2025.01.15
「窓が結露は、もはや冬の風物詩」
そんな考えをもっている人も多いと思いますが、実は「窓の結露」は家の寿命を縮める危険信号。
これから家を建てる方であれば必ず対策すべき要素なので、「具体的にどういったメカニズムで結露が生じるのか?」からしっかりチェックしていきましょう。
「冬の結露」は当たり前じゃないよ!
目次
そもそもなぜ「窓の結露」を防ぐべきなのか?
窓ガラスの結露については拭けばOKですが、窓が結露しているということは、同様に「壁の中」も結露しているんです。
壁の中が結露してしまうと、拭くこともできませんし、通気性も悪いのでなかなか乾かず、木材がどんどん腐ってしまいます。そして、腐った木のにおい(腐朽菌)に集まってくるのがシロアリ。
このように窓が結露してしまうと、内部結露が木材の腐食を招き、シロアリが集まることで家の寿命が短くなってしまうわけです。
「結露」はどういう仕組みで起こる?メカニズムは?
飽和水蒸気量は、「気温」によって変動する
(出典:株式会社ヒートテック)
まず前提知識として、空気中には「水分」が含まれているわけですが、この水分量にも限界値があります。
このように空気が抱えれる水蒸気量の限界値を「飽和水蒸気量」と言うのですが、実はこの飽和水蒸気量は「暖かい空気」と「冷たい空気」で異なります。
例えば、20℃の空気であれば、1㎥(1m×1m×1m)あたり最大で「17.3g」まで水蒸気を抱えることができますが、10℃の空気になると、1㎥あたり最大「9.4g」までしか抱えれなくなります。
つまり20℃であれば、1㎥あたり17.3gまでは気体の状態ですが、17.3gを超えると液体の状態、つまり「水」に変わってしまうわけです。これが結露の際に生じる「水」の正体です。
関連記事:『『家でできるウイルス予防』~飽和水蒸気量・絶対湿度・相対湿度・露点温度~』
具体的にどういう時に結露が生じる?
(出典:株式会社ヒートテック)
例えば、室温が20℃(1㎥あたり10gの水蒸気量)の部屋に、「10℃に冷やされたグラス」を置いたとしましょう。
先のように、室温が20℃であれば、「1㎥あたり17.3g」まで水蒸気を抱えることができるわけですが、当然冷やされたグラスの周辺温度は下がっていきますよね。
この時、10℃の時の飽和水蒸気量は「1㎥あたり9.5g」なので、10℃の空気に1㎥あたり10gの水蒸気がくると、水蒸気が液体に変わります。
これが結露が生じるメカニズムです。
窓の結露防止に有効な対策方法は?
結露対策①:「窓」を冷やさないこと
窓の結露は「窓が冷えること」が原因
例えば、室温が20℃(1㎥あたり10gの水蒸気量)の時に、窓が10℃に冷やされるとどうなりますか?
先の例で挙げたメカニズム同様、窓の周辺が結露しまいますよね。
この時、結露が起きる原因は「窓が冷たくなることで、窓周辺の室温が冷えてしまうこと」、つまり窓そのものが冷えづらい環境にしてあげれば結露は起こりづらくなるわけです。
具体的にどのぐらいの温度を目指すべき?
具体的にどのぐらいの水準を目指せばいいか?ですが、目安としては「室内20℃、室外0℃の時に、窓を10℃以下にしないこと」が大切です。
窓を10℃以下にしないためにも、窓の性能、つまり「窓選び」が重要となってくるわけですが、具体的にどういった窓を選ぶべきなのか?については、以下記事で詳しく解説していますので、こちらを参考に窓選びを進めてみてください。
関連記事:『【完全攻略】新築の「窓選び」最適解は?窓の種類/性能/配置など徹底解説!』
結露対策②:部屋の「湿度」を上げすぎないこと
湿度が上がると、結露しやすくなる
先のメカニズムを見れば分かる通り、空気中に含まれる水蒸気量が多ければ多いほど、結露しやすくなってしまいます。
例えば、水蒸気量が「1㎥あたり9.6g」であれば、窓が10℃まで冷えないと結露しませんが、「1㎥あたり10.7g」まで増えると、窓が「12℃」になったたタイミングで結露してしまいます。
このように、空気中の水蒸気量が多ければ多いほど、結露しやすくなってしまうわけですが、あまり下がりすぎると、いわゆる乾燥状態になってしまいます。
具体的にどのぐらいの湿度が最適?
まず、私たちが一般的に「湿度」と言っているのは「相対湿度」。
そのため室温によって適切な湿度は変わってくるのですが、目安としては以下の通り。
室温・湿度の目安は?
- 室温:22℃の場合⇒「湿度45%」
- 室温:20℃の場合⇒「湿度50%」
- 室温:18℃の場合⇒「湿度60%」
ざっくり、「温度18~22℃、湿度45~60%」くらいを目安にしてもらえれば…と思いますが、詳細は以下記事を読んでみてください。
結露対策③:換気を適切に行うこと
換気をしないと水蒸気量が増えて結露しやすく…
窓が結露している部屋って、大抵「リビング」や「寝室」ですよね?
これは人間が水蒸気をたくさん発しているからで、しっかり換気しないと、空気中の水蒸気量はぐんぐんあがっていき、結露が起きやすい環境になってしまいます。
冬の車の中とかもそうですよね。窓を閉め切った状態で走っていると、気付いたら窓が結露してるはずです。これと同じ。
換気は「窓を開ければOK」じゃない!
換気というと、「窓を開ければOK」と考える人も多いと思いますが、それよりも大事なのが「換気システム」。
平成15年から「24時間換気システムの導入」が義務化されたのですが、この換気システムにも仕様・スペックも様々。
ものによっては全くパワーが足りず換気不十分になってしまったり、メンテナンスの手間がかかりすぎてしまう…など、換気システム選びに失敗してしまうとマイナスしかありませんから、これから家づくりをはじめる方はぜひ以下記事を読んでみてください。
関連記事:『第一種換気はマスト?換気システムの種類や選び方、メンテナンスについて徹底解説!』
まとめ
窓の結露は、「窓の冷え」、「過度な湿度」、「換気不足」、この3つが原因となります。
結露が生じてしまうと、内部結露から木材の腐食、シロアリ被害…と家の寿命を縮めることになってしまいますから、上記3つで対策していきましょう!