2024.11.14
快適な住環境のためには、断熱性能や気密性能など「家の性能」も重要ですが、同時にそれを効率よく機能させるための「エアコン計画」も重要です。
家電の中でも10~15年と比較的長く使うものですし、”快適さ”にも大きく影響しますから、購入前にしっかり押さえるべき点をチェックしておきましょう!
どこで、どういうモデルを買えばいいのか紹介するよ!
新築戸建におけるエアコン計画については、以下の記事で網羅的に解説していますので、こちらも併せて参考にしてみてください。
関連記事:『【完全攻略】新築で抑えておくべき「エアコン計画」のイロハを徹底解説!』
目次
量販店orネット?エアコンはどこで買えばいい?
原則、エアコンの購入については工務店に依頼すると良いでしょう。
エアコンを購入する際、併せて設置工事も依頼すると思うのですが、壁に穴をあけるわけですから、雑に設置されてしまうとせっかくの気密性が台無しになってしまう可能性があります。
そのためエアコンの購入・設置工事については、原則工務店に依頼するのが推奨です。(ネット通販は設置工事が雑なケースが多いため非推奨)
またもし量販店で購入する場合には、気密性能を担保するための「気密施工」が断られてしまうケースもあるようなので、必ず購入前に「気密施工に対応してもらえるか?」を確認しておくといいですね。
関連記事:『”穴開け”が肝!新築のエアコン設置工事で抑えておくべき「注意点」とは?』
エアコン購入前に抑えておくべき基礎知識
エアコンの基本仕様について
「100V」or「200V」の違いは?
エアコンには、「100Vの製品」と「200Vの製品」が存在しますが、「V(ボルト)=電気を流す勢い(電圧)」ですから、ざっくり「200Vの方がパワーが強い」と覚えてもらえればOKです。
当然パワーが強ければ、広い空間であっても100Vよりも短時間で温度調整が可能です。そのため「LDKなどの大空間は200V、その他居室は100V」と覚えておきましょう。
200Vコンセントにするのを忘れずに!
200Vのエアコンを使用する場合、当然その給電を行うコンセント側も「200V」に対応している必要があります。
コンセント側が100Vまでしか対応していない場合には、電圧の切り替え工事が必要になりますので、LDKのエアコン設置箇所については事前に「200V」と指定しておくとよいでしょう。
APF(通年エネルギー効率)とは?
APFとは、「エアコンにおける運転効率(ざっくりいうと省エネ性能)」を示す値です。
このAPFの数値が高いエアコンを買えば当然電気代を下げることにもつながるわけですが、APFが高いエアコンはその分本体の値段も高くなりがち。
本体代が高くなりすぎると、いくら電気代が安くなってもトータルコストで差が出しずらくなってしまうため、APFだけで購入機種を決めるのはお勧めできませんが、「『エアコンの本体価格』と『APF』を見ながら購入機種を選ぶ」というのはアリだと思います。
エアコン選びで見るべき「おすすめ機能」は?
いざ購入する畳数を決めても、エアコンにもグレードがさまざまなので、「どの機能が入ってるエアコンを選べば良いの?」と迷ってしまいますよね。
そこでメンテナンス性能や実用性などを踏まえた「おすすめの機能」をご紹介しますので、エアコン選びの際の参考にしてみてください。(実際の機能名は、メーカーごとに異なります)
エアコンの”おすすめできる機能”は?
ロング気流機能
(出典:Panasonic)
ロング気流機能というのは、遠くまで風を送れる機能のことです。
LDKにつけるエアコンの場合、このロング気流機能は非常におすすめです。遠くまで風を送れるわけですから、単純に部屋が暖まりやすく、冷やしやすくなります。目安としては「10m以上の送風能力」が理想ですね。
LDK用エアコンなら「14畳用(200V)」が無難!
時々、先にご紹介した畳数早見表を使ったところ、「うちの断熱・気密性能なら、LDKでも6畳用で十分!」と購入を検討される方がいますが、確かに容量上は6畳用でもいけます。
ただ6畳用のエアコンは、広い部屋での設置を想定されていないため、ロング気流機能も搭載されておらず、送風能力が低いんです。
なのでLDK用であれば、「ロング気流機能付きの14畳用(200V)」のエアコンがおすすめです。
フィルター自動お掃除機能
(出典:日立)
これは、LDKのエアコンのみ搭載されたものを購入するのが良いと思います。
リビングは人が動くので、すごくホコリがたちやすい空間です。だからこそ最低でも週に1回程度のこまめなフィルター掃除が必要なんですが、自動掃除機能が搭載されたモデルであれば「2週間に1回程度」の掃除でOK。つまり、自動掃除機能がついていればフィルター掃除の手間を半分に減らせるんです。
ただし自動掃除機能つきエアコンにすると、その分価格が上がってしまいますし、業者クリーニングの費用も上がってしまいますから、こまめにフィルター掃除ができるという方は、無理に自動掃除機能つきのモデルを買わなくてもOKです。
ちなみに居室の場合、LDKと比べてホコリが立ちづらい+エアコンの運転時間も短いため自動掃除機能は不要です。
逆に”おすすめできない機能”は?
加湿機能(無給水加湿機能)
冬の乾燥のことも考えて、加湿機能も備えたエアコンを検討される方もいると思いますが、個人的にはあまりお勧めしません。
というのも、エアコンの加湿機能だけだと十分に加湿できないからです。
この無給水加湿機能というのは、外気の空気中に含まれた水分を使って加湿する仕組みなんですが、冬だとそもそも外気が乾燥していますよね。そのため加湿が一番欲しい冬になると、外気から十分な水分量を取り込めず、加湿が不十分になってしまうんです。そのため加湿をしたいなら、別で「加湿機」を購入するのが一番ですね。
室内換気機能
また加湿機能付きのエアコンの場合、「換気機能もついてるのでおすすめです!」とPRされることもありますが、エアコンでできる換気量は知れていますし、そもそも換気システムを適切に取り付けていれば、エアコン側でやらずともそちらだけで十分賄えます。
そのため換気機能についても、あえてお金を払ってまでつける機能ではないと思います。
再熱除湿機能
(出典:日立)
一般的な「除湿(ドライ)」機能だと、エアコン内部をキンキンに冷やすことで空気中の水分を結露させ、その水分を外に捨てることで除湿する、という仕組みのため、結露させる都合上空気が冷えすぎてしまいます。
再熱除湿機能では、この「除湿した後に冷えすぎた空気を再度暖めてから送風する」という機能です。
この機能自体はかなりいいものではあるんですが、再熱除湿機能を搭載しているモデルは高いんです。加えて電気代も高くなってしまうというデメリットもありますので、「お金に余裕があって、除湿にこだわりたい」という人以外は、特に重視すべき機能ではないでしょう。
”エアコン購入時”のよくあるQ&A
まとめ
エアコンの購入を考える際、抑えておくべきは以下の5点。
エアコン購入の際に抑えておくべき5点
- エアコンは工務店経由での購入を推奨!
⇒事前に「適切な畳数」を把握しておこう! - LDKは「200V」、その他居室は「100V」がおすすめ
- APFはあくまで参考程度に
⇒「APF」と「値段」のバランスを見て判断! - エアコン選びの際に抑えておくべきおすすめ機能
- ロング気流機能(LDKならマスト)
- フィルター自動お掃除機能
- あまりおすすめできない機能
- 加湿機能
- 室内換気機能
- 再熱除湿機能
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