ウレタン吹付には有毒物質が含まれていると聞いたんですが本当ですか?

ウレタンは「科学反応」によってつくられる

まず、ウレタン吹付断熱材というのは「ポリウレタン樹脂」なのですが、このポリウレタン樹脂は「イソシアネート化合物」「ポリオール化合物」の化学反応によって生成されます。(吹き付けたときに膨らむのが化学反応ですね)

一度ポリウレタン樹脂になったら分解されることはない

確かにこの「イソシアネート化合物」単体で見ると危険物ではあるのですが、通常の生活環境下で吹き付け後(化学反応した後)のポリウレタン樹脂が、「イソシアネート化合物」と「ポリオール化合物」に分解される(戻る)ことはありません。

200°C超の高温に長時間晒すなどすれば極微量のイソシアネート化合物を発生させることはできますが…

なので「イソシアネート単体で見ると有毒だが、通常の生活環境下でウレタン吹付がイソシアネートに戻ることはない」と考えてもらえればと思います。

「イソシアネート」はヨーロッパで禁止されている?

営業マンがウレタン吹付を非推奨するにあたって、「ヨーロッパで禁止されている~」などと話すケースもあるそうですが、これは、おそらくウレタン吹付断熱材の原料である「ポリメリックMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)に対する誤報」によるものだと思います。

確かに2021年1月号の「月刊化学物質管理 NewsLetter」にて、「欧州連合(EU)は、ポリメリックMDIを0.1重量%以上含んだ製品の使用を、2023年8月以降から禁止する」と報じられているのですが、これはのちに誤報と認められ、正しくは「欧州連合(EU)は、ポリメリックMDIを 0.1 重量%以上含んだ製品の使用は、2023 年 8 月以降から、“取扱者が安全な使用に関する教育を受けていない限り”禁止になる」であったと訂正されています。

めちゃくちゃかみ砕いていうと、「危険物なのでちゃんと取扱者に教育を受けさせましょうね」という当たり前のことを書いているだけです。

そして営業マンは、この「誤報部分だけ」を切り取ってウレタン吹付をやめた方がいい理由として営業トークに利用しているのではないかと推察します。

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