2024.12.07
サッシを選ぶ際、アルミ樹脂複合サッシにするか、オール樹脂サッシにするか悩む人は多いでしょう。大手ハウスメーカーはアルミ樹脂複合サッシにしているところが多いです。デザイン性も高いですし、最近は進化して断熱性能も高くなっています。一方、オール樹脂サッシは性能を意識する工務店が扱っていることが多いです。やっぱり一番冷えやすいサッシの部分に樹脂を使うことで、結露を防ぐこともできますし、家を暖かくすることもできます。
そこで、今回は
- 窓のサッシの種類
- アルミ樹脂複合サッシの致命的なデメリット
- アルミ樹脂複合サッシを選ぶ場合の対策
目次
窓のサッシの種類
窓のサッシは、オールアルミサッシ、アルミ樹脂複合サッシ、オール樹脂サッシの3種類に分けられます。
オールアルミサッシ
オールアルミサッシは、その名の通り全部アルミです。外も内側もアルミなので結露しやすく、最近は使われることも減りました。
アルミ樹脂複合サッシ
アルミ樹脂複合サッシは、基本的にアルミでできています。ただ、結露しやすい家の内側部分は樹脂でカバーをしています。外側はアルミ、内側は樹脂となっているため「アルミ樹脂複合サッシ」「半樹脂」「ハイブリッド」と呼ばれます。
オール樹脂サッシ
オール樹脂サッシは、結露しやすいサッシの部分が、断熱性能の高い樹脂でできています。
上記の3つの中で、アルミ樹脂複合サッシにするか、オール樹脂サッシにするか悩む人は多いでしょう。そこで、それぞれの意見を比較しながら検討していきましょう。
アルミ樹脂複合サッシ vs オール樹脂サッシ
アルミ樹脂複合サッシ推奨派の意見は以下の通りです。- デザイン性が良い
- 防火性能が高い
- 強度が高い
- ガラスによって断熱性能をアップできる
オール樹脂サッシは少しごついですが、アルミ樹脂複合サッシの場合はシュッとしています。さらに防火性能が高いため、防火地域とか準防火地域でも使える窓のラインナップが非常に多いです。外側がアルミなので何かがぶつかった時の強度が高いですし、サッシ自体の断熱性能は低くても窓ガラスの性能をアップさせることで、窓全体の断熱性能をアップさせることもできます。
これらは全て合っています。そのため「アルミ樹脂複合サッシでも良いんじゃないの?」と思うのは、全然悪いことではありません。
一方、オール樹脂サッシ派の意見は以下の通りです。
- 最も結露しやすいのはサッシ
- アルミは樹脂の1,000倍熱を通しやすい
サッシは一番結露しやすく、一番熱の出入りが激しい場所です。アルミは樹脂の1,000倍くらい熱を通しやすいため、アルミよりも樹脂の方がサッシにふさわしいと考えるのが、オール樹脂サッシ派です。
もちろん、この意見も合っています。つまり、アルミ樹脂複合サッシ派もオール樹脂サッシ派も、嘘は言っていないんです。そうなると、施主としては「じゃあ、どっちが良いの?」となりますよね。
そこで、せやまさんの結論としてはオール樹脂サッシ一択です。結露を防ぐことができますし、一番冷えやすい場所にアルミを使うのは良くないと考えています。ただ、オール樹脂サッシが大好きなせやまさんでも、オール樹脂サッシのデメリットは感じています。
- 枠がゴツくて、デザイン性が劣る
- 高さのあるサッシがない
- 変形型の窓がない
- 防火地域対応サッシが少ない
オール樹脂サッシのデメリットは、デザイン性が劣ることです。枠がゴツいので嫌がる人は多いでしょう。また、天井まで届くような2,400mmの高さのサッシがなく、2,200mmくらいまでしかありません。変形型の三角形の窓しかないので、デザイン面に加えてラインナップも少ないです。
さらに、防火地域に関しては、LIXILだと2024年5月現在はオール樹脂サッシがありません。選択肢がYKK APやエクセルシャノンとかに限られてしまうというデメリットもあります。このように、オール樹脂サッシも善し悪しがあります。
ただ、個人的には「デザイン的に枠が太くても問題はない」「2,200mmの高さがあれば十分だし、変形窓も必要ない」と思っているので、質を重視して結露を防ぐことを優先し、オール樹脂サッシを推奨しています。
アルミ樹脂複合サッシのデメリット
アルミ樹脂複合サッシのデメリットは以下の通りです。- 枠のアルミが結露しやすい
- 壁に接するレール枠がオールアルミ【致命的なデメリット】
→冷えやすく内部結露しやすい!
アルミ樹脂複合サッシの1つ目のデメリットは、枠のところに冷えやすいアルミを使っているため結露しやすいことです。もちろん、ガラスをトリプルガラスにすることによって、窓ガラス全体の断熱性能を良くすることはできます。ただ、ガラスの性能がとても良くてサッシがイマイチだと、「窓全体の断熱性能」は良くてもちょっとアンバランスです。一番結露しやすい場所の性能が低いということはサッシが結露するリスクが高く、この弱点はどうしても防げません。ただ、窓全体の断熱性能は良くなるので、家の中が寒い・暑いという面では、そんなに支障がない非常に性能の高いアルミ樹脂複合サッシも出てきているのも事実です。
上記のデメリットは、今までも知られていました。ただし、この「窓のさらに外の部分が、アルミ樹脂複合サッシの場合は全てアルミ」というデメリットは致命的です。
たとえば、引き違いの窓をイメージしてください。引き違いの窓にはレールが付いていますよね。アルミ樹脂複合サッシを選ぶと、このレールが付いている「窓のさらに外の部分(画像赤枠部分)」が「アルミ樹脂」ではなく「全てアルミ」なんです。つまり、躯体にくっついている部分が非常に冷えやすく、かつ内部結露が起きやすい仕組みになっているんです。
これが、今まであまり公開されていなかった、アルミ樹脂複合サッシの致命的なデメリットです。
一方、オール樹脂サッシの場合は、レール枠も全て樹脂です。一部、レールでアルミを使っているものもありますが、壁に察している部分は樹脂なので内部結露のリスクを抑えることができます。
それでもアルミ樹脂複合サッシを選ぶなら
このようなデメリットを理解した上でも「やっぱりデザイン優先でアルミ樹脂複合サッシにしたい」という人は、今から紹介する3つの対策をしっかり抑えてください。アルミ樹脂複合サッシのデメリット対策①気密性能の担保
アルミ樹脂複合サッシにする場合は気密性能を担保してください。窓の周りの気密性能が重要です。窓の周りに隙間風が通るような隙間があると、そこに部屋の中の湿度の高い空気が入り込み、アルミのレール枠が結露してしまいます。そうすると木が腐ってシロアリが寄ってきて、家が朽ちるパターンに陥ってしまいます。
アルミ樹脂複合サッシのデメリット対策②窓ガラスの性能UP
アルミ樹脂複合サッシにするなら、窓の性能をUPさせましょう。アルミ樹脂複合サッシでLow-Eのペアガラスだと、窓ガラス全体の断熱性能が低くなって、家が寒くなります。
アルミ樹脂複合サッシにするなら、サッシのスペック不足を補う窓ガラスにしましょう。トリプルガラス等で窓ガラス全体のグレードを、オール樹脂サッシ+Low-Eペアガラスくらいまで高めて、家全体の断熱性能を担保してください。
アルミ樹脂複合サッシのデメリット対策③温度・湿度管理の徹底
窓ガラスの性能をUPさせても、やっぱりサッシにアルミを使っているので、サッシの枠は結露しやすくなります。そこで、温度と湿度管理をしっかりやりましょう。
温度に関しては、カーテンを開けておくことがおすすめです。夜にカーテンを閉めると部屋の中の暖気が窓まで届かず、窓の表面温度が室温よりも低くなります。それで結露してカビの原因になるので、カーテンを開けておきましょう。そうすると外から見えてしまうので、シャッターを付けるのがおすすめです。そうすれば外から見えないので、カーテンを開けた状態で夜を過ごすことができます。これで窓ガラスの表面温度が高い状態をキープできるので、サッシの結露を防げるでしょう。
カーテン以外にも断熱性能の高いシェードを付けると、なおさら部屋の中の暖気が窓側に届かなくなり、窓ガラスの表面温度が下がることがあります。この点には注意してください。
湿度に関しては、加湿しすぎず絶対湿度9~10g/㎥を維持しましょう。11~12g/㎥にすると、窓の表面温度が12~13度ぐらいでも結露が始まってしまいます。アルミ樹脂複合サッシの場合、12度くらいまで下がるので加湿のし過ぎに注意してください。
湿度管理に関しては、ぜひ以下の記事もご確認ください。
関連記事:加湿器マニアが選び方と冬の乾燥対策を徹底解説!湿度を%で管理したらダメ!
このように「気密性能の担保」「窓ガラスの性能でフレームのスペック不足をカバー」「温度と湿度の徹底管理」という3つの対策をすれば、アルミ樹脂複合サッシのデメリットである内部結露や表面結露のリスクを極めて低く抑えることができます。こういった知識を持った上で、「デザイン優先でアルミ樹脂複合サッシにしたい」という人はアルミ樹脂複合サッシを選んでください。
せやまさんとしてはバランスの良いオール樹脂サッシにして気密性能を担保するのがおすすめですが、人それぞれ事情や考え方があるでしょう。アルミ樹脂複合サッシのデメリットをカバーする対策を押さえた上であれば、問題ないでしょう。
サッシ以外の窓選びに関しては、ぜひ以下の動画もご確認ください。
関連動画:【永久保存版】窓・サッシ選び 完全攻略【新築住宅】まとめ
アルミ樹脂複合サッシのデメリット対策
- 気密性能の担保(特に窓の周り)
→結露で家が朽ちることを防ぐ - 窓ガラスの性能UP
→トリプルガラス等でスペック不足をカバー - 温度・湿度管理の徹底
→カーテンを開けておく。加湿しすぎず、絶対湿度9~10g/㎥を維持