください。
契約してしまうと立場上は施主側が弱くなるので、契約前が勝負だと思ってください。自己責任で見極めなければならないという意識を強く持って臨んでくださいね。
⑦トラブル発生で担当が消える
営業マンは契約を取りたいので、サービストークをすることがあります。ただ、実際に工事が始まると工事の現場から「そんなの聞いていない」「情報共有されていないから無理」と言われて、施主と職人がお互いに驚くケースがあります。こうなった時に営業マンが登場すると、「言った/言わない論争」になるので登場させません。
こういったトラブルは結構多いので、議事録をとってください。録音まですると関係が悪化するので、議事録がおすすめです。一言一句記録するのではなく「打ち合わせで決まったことと話したことの要点をまとめて送ってください」と依頼してください。それでもやらない工務店もあるので、その場合は施主側がメモをとって共有してください。やらない工務店にムカつくだけでは、最後に被害を被るのは施主です。施主側が家づくりの責任者だという意識を忘れないでくださいね。
⑧現場見学が事前許可制
急に「現場に行っても良いですか?」と聞いた時に「今日はちょっと現場に行けません」「現場に行く時は一緒に行きましょう!」と言うような会社の現場は荒れています。職人の教育ができていないという傾向もあります。
契約をする前に「現場見学はできますか?」と聞いてください。それで歓迎してくれる現場は、職人の教育も良いですし現場も整理整頓されています。現場の綺麗さや丁寧さを見極める方法の一つとして、契約前に現場見学ができるかどうか聞いてみてください。
ただし、危ないので勝手に現場に入ってはいけません。入る時には、必ず誰かがいる時に許可をもらってください。施主の安全を守るためのマナー・ルールとして徹底してくださいね。
⑨工事中の記録を残さない
住宅会社側としては、完成すれば綺麗になるものの途中の工程で間違いがあった場合、記録に残すと後から文句を言われるリスクがあります。そのため、なるべく施工中の記録を残さずに施主にも提供しない会社がありますが、これは施工が雑な会社の特徴です。もちろん全ての施工の工程を共有すると、まだ途中なのに施主側が「これ間違いじゃないの!」と怒ることがあるので、全て見せることが良いわけではありません。施主側も、この点は理解した上で対応する必要があります。
ただ、施工中の写真を施主側に見せないのは不誠実で自信がないことのあらわれです。施工をきちんとしている会社は、週に1回は報告してくれます。本当に自信がある会社は毎日でも報告してくれます。アプリを使って報告したり、LINEグループで写真を共有してくれます。
先ほどの「現場見学に行けますか?」という質問と合わせて、「工事中の現場写真を送ってもらえますか?」と聞いてみてください。その時にめんどくさそうな対応をされたら、大体が雑な会社です。嬉しそうな顔をしてくれる工務店と家づくりをする方が、工事中のトラブルが少なくなりますよ。
まとめ
工務店・住宅会社の闇!今も続くヤバい風習9選
- 値引き商法
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付帯工事が別見積もり
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諸費用・外構工事費の見積もりが甘い
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仮間取りで契約しようとする
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契約後に土地造成費用を提示
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契約前後でオプションの利益率が違う
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トラブル発生で担当が消える
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現場見学が事前許可制
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工事中の記録を残さない