能登半島地震から学ぶ!地震対策などの「”命”を守るため行動」を考えよう!

能登半島地震から学ぶ!地震対策などの「”命”を守るため行動」を考えよう! | 家づくりに必要な心構えを知りたい

構造計算をして耐震等級を取ることが、「地震対策」における一つの答えであることは間違いありませんが、「命を守るため」には、もっと広い視点でリスクや対策を理解することが大切。

そこで今回は、先日発表された能登半島地震の年代別の木造住宅倒壊データをもとに、これから家を建てる人が気をつけるべきポイントから、地震対策だけに限らず、我々が普段からできる「命を守るための対策」をお伝えします。

リスクは地震だけじゃないよ!

能登半島地震の建築年代別の倒壊状況は?

能登半島地震のデータを見ると、建築年代によって倒壊リスクに大きな違いがあることがわかります。それぞれの年代ごとの特徴とリスクについて、詳しく説明していきますね。

【旧耐震基準】1981年以前に建てられた家は危険?

1981年以前に建てられた旧耐震基準の家では、約90%が何らかの被害を受け、そのうち40%近くが倒壊や大破といった深刻な被害に遭っています。

特に被害が集中した輪島市周辺では、1981年以降の新耐震基準で建てられた家の割合(耐震化率)が非常に低いことが原因の一つと考えられます。

【新耐震基準】1981~2000年の家でも油断は禁物

新耐震基準が導入された1981年以降の家は、旧耐震基準の家よりも耐震性能が向上しています。でも、2000年以降の基準の家と比べると、まだ倒壊リスクが高い状態なんです。

耐震化率をさらに上げていく取り組みが、地震の被害を減らすためには欠かせませんね。

【現行基準】2000年以降の家でも倒壊ゼロではない!

2000年以降の現行基準で建てられた家でも、倒壊率は0.7%と低いですが、倒壊や大破した家があるのも事実です。

特に、「壁量不足」や「壁の配置バランスの不備(偏心率)」が原因となることがあります。

そしてこの背景には、「4号特例」と呼ばれる制度が関連していると言われています。

なぜ「4号特例」が問題視されるのか?

倒壊の原因の一つとして、「4号特例」が挙げられます。

これは、一定の条件を満たす住宅について、構造計算や耐震性の審査を省略できる制度です。その結果、設計に問題がある家が建築されるケースもあるんです。

2025年4月には、この4号特例の適用範囲が縮小される予定ですが、現行基準でも完全にリスクが解消されるわけではありませんから、これから家を建てる場合にはしっかりこの点を理解しておきましょう。

建築年代による耐震性能の違いを踏まえ、「古い家が危険」という事実と、「新しい家だからといって油断できない」という現実を知っておきましょう。

倒壊データをもとに、我々が取り組むべきことは?

新築(建て替え)を考えている場合

新築・建て替えのネックは「費用面」

先ほどのデータからも、1981年以前に建てられた家だと、倒壊・大破により命を落とすリスクが高いことは明らか。

ただ新築・建て替えの場合、ネックとなるのは「費用」です。

家の価格はどんどん高くなってきているので、建て替えだとしても、「如何にコストを抑えて家づくりを進めるか?」を考えなければなりませんから、「担保すべき性能レベル」をしっかり把握したうえで、お金をかけるところとそうでないところを決めていきましょう。

必ず「構造計算」を実施しよう!

これから新築・建て替えを検討している場合、「じゃあ、耐震等級はいくつを目指せば…?」となると思いますが、耐震等級を目安にするのではなく、「構造計算を必ず行うこと」を基準にしてください。

またこの構造計算について、一部では「2025年4月に構造計算が義務化される」と言われていますが、実際は「4号特例」が縮小されるだけで、小規模な建物の構造計算が全面的に義務化されるわけではありません。

また、「新3号特例」として、200㎡以下の平屋などは引き続き構造計算の審査が省略される可能性がありますが、省略できるからといって構造計算をしないのはリスクが大きいため、「構造計算は必ず実施すべき」と覚えておいてください。

関連記事:『耐震等級だけじゃダメ!新築戸建ての「地震対策」に必須な”4項目”を徹底解説!

耐震リフォームを考えている場合

1981年以前に建てられた家は、基礎や構造が非常に弱い状態なので、耐震リフォームで耐震性能上、完璧にすることはできません。

ただ耐震リフォーム周りの補助金制度はかなり手厚く、耐震工事だけではなく、耐震診断にも補助金が出ます。

ざっと耐震リフォームにかかる平均費用は150~160万円程度ですが、地域によってはその半分以上を補助金で賄える場合もあるので、検討している場合は一度各市区町村のホームページを確認してみましょう。

「親世代の家」も必要ならリフォームを!

またどちらにおいても言えることですが、自分たちの世代だけでなく、「親世代の家」も大事ですよ。親世代は「建て替えは嫌だ」「耐震リフォームにお金をかけなくて良い」と言いがちですが、実際に親が地震で亡くなると本当に後悔します。

古家に住んでいる親のためにも、耐震リフォームや補助金について調べて、「これくらいの費用ならリフォームができるよ」と促してあげてくださいね。

命を守るために「地震以外のリスク」にも備える

①家づくりで家計を苦しくしないように!

当たり前ですが、家づくりでお金をかけすぎると、その分家計が苦しくなります。

家計が苦しくなって生活を切り詰めてしまっては、過度にストレスがかかってしまったり健康にも良くありませんから、家づくりは「無理のない予算で、必要十分な性能を持った家づくり」を心がけましょう。

②大きな病気(がん等)への対策も!

40歳以上で最も多い死亡原因は「がん」です。

定期的に検診を受けることで、早期発見・早期治療が可能になりますし、家族みんなで健康を守るための行動を話し合うのも大切。

ちなみに、フラット35以外の住宅ローンの場合、基本的に団信(団体信用生命保険)の加入が必須ですよ。

関連記事:『【ケース別で解説】「住宅ローン」の基礎知識と変動or固定/銀行の選び方は?

③交通事故のリスクを減らそう!

日頃の生活で交通事故に気をつけることも重要です。

車の運転等はもちろんですが、子どもたちが道路に飛び出さないよう教えていくのも大切ですね。特に、夕方は事故が多い時間帯なので気をつけましょう。

④闇バイトや危険な職業のリスクを教育!

最近は、「闇バイト」なるものが話題に挙がったりもしていますが、子供たちがこういった危険な選択肢に巻き込まれてしまわないよう、しっかり教育していくことも大切。

子どもたちとの会話などから、変なことに巻き込まれそうになっていないか…?などと親がしっかり見守ってあげるようにしましょう。

まとめ

能登半島地震から「考える命を守る行動」は?

  • 能登半島地震による倒壊データ
    ・1981年以前の家:約90%が被害、うち40%が倒壊・大破
    ・1981~2000年の家:約75%が被害、うち20%が倒壊・大破
    ・2000年以降の家:倒壊・大破は0.7%だが、30%は被害
    現行の耐震基準でも倒壊・大破のリスクはある!
  • 現耐震基準で倒壊・大破が生じてしまう要因は?
    ⇒4号特例によって構造計算・審査が省略されることが関連
    ⇒特に、「壁量不足」や「壁の配置バランスの不備(偏心率)」が原因
    地震対策を考えるなら「構造計算」はマストで!
    関連記事:『』
  • 地震以外のリスクにも備えよう!
    ①:家づくりで家計を苦しくしないように!
    ②:大きな病気(がん等)への対策も!
    ③:交通事故のリスクを減らそう!
    ④:闇バイトや危険な職業のリスクを教育!
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PROFILE

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せやま大学の人

瀬山 彰

大学卒業後、日本最大手経営人事コンサルティング会社にて、全国ハウスメーカー・工務店を担当。住宅業界で手腕を振るう中、住宅業界の悪しき文化に疑問を覚え、家づくりの新たなスタンダードの確立を目標に掲げる。その後、中堅ハウスメーカー支店長を経て、2019年に独立。

「家なんかにお金をかけるな!質は担保しろ!」をテーマにした”ちょうどいい塩梅の家づくり”が話題となり、YouTube「家づくり せやま大学」は、登録者数5万人超えの人気チャンネルに。現在は、優良工務店認定制度「せやま印工務店プロジェクト」の全国展開を推進し、ちょうどいい塩梅の家づくりの普及に努めている。

娘4人の父親。広島県出身、広島カープファン。

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