寒い冬の大敵!結露を防ぐ家の建て方5選!【高性能住宅でも結露する】

寒い冬の大敵!結露を防ぐ家の建て方5選!【高性能住宅でも結露する】 | エアコン計画・湿度管理を学びたい

高気密・高断熱住宅にしたり樹脂サッシを使ったら、結露なんかしない!と思いたいですよね。ただ、現実的には結露している家が多いです。これは家のつくり方を間違っている場合もありますが、建てた後で住み方を間違えているパターンが結構多いです。そこで、今回は結露しにくい家の建て方&住み方を紹介します。これを知らずに家を建てると結露する家になることもありますし、住み方を知らないと「良い家を建てたのに、やたら結露する」なんてことになりかねません。結露しないための建て方と住み方、双方を理解してくださいね。

今回は以下を詳しく解説していきます。

結露がやばい理由

結露がやばい理由

  1. 掃除が面倒
  2. カビの原因になる
  3. 木が腐り構造が弱くなる

結露すると掃除が面倒ですし、水が落ちてカビの原因にもなります。

表面の結露だけなら掃除すれば良い話ですが、窓と壁がくっついている目に見えない部分や、壁の中で結露が起きると木が腐ってシロアリが来て家の構造が弱くなり、地震が来た時に壊れやすい家になるリスクがあります。

阪神・淡路大震災では倒壊した家の大半がシロアリ被害に遭っていたというデータもある通り、どれだけ許容応力度計算をして耐震等級を取り制振装置を付けても、木材が腐っていては意味がありません。このような致命的なリスクに繋がるのが結露なので、単純に「掃除が面倒」という理由だけではなく、確実に結露を防ぐ意識を持つことが大切です。

結露はなぜ起こる?

室温が22度の場合、気体1㎥あたりの水分量の上限は19.4g/㎥です。つまり、水分が19.4g/㎥までは気体でいられますが、それ以上は零れて水分になります。一方、室温が10度の場合、9.4g/㎥の水分しか気体でいられず、それを超えると水分になります。つまり、温度によって気体の器の大きさが異なるため、水分量の上限が変わります。

仮に室温が22度で湿度が50%の場合、存在している水分量は9.7g/㎥です。そこに9.7g/㎥の水分を加えても、水分の上限量は19.4g/㎥なので結露しません。

一方、9.7g/㎥の水分を10度の器に入れると溢れます。この溢れた部分が水分、つまり結露として出てきてしまいます。

日常生活では、普段暮らしている空気が、8~10度くらいになっている冷たい窓に当たると結露するイメージです。つまり水分が冷たいところにぶつかると結露するので、とにかく冷やさないことが重要です。

結露する家の特徴2つ

①窓選びのミス

窓選びをミスると結露するリスクが高まります。一番やばいのはアルミサッシ。ガラスの外に付いている枠がアルミだとめちゃくちゃ結露するので、絶対にやめてください。

おすすめなのは樹脂サッシ。外も中も樹脂だと熱が伝わりにくいです。フライパンの握るところが樹脂か木になっているように、断熱性能が高いものにしてください。外の気温が低くても家の中まで冷えないような樹脂サッシを使ってくださいね。

質問①:アルミ樹脂複合サッシはどう?

外がアルミで中が樹脂のアルミ樹脂複合サッシは、アルミサッシよりは良いですが、樹脂サッシほどおすすめできません。環境によっては結露しないこともありますが、結露のリスクは樹脂サッシよりも高いのでBE ENOUGHとしては推奨していません。

ただ、アルミ樹脂複合サッシの方がデザイン的に枠が薄いものや、背が高い窓を作れます。デザイン優先の場合、こちらを選ぶこともあります。ただ、樹脂サッシでもH2,200mmまではありますし、FIX窓なら枠が薄い窓もあるので、そこは結露対策をして家の寿命を延ばすことを優先するのがおすすめです。

質問②:樹脂サッシは劣化するのでは?

樹脂サッシの劣化はそれほど気にしなくて良いです。もちろん樹脂なので、外から物が当たった場合、アルミよりも割れやすいことは事実です。ただ、そのような状況は台風の時くらいです。台風のような状況だと、サッシだけではなくガラスなども割れる可能性が高いです。窓が割れた場合は交換になるので、サッシの強度はあまり関係ありません。

また、樹脂サッシの中でも一番傷むのは鍵などの金具です。樹脂よりも金属の方が先に傷みます。

さらに、メーカーは樹脂サッシの劣化実験を行っており、30年以上耐えられるという結果も出ています。そのため「樹脂サッシは劣化するので良くない」というのは、アルミ樹脂複合サッシのメーカーが作った売り文句だと考えられます。

樹脂サッシといっても洗濯バサミやペットボトルのようなポリエチレンテレフタレートとは違い、塩ビといって水道管などに使われるめちゃくちゃ硬い素材が使われています。さらにアクリル積層といって紫外線への対策も施されているため、耐久性・耐候性に優れています。デザイン性以外で樹脂サッシが負けている部分はありませんよ。

②玄関ドア選びのミス

玄関ドアでD4やK4クラスは絶対に選んではいけません。これらは「温暖地向け」と書いてありますが、アルミサッシを付けているようなものなのでおすすめできません。めちゃくちゃ結露してカビが生える原因になるので、絶対にダメです。

玄関ドアはD2、K2クラスから選んでください。寒冷地仕様と書いてありますが、これでも性能が不足しているくらいです。ただD2、K2クラスは量産されていてコスパが良いのでおすすめです。

質問③:玄関を明るくするために、窓付きの玄関ドアはどう?

これは小さめのガラスならOKです。ただ大きいガラスになるとD2、K2クラスであっても窓に使われているLow-E ペアガラスより断熱性能が劣ることが多いです。そのため、ガラスを付ける場合でも小さい面積のものを選んでください。それであれば、全然気にせずに選んで良いですよ。

質問④:さらにハイグレードのドアはどうですか?

断熱性能的には良いですが、コストが高すぎるのでちょうどいい塩梅ではないです。またハイグレードなドアはめちゃくちゃ重いので、負圧問題もあります。

高気密住宅の場合、レンジフードから空気を外に出すと家の中の気圧が下がって外から玄関ドアが押し付けられ、中から開けようと思ってもなかなか開かないという現象が起きます。超高断熱玄関ドアだと尚更重くなり、子どもだと開けられなくなる場合があります。このような事情もあるので、そこまでハイスペックな玄関ドアにする必要はありませんよ。

結露する住まい方の特徴3つ

①室内の湿度が高すぎる

湿度は大切です。湿度が7g/㎥を下回るとインフルエンザが広まりやすいですし、喉が痛くなって免疫機能も落ちてしまいます。ただ、湿度が高すぎてもダメです。XやInstagramでは「絶対湿度(1㎥の空気に対する水分量:g/㎥)を12~13g/㎥にしている」という投稿を見かけますが、結露するリスクが高いです。

たとえば絶対湿度12g/㎥にしていると、14度くらいで結露が始まります。窓の表面温度は14度くらいになるので、絶対湿度12g/㎥まで加湿しすぎると結露します。

結露しないためには窓を冷やさないことの他に、空気中の湿度を上げすぎないという対策が必要です。湿度をコントロールして、絶対湿度を9~10g/㎥にしておいてください。7~8g/㎥だと喉が痛くなるので注意してください。

質問⑤:室温20度、湿度50%のように管理するのはダメ?

「湿度50%」のように、相対湿度でコントロールするのはダメです。たとえば、室温が22度で相対湿度50%の場合、絶対湿度は9.7g/㎥です。室温20度の場合も絶対湿度8.7g/㎥なので問題ありません。ただ、室温18度で相対湿度が50%だと、絶対湿度は7.7g/㎥で乾燥しています。室温が16度になると、6.8g/㎥になるのでカサカサします。

このように、室温によって相対湿度50%が正解なのか不正解なのかは変わってくるので、相対湿度での管理はダメです。温度によって変わらない絶対湿度で管理してください。

これを測るために絶対湿度計があるので、「みはりん坊」や「Switch Bot」を導入して絶対湿度で湿度コントロールをしてください。

②部屋が寒すぎる

玄関のドアが結露するパターンは、これが多いです。窓は外気温だけではなく室温の影響も受けます。部屋の中の気温が低ければ玄関ドアや窓も冷えやすくなります。そこに絶対湿度が9~10g/㎥くらいの空気が当たると結露してしまいます。

基本的に、部屋の温度が20度を下回らないようにしてください。できれば21~22度を維持するのがおすすめです。家全体が20度を下回らないように空調の管理をすることが大切です。

そのためには、エアコンは間欠運転ではなく連続運転にするのがおすすめ。「電気代がもったいない」「使っていない部屋を温めるなんてもったいない」という人がいます。確かに間欠運転にするよりも数千円くらい月々の電気代が上がるかもしれませんが、家中の温度差がなくなることでヒートショックや結露を防ぐことができます。また、1回家が冷えると壁や屋根などの駆体が冷えてなかなか温まらなくなります。こうなると、エアコンで室温を温めても熱が奪われてしまいます。駆体も暖かい状態を維持する必要があるので、基本的にエアコンは連続運転にしてください。

せやま基準をクリアしている家であれば1階のエアコンを連続運転にしておくだけで2階も暖かくなりますよ。

③カーテンの断熱性能が高すぎる

外からの熱を防ぐために断熱性能の高いハニカムシェードを使うと、外からの熱を防ぐと同時に部屋の中の暖かい空気もシャットアウトされて届かなくなります。そうなると窓は外気温の影響を受けて表面がキンキンに冷えて、結露の原因になります。

「部屋が暖かいのに窓だけ結露する」という場合には、カーテンやシェードが原因の可能性が高いです。その場合はちょっとでも良いので開けておいて、部屋の中の暖かい空気が窓際に行くように調整してください。そうすれば窓の結露が格段に減りますよ。

まとめ

高性能住宅を建てても結露する理由

  • 家の建て方
    ①窓選びのミス
    ②玄関ドア選びのミス
  • 家の住み方
    ①室内の湿度が高すぎる
    ②部屋が寒すぎる
    ③カーテンの断熱性能が高すぎる
せやまが

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PROFILE

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せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

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