2024.11.14
エアコンの設置工事は軽視されがちですが、「建てた家」に対して穴をあけるわけですから、ここに失敗するとこれまでこだわってきた”家の性能”がパーになってしまいます。
快適な家にするためのエアコンが、かえって家の性能を落としてしまう…なんてことを避けるためにも、しっかり要点を抑えておきましょう!
要点を抑えて、施主自身がチェックできるようにしよう!
新築住宅でエアコンを考える際に抑えておくべき点については、以下記事で網羅していますので、まだの方はこちらから読んでみてください。
関連記事:『【完全攻略】新築で抑えておくべき「エアコン計画」のイロハを徹底解説!』
目次
エアコンの設置工事は、「家の性能」にも直結する!
設置工事で「気密性能」「耐震性能」が下がってしまうことも…
エアコンは「室内機(エアコン本体)」と「室外機」で1セットですが、設置工事の際にはこれらを配管でつなぐためにも、壁に「穴」をあける必要があります。
この穴は大体握りこぶしぐらいのサイズなのですが、ちゃんと気密測定をして、気密性能にこだわっていたとしても、このエアコン設置工事がずさんだと家の性能はガタ落ちですし、穴をあける際に「構造体(耐震性能を維持するために必要な筋交い・柱)」を傷つけてしまうと、当初想定された耐震性能通りにならない場合もあります。
このようにエアコンの設置工事というのは、「家の性能」にも直結しうるめちゃくちゃ重要な要素なんです。
エアコンの「穴」は事前に開けておくべき?
「穴をあける」のが耐震性能にも影響するという話を踏まえると、事前に住宅会社に穴をあけておいてもらうのが正解なように見えますが、これはRC・鉄骨住宅か?木造住宅か?によって異なります。
RC・鉄骨住宅の場合
RC(鉄筋コンクリート造)・鉄骨住宅の場合は、事前に穴を開けておきましょう。
木造住宅の場合
木造住宅の場合、後からでも穴を開けられるので、事前に穴を開けなくてもOKです。
むしろ事前に穴をあけてしまうと、その箇所への設置がマストになってしまいますし、穴の位置によっては設置サイズも限定されてしまいますので、「木造住宅の場合は設置時に穴をあける」がベストですね。
穴をあける際は「筋交い」「柱」を傷つけないよう!
後でエアコンの穴を開ける場合には、「筋交い」や「柱」を傷つけてしまわないよう、設置業者に図面を見せて「穴をあける位置」を見てもらってください。
ネットで調べてみると、「筋交い・柱を傷つけないよう…と伝えたのに、傷が入ってしまった」というケースも見かけますが、心配であれば工事立ち合いのもと「柱の位置をチェックする機械(下地探知器)でチェックしてくれているか?」を確認してもらうといいと思います。
エアコン設置工事はどういう業者にお願いするべき?
結論、ちゃんと施工してもらえるのであれば、どの業者でも構いません。
ただ家電量販店から派遣された電気屋さんやネット通販で買ったときについてくる無料設置サービスの場合、工事が雑なケースがあるので要注意。
どの業者であっても、後述するチェック項目を抑えてもらえれば性能低下は防げますが、一番確実なのは工務店が提携している+家の電気工事を担当してくれた電気屋さんですね。高気密住宅ということも分かった上で施工してくれるでしょうし、実際に電気工事を行っているので、柱や筋交いの位置も把握できているためミスもないと思います。
エアコンの設置工事前に抑えておくべき事
①貫通部には「気密施工」がマスト!
<実際のエアコン貫通部に対する気密施工>
エアコン設置の際には、壁に「握りこぶし」ほどの穴をあけるわけですから、設置工事の際にはこの「穴」に対してしっかり気密施工がされているか?がめちゃくちゃ重要です。これが適当だと、せっかくの高気密住宅が台無しですからね。
大抵は工事業者さんに「ちゃんと気密施工してください」と伝えておけば問題ないと思いますが、心配であれば量販店やネット通販経由ではなく、工務店経由で購入して提携の電気屋さんに施工してもらうのがいいでしょう。(BE ENOUGHとしては、工務店経由での購入を推奨しています)
②「化粧カバー」と「壁」の色を合わせる
化粧カバーというのは、外壁側に出てくる冷媒配管やドレン配管などを保護するために取り付ける樹脂製のカバーのことです。
この化粧カバーにも複数色の展開がありますので、設置時には「壁の色にあっているか?」を踏まえて選んでおきましょう。もちろん、部分的に外壁の色が変わっている箇所があれば、そこだけ化粧カバーの色を変えるなどしないと不細工になってしまいますから、事前に室外機が設置される箇所と、その箇所の外壁の色を踏まえて検討しておくとよいです。
目立たない箇所でも「化粧カバー」はマスト?
見えない場所であれば、「カバーがないとダメ」ってわけでもないですが、新築の注文住宅で化粧カバーついていない家はほぼないと思います。
ただ量販店経由で購入した場合、設置工事費に化粧カバーの費用が含まれていないことが多いので、追加費用になってしまうと思いますが、迷うぐらいであればつけておくのがよいでしょう。
③「ドレン管」経由での虫の侵入対策
ドレン管というのは、上記画像のように外壁側に出てくる「排水用の管」のことですね。
このドレン管は、エアコン内部とつながっているため、虫の侵入経路になってしまいます。そのため虫対策を考えるのであれば、上画像のような「網目状のカバー(虫ネット)」を付けておくとよいでしょう。
ドレン管を「地面から離す」のも有効!
ドレン管用の虫ネットを付けると、虫の侵入を防げる反面、排出される水の水垢でドレン管が詰まってしまう可能性もあります。
そのため虫ネットを使用する場合には定期的なメンテナンスが必要になるのですが、メンテナンスが面倒な場合は、ドレン管が地面につかないよう少し浮かせておく、ドレン管の真下をコンクリートで打設or砂利を敷くなどして草が生えない状態にするという対策も有効です。
まとめ
エアコンの設置工事を依頼する際に抑えておくべきは以下の4点。
エアコンの設置工事で抑えておくべき事
- エアコンの設置工事は「家の性能」にも直結!
⇒「穴」をあけるため「気密」「耐震」に影響する可能性が… - エアコンの穴は、RC・鉄骨なら「事前」に、木造住宅なら「後で」が確実!
- 工事業者はどこでもOKだが、「電気工事を担当してくれた電気屋さん」が確実
- 設置工事の際にチェックしておくべき事
- ①貫通部に隙間がないか?
- ②ドレン管が地面から離れているか?
- ③室外機の設置位置が適切か?
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