2025.03.12
GX志向型住宅で160万円の補助金を取る方法の詳細が2025年3月21日に発表されましたが、「内容が分かりにくい」という声が多く寄せられたので、内容を確認しました。その結果「気を付けなければ補助金が取れない」「HEMSを付けたけど、役に立たなくて後悔した」という人が多く出そうな内容でした。
そこで、この記事では160万円を取る方法や必要な機器、機器を有効活用するための準備、機器でできることを紹介します。
「そんなのは住宅会社や工務店がやってくれるから、施主が知る必要はないのでは?」なんて言う人もいますが、今まで住宅会社の対応不備によって補助金がもらえなかった人はたくさんいます。お金をもらえないと悲しいのは施主なので、施主自身がしっかり住宅会社の手続きを監視してくださいね。
今回は以下を詳しく解説していきます。
目次
GX志向型住宅を取得するためのHEMSの条件
GX志向型住宅を取得するためのHEMSの条件は「住宅にECHONET Lite AIF仕様に対応するコントローラとして、一般社団法人エコーネットコンソーシアムのホームページに掲載されている製品を設置すること」です。つまり、社団法人に掲載されている、特定の通信規格を満たしたHEMSのコントローラを導入すればOKです。
一般社団法人エコーネットコンソーシアムとは
エコーネットコンソーシアムとは、SHARP・TEPCO・TOSHIBA・Panasonic・MITSUBISHIの五社が幹事を務める一般社団法人です。
「HEMSを普及したい」と考える五社が幹事を務める一般社団法人のホームページに掲載されている、特定の通信規格を持ったHEMSを入れることが補助金をもらう条件です。
突っ込みどころは満載ですが、そこは置いておいてシンプルに施主がきちんと補助金を取る方法を紹介します。
該当する機器
該当する機器はホームページに掲載されているものですので、工務店やハウスメーカーと相談して付ける機器を決めてください。
HEMSのタイプ
HEMSは電気の消費量がモニターで分かるように、コントローラとモニターがセットになっているPanasonic製のAiSEGというものや、コントローラのみでPCやスマホでデータを見るメディオテック製のミルエコminiなどがあります。どちらのタイプもエコーネットのホームページに掲載されているので、どちらを導入しても大丈夫です。
GX志向型住宅を取得するためには断熱等級6以上(G2レベル)をクリアし、太陽光を付けて再生可能エネルギーを含めて再エネ機器を入れるような条件があります。その上で、今回HEMSを導入することで、160万円の補助金を申請できる条件を満たすことができます。
HEMS設置の申請方法
HEMSを設置したことを報告するためには「対象の新築住宅に設置した「コントローラ」の製品型番が記載されたメーカー発行の保証書等」の添付が必要です。また、「申請手続きの際にコントローラと設備・機器との接続状況の確認は行わない」との記載があります。
HEMSは役に立つ?
HEMSには大きく分けて2つの役割があります。1つ目は消費電力等を見える化すること。ただし、見える化するだけで消費電力を減らすわけではないので注意が必要です。
2つ目の役割は、スマートハウス化です。特定のエアコンであれば、HEMSを使ってスイッチのオン・オフなどができます。一部、AIを使って天気に連動してエコキュートの給湯を日中にするのか夜間にするのかといった判断もしてくれます。
HEMS導入=スマートハウス化ではない
ただし、HEMSを付けてもスマートハウス化できるわけではありません。
まず、電力の見える化ですが、HEMSを付けるだけでBルートサービスという電力会社のサービスを使えば家全体で使っている電気の消費量を測れます。申請は必要ですが、HEMSがあれば無料で使えます。とはいえ、家全体の電気代をタイムリーに知ったところで、それほど役に立ちません。毎月の明細を見れば分かることです。
そこで「給湯機で使っている電気代」「エアコンの電気代」のように個別の電気代を知っていこうと思うと、HEMSだけではなく「スマート分電盤」も付けなければなりません。このスマート分電盤を使えば、回路ごとの消費電気量をHEMSで確認することができます。たとえば専用回路を使うエアコン(200V)や給湯機、IHコンロ、冷蔵庫、電気自動車用EV充電器などの機器は、それぞれの電気代が分かります。ただし、その他の照明などは「複数の照明を集めて一回路」という風にしているので「子ども部屋の電気代」「主寝室の電気代」を把握しようと思うと、分電盤の回路を作る時から注意しなければなりません。
しかも、これは電気屋さんとしては非常に面倒ですし、経路の問題で遠いところから独自回路に突っ込まなければならないこともあるので、コストや手間賃が発生したり、厳密に部屋ごとの電気代をまとめると間違いが起きるリスクがあります。
このようにスマート分電盤を使うと各機器・各部屋の電気代を把握することはできますが、安くなるわけではありません。
ECHONET Liteという通信規格を持った家電機器の例として、エアコン(200V)・給湯機・電動シャッター・照明などがあります。これらの機器であれば、スマートハウス化ができます。そのため「今回HEMSを導入してスマートハウス化したい」のであれば、ECHONET Liteの通信規格に対応した家電を入れなければなりません。ECHONET Liteに対応した家電機器は、各社のホワイトリストに載っています。そこに書いてあるのは接続が確認されたものなのでリストに載っていないものでも使える場合もありますが、確実にスマートハウス化したいのであれば、HEMSメーカーのホワイトリストに掲載されている家電を使うのが安心です。
太陽光に関しては太陽光独自で売電モニターが付いているので、HEMSにする必要はないと考えています。ただパワコンによっては繋げられるものもありますし、パワコンに発信機のようなものを付けてHEMSに飛ばすこともできるので「まとめてHEMSで見たい」という場合はパワコンの選び方にも注意してくださいね。
HEMSの導入費用は?
HEMSを入れる場合、入れるHEMSや工務店の仕入れ価格によっても異なりますが、モニターがないタイプであれば10~15万円前後で入れられます。一方、モニターがあるタイプはモニター代と施工費がかかるので10数万円~20万円程度かかります。
電気消費量を見える化するためにスマート分電盤も付けると、スマート分電盤は通常の倍くらいの価格になるので、プラスで10万円前後かかります。つまり、モニターがないHEMSとスマート分電盤を付けると、20万円前後で電気消費量の見える化ができるようになります。
GX志向型住宅と長期優良住宅どちらで補助金を申請する方がいい?
GX志向型住宅と長期優良住宅なら、基本的に長期優良住宅を取って80万円の補助金をもらえば良いです。ただ、補助金関係なく「G2クラスにしようと思っていた」「太陽光をやろうと思っていた」という人の場合は、10~20万円かけてHEMSを付ければ160万円の補助金がもらえるので、GX志向型住宅にしてください。
「太陽光はやらず、G2クラスにしようと思っていた」という人に関しては、太陽光を付けるべきかどうかを慎重に検討してください。太陽光は100万円以上かかるので補助金より高いです。後から戻ってくるとはいえ、投資という面もあるので補助金に引っ張られすぎずに判断してください。その上で「付ける」と決めたのであれば、G2クラスと太陽光という条件が揃うので、HEMSを付けて160万円の補助金をもらうのがおすすめです。