家を建てるなら「いつ」?最もお得なタイミング・頭金について解説

家の購入を決断するには、「数字上の納得」と「気持ちの踏ん切り」が必要ですが、今回は「数字上の納得」をするためのヒントを紹介していきます。

賃貸のままか、家を購入するか?を悩んでる方は必見です!

家を購入する前に確認すべき「2つの前提条件」

まずは持ち家の購入を決める前に「2つの前提条件」について、夫婦の意見が一致しているかを確認しましょう。一致していなければ、夫婦の話し合いからやり直しです。

夫婦の意見は一致してる?

  • 転居の可能性はないか?
    持ち家の最大のデメリットは、「住む場所の固定化」。なので、夫婦ともに、「ずっと今の場所で暮らし続けるつもりか?」という点をすり合わせましょう。今や、日本全国、世界中を移住するライフスタイルは、決して珍しいことではありません。
  • 賃貸で妥協できないか?
    持ち家を持つと、35年ローンが固定化されます。賃貸なら、生活レベルに合わせて家賃も下げられるため、可変性が高いです。「それでも、本当に持ち家を購入したいか?」と、まずは夫婦の意見を一致させましょう。

持ち家と賃貸の経済面・住環境の違いについては、以下記事で解説していますので、今一度じっくり考えたいという方は参考にしてみてください。

関連記事:『「賃貸VS持ち家」タイプ別に徹底比較!あなたはどのタイプ?|経済性と住環境の違い

【結論】最もお得なタイミングは「今」!

家の購入を考えるにあたって、「今の場所で住み続け、いつかは持ち家を購入する」と夫婦で意見が一致したなら結論は簡単、「今すぐ購入」がベストです。

では「なぜ今なのか?」、その理由について以下で解説していきます。

家を買うなら「今すぐ購入!」がベストな理由

理由はシンプルで、その方が得するから」です。

よく「家を建てるなら、頭金を貯めてから~」と言う方がいますが、お金の面から言うとかなり損です。1年で100万円くらい損します。先延ばしにすることで、損失はどんどん大きくなっていくんです。なので頭金など貯めずに、今すぐ買う方が、圧倒的に得。

繰り返しますが、この話は「今の場所で住み続け、いつか持ち家を持つと100%決めている夫婦」に限った話です。

そもそもここに迷いがある場合は、夫婦でもっと話し合いを深めるところから始めてくださいね。

例)「3年間頭金を貯めるAさん」と「すぐ買うBさん」で比較

では金銭的にどのぐらいの差が生じるのか?、例として「3年間で頭金300万円を貯めてから家を買うAさん」と、「すぐ買うBさん」を比較してみます。

条件は以下の通り。

総予算 3,800万円
金利 0.625%/年
ローン期間 35年
現在の家賃 10万円/月
年間貯蓄額 100万円

Aさんの場合:3年間で頭金300万円を貯めてから家を買う

3年間、家賃を月10万円払いながら、年間100万円貯めます。3年後で貯めた300万円を家づくりの頭金に充てるので、3年後にスタートするローン額は 3,500万円。

つまり3年後のローン残債は、「3,500万円」となります。

Bさんの場合:すぐ買う

3,800万円のローンを組み、毎月10万円のローン返済をしながら、年間100万円貯め、3年後に貯めた300万円を繰上返済したとします。

すると3年後のローン残債3,506万円から、300万円の繰上返済を引いて、3年後のローン残債は「3,206万円」となります。

計算するまでもないですが、明らかにさっさと家を買った「Bさん」の方がざっと300万円近くもお得になります。まさに、タイムイズマネー。ここからもわかる通り、家を建てるなら1カ月くらいでさくっと勉強して、さっさと建てましょう。

「家を買うタイミング」に関するよくある質問

Q.オリンピックが終われば、土地価格が下がると聞いたのですが?

この質問は、意外と多く受けます。冗談ではなく、真面目に聞いてこられる方が多いので回答しておきます。

答えは、「それが分かれば、みんな大金持ち」です。相場など、誰にも分かりません。

先ほど計算した通り、家の購入を3年先延ばしにしただけで、その時点で300万円損するわけです。となれば、3年後に土地価格が現在より300万円相場が下がっていて、ようやくトントンです。ただこれはかなり非効率というか、負け戦ではあると思います。

Q.持ち家は子供が小学校に上がってから…

少し厳しい言い方ですが、これはほぼ「先送りの言い訳」です。先送りは、「今引っ越すと、保育所に入れなくなって困る!」などの明確な理由がある場合以外はやめたほうがいいです。

金銭的な損得は前に述べた通りですが、「子どもと過ごせる時間は有限」ということも先送りをおすすめしない理由の一つです。

「子どもと楽しく暮らせる家を建てたい!」というのが、家を建てる理由である方も多いのではないでしょうか?仮に、子どもが小学生になってから家を建て、大学で家を出たら、子どもと家で暮らせるのは「わずか12年間」。もし高校で家を出たら「わずか9年」です。あまりに短くないですか?

そのため特段、先延ばしにする理由がないのであれば、なるべく早く決断することをおすすめします。

<多くの子どもは、20歳までに家を出ていく>

(出典:引越侍)

Q.頭金はどのぐらいが適正ですか?

頭金に適正な数字というものはありませんが、平均は数百万円程度でしょうか。諸費用分(数百万円)は現金で、土地建物分はフルローンで、という感じ。

ただ個人的意見としては、「頭金はなるべく少なくする方が合理的」と考えています。

頭金を少なくすべき理由はいくつかありますが、例えばローン控除。

金利が0.5%の場合、ローン控除を使えば、残債×0.5%の金利を払って、残債×1%がローン控除で還付されるので、ローン手数料等を踏まえても、「借りれば借りるほど得」ということになります。そのため頭金を増やして、わざわざ借入額を減らす必要はありません

<住宅ローン減税の控除額のイメージ>

ローン控除の仕組み。借入額が減ると、戻ってくるお金も減る。

(出典:すまい給付金事務局

Q.とは言っても頭金を入れないと不安です

お気持ちは分かりますが、無理して頭金を入れて家を建て、「新生活はすってんてん状態でスタート!」の方がよほど不安です。

親の病気、子供の教育資金、冠婚葬祭、自身の病気による収入減など、予期せぬ出費は突然訪れます。どうしても余れば、その時に繰り上げ返済すればいいだけの話。300万円を繰り上げ返済するのは一瞬ですが、300万円を貯めるのは大変です。

また300万円手元に残す(300万円多く借りる)ための経費は、金利0.5%なら年間1.5万円(月1,300円程度)。300万円あれば、たいがいの場合、医療保険はなくても大丈夫ですから、月1万円の医療保険を払うくらいなら、月1,300円で現金を残して、医療保険を節約することもできます。

余談ですが、予期せぬ医療費は、日本の素晴らしい「高額療養費費制度」で賄える部分が多いため、そこそこの現金を持っている人であれば、医療保険は削減対象として検討できます。

関連記事:『家を建てる前にやっておきたい「家計改善」の3STEP|誰でもできる具体的な方法を紹介

<高額療養費制度の活用例>

高額療養費の一例。手元に現金があれば医療保険を削減できるので、無理に頭金をつぎ込む必要はない。

(出典:ソニー損保

まとめ

家の購入においては、何より夫婦の意見を一致させることが何より大切です。その際確認しておくべきことは以下2つ。

家を建てる前に夫婦の意見を確認!

  1. 転居の可能性はないか?
  2. 賃貸で妥協できないか?

この2つが一致して、「今の場所で住み続け、いつか持ち家を持つ!」となった場合は、金銭的な損得でいうと家を建てるタイミングは「今すぐ」が一番お得です。

PROFILE

家を建てるなら「いつ」?最もお得なタイミング・頭金について解説 | 家づくりの前に

せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

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