屋根選びの前に!新築で「雨漏りの原因」になりやすい箇所はどこ?

雨漏り対策において、「雨漏りに強い屋根材・ルーフィングを選ぶ」というのももちろん重要ですが、たとえこれらが高性能だとしても、「そもそも雨漏りがどういった箇所で、どのようにして起こるのか?」を知っておかないと対策としては不完全なままです。

そこで今回は、実際にせやまが屋根屋さんから聞いた「雨漏りの原因になりやすい箇所」について紹介していこうと思います。

原因を知って「対策」を考えよう!

実際に聞いた!屋根屋さんが教える「雨漏りの原因」は?

①:屋根の「谷」部分

屋根屋さんからの意見として一番多かったのが、「屋根の谷」部分からの雨漏りですね。

特に上画像のような「寄棟」という屋根形状にした場合にできるのがこの「谷」なんですが、このように谷ができてしまうとここに水が集まってきてしまいます。

そうするとこの谷部分に負荷がかかるのに加え、汚れがすべてここに集まってきてしまうので、結果的に物が詰まってオーバーフローして、その脇から雨漏りがするという流れが一番多いそうです。

したがって雨漏りを防ぐためにも、なるべく屋根に谷を作らないよう設計段階から気をつけておいた方が良いでしょう。

②:屋根の「面」部分

2つ目が「屋根の面」部分からの雨漏りですね。

これは瓦なのかガルバなのか、化粧スレートなのか…と屋根材にも色々種類がありますが、この屋根面から雨漏りしてくるというパターンも結構多いそうです。

この屋根面からの雨漏りについては、「屋根材の選び方を間違えている」だとか、「屋根の下に敷く防水シート(ルーフィング)選びを間違えている」「そもそもの施工が雑だった」などいろんな要因が考えられますが、これらについては別記事で詳しくお話ししていますので、そちらを参考にしてもらえればと思います。

関連記事:『新築必見!雨漏りしづらい「屋根材・ルーフィング」の種類と適切な選び方は?

関連記事:『新築の雨漏り対策!「瑕疵担保責任」と「施工上のチェックポイント」について知っておこう!

③:屋根の「棟」部分

「棟(むね)」というのは、上画像のような「屋根の頂点部分」を指します。

この棟部分からの雨漏りは、防水の処理が甘かったり、ごく稀ですが屋根下の湿気を外に出すための「棟部分の通気穴」を開け忘れるということもあるようです。

これを開け忘れてしまうと、屋根内部からうまく湿気が排出できず、屋根がどんどん腐って雨漏りにつながってしまう、というわけですね。

④:片流れ屋根の「水上(高い方)」部分

「水上部分」というのは、片流れ屋根の「高い方」ですね。(赤〇部分)

一見、「屋根の谷」部分などよりも水が溜まりづらい箇所にも見えますが、片流れの「水下(左側)」に流れ切らなかった水が軒天を伝って入り込むことで雨漏りが生じてしまう、という原理ですね。

これはしっかり施工していれば防ぐことができる部分ですが、安易に「片流れの方がスタイリッシュでいい!」「太陽光パネルがたくさん載るから!」と言って片流れを推奨する工務店とかだと、ここの防水処理が不十分で雨漏りにつながってしまうケースもあるようなので覚えておきましょう。

⑤:「ケラバ(屋根の横)」~分

「ケラバ」ってなかなか聞きなれないと思いますが、屋根の上の方が「水上」、下が「水下」、その横の部分を「ケラバ」と言います。このケラバからの雨漏りも結構多いですね。

中でも注意が必要なのが「軒ゼロ」

軒ゼロってスタイリッシュでかっこいいんですが、軒ゼロの場合、このケラバに水が入ってしまうことが結構あります。

なので雨漏りを防ぐという観点で言うと、「軒を出す」という選択肢もありですし、軒ゼロにする場合には内部の防水処理、防水施工をしっかり行うことで雨漏りを防ぐことにもつながります。

⑥:「天窓」のサッシ部分など~

天窓は「トップライト」とも言われますが、屋根にポコッと穴を開けて採光する、というための窓ですね。

どうしてもお隣さんとの距離が近くて光が取れない…という場合などに天窓で採光するというのも昔流行りましたが、「屋根」の代わりに「窓」を付けてるわけですからそりゃ雨漏りしやすくなりますよねという話です。

なのでこれは対策もクソもなくて、そもそも「天窓はつけないのが正解」と風に覚えておいてもらえたらと思います。

まとめ

雨漏りが起こりやすい箇所として抑えておきたいのは以下の6つ。

雨漏りがしやすい場所と対策は?

  • ①:屋根の「谷」部分
    ⇒水や物がたまりやすくなってしまう
    ⇒そもそも「谷をつくらない」ことが対策!
  • ②:屋根の「面」部分
    ⇒屋根材、ルーフィング選びが重要!
  • ③:屋根の「棟」部分
    ⇒防水処理が甘いor通気穴を忘れるなどが原因に
  • ④:片流れ屋根の「水上(高い方)」部分
    ⇒軒天を伝って雨が入り込む可能性あり
    ⇒しっかり防水処理できていれば防げる
  • ⑤:「ケラバ(屋根の横)」部分
    ⇒特に「軒ゼロ」は注意が必要!
  • ⑥:「天窓」のサッシ部分など
    ⇒そもそも「天窓を採用しない」が一番の対策

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合わせて読みたい記事:『営業マンより「家の性能」に100倍詳しくなる方法|せやま性能基準
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せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

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