2025.03.12
InstagramなどのSNSで紹介されている「おしゃれ間取り」や「流行り間取り」は結構デメリットがあります。変わった間取りや今までなかった間取りというのは、住宅会社やインフルエンサーにとっては差別化できるポイントです。ただし、施主にとっては変わった間取りではなく住んだ後に快適な間取りであることの方が大切なので、普通の動線で良いんです。こういった売る側と住む側に乖離があることを理解するためにも「実は使いづらい」キッチンの間取りと、機能性・デザイン性・省スペース性のバランスが良い、ちょうどいい塩梅のキッチン間取りを紹介します。これから間取りを作る人は参考にしてくださいね。
憧れるけど後悔する間取りに関して、詳しくはこちらの記事もご確認ください。
関連記事:みんな憧れるけど後悔する間取り11選!デメリットを知って失敗を回避
今回は以下を詳しく解説していきます。
目次
「実は使いづらい」キッチン間取り11選
①玄関→パントリー→キッチン
玄関からパントリーを通ってキッチンに行く動線は、Instagramなどでよく紹介されています。確かに買い物した後でパントリーを通れるのは便利ですし、リビングやダイニングから見えない場所に収納スペースを確保できるメリットはあります。
ただし、動線が長くなります。しかもこのような動線にすると間取りがほぼ固定になるので、他の間取りの制限がかなりきつくなります。「どうしてもやりたい」という場合は良いですが、「やってみたいかも」くらいなら優先度を下げる方が、全体の間取りのバランスは良くなりますよ。
パントリーやセカンド冷凍庫置き場はLDKを通り、なるべく奥まった場所に作るのがおすすめ。
キッチンの奥を少し伸ばしてスペースを作ると効率の良い配置ができるので、ぜひ選択肢に入れてください。
②玄関からすぐキッチン
「玄関とキッチンの場所を近くにして荷物の搬入を楽にしよう」という間取りがありますが、玄関から入った時にキッチンのゴミ箱部分が丸見えになるデメリットがあります。
しかもキッチンは収納を多く作りたい場所なので、できるだけ突き当たりの壁が多い場所に作る方が収納スペースをたくさん取れます。玄関からすぐの動線にすると収納量を確保しにくくなるので注意してください。
このように玄関から入ってキッチンが見える配置でも、ゴミ箱スペースは見えないように配慮してください。今回、ゴミ箱スペースはカップボードの端にあるので、玄関から見えません。
住み始めたら細かいことは気にしないかもしれませんが、どちらでも良いのであれば、できるだけ玄関から足元のごちゃついた部分は見えないように配慮してくださいね。
もちろん、キッチンの足元自体が見えない場所から入るのが理想です。ただ、玄関から水回りへの動線を近くしようと思うと、玄関とキッチンも近くなってしまうことがあります。その場合は、足元は妥協してゴミ箱スペースの配置だけは注意してくださいね。
③冷蔵庫を隠す
冷蔵庫を隠すのは本当にやめた方が良いですよ。冷蔵庫は料理をする人だけではなくダイニングに座っている人も取りに行きます。奥に隠すとダイニングから遠くなりますし、取りに行く時にキッチンに立っている人とぶつかる恐れがあります。
「パントリーの中に冷蔵庫を隠したい」なんて人もいますが、これもやめた方が良いです。最近はかっこ良い冷蔵庫も多いので、出しておいてください。
ただ、キッチンの周りが回遊動線になっている場合はキッチンの奥に冷蔵庫を配置し、回遊動線側から取りに行けるようにするのはアリです。それ以外で冷蔵庫を隠すには非常に不便ですし間取りの制限もできるので、あまりおすすめしません。
このように冷蔵庫をキッチンの端に置くのがおすすめです。もしシンクの真後ろに冷蔵庫を配置する場合は、オフセットを設けてカップボードから冷蔵庫が出ないようにしてくださいね。
冷蔵庫スペースがキッチンのラインよりも外に出ている場合は、少し出っ張っていてもそれほど問題にはなりません。
キッチンの奥のパントリースペースに冷蔵庫を配置したい場合は、回遊動線にしてくださいね。
④キッチン収納に目隠し扉
「カップボードを見せたくない」と思って全面に目隠し扉を付けると、スッキリして来客時にはいいのですが、普段の生活ではその扉を開けっ放しにすることがほとんどです。特に扉の中に炊飯器などの調理家電を置くと、蒸気や熱がこもるので閉めたままでは使えません。
そうなると、せっかくの扉もあまり意味がなく、結局オープン状態で使うことになりがちです。でもオープンだと、どうしても食器の置いてある部分に埃が溜まりやすいというデメリットもあります。
もし扉を付けるなら、「調理家電ゾーン」と「食器ゾーン」を分けて、埃が気になる食器の方だけに扉を付けるのがオススメです。
一番のおすすめは、引き出しや扉の付いたカップボード。埃が入りにくく、調理家電もスッキリ並べてインテリアとして楽しむこともできます。
⑤キッチンとカップボードの間が狭い・広い
キッチンとカップボードの間は、W800~1,100mmがおすすめです。狭すぎるとすれ違えませんし、広いとキッチンで作業中に調理家電が取りにくくなります。
ここの幅が1mぐらいになるように意識してくださいね。これくらいなら、すれ違えますよ。
⑥キッチンが孤立
キッチンだけ孤立している間取りを希望する人は良いですが、「結果的にこもってしまった」という間取りはやめた方が良いです。キッチンに立つ時間は結構長いですし、キッチンに立ちながら会話をするのが生活の一部です。
キッチンから全体を見渡せて家族とのコミュニケーションが取れる位置にキッチンを持ってくるよう、意識してください。
⑦キッチンとリビングが隣接
リビングとキッチンが隣接している間取りはやめた方が良いです。キッチンは結構音が出るので、リビングとキッチンが近い場所にあるとキッチンからの音が気になります。キッチンから見ると、自分が作業中のすぐ横でソファに座られると、落ち着かない気持ちになります。
このように、リビングとキッチンは斜向かいに配置してください。もしくは、ダイニングの向こうにソファを置くのがおすすめです。キッチンとリビングを隣接させないように意識してください。
⑧フルオープンキッチン
フルオープンキッチンはかっこ良いので管理できる人には良いですが、私のようにズボラな人にはおすすめしません。スペースがあると色々なものを置いてしまい、散らかります。
ズボラな人は、このように手元を隠せるキッチンの方がおすすめです。水が飛び散るのも防げますよ。
⑨キッチンから洗面が遠い
家事の一番の無駄は「移動」です。もちろん、料理と洗濯とお風呂の時間が綺麗に分かれている人は良いですが、同時並行する場合はキッチンと洗面を近くに配置する方が便利です。小さい子どもがいると子どもが走ってきたり、お風呂に入るのにも目を配る必要があります。
そのため、キッチンと洗面はなるべく近くに配置してください。さらにLDKから直接洗面に行けるのがおすすめです。
高気密高断熱住宅にすると家は暖かくなりますが、LDKから玄関ホールを通って洗面脱衣という動線にすると暖気が行き届きにくくなり、玄関の方が冷えて洗面脱衣が寒くなります。これは身体にも良くないので、洗面脱衣はLDKから直接行けるようにしてください。さらにキッチンからの動線が短く取れるところにすると、住んだ後に移動が少なくて家事時間を短縮できますよ。
このようにキッチンから水回りは動線が近い位置に配置するのが基本です。
⑩コンロ前に壁なし
ガスコンロの場合は上昇気流によって周りが汚れるのでコンロ前の壁は必須です。IHの場合でも炒め物や揚げ物をすると周りが汚れるので、壁があった方が良いです。ただし、間取り的に「どうしても圧迫感が出て開放感が失われる」という場合、IHなら壁なしという選択肢もアリです。
コンロ前に壁を設けると耐力壁的にもプラスに働くので、原則は壁を作る方向で考えてください。
⑪勝手口あり
昔は換気ができず生ゴミの臭いが気になるので勝手口が必要でした。ただ、最近は換気システムが整っているので、きちんと換気計画通りに行けば臭いはそれほど溜まりません。「外にゴミを出す」という習慣自体がなくなる可能性が高いです。
勝手口を付けるとコストがかかるだけではなく防犯面でもリスクが高まるので、原則として付けない方向で進めてください。
明かりが欲しい場合は、このように窓を付ければ明かり取りはできます。勝手口まで付ける必要はありませんよ。
まとめ
実は使いづらいキッチン間取り11選
- 玄関→パントリー→キッチン
- 玄関からすぐキッチン
- 冷蔵庫を隠す
- キッチン収納に目隠し扉
- カップボードとの間が狭い・広い
- キッチンが孤立
- キッチンとリビングが隣接
- フルオープンキッチン
- キッチンから洗面が遠い
- コンロ前の壁なし
- 勝手口あり