2025.02.08
先日、「令和7年(2025年)の税制大綱」が政府より発表されました。
今回の税制改正により、住宅ローン控除はどう変わるのでしょうか。変更点と併せて、得するパターンや損するパターンについて速報をお伝えします。
これからお話しする内容を知らないと数十万円近く損するリスクもあるので、しっかり把握してくださいね。
しっかり学んで税制優遇のメリットを享受しよう!
2025年2月5日時点の情報を元に作成しています。また、今後の動向について言及する内容が含まれますが、あくまで予想であり、内容を約束するものではありません。
本記事の内容は、YouTube動画でも分かりやすく解説していますので、こちらもご覧ください!
参考動画(YouTube):『住宅会社が教えてくれない優遇制度4選!新築を考えるなら今すぐ見て【令和7年 税制大綱】』
目次
そもそも「税制大綱」って何?
税制大綱とは、来年以降の税金の制度がどうなるかまとめた資料です。
家づくりの際には、住宅ローン控除やら両親から資金援助を受けた際の贈与税やら固定資産税など、いろんな税金の話がつきものですが、話が難しいと敬遠して、営業マンに任せっきりにしようとする施主もしばしば…。
しかし、工務店やハウスメーカーの営業マンに、この「税制大綱」を詳しく読み込んでいる人はほとんど存在しません。
そのため家づくりの際には、住宅ローンなどの税金周りで損をしないためにも、営業マンに頼るのではなく「施主自身」がしっかり勉強する必要があるんです。住宅ローンで失敗してしまうと金額的なダメージも大きいですから、施主の自己責任で税制優遇のメリットを享受できるよう、しっかり勉強していきましょう!
「住宅ローン控除」ってどういう仕組み?
そもそも「住宅ローン控除制度」って何?
まずは、今回の大綱の中でも一番多くの施主に関連するであろう「住宅ローン控除」について説明します。(すでにご存じの方は飛ばしてください)
住宅ローン控除とは、めちゃめちゃ簡単に説明すると、「家を建てるために住宅ローンを組むと、支払うはずだった所得税や住民税の一部を免除してもらえる」という制度です。
そしてこの控除額は、「年末のローン残高×0.7%×13年間」と決まっているのですが、これはあくまで上限額。具体的な上限額を決めるためのルールは大きく分けて2つあります。
住宅ローンの控除額を決める「2つの要素」
要素①:「住宅の性能」
住宅性能 | 対象となるローン残高の上限 |
---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 上限4,500万円 ⇒「5,000万円」まで引き上げ! |
ZEH住宅 | 上限3,000万円 ⇒「4,500万円」まで引き上げ! |
省エネ基準適合住宅 | 上限3,000万円 ⇒「4,000万円」まで引き上げ! |
1つ目が「住宅の性能」ですね。住宅の性能によって、住宅ローン控除の対象にできる上限金額(借入額の年末残高)が決まっているんです。
そしてこの住宅の性能はみなさんもよく聞く「長期優良住宅」や「低炭素住宅」、「ZEH住宅」などが参照され、「どの認定を取得しているか?」によって上限金額が決まります。
具体的にどういう計算になる?
例えば、ZEH認定(上限:4,500万円)を取得して6,000万円の借入を行った場合、単純計算だと「6,000万円×0.7%=42万円」となるんですが、ZEH住宅の場合、借入上限が4,500万円。
そのためこの場合、6,000万円のローンを組んだとしても、「4,500万円(上限)×0.7%」で控除額の上限は「31.5万円」となります。となります。
要素②:「年収」
控除金額を決める要素、2つ目は「年収」ですね。
住宅ローン控除というのは、あくまで所得税の一部が免除されるという制度なので、そもそも所得税や住民税をたくさん払っていないと免除額も少なくなってしまうんです。
もちろん実際の額は家族構成などによっても異なりますが、大体の目安としては以下の表の通りです。
年収400万円 | ローン控除額:16万円/年 |
---|---|
年収500万円 | ローン控除額:20万円/年 |
年収600万円 | ローン控除額:26万円/年 |
年収700万円 | ローン控除額:32万円/年 |
年収800万円 | ローン控除額:35万円/年 |
上記は概算の控除金額になります
例えば、年収が600万円の場合、同様に長期優良住宅の認定をとって、上限いっぱいの5,000万円のローンを組んだとしても、年収的にも控除される上限は「26万円程度」。つまり「だったら、そもそも長期優良住宅の認定を取らなくてもよかったのでは?」というケースもあり得るわけです。
ただし、ローン控除で戻ってくる金額は収入や家族の状況によって大きく異なるため、ローンを組む前に一度住宅ローン控除(減税)シミュレーションサイトなどでチェックしておきましょう。
住宅ローン控除を受けるための条件は?
またこうした住宅ローン控除制度を受けるためには、以下条件をクリアしている必要があります。
「住宅ローン控除」の条件は?
- 新築・取得日から「6ヶ月以内」に入居
- 合計所得が「2,000万円」以下
- ローン年数が「10年以上」
- 床面積の1/2以上が居住用
- 延床面積が「50㎡以上」
【本題】「令和7年度 税制大綱」の変更点は?
※あくまで「大綱」なので、「確定情報ではない」という点だけご理解ください。
①住宅ローン控除
上限額引き上げは「1年延期」(若者夫婦or子育て世代のみ)
<若者夫婦or子育て世帯の場合>
若者子育て世帯を対象とした上限額引き上げは、本来2024年で終了する予定でしたが、今回の税制大綱で1年延期されると明記されました。
そのため、長期優良住宅や低炭素住宅である認定住宅は、通常は上限4,500万円⇒上限5,000万円、ZEH住宅は、上限3,500万円⇒上限4,500万円、省エネ基準適合住宅の場合は、上限3,000万円⇒上限4,000万円となります。
ただし、ここには『若者夫婦or子育て世帯※に限り』という条件がありますので注意が必要です。
夫婦いずれかが39歳以下or18歳以下の扶養家族がいる世帯
その他の細かい変更は?
その他の変更点としては、「床面積要件の緩和措置」も延長になります。
通常、先に述べた住宅ローン控除のための条件の通り、控除を受けるためには「床面積が50㎡以上」が条件なのですが、緩和措置として合計所得が1,000万円以下の場合は、床面積が40㎡以上であっても住宅ローン控除の対象になります。
「子育てグリーン住宅支援事業」もチェック!
2025年度の補助金「子育てグリーン住宅支援事業」は、長期優良住宅やZEHに加えて「GX志向型住宅」という新しい枠組みが登場。(GX:160万円、長期優良:100万円、ZEH:40万円 ※長期優良・ZEHの場合のみ、古家除却ありなら+20万)
住宅ローンを考える際は、併せて「子育てグリーン住宅支援事業」についてもチェックしておきましょう!
その他の優遇制度について(2025年税制大綱で変更無し)
①住宅取得等資金の贈与税非課税措置
名前が長いのでなんか難しそうに感じるかもしれませんが、「祖父母・両親から住宅資金をもらったら、本当は贈与税がかかるけど1,000万円までは贈与税なしでも良いよ」という制度ですね。
「2026年まで」は継続の方針
こちらは、2026年12月31日までの贈与が対象です。。
ちなみに現行制度の内容・条件については以下の通り
優遇措置内容 |
贈与を受けた翌年3月15日までに新築(事前申請で翌年12月31日まで) |
---|---|
その他条件 |
|
例えば、省エネ等住宅(断熱等級4、または一次エネルギー消費量等級4以上)なら、1,000万円まで非課税で贈与を受けることができるんですが、この「上限1,000万円」というのは「贈与を受ける1人当たり」のもの。
つまり、「夫が夫の直系尊属から1,000万円もらい、妻も妻の直系尊属から1,000万円もらう」という場合は、合計2,000万円まで非課税で贈与を受けることができるんです。
優遇措置のための「住宅要件」は若干厳しく…
以前までこの優遇措置は、「断熱等級4、または一次エネルギー消費量等級4以上」が条件でしたが、この対象住宅に対する要件が少し厳しくなっています。
とはいっても、断熱等級5とBE ENOUGHが推奨する性能水準「せやま基準一覧表」をベースにしていればなにも問題ありません。また一次エネルギー消費量等級6以上というのも、余裕でクリアできるレベルなので安心してください。
ただし、期間がちょっとややこしくなってしまっているため、そこは住宅会社と連携をとってもらう必要がありますね。
「せやま基準一覧表」とは?
BE ENOUGHでは、住宅会社選びのための補助ツールとして、「せやま性能基準」と「せやま標準仕様」の2つからなる「せやま基準一覧表」を無料配布しています。
「せやま性能基準」を使えば、上記で紹介したように各建材について、「完全に不足→少し不足→ちょうどいい塩梅→余裕があれば」と家づくりで抑えておくべき性能レベルを検討できます。
詳しい使い方に関しては、下記リンク先の記事をご覧ください。
ダウンロードページ:『せやま基準一覧表|お役立ちツール|BE ENOUGH』
合わせて読みたい記事:『営業マンより「家の性能」に100倍詳しくなる方法|せやま性能基準』
解説動画(YouTube):『家づくりの超実践ツール「せやま基準一覧表」の使い方<総集編>』
②固定資産税の減税措置
固定資産税とは?
固定資産税とは、「毎年1月1日時点で所有している土地・家に対して課せられる地方税」を指します。
「令和8年」までは継続の方針
固定資産税に関する変更点は以下の通り。
家屋の固定資産税 120㎡相当分まで |
長期優良住宅の場合は「5年間」(低炭素住宅は対象外) 都市計画税は1/2の対象にはならない |
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対象期間 |
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対象にならないと建物の固定資産税が倍になります。長期優良住宅の場合、10万円どころか20万円くらい損をする恐れがあるので、2026年3月31日までに登記してください。
また上記減税を受けるためには、これまで通り「床面積が40㎡~280㎡以下であり、全体床面積に対し、居住用スペースが1/2以上を占めること」という条件も継続されますのでご注意を。
③登録免許税の減税措置
登録免許税とは、「土地や家に関する所有権を申請(登記)する際に発生する税金」のことですね。
登録免許税に関する変更点は以下の通り。
所有権保存登記 |
長期優良・低炭素住宅の場合は「0.1%」 |
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抵当権設定 |
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土地の所有権移転登記 |
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対象期間 | 土地の所有権移転登記の軽減は、「2026年3月31日までの登記」が対象 |
また上記減税を受けるためには、延床面積50㎡以上だったり、個人の住宅でなければならないという条件についても引き続き適用されるので、登録免許税の優遇措置を受ける人は注意してくださいね。
④不動産取得税
こちらも先ほど同様、内容に関する変更はありませんが、
- 課税標準額(税金の基準となる評価額)
- 標準税率
- 長期優良住宅に係る課税標準の特例措置
影響は少ないですが、これらについても併せてチェックしておきましょう。
まとめ
令和7年度「税制大綱」での変更点は?
- 住宅ローン控除
若者夫婦 or 子育て世帯の借入限度額引き上げが1年延期
工務店探しで迷ったら「せやま印工務店」!
「せやま印工務店」とは、家づくりにおける“ちょうどいい塩梅”を実現する工務店認定プロジェクト。
家の4大要素「性能」×「標準仕様」×「価格」×「人」に関する厳しい基準(全87項目)をクリアした「せやま印工務店」と、日本全国の施主(通称:クルー)を橋渡しする、”ちょうどいい塩梅の家づくり”を実現するためのプロジェクトです!
詳しい説明・クルー登録はコチラ:『せやま印工務店とは?』