大手ハウスメーカーが気密測定をしない3つの裏事情|鉄骨住宅の弱点

大手ハウスメーカーが気密測定をしない3つの裏事情|鉄骨住宅の弱点 | 住宅業界の“闇”を知っておきたい

実は大手ハウスメーカーでは気密測定をほとんどしません。高気密・高断熱住宅を建てたいのに、気密測定をしないんです。実はそれには、鉄骨住宅の弱点も含めた裏事情が隠されています。なぜ大手ハウスメーカーが気密測定をしないのか、その理由を解説していきます。

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本記事の内容は、YouTube動画でも分かりやすく解説していますので、こちらもご覧ください!


参考動画:大手ハウスメーカーが気密測定をしない3つの裏事情|鉄骨住宅の弱点

 

なぜ気密性能が重要なのか?


気密性能が低い家は、家自体の性能も悪いですし、めちゃくちゃ健康にも悪い家になってしまいます。まずは「低」気密住宅の致命的なデメリットを紹介していきます。

 

低気密住宅のデメリット①断熱性能が落ちる

気密が悪いとすきま風がどんどん入ってきてしまいます。断熱性能が落ちるので、冬は寒くて夏は暑い家になってしまうんですね。どんなに良いダウンジャケットを着ていても前を閉めなければ寒いのと同じように、低気密住宅では家の中の温度が保たれないというデメリットがあります。

 

低気密住宅のデメリット②壁内結露の発生

低気密住宅だと、内部結露が発生してしまいます。壁の隙間を風が流れているのでそこが冷たくなり、家の中の加湿した空気が流れていって、壁の中に結露ができてカビができてしまいます。

 

低気密住宅のデメリット③シロアリ被害が増える

そのようにカビができることで、シロアリが来てしまいます。そうなると家の寿命が縮まる原因にもなってしまいますよね。これはもう、大きなデメリットです。

 

低気密住宅のデメリット④計画換気ができない

家は換気をしっかり行うことが重要ですが、低気密住宅ではその換気システムも十分に動作せず、計画通りに換気ができません。そのため「この部屋は換気ができているけど、こっちの方の部屋は空気が淀んでる」なんてことになってしまいます。つまり、気密性能が低い家っていうのは、めちゃくちゃ健康に悪いんです。

 

低気密住宅のデメリット⑤職人の緊張感がなくなる

低気密住宅にすることで、職人さんの緊張感もなくなってしまうんです。気密測定をするだけで、職人さんとしては「結果が数字に出るから頑張ろう!」という緊張感が生まれます。そのため、最初から気密測定をしないことが分かっていると、どうしても仕事の緊張感もなくなってしまうのです。これも大きなデメリットですよね。

 

大手ハウスメーカーが気密測定をしない裏事情3選!


このように、低気密住宅を建ててしまうことで、家の性能にも住む人の健康にも大きなデメリットがあります。それなのに、なぜ大手ハウスメーカーは気密測定をしないのでしょうか。その裏事情は、以下の3つです。

  1. 鉄骨住宅は気密性能が低い
  2. 丁寧な工事じゃないと良いC値が出ない
  3. 測定するのが面倒

では、これらの内容を具体的に説明していきます。

 

裏事情①鉄骨住宅は気密性能が低い

そもそも、鉄骨のプレハブ住宅は気密性能が低いという特性があります。これは良い・悪いという話ではなく、元からそういうものなんです。気密性能を示すC値は低い方が良く、私個人としてはC値は経年劣化で将来的に悪くなることも考えて0.7以下か、できれば0.5以下にしておきたいと思っています。また、一般的にも1.0以下は「高気密住宅」と呼ばれます。

ただし、鉄骨住宅の場合のC値は2.0以上になる場合がほとんどなんです。どうしても2.0以下を出せないので、そういう家を扱っている大手ハウスメーカーからすると「気密測定をしましょう!」とは言いづらいんですね。

数値が悪くなるに決まっているので、とりあえずは「高気密住宅」という言葉を使って宣伝しているわけです。「高気密住宅」は特に定義が決まっていないので、こうやって言葉を使ってるんですね。ただし、「高気密住宅のC値はこれ以下」という基準はないから嘘をついているわけではないものの、C値2.0を超えている家で「高気密住宅」という言葉を使うのは良くないです。車でいえば「リッター5キロしか走れないのに、めっちゃ燃費が良い車です」と言いつつ「燃費が良い状態の定義はないから問題ない」と言っているようなものなので、注意してください。

 

裏事情②丁寧な工事じゃないと良いC値が出ない

先ほどは鉄骨住宅とC値の関係を説明しましたが、実は木造のハウスメーカーでも気密測定をしていない会社はめちゃくちゃ多いんです。気密測定をしている会社といえば、一条工務店やスウェーデンハウスなど、数えるほどしかないんです。その理由は工事が大変だから。

同じ断熱材・窓・構造材・設計をしたとしても、下手くそな職人の作業と上手な職人の作業では、全くC値が異なってきます。そのため、C値は会社ごとというよりも職人の腕や現場監督の厳しさといった、人に依存する数値なんです。

そうなると、日本全国で何万棟も作っている会社が管理しようとするのは、手間がかかって仕方ないですよね。しかも一次請けならまだしも、二次請け・三次請けで工事してもらっている会社としては、そんなところまで指導はできません。なので、会社として「C値を保証します!」なんてことは言えないので、気密測定をせずに「高気密・高断熱」という言葉でなんとなくごまかしてるんですね。

また、たまに「うちのモデルハウスはC値0.5以下です!」という宣伝もありますよね。これもC値を言わないよりはマシなものの、ほとんど意味はありません。施主としては「モデルハウスじゃなくて、私の家のC値を知りたいんです!」というのが本音ですよね。自動車などなら全部同じ性能になりますが、家はそうではありません。大工さんや職人さんが作るものですので、カタログ値に騙されないように注意してください。

 

裏事情③測定するのが面倒

実は、気密測定をするのはとても面倒なんです。断熱性能を表すUA値は、PC上で計算して出すことができます。一回入力すれば良いだけなので、楽ですよね。

ですが、C値はこのように計算では出せません。大工さんや職人さんの腕で変わるものなので、現場で気密測定器を使って実際に測定しないといけないんです。なので、年間に何千棟もやっている会社としては、測定するだけでも面倒ですよね。

さらに実際に計測して、C値が2.0以上のように数値が悪いと、さらに大変ですよね。「数値は悪いですがすみません!」では終わらず、施主からは追加工事で修正してC値を良くすることが求められます。さらに施主が気密測定に同席するとなると、もう現場は大混乱。だからこそ「高気密・高断熱なんです!」と曖昧に表現するんですね。

 

まとめ

大手ハウスメーカーが気密測定をしない裏事情3選

  1. 鉄骨住宅は気密性能が低い
  2. 丁寧な工事じゃないと良いC値が出ない
  3. 測定するのが面倒
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PROFILE

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せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

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